緒方隆の廻愁奇談録~続章~
しをおう
000
此処にきてどれ程の時が経ったのだろうか。
毎日勉強の日々で退屈に感じた事は無かったが、それでも思い出す時もある。
あの高校時代の出来事を。
麻美はやはり、天国に来られなかった。と、言うか、まだ受刑中な筈。親父やお袋は来えられたけど。あ、やっぱヒロは来なかったな。
厳密に言えば来られなかったかもしれないって事だけど。
此処は高等霊になる為に修行する場。所謂守護霊とか指導霊とか、そんなのになるところだ。
俺も生前はいろいろあれこれあったから、転生に興味は薄かったので、だったら勉強して高等霊になろうかな、と。
碌でもない俺でも、人の助けになれるのなら、生を望むよりもそっちの方がいいかも、って事で選択した。だから此処は特別な場所。親兄弟ならどうにか会えるかもだが、友人程度なら厳しい場所だ。
だからヒロと会えなくても仕方ないって感じだ。
ところで死者は毎日沢山いるのだろうが、高等霊になろうとか、素質がある奴はそうはいない。
なので俺はとっても幸運って言う事になる。死んで幸運とかどうなんだ?って感じだが。
話は逸れたが、つまり毎日沢山死んでも、此処に来られるのはそんなに居ないって事だ。今日もチラホラ来ているには来ているが、知った顔は無い。
「緒方君!!」
な?俺を知っている奴なんか来られる筈が無いんだ。だから名前を呼ばれることもな「いいいいいいいいいいいい!!!?」
驚いた。驚きすぎて心臓が止まるかと思った。つっても死んでいるから心臓なんて動いていないけど。
だって俺を知っている奴が、此処に来られる筈が無いと思っていたから。
だけど彼なら、彼ならば、あれから成長してもあのままの彼だったのなら、充分可能性があったのだ。
「国枝君じゃないか!!マジ久し振りだな!!」
それは俺の高校時代の友人の国枝君。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます