第二百九十四話 ヌビル・ドロク 一
「お
「任せておけ。貴族の護衛の
アクアディアから
彼らは近隣の村を襲い食料を奪い生活をしているのだが今日は違う。
上から指示があったのだ。
彼らを
名前を『ヌビル』という。
そう。ケイロンやセレスティナの
彼がなぜこのようなことをしているのかというと話は少し
★
「つ、追放?! 何の冗談ですか! 父上」
「冗談ではない! あれだけのことをしでかしてよくもぬけぬけと」
ここはドロク伯爵家の屋敷の一室。
そこには二人の貴族と一人の執事がいた。
そこから本家当主であるピーター・ドラグに事態の
「分からないのか! この大馬鹿者! 何をとち
「とち
「そのような事実はない! 」
ドン!
と、大きな音を立てて机を叩くもヌビルは引かない。
更に食い掛かって前にでる。
「お言葉ですが父上。俺とケイロンは
「馬鹿
「まかり通るも何もそれが『普通』です」
自信
怒りで爆発しそうな頭を押さえて息子に目をやる。
「で、もしそれが成功していたとしてどうするつもりだったんだ? 」
「どうするとは、どういうことでしょうか? 」
ここにきてまだ隠し事か、と思い顔が赤くなるのを彼は感じるが抑えてヌビルの話を聞く。
彼が何かしようとしていたことは
仮にも学園を卒業するくらいの学力はあるのだ。
婚約の書類もなしに宣言した。貴族ならばそこに
出来るだけ元息子の計画の
爵位上は伯爵で
もし、これ以上の怒りを買うと、と思うと気が気でない。
「
「ですから俺はなにも」
「ならいい。おい、あの部屋に連れて行け」
そう言うと執事が軽くお
執事がどこへ連れて行くか分かったのだろう。彼は顔を青くしてすぐに
「い、いいます。言いますのでどうかご
「……最初から言えばいいのだ。で? 」
軽く
「……新しい分家を作ろうかと」
それを聞き顔に手をやり天井を仰いだ。
これほどまでに
「お、俺とケイロンが結婚すれば新しい血筋が生まれます。
「このっ! 大馬鹿者がぁ!!! 」
ドン!!! と机を壊さんとばかりの勢いで叩いて手を血で
しかしそれを気にする様子もなくまくしたてる。
「お、お前のそんなくだらない事のせいで我々がどれだけ迷惑を、被害を被ったと思うんだ! 」
「くだらない? 何がくだらない、ですか! 俺にとっては重要なことです! いつも俺は兄貴の二番手。ならば自分が一番になるために
「中央や他の家に
「そんなっ! また兄貴の予備のような
取っ組み合いの
父はそれで正気に戻ったがヌビルの方はまだのようだ。
「こやつはもう息子でもない。連れていけ」
ヌビルは引き
★
『ヌビル・ドロク』という少年はドロク伯爵家の次男である。
彼を表すのなら「影の薄いぽっちゃり系」という言葉が
ヌビルはドラグ伯爵家十二分家の一つドロク伯爵家の次男に生まれた。
彼は
そのような中ドロク家がドラグ家に挨拶に行く時彼は後に幼馴染となるケイロンと出会うこととなる。
元気
初恋とはこのことを言うのだろう。
家は近く彼女の家にもよく遊びに行った。家の中でかくれんぼのようなことをしたり魔法を使って遊んだりと。
ドラグ家の使用人達をそれで困らせたのは昔の話。
しかし、それがいけなかった。
ケイロンもヌビルの兄と同じく
ヌビルは
しかもセレスティナとの出会いによりその
何で俺よりも
特に彼が不真面目だったわけではない。
特に彼が無能だったわけではない。
普通に
しかし彼はそれ以上を求めた。求めてしまった。
「ないのなら利用して俺が一番になってやる」
そう思うと同時に彼の
セレスティナとケイロンと同じ
計画の
しかしそこでも彼は悲運を
彼女達はヌビルの
いつもよりも過激に、過剰にヌビルに強く反撃した。
周りの目も痛かった。
これだけでも普通ならば憲兵を呼ばれかねないのだが彼の行動は
「どうしても手に入れる」
その想いが強すぎた為か行動が激化する。
一度親を呼ばれて大人しくはなるが
そして最後に我慢ならず彼は勝手に結婚のことを口走りケイロンの攻撃をまともに食らってしまったのであった。
ヌビル・ドロク。
不運にも
彼は闇に飲まれ――。
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