第百九十一話 一方その頃バジルでは 一
「何か最近モンスター多くねぇか? 」
「確かにバジルにしては多い気がするな」
ここはバジルの町の冒険者ギルド。
その奥にある木の机で冒険者達が情報を交換し合っている。
少しずつだが増えつつあるモンスターに違和感を感じていた。
「まぁ気にするほどではないだろ」
「倒せねぇほどじゃねぇ」
「恐らくまた奥の方で縄張り争いでもやって負けたのが出てきているだけだろうよ」
一度
高位モンスターが出現したというよりかは縄張り争いに負けたモンスターが出てきていると考える方が自然だ。
危機はすぐ
★
「レディ、何故すぐに突入しないんだい? 」
帽子型
今彼女達はバジルの町の東の林の奥に陣取っている。
もちろんのことここにいたモンスター達は一部を残し
エカテーの能力は
よってデザイアが
だがこれはデザイアにとってあまり好ましい事ではない。
この
モンスター
デザイア自身も同胞と言えるモンスターを殺すのは
しかしそもそもワイバーンで町に突入すればいいだけの話である。
わざわざ隠れるようなことをしなくても良いのではないか、とルータは聞いた。
「理由は二つよ。まず一つは冒険者達をおびき
「確かこの町の冒険者はあまり強くなかったと思うのだけど」
「はやく、せんめつ」
「確かに強くないわ。加えて言うなら
「なら余計に相手にせずにワイバーンで突入して町中でモンスターを召喚すればいいんじゃないかな? 」
「それも考えたけど、それだけじゃ面白くないわ。外から
一部モンスターを逃がした理由。それは注意を外に向けさせると同時に
そうでなくてもつい最近
モンスターの
まさかミッシェルが南の森でそれ以上の量のモンスター達をひっそりと
「気を付けるべきはそのミッシェルっていうギルド職員だけなのだね」
「ええ、そうよ。他は
「君の趣味に口は出さないけど、付き合わされる僕達の身にもなってほしいのだけれども」
うん、うん、と
しかしそれも一瞬。
エカテーは今日もまた邪悪な微笑みを浮かべながらバジルの、ギルドの建物がある方を見て
★
「パパ、今日もお客さん来ないわね」
「……ん~何がいけないんだ? 」
「こんなにサービスがいいのにね! 」
宿屋『銀狼』では誰もお客さんがいない中、娘フェナとその父で店主であるガルムが一階で話していた。
実の所サービス
フェナは机に突っ
「どうしたも……フェナ! こっちにこい! 」
「え? なにパパ」
ドゴン!!!
「え? え? モンスター? なんで? 」
「貴方! 」
「おう、フェルーナ。お客さんだぜ? 」
「このような
急に気配感知が発動したガルムは一瞬にしてフェナの所へ
同時に扉が
そこにガルムの大剣と
「ギルドの奴ら何やってんだ? 」
「町にモンスターの侵入を許すなど」
メシリ、メシリと床を踏む音を立てながら奥へ奥へ入ってくるオーガ達。
しかしそんな様子を
「ふむ。恐らく誰かが誘導したんだろうが関係ねぇ。運が悪かったなモンスター共」
「ここは冒険者の最終地点です」
「たかがオーガの群れ程度で落ちる町じゃねぇ」
「Gaaaaa!!! 」
「旋風刃! 」
「
そして二人の目の前にいたオーガ三体が一瞬にして命を落とした。
二人はフェナを安全な二階に置いて状況の確認を始める。
こうして元Aランク冒険者パーティー『狼の宝石』が再誕した。
「どうなってやがる? 」
「今日はお祭りかねぇ」
同時刻、
ゴブリンの頭を
この異常なまでの戦闘力を誇っているのは彼らだけではなかった。
「この邪神の
「おりゃ! 」
「ははは、旦那の浮気ごと切り裂いてやる! 」
ここは冒険者の最終地点であるとともにクレア教の-——ある種
つまるところこのマダム集団は様々な種族が入り混じった集団で、ただのマダムでも町に
冒険者をやればいいと周りは思うのだが「私達は冒険がしたいんじゃない。ひっそりと
ひっそりと
一方その頃貴族街では。
「ど、どうなっているのですか?! 」
「さぁ? 」
「さぁってこれは異常事態ですよ! 」
運悪くこのタイミングでバジルの町に来ていた貴族が慌てふためいていた。
ここはドラグ伯爵家の
こいつを町の中心に放り出したら世話無く闇に
「わ、私を護り……」
「ああ、そういう
「どういう……「アハハハハ! 消えされぇ」ひぃ! 」
声の方を向くとそこには
「ほら、大丈夫でしょ? 」
「……むしろあのメイドの方が怖いのですが」
「流れ
「え? うわぁ」
飛んでくる魔弾が
それを
「メイド長。持ってきました」
「ご苦労様。
受け取った大剣を肩に担ぎ、
怖いメイド長がいなくなり安心し振り向くとそこには完全武装状態のメイド達が目に入る。
メイドって一体? と考えながらもこの貴族は避難所へ向かうのであった。
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