エカテー・ロックライド 三
「全く、エカテーさんは
「そのようだな。以前、貴方から話を聞いた時は耳を
「あの時は前職のサブマスターが責任をとって解雇となりエカテーさん自身は停職処分となりましたが、今回はそうはいかないでしょう」
「貴方を敵に回すとは……
エカテー達が昼食をとっている
一人はバジルの町の冒険者ギルドサブマスター・ミッシェルである。
「で、今回も本部の力をお
「……私が
「なるほど、感謝
ミッシェルは無表情のまま感謝の
瞳の部分がくりぬかれた白い仮面を通して
「本部においても貴族家との
仮面男が茶色い机に置いてある書類を手にする。
パラパラとめくり、内容を確認した。
「だが……それは外部権力——つまり貴族としての地位を使わず実力で、というのが大
最も、と
「ここまで
そう聞き、少し無表情が
仮面越しに表情は
「まるで私が原因のようですが? 」
「いやいや、少なくとも本部は感謝しているよ」
「そうだといいのですが」
「何せ冒険者ギルドは赤字でなくとも決して
冒険者ギルドは依頼者と冒険者との
その他に不動産も少し取り
確かにギルドを置く国や土地の貴族との関係は重要だ。
護衛依頼等を引き受けることもある。
しかしながらそれは
今回のエカテーのように実家の権力を
そう『一般的』な。
「それで……
ミッシェルが表情を戻して少し見上げ、
「もう少し様子を見る。何か他にあるかもしれない」
「……ならば少し
「
その二つ名に顔をしかめながらも、仮面男に
★
翌朝、リリアンヌはギルドから
この
ここカルボ王国では鏡は高級品である。
これもまた冒険者ギルド職員が人気たるゆえんの一つであった。
「よし、今日も頑張りましょう」
独り
おかしい……。
いつもと違う雰囲気を感じた食堂の空気にリリアンヌは一人思う。
自身の好きなものを頼み、木製のお
いました。
いつものメンバーを金色の瞳が
他の
五人がお
「おはようございます」
いつもと同じように朝の挨拶をする。
……。
あれ? 聞こえていないのでしょうか?
再度声を
え? な、何か私しましたでしょうか?
また別の
「おはようございます」
そちらを向き、今度は少し声を大きくして
だが彼女達も無反応。
なに……が。
仕方なく一人いつもの机へと行き、緑豊かな食事をとるのであった。
★
リリアンヌが冒険者ギルドへ行くと、その
わざとぶつかったり、
昼食も共にとることが出来ず完全に冒険者ギルドでの居場所を失っていた。
目を
なんでこんなことに……。
理由は、思い当たる所がある。
前回、
だけどそんなことで……それにあれは皆の事を思って……。
空が
なんで私がこんな目に……。
自分の影を見つめながらとぼとぼ歩く。
今まで
冒険者ギルドに
「おいおい、いてぇじゃねぇか。ねぇちゃん」
一人の男の声がした。
冒険者……ではなさそうですね。
体が
顔が赤い。それに酒の臭いがする。
「ちっ! 謝罪の一言もねぇのかよ! 」
「これだからギルドのエリート様は」
「常識がなってねぇな」
彼らの言葉にリリアンヌの顔に緊張が走る。
まずい……ですね。
まずは謝罪し……
「まぁいい。こいつを連れてけばもれなく報奨金だ」
「もっといい酒が飲めるぜ」
「はは、あの嬢ちゃん達には感謝だ」
一歩、後ろへ後退する。
「さぁ、やっちまおうぜ! 」
「「「おうよ! 」」」
町のごろつきらしい手つきで近寄ろうとした瞬間、一人の――
「「「?!!! 」」」
誰もいないはずの空間に現れた者に全員の動きが止まる。
え?! 今までここには誰も!
リリアンヌは困惑しながらも黒いローブの人を
少し頭が光っているように見える。
「……調べものをしていたら、レッド
声からするとどうやら男性のようだ。
彼はリリアンヌの方へ振り向いたと思うと、再度ごろつきの方へ仮面を向ける。
「さて、職員への
「な……なんだてめぇ! 」
「変な仮面を
「いきなりどこから現れた」
職員! ということはギルドの人?!
しかし
レッドって誰?!
そう
その瞬間――
相手は全員、後ろへと倒れ込んだ。
「……アルコールのせいか? やけに
あっけない終わりに少し
しかしそれもほんの少しの時間であった。
すぐさまぐーぐーと眠り込んでいるごろつきたちを
「さて、君にも聞きたいことがあるのだが? 」
「……素敵な
「……え? 」
突然現れた仮面男を見て顔を赤くしたリリアンヌ。
こうして白仮面の
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