第百七十三話 試練の魔導書 エルベル リン・カイゼル
エルベルは気が付いたら一人森の中にいた。
「どこだ、ここは? 」
そう呟いた瞬間あの光を思い出す。六色の光を。
あれが原因だな。
しかしセレスにも困ったものだ、と自分の事を
何が起こったかは分からないが図書館から違う場所に来たようだ。
「
ここがどこかは分からないが少なくともタウの森ではないことは分かる。
このような場所を知らないからだ。恐らくは来たことのない、どこか違う場所だろうと検討を付けて歩いて行く。
今の所、人や動物の気配はないが……。
「風の精霊よ」
そう
彼女は触媒である精霊弓を用いないと精密なコントロールができない。
特に探知のような広範囲に人や物を探知することは
いつもは
精霊弓が無い状態でも精霊魔法を使うことは出来るが
「魔力も
森で育った彼女は森で
普段はハチャメチャな彼女だが
体力、魔力を
少し進むと川のような水が流れる音が聞こえてきた。
どうやら
「ん? 」
と、少し違和感を感じた。
気配。
しかも強烈な気配!
この気配は!!!
そう思い、走る。
そして彼女の前に現れたのは――
『『『いらっしゃいませ! エルベル様!!! 』』』
「精霊様ぁぁぁぁぁ!!! 」
人型の水の精霊達がエルベルを
★
自主規制。
周りには精霊様、精霊様、精霊様……。大好きな精霊様に
ああ……最高。
だけど……。どうしてだ。物足りない。いない。
『どうしたの、エルベル様』
『ちょっと元気ない』
『病気かな』
『だれだ! エルベル様をいじめる奴は! 』
「ち、違います、精霊様! 大丈夫です! 」
精霊の怒りを感じたエルベルは自分が大丈夫だということを必死になって伝えた。
『こらこら、よしなさい』
『長老! 』
一人の――少し年上な感じの——精霊が出てくると周りの精霊達はエルベルから少し引いた。
『君は、もうわかっているんじゃないのかな? 』
「……なにがですか」
『これが『現実』ではない事を』
思っていたことを
分かっている。
いつもの精霊達の反応とは全く違うから、今のこれが現実ではないことくらい分かっている。
「でもいいじゃないか! 」
『悪い、とは言ってない。だけどね、君は……君が本当に居たいのはここなのかい? 』
そう言われて
オレが居たい場所。オレを叱りながらも迎えてくれる人達。ありのままでいさせてくれる場所。
デリク、
「ふふ、君は答えがすでに出ているようだね。なら行きなさい」
少し年上の精霊がそう言うと急に光が空間に
★
リンは一人森の中で戦っていた。
「うりゃ! 」
「Gru? 」
目の前の相手に
次の獲物に取り掛かったと思うと先ほどまで戦っていた相手が遅れて、
そして目の前にいるオークを倒して、とを
「終わったですぅ」
そう言い彼女の後ろの
王の子も
しかしその顔は
「早く帰ってお兄ちゃんの温かい膝の上に収まりたいのです。しかし困りました。ここ、どこです? 」
周りを見ても木、木、木で森であった。
しかしエルベルがいた所とは違い木と木の
そしてその
誰がどう見ても
それを一人で解決するなど普通ではない。
その過ぎたる力のせいか周りからは
これはアンデリック達にはあまり見せない別の顔でもあった。
「まぁ、お兄ちゃん達は
本気を出した時にどう思われるか、セグ家に来た時は不安で仕方なかった。
しかし異常なまでに集まった武力と変態的思考をしている人達の集まりを見ていて、考えるのもばからしくなった彼女は先日その
引かれるかと思ったが逆に素材がダメになると怒られてしまった。
拍子抜けもいいところで力が抜けた彼女にセグ家というのは更に
「
腕を上に
どうやら前は出口のようで光が見える。
ストレスから解放された
それを見守る影が一つあったのだが、その者は何もせずに、そしてする必要はないと判断し、彼女を見送った。
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