第五話 バジルの町の冒険者ギルド
ギギギ、という木の
例えるなら外は平和な日常、中は戦場といった所だろうか。
外から見たよりも中は広く、壁は
ある所には多くの木製の丸い机と椅子が置いてあり、冒険者達が
少し
流石に場違い感があり、パニックになりそうになる。
だ、大丈夫!
た、多分
そう自分に言い聞かせながら茶色い
「ケ、ケイロン! どうしたらいい?! 」
もはや
中にいるのは
こ、怖え~!
そのような中ケイロンは周りの
周囲を見渡すと村では見たことのない物凄い
だけど、何故か優しそうな人に関しては話してはいけないような気がする。
紫色ロングでおっとりとした感じの魔女風な
本能がそう教えているような気がする!
「あっちかな……」
確か冒険者ギルドでもギルドカードを発行しないといけないんだったよな。
この
な、長い……。
朝の井戸
だが、行かなくては!
そして人が入り混じる中、俺はケイロンに続き
……いくら待っても
どういうことだ?
「もしかしたらこの
「人気とかあるの? 」
「そりゃぁあるよ。
ケイロンが俺に受付嬢の状況を教えようとする。
彼の指示通りに他の
『ゼロ』である。
全く誰もそこに行っていない。
受付の人もあまり気にしていないのか、ダルそうに金属製のヤスリの
「あっちに行かないか? 」
「え? なんで? 」
「だってあっちの方が早そうだろ? 」
「確かにそうだけど、あまり気乗りしない、ね」
「俺達はギルドカードを作るだけだろ? ならあっちでも大丈夫だって」
「だけど……」
「それにこの
そう言い少し横にずれて前を
「わかった、わかった、よ」
「よし、じゃぁいこう」
早めにカードを作りたい俺はあまり気乗りしない様子のケイロンを無理やり動かし、彼を連れて隣の
その時背後から何か
★
その受付嬢の前に行くと、雰囲気が変わったような気がした。
何というか、暗い感じだ。
だが、受付嬢の姿はそれに反比例している。
三十代くらいだろうか、
初めて見た……。
これが『貴族
そして彼女を少し見上げながら俺は口を開く。
「あのー、冒険者ギルドに登録したいのですが」
これで大丈夫なはずだ。
彼女の反応を見るが、反応がない。
聞こえていないのか?
「あのー! 冒険者ギルドに登録したいのですが……」
今度は強めに言った。
しかし
こ、この……!!!
「あのー!!! 聞こえていますか!!! 冒険者ギルドに登録したいのですがぁ!!! 」
それを見ていたケイロンが「抑えて、抑えて」とか言い受付台に乗り出そうとしている俺を抑え込もうとしている。
仕方なしに、少し下がり反応を待とうとしたら青い瞳でこちらを
「聞こえてるわよ!!!
「仕事中にするなよ! それよりも登録だ! 登録!!! 」
「そのくらい待ちなさい! このガキ!!! 」
「~っ!!! 」
何たる言い
あまりの
仕事中に
その
「ケ、ケイロン。冒険者ギルドの受付嬢って
「い、いや……初めて冒険者ギルドに来たけど、こんなことは聞いたことない」
「でも実際に……」
「そうでもないみたいだよ。元の
そう言われ隣の
するとそこには普通に
先ほどの怒鳴り声が聞こえたのかこちらを見てペコリペコリと頭を下げながら次の人の
……つまりこういうことだ。
こちらに並ばないのは単にこっちの受付嬢が
それならそうと言ってくれればいいのに……。
何と冷たいんだ! これが都会の
そう
さっきまでのやり取りをなかったことにしている?!
それとも
床に突っ
「すまん……。ケイロンのいうことを聞いておくべきだった」
「い、いや。いいよ。僕もこれは想像できなかったしね」
ケイロンと話していると受付嬢はコンコンコンと指で紙を叩き何やら指示を出してきた。
最早
早くしろ! と、
そもそもこの人は本当に受付の仕事をしているのか?
そんな疑問にかられながらも記入用紙に
「汚い字! 全く親は何をしているの」
俺達の書類を受け取った受付嬢は顔をしかめてそう言った。
もう少しだ。もう少しだ。
我慢しろ、切れたらだめだ。
「はい、これで貴方達もFランク冒険者よ。注意事項は……誰かに先輩にでも聞いて」
引き出しから取り出した木製のプレートを
あれだ。
この人本当に受付嬢じゃない。
胸元にあるネームプレートには『エカテー』とあった。
恐らく違う
いつもと違う仕事をさせられていらいらしているんだ。
そうだ、きっとそうだ。
「それと今日から貴方達の『専属受付嬢』は私。基本的にFランクで専属を付けることなんて本当はないんだから。きちんと働きなさい」
青い瞳をこちらに向けそう言う。
……受付嬢だったんだ。
『専属』という言葉に本来なら特別感が出てくるんだろうけど、全然そんなことが無かった。
残ったのは「この人とまだ付き合わないといけないのか」という絶望感だけだった。
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