第十二話 町の探索 銀狼周辺 二
俺はヘレンさんや熊獣人夫婦から出てきた話で不信感を抱きながらもケイロンはフェナについて行った。最もケイロンに
意外なことにこの
各方面から声をかけられている。
その
俺達を
この周辺でおつかいすることが多いのだろう。彼女の知り合いが多い事からそれがよくわかる。そしていい関係を
獣人族、人族、エルフ族に魔族等様々な種族が入り
「なぁケイロン。正直俺町に来るのは初めてだから分からんが……その……ここまで分け
「んー、そうだね。流石にフェナさんみたいにという程じゃないけど、この国では
「ふ~ん。ならフェナは珍しい部類に入るってことか」
「そうだね。まぁそれに人種差別はクレア教の教えに
「それこそ? 」
「いや、何でもないよ。さぁフェナさんはかなり前まで行ってしまったね。行こう! 」
そう言い、誤魔化すかのような苦笑いでケイロンは更に小さくなってしまったフェナを追いかけていった。
最後の言葉が気になるが、走っていくケイロンを俺は追いかけた。
★
そして気付いたがこの辺りはあまり子供を見かけない。
親の手伝いで
小さな
手伝いの子達もフェナと知り合いのようで、彼らに胸を張り銀色の耳をピクピク動かしながらも「お仕事中!!! 」と大人ぶっていた。
いや、フェナ。君はお仕事はあまり好きではなかったんじゃないかい?
違うか……。時間に
「なんかこうしてみていると普通の女の子だな」
「いや、普通の女の子、だと思うよ」
「いやいや、
「そうかな? ん~そうかもしれない」
「普通とは一体? 」と考えだしたケイロンに「だろ? 」と彼女の顔の広さは普通じゃない事を言う。
それにフェルーナさんのアイアンクローを
「またしたわね! これだから人気者は困るわ! 」
「ハハハ、流石看板娘だね、フェナさん」
そして、再度歩き出す。
するとまたもや色々な人達に声をかけられた。
彼女が色々な人と挨拶しながら俺達も挨拶をする。
勿論
彼らに「その時はよろしく」と言われ、顔
人との
今度ギルドに行ったら確認してみよう。
「すごかったな」
「そうだね。これだけの
「まぁおかげで俺達はその
「フェナさんと来て正解だったね」
「最初は……反対だったがな。
「ハハハ、それは……まぁ仕方ないよ」
俺達は笑いながらも彼女の後ろに横について行く。
色々と声をかけられる彼女は周りを明るくしているようだ。
恐らく彼女が持つ
宿屋の看板娘、というよりかは
そう思うと
★
「そろそろ帰るわよ! 」
空を見上げると太陽が
気付かなかったがかなり時間がたっていた。
「晩御飯が待ってるわよ! さぁ、帰りましょう! 」
どこまでも
その
「なぁケイロン。市場に子供が少なかったが……手伝いはしないのか? 」
「ん? デリクは学校には通わなかったの? 」
「学校? 」
「え? 」
話がかみ合わない。
ケイロンが黒い瞳を俺に向け、見上げる。
「あれ? デリクが文字を書いたりできてたからてっきり学校に通っていたと思ったんだけど……」
「いや、俺の村は教会の司祭様が勉強とか魔法を教えてくれていたから学校? ってものに通ってないぞ? 」
「……そんな村があるの、か。すごいね、君の村の司祭様は」
「そうだぞ、女性にもモテモテだ。それで学校って何? 」
足を進めながらも
「まぁ村の司祭様がやってることと同じだよ。ただ、教えるのは教会の人じゃないけど」
「ふ~ん。町ではそれが普通なのか」
「いや、町というよりかはこのドラグ伯爵領の町、かな」
「他の領地ではやってないのか? 」
「そうだね、比較的お金に
俺達は話ながら進む。
逆に考えると今働いているフェナは学校とやらに通っていないことになる。
町では例外的存在なのかもしれない。
「なるほど、学校に行っているから
「そう言うことだと思うよ。多分今日
そうか、と
フェナが前をリードしているおかげかきた時よりも視界が広い。
それに加え
もしかしたら日が
気を付けねば。
「さぁ、ご飯に着いたわよ! 」
そうこうしているうちに、宿屋『銀狼』に着くことが出来た。
最早『宿屋』の事を『ご飯』と言ってしまっている。
お腹がすいているのだろう。
銀狼に入る前にふと足を止め、開けた視野で銀狼の更に奥の
銀狼を出る時はそのまま
宿の向こう側には家が立ち並んでいるのがよく見える。
更に顔を動かし見ると、少し
多分貴族様の家か?
「なにしてるのよ! さぁご飯よ、ご飯! 」
フェナのその言葉に押され、銀狼の方へ顔を戻し宿へ足を向けるのであった。
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