第十六話 精肉店 三
目の前に巨大な
「クレアーテ様の
命を
その命と共にそれを創った創造神クレアーテ様に
「じゃぁ僕は見てるね」
「ああ。では始めに……骨を」
そう言いつつ自分の手を傷つけないように皮膚を切り
「次に、内臓をとって……」
と、独り
これまでの内容を見ているかケイロンの方を見ると、少し顔を青くしている。
「大丈夫か? 」
「う、うん。大丈夫」
ん~。
難しそうなら全部やるんだが……。
もしこの依頼がダメならば違う依頼で
取り出した骨や内臓はそれぞれ用意されていた大きな入れ物に入れ、次の作業を行う。
内臓を取り出したら、
最後に皮と肉の間に
「よし、できた」
出来上がりを見て
振り返るとそこには青い顔をしながらもこっちを
……これは、討伐依頼の解体は俺の仕事かな。
「あ~ケイロン、これでできたわけだが」
「う、うん。すごい、ね」
「あぁ、ありがと。で、これで大丈夫か確認したいから呼んできてもらっても大丈夫か? 」
「うん、行ってくるよ!」
そう言い解体所から早足で出ていった。
かなり肉が取れたな。
そう言い一定の大きさに切られた
店に置いてあった
一人そう考えていると、
「おう、できたようだな」
「はい、これで大丈夫でしょうか? 」
……沈黙が流れた。
な、なんだ?! この沈黙はっ!
重い……空気が重い……。
「……坊主……」
「は、はぃぃ!!! 」
すぐさま直立状態になる。
一体何を言われるんだ?!
ミスったのか?! 俺は何かやらかしたのか!!!
「満点だ!!! 」
店主がいい笑顔でそう言い、
はぁぁぁぁよかったぁぁぁ。
あまりにも沈黙が流れるから何かやらかしたのかと思った。
「しっかし、どうしてこの大きさにしたんだ? 」
「店に置いてあった肉の大きさがこれよりも少し大きめだったので、
素直に答える。
ベーコンにするならもっと小さくてもいいのだろうが、一応この大きさにしておいた。
もし薄く切るなら後からでも大丈夫だろう。
「じゃぁこの肉を保存庫に運んでおいてくれ。あっちの動物達は任せた。俺は店の方で働いているからよ」
そう言った店主はまた解体所から出ていった。
「……ケイロン、大丈夫? 」
「正直きついかも」
まぁ動物とはいえグロテスクではあるからな。
人によってはきついだろう。
「じゃぁ肉を保存庫に持って行ってくれ。俺は
「でもそれだとデリクに
「役割分担だよ、役割分担。他の依頼の時に助けてくれ」
「! 分かった! 」
そう言うとケイロンは俺が切り分けた肉をもって保存庫の方へ向かった。
「さて、俺もやりますか。
強化した腕で
★
解体と
「あら~昨日の坊や達だったのね」
「「ヘレンさん! 」」
茶色い髪に茶色い瞳、兄弟姉妹と髪の色や瞳は似通っているものの違うところとしてはやはりそのガタイのよさだろうか。
正直細マッチョな家族だったため、ゴリマッチョな人達に囲まれている今の生活は刺激的だ。
「早速来てくれたのね、嬉しいわぁ~」
ふくよかな体のわりに上品な
いや、ふくよかだから上品なのか?
「そういって
「いつも手が一杯一杯だから助かるわぁ~。あ、そうだ
「いえ、仕事中なので悪いですよ」
「アンデリック君は
笑顔で休憩を
なんて用意
しかしここまでお
ケイロンに目をやり、どうするか確認する。
するとすぐさま
「なら、決定ねぇ。あちらへ行きましょう」
こちらのやり取りを見てヘレンさんが俺達を
★
ヘレンさんが事前に用意していた水が入った
俺が知らない常識的な部分は知っているのに、こういったことを知らない。
「こっちよこっち」
ヘレンさんの言葉について行くとそこには丸い木の机に椅子が三個。
そこにはバスケットに白いカバーがかかった状態で置いてあり、木のコップが人数分ある。
「向こう側のお店の奥さんがパンを焼いてくれたの。これが
ヘレンさんがそう言いながら丸椅子に座り、俺達も
バスケットのカバーをとるとそこには丸いパンが
しかし……食べれない程……なのか?
目の前の婦人とバスケットを
ま、まぁ
「今日は早く終われそうね。今日は多かったから、覚悟していたんだけど二人が来てくれて助かったわぁ」
そう言いつつ、彼女はパンに手を伸ばす。
「そんなに忙しいのですか? 」
「ええそうよ。アンデリック君やケイロンちゃんの仕事が早いから今日は早めに終わりそうだけど、忙しい日は夜までもつれ込むこともあるわよぉ」
「
「
でもぉ、と言い少し悲しそうな顔をした。
「誰も来てくれなくて……。この店はお客さんも仕入れさんもいっぱい来てくれるから
そう言いつつ、木のコップに
自分が飲む分を
「悩んでたら二人が来たってわけ。本当にありがとうねぇ」
「お
「しかもあのスピードに解体状態の良さ。すぐに売りに出せるわぁ~。後はモンスターね……」
はぁ、と
「あのモンスターはどうしたのですか? 」
「あれはねぇ。冒険者ギルドから流れてきたものよ」
少し困った顔で、そう
腕を
「あれ? でも冒険者ギルドにも解体所、ありませんでしたか? 」
あれれ? といった顔で聞くケイロン。
俺は聞いてないから分からないが、ケイロンがそういうならあるのだろう。
しかしガルムさん達は自分達でやるって言ってなかったっけ?
「もちろんあるわよぉ。まぁ処理しきれない分を他の業者に
いざと言う時の為にねぇ、と言い水を一口。
「だけど最近は多すぎて……これ、時間をとられるばかりでお金にならないからあまりやりたくないんだけど……」
困ったものよ、と言い最後のパンを口にした。
俺達が食べる分もなくなってしまったのだが……まぁいいか。
「こういってはなんですが……調節してもらえないのですか? 」
「厳しいわぁ。それに冒険者ギルドには依頼も出してるし、ねぇ」
ケイロンの質問にそう答える。
そして
「そこでなんだけど……これからも私達の依頼を
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