第七十話 スラム街探索 三 ケイロンと言う名の女の子
目の前に映ったのは
だが少しでも女の子を守ろうとしているのだろう。震える体で女の子の前に立つ。
「お、お、お前ら! ここに何の用だ! 」
震える声で
それを
何だこの臭い。どこかで
そう思い
「僕達は君達の敵じゃないよ」
「そうだぞ。むしろ助けにやってきたと思ってくれても
「嘘だ! お前達は俺達を……俺達をっ!!! 」
男の子に
どうしたものかと俺達は顔を合わせる。
「うう……」
「アリス! 」
「カイル君、私は良いから」
「でもっ! 」
この二人は近い距離にいるようだ。
だがどうしたものか、と考えているとエルベルがある事に気が付いた。
「これ、スタミナ草の臭いじゃないか? 」
「え? あぁ……。そう言われれば」
「デリク、右の方を見て」
エルベルが
これをどこから持ってきたんだ?
「もしかしてスタミナ草で彼女を元気付けようと? 」
「アリスと呼ばれた子は病気じゃないのか? 見た感じ病気に見えるが」
「恐らく病気だと思う。顔色悪いし、何より呼吸が
耳を
少し見ると顔も
「スタミナ草は体力を回復させ傷の治りを早めるけど病気には
「オレの森でもそうだった」
「ああ、俺の村でもだな」
「多分だけど他の人の傷が治っているのを見て
「なっ! この草じゃダメなのか?! せっかく
俺達の言葉に
「あのおっさんが言ったんだ! これはこの草を
「嘘じゃないよ。
「う……」
ケイロンの
その
一瞬の
「ならっ! ならどうしたらいいんだよ! 」
「もう、私の事は……」
「そんなわけにいくか! 」
「なら僕の所に来る? 」
「「「え??? 」」」
その言葉に全員が驚く。
俺達で
流石に無理があるぞ。ケイロン?!
「デリク、ごめんね。
「ケイロン、何をいってるんだ? 」
こっちを向き少し
俺が
「本当は父上の判断を
「こっちに来るな! 」
彼の中で『ケイロン』という
そして右手を
「僕の名前はケイロン。ケイロン・ドラグ。この領地ドラグ伯爵の娘だ! ケイロン・ドラグの名において君達を
確かに、そう言った。
★
「「「りょ、りょ、りょ、領主の娘?!!! 」」」
町役場の人達が
はぁ、と
「ん? いやちょい待て! 『娘』?! 」
「そうだよ~。第一印象と一人称で『男』と間違えたままみたいだけど僕は『女』だよ~」
「え? デリクは気付いてなかったのか? 」
エルベルが不思議そうにこっちをみた。
え? まさか気付いてなかったのは俺だけ???
そして今までの行動が
「男同士だから大丈夫だよね~」とか言いながら行っていたことの数々。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!! 恥ずかしい! めっちゃ恥ずかしい!!! 」
「
「やめろぉ! やめてくれぇ! シャレにならない!!! 」
横に倒れ右に左にゴロゴロと転がり
なんてことを!!!
うぉぉぉぉぉ!!!
転がると
「ふふ、いいよ。言わなかった僕にも
俺の様子を見て
ふぅふぅふぅ、まさかこんなところに性別を隠した貴族の娘がいると思わないじゃないか……。
仕方ないんだ。そう、仕方ないんだ。
「で、どうする? 」
俺達の
「……アリスと一緒なら」
「カイル、私はいいから、こほっ! こほっ! 」
「ダメだ! アリスと一緒じゃなければ!!! 」
「了解、了解。
「ありがとう」
ケイロンが
そしてケイロンに
「よし。
「そうだね。彼らを
「ワーハハハ! 想像以上の
口を
少し
ドゴン!!! という音が外からした。
★
「何が?! 」
「
「あれは? 」
大きな音に
いや違う。骨同士が集まっている?!
「あれは……なんだ? 」
「骨同士がくっついている?! 」
「……終わったみたいだぞ」
俺達が驚きその様子を見ている間に骨同士がくっつき終わり一つのモンスターになった。
人の形をした白い骨に胸の部分に大きな
「アンデット! スケルトン……か? デカすぎないか?! 」
「これはスケルトンじゃないよ。ヒュージ・スケルトン。スケルトンの上位種だ」
「——」
バゴン!!!
「「ちょっ!!! 」」
エルベルが
いや、
ほら! ヒュージ・スケルトンも何が起こったのか分からないような
いや、感情があるのか知らないけれどもっ!
「一撃では倒れんか」
エルベルが
その大きな体を動かそうとしている。
「くそっ! エルベルのお
「分かってる! 」
俺とケイロンはそれぞれ剣をとり、
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