エカテー・ロックライド 一
アンデリックとケイロンがとぼとぼと冒険者ギルドを
「なんて
周りに他の冒険者達がいるにもかかわらず独り
冒険者達は「またか」と思いながらも長年
なぜならば……
「エ、エカテー先輩! さっきのはなんですか?! 」
「さっきのとは何ですか? さっきのとは? 」
「アンデリック君とケイロン君、です!!! 」
「彼らが何か? 」
「あ、あんな態度はないと思います! 先輩、受付なんですからもう少し
「なんで私が貴方に受付の何たるかを聞かなければならないのかしら」
「それはあまりに先輩が……ひぃ」
鬼の
しかし今日ばかりは、と言わんばかりに一歩足を
奥で軽食片手に受付を見ていた冒険者達は、注意に入った新人の受付嬢を見て「まずい」と思う。恐らく彼女の異常性を甘く見ているのだろう。
しかし
「それにFランク冒険者に専属をつけるなんて聞いたことがありません! 」
茶髪ショートの受付嬢はその茶色い瞳で見上げながらも強く
「ええそうね。専属を付けることなんてないわね」
「だったらなんでっ! 」
二人の言い
「だって専属にしていないもの、書類上は」
「えっ??? 」
思いもよらぬ言葉に抜けた言葉が
「どういうこと? 」と混乱していると、エカテーが
「簡単な話よ。こんなことも分からないのかしら。つまり彼らには『専属』って言った、けれども『書類上』は専属ではない。何も知らない彼らはどうすると思う? 」
「……先輩の所へ依頼を持ってきます」
「そうよ、お
それっぽい正論を言われ、ぐうの音も出ない新人。
「それに貴方、いつも大変でしょう? 多くの冒険者達の相手をしていて。なら少し私が手伝って貴方の負担を少なくするというのも非常に
「「「そうですわ」」」
いつの
新旧合わせて様々な事務員や受付達である。
「いい加減にしてください。貴方、またやったのですか? 」
「サ、サブマス?! 」
声がする方を見ると、彼女達の目には一人の女性が
銀色ショートに青い瞳の小柄な女性、冒険者ギルドサブマスターのミッシェルである。
カツカツカツとヒールの音を鳴らしながら二階の階段を降りてくる。
元々冷たい
「誰の
冷たく言い放つと彼女の後ろについてきた
「専属になっておりません」
先ほどまで大声で専属について
「そうですか、ならば聞いてみましょう。そこの貴方」
「はいぃ! 」
「こちらのエカテーさんは誰かの専属となりましたか? 」
冷たい、カルボ王国ではまず感じない寒さに
「なるほど、双方の主張が
「以前に問題があったからと言ってエカテーさんがそのようなことをしているとは限らないでしょう! 」
「
エカテーの取り
彼女達の
彼女は取り
「周囲の反応を見れば貴方が嘘をついているのは
「嘘ではございません。『書類上』は専属となっておりませんので」
チッ! と
こうなるとミッシェルは追い
「『書類上』は、ですか。ならば本人達にエカテーさんが専属になる事を伝えたのですね? 」
「……はい、しかしこれは彼らの事を思ってのこと。何も
「利益不利益問わず『専属』の
一方的に
「……その件を受け、以前より『受付嬢による自主的な専属任命』を
「それは
自身よりも
少し体を震わせながらも、きつく
「……しかし現状、なりたての冒険者の死亡率が高いのは事実です。これを
「確かになりたての冒険者の死亡率が他の――
「ならばっ! 」
「しかし、少なくともこのギルドでは必要はありません。なぜならば、他の街のギルドに比べ死亡率が極めて低くいからです。故に本ギルドにおけるそのような特別な
「くそっ!!! あのガキィィ!!! 」
ミッシェルが二階のサブマス室に入ったことを確認して、拳を机に
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