ケイロンの休日 二
バタン。
僕は冒険者ギルドの
いつ見ても思うが外と中の大きさのギャップが激しい。
外からはあまり広く見えないが、中はかなり広い。
再度前を向き、宿へ足を向けた。
「資料室は行ったし、ランクの事も聞けた。後は……」
「きゃぁっ! 」
「すみません!!! 」
独り
あまり前を見ていなかった。
女性の声がした方を見ると町人のような姿の女性が転げている。
これはいけない!
「大丈夫ですか?! 」
「あ、ありがとうございます」
手を
「お怪我はありませんか? 」
「い、いえ。こちらこそ不注意でした。申し訳ありません」
ん? この匂いは……。
嗅いだことのある匂いに頭を
彼女が
ブレザーのポケットの中に何かある?!
恐る恐るポケットの中に手を入れ、確認すると一枚の紙きれが入っていた。
【
この文字は?!
なるほど、嗅いだことある匂いのはずだ。
まだ日が高い中、天を
どうやらもうすでに
「まだ数日しかたってないよぉ~」
★
宿屋『銀狼』二階ケイロンの部屋。
「ふぅ、行くしかないか」
そう言いいつもの服に身を
恐らくすぐに追ってきたのだろ。
情報を流して、こっちの人員で探すには速過ぎる。
「よし! 身体強化!
保有魔力を
いつもと同じように移動しやすくした。
「跳躍! 」
そして
★
月が
ん? あれは……エカテーさん?
こんな時間に何だろう?
それに隣の黒い人は?
瞬時に建物の
あっちは……確かスラム街の方向だったような……。
地図には示されていないが、
何しに行くんだ?
嫌な予感がしながらもやり過ごし、指定された場所——貴族街の
「「「お帰りなさいませ。
「……帰りたくなかったんだけど」
目の前には
ここはバジルの町の貴族街。その
そして目の前にいるのは本家からやってきたメイドと執事が数名ずつ。
本当に
「そうはいきません。旦那様も心配なされていましたし」
「あの騒動が治まったら考えてもいいけど? 」
「そ、それは……」
早く帰ってきてくれというメイドに対し
それに対して
彼女の
「そのくらいにしておいてはやってくれませんか? お嬢様」
「ならば放っておいてくれたらいいじゃないか」
一人の年長のメイドが一歩前に出て口を開いた。
だけどそうはいかない。認めるわけにはいかない。
少しくらいは
「そうはいきません。お嬢様を
「へぇ、僕に勝てるつもりなんだ……」
勝てるはずがない。
相手が隠し持っている武器を抜く前に僕の
そのくらいの実力の差があるのだ。
「はぁ……やめておきましょう。あぁ……旦那様と奥様になんて言い訳したら……」
お
「そのまま言えばいいじゃないか。僕が「自称婚約者騒動が治まったら」って言ってたって」
「我々ではどうにもできません。何せあの
「そこまでだよ。そもそも
姿を思い出すと
「うゔ~気持ち悪い……」
「おいたわしや、お嬢様」
メイドの一人がポケットからハンカチを取り涙をふく
「なら、変わるかい? 相手は超優良物件、伯爵家の次男だ。もしかすると彼は実家を
「嫌でございます」
涙を
「
「そう! その通りだよ! いやぁ話がわかるね」
「
「確かにそうなんだけどね。向こうは僕の家の
「「「あ~~~」」」
全員が
そして執事が一人前に出て口を開いた。
「旦那様や奥様からは
「でも、無理だよね」
「はい。ですので、せめてお嬢様をこの地で見守る事とこの事を報告することをお許しください。これが最大限の
「はぁ分かったよ」
しかし予想以上の
追加で人材を送られてくるだろう。だが、それはあまり問題にならない。何せ
向うが言っていることも無茶苦茶だ。
そもそも
少し予想外だったのは僕がいない
これさえどうにかなれば、後はどうにでも……。
「フフフ……」
「お嬢様、失礼とは思いますが少しお顔が
「おおっといけない。ところでなんだけど……」
そう言うと年長のメイドが首を
「少し調べて欲しい事があるんだけどいいかな? 」
「内容にもよりますが……」
「実はこの人を調べて欲しいんだけど――」
そう言い、指示を出す。
しかしその
「これは……旦那様に直接指示を
「うん。構わない。出来るだけ早くね」
無理を
父上と母上にここにいることを
今後がかかっているからね。
話を終えたのでこの屋敷を管理している使用人達が集まっている所へ向かうのであった。
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