緒方隆の廻愁奇談録~続章~

しをおう

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 此処にきてどれ程の時が経ったのだろうか。


毎日勉強の日々で退屈に感じた事は無かったが、それでも思い出す時もある。


 あの高校時代の出来事を。


 麻美はやはり、天国に来られなかった。と、言うか、まだ受刑中な筈。親父やお袋は来えられたけど。あ、やっぱヒロは来なかったな。


 厳密に言えば来られなかったかもしれないって事だけど。


 此処は高等霊になる為に修行する場。所謂守護霊とか指導霊とか、そんなのになるところだ。


 俺も生前はいろいろあれこれあったから、転生に興味は薄かったので、だったら勉強して高等霊になろうかな、と。


 碌でもない俺でも、人の助けになれるのなら、生を望むよりもそっちの方がいいかも、って事で選択した。だから此処は特別な場所。親兄弟ならどうにか会えるかもだが、友人程度なら厳しい場所だ。


 だからヒロと会えなくても仕方ないって感じだ。


 ところで死者は毎日沢山いるのだろうが、高等霊になろうとか、素質がある奴はそうはいない。


 なので俺はとっても幸運って言う事になる。死んで幸運とかどうなんだ?って感じだが。


 話は逸れたが、つまり毎日沢山死んでも、此処に来られるのはそんなに居ないって事だ。今日もチラホラ来ているには来ているが、知った顔は無い。


「緒方君!!」


 な?俺を知っている奴なんか来られる筈が無いんだ。だから名前を呼ばれることもな「いいいいいいいいいいいい!!!?」


 驚いた。驚きすぎて心臓が止まるかと思った。つっても死んでいるから心臓なんて動いていないけど。


 だって俺を知っている奴が、此処に来られる筈が無いと思っていたから。


 だけど彼なら、彼ならば、あれから成長してもあのままの彼だったのなら、充分可能性があったのだ。


「国枝君じゃないか!!マジ久し振りだな!!」


 それは俺の高校時代の友人の国枝君。国枝宗近くにえだむねちか君だった。

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