第三十九話 銀狼の秘密 六 事の顛末
俺達は今『銀狼』の一階に集まっていた。
メンバーは俺とケイロン、ガルムさんとフェルーナさんそしてフェナであった。
加えて俺の周りを飛び
『ねぇねぇ、何
あんたのせいで
少し
『ねぇあんた私の事見えてるんでしょう? ちょっとこっちを見なさいよ! 』
というか
完全に小人の声を無視状態だ。
フェルーナさんが
そして事の
「この物件で宿を始め少し経ってからです。
そうフェルーナさんが言うと隣でフェナがぶるぶると震えている。
そしてその前で透けた小人がフェナの周りをぐるぐると回っていた。
「はじめは音だけでした」
「ふむ」
「それくらいなら大丈夫かなと思ったのですが、どんどんと
『いやぁどんどん面白くなって、テヘ』
「いやテヘじゃねぇよ!!! 」
小人の声にツッコミを入れると「ひぃ! 」という声が隣からした。
ケイロンがまだ震えている。
ゴーストが苦手なのか? いやしかし依頼によってはゴースト――アンデット討伐もあるから怖がってたら大変なことになりそうなのだが。
ま、まぁ今の所はいいか。話を進めよう。
「それで
「はい。後から聞いた話によると町でも有名な幽霊屋敷だったらしく」
「確かに安いとは思ったんだがな」
そこで疑おう、ガルムさん。
いやぁ予想外、みたいな顔をしてももう遅いですからね。
「アンデット退治なら何度もしてるのでどうにかなると思ったのですが」
「え? アンデットじゃないんですか? 」
「それが分からないのです。ゴースト、レイスのような『死神の
「ま、見えない相手じゃどうもならんよな。ハハハ」
『なんて
なら何なんだよ、お前は。
何か特殊能力付きのモンスターにしか見えないぞ?
「しかしアンデリックさんは……視えているのですか? 」
「視えてるし、聞こえてますね……」
『
「誰が
女性の姿をした小人があまりにも
今の俺は多分不審者そのものだろう。
不本意だが。
『そもそもここに住んでたのは私が最初よ? そこに入ってきて
「なら何なんだお前は」
しかし心なしか嬉しそうだ。
言葉に返事がもらえるのが嬉しいのだろうか。
俺が話が出来ることを知ってなのか、元々そうなのかわからないが物凄くテンションが高い。そして
この感じどこかで……。
あ、フェナか。見たことある感じだと思えば、あそこで震えているフェナの態度に似てるんだ。
『いい事! 私は――精霊よ!!! 』
……。今なんて言った?
★
全員落ち着いたことでフェルーナさんが
夜に起きたせいか、それとも動いたせいか
いや、わかっているんだ。
「フェルーナさん、ガルムさん。この……今までいたずらしてた小人なんですが」
「はい」
「おう、どうした? 」
水を一口飲み、ゆっくりと
残った水に
この事実を、いや小人の
言いかけた途中で、少し考える。
「何もったいぶってんだ? 」
「正体が分かれば討伐できるかもしれません。教えてください」
「「……」」
ガルムさんとフェルーナさんは本気で討伐するつもりのようだ。
フェナの方を見ると丸くなっていた。
そして声を聞かなくなったと思い、隣を見るとケイロンは『無』の状態であった。
恐怖を超え、また別次元へ旅立ってしまったようだ。
「では失礼して。この浮いてる小人は自分の事を精霊と言っています」
『ちょ、なによ! 本当の事よ! 疑ってんの?! 』
「「……」」
俺が小人の言葉を伝えると同時に疑っていると思った彼女が抗議をしてくる。
正直
そしてガルムさんは大剣を、フェルーナさんは
え? 何??? 俺まずいこと言った?!
威圧感が
「アンデリックさん。精霊を
「兄ちゃんよ、そいつぁいただけねぇ。会話出来ることからかなり強大なアンデットだ。それに加え精霊と
『ちょ、なにこの人達。目がマジなんですけど! それのアンデットじゃないんですけど!!! というか教えないよね? この状況で私を捨てないよね?! 』
「あっちです……」
「「せぇぇぇいやぁぁぁぁぁ!!! 」」
二人の本気度に危機感を
ま、本当であれ嘘であれ面白くなってこの宿の人達に害を与えたのは違いない。
攻撃音がする方向から『止めてよぉぉぉ』と
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