二年の夏~008

 糞も抵抗して見せたが、俺達に及ぶ訳もなく。結果俺達の前に全員正座する事になった。

「し、信じらんない……あの数を相手に簡単に……」

 慄くミコちゃんとツレのギャル達。そんなバカ女共に厳しい視線を向ける俺。

「……何で立ってんだ?」

「……え?」

「仲間呼べとは言ったが、女子達に乱暴しろとは言っていない。あんま糞ふざけた真似してんじゃねーぞ糞女が!!」

 振りかぶる拳。ミコちゃん、ああああああああああああああああああああ!!!とか絶叫して豪快に涙を流した。

 その拳を強引に止めた河内。

「なんだ河内、なんで止める?」

「お前が本気で殴ったら、女なんか簡単にくたばるだろ。見てみろ、お前がやった奴だけ今だ覚醒してねえんだ。喧嘩慣れしている男でもこうなんだから、女なんか簡単に死ぬ」

 俺がやった奴って、未だ正座せずに地べたに気持ち良さそうに寝ている奴等か?

「おう馬鹿女共、河内が隆を押さえている間に正座しとけ。こいつが本気で暴れたら押さえるのもキツイんだ。断ったらマジでヤバいぞ」

 ヒロの援護。と言うか真実。ミコちゃん、泣きながらも毒付こうと身を乗り出した。つうか河内、また俺を生駒に預けやがった。

「やめろ大矢!こいつは本気で洒落なんねえんだよ!言う事聞け!」

 超焦ったように喋った元銀翼とかの糞。こいつはそんなに追い込まなかった筈だが、なんでそんなに怖がってんの?

「だ、だけどぎゃっ!?」

 何か言おうとしたミコちゃんだか、横にふっ飛んだ。トーゴーがビンタをかましたからだ。

「誰かが汚れ役をやらなきゃならねえようだから、仕方ねえから俺がやってやる。緒方よりは遙かにマシだぞ言っておくけどよ。じゃあお前、何すりゃいいか解ってんよな?」

 トーゴーが凄むと、頬を押さえながら、泣きながら正座した。

「おい、お前等は?」

「は?だ、だって私等関係ないし……」

 関係ないだ?お前等便乗してせせら笑っていただろうが!!こう言う糞女が一番腹立つ!!

 馬力で振り解いてぶっ飛ばそうと思ったが、先にトーゴが叫んだ。

「関係ないって事があるか!!この馬鹿女に取り巻いてんだ!!同罪だろうがよ!!」

 そう言って近くのギャルにビンタ。

「ぎゃああああ!!解ったから叩かないで!!」

 必死に顔を背けようとしたギャルの髪を引っ張って自分に向かせる。

「だったらなんで立ってんだ?緒方もそう言った筈だよな?あ?」

 ギャル達も全員泣きながら正座に移行した。

「いや、マジで助かったぜトーゴー。緒方は女にも容赦ねえみたいだからな」

 木村が安堵してトーゴーに礼を言った。

「ああ、汚れ役ってそう言う事……女子を叩くのはなんだかなって思ったけど、必要になるよね、この場合……」

 児島さんも納得の頷きだった。誰も女子なんか叩きたくない。そうじゃなくても、木村も河内も立場がある。女を殴るような真似を見せたくはないだろう。例え下の奴等が居なくても。

 生駒は俺を拘束中なので動けない。俺もビンタくらいは普通にやるが、こいつ等がやり過ぎをやたら心配するので河内に止められている状態。ヒロは以前波崎さんに女子を殴るなみたいな事を言われて動かない。

 動けるのはしがらみが無いトーゴーだけだ。よって汚れ役を引き受けてくれた。俺は兎も角、他の奴等は感謝しているだろう。勿論、それは女子達もだ。

 まあ、それは兎も角だ。

 木村が女達に視線で促す。頷いて出て来たのはやっぱり遥香だ。

「ねえ、ミコちゃん、ホントの事言われたのに、なんで怒ったの?」

「は、恥かかされたから!!大勢の前で!!」

 もう泣きながら言っていた。つうかそんな事は知ってんだよ。

「で、騒いで取り巻きさんと一緒になって私達を殴ろうとしたよね?」

「だ、だけどしなかったし!!」

「それはダーリンが居たからでしょ?」

「そ、それはそうだけど……で、でも、仲間呼べって言ったの、お前の彼氏だし!!」

 …………ああ、そうだったな。そうだったそうだった。つまりここまで大事になったのは俺のせい……?

「つまりは、ダーリンが居なかったら普通に私達を虐めようとした。これは事実でしょ?」

「そ、それは……」

 もう目が泳ぎっぱなしであった。その通りでそのつもりだったんだろう。

 此処で遥香が児島さんに何か耳打ち。遥香、ちょっと渋い顔をしたが、仕方ないと頷いた。

「じゃあ正直に言ってくれたら許してあげる。ダーリンが居なかったら?」

「……ぶっ飛ばそうと……近くにいる男呼んで懲らしめて貰おうって……」

 取り巻きと一緒に嗚咽交じりで。遥香、大きく頷く。

 これで手打ち?いや、別にとことんは必要ないだろうけど、随分甘々じゃねーの?

「じゃ、まあ、名前と住所と電話番号。要するに個人情報だね。それ頂戴、報復して来たら遠慮なく通報するために」

 顔を上げたギャル達。マジで?って感じだ。

「どうしたの?報復しないんだったら通報されないんだよ?それとも報復するつもりだった?だったらさ……」

「そ、そんなことしないし!!解ったから!!」

 全員慌てて遥香のスマホに個人情報を送った。遥香、確かに、と頷いて。

「じゃあこれでお終いねミコちゃん。だけど帰るのはちょーっとだけ待ってて」

「え?な、なんで?マジでなんもしないし?」

「そうじゃなくて。ミコちゃんのお友達の男子の面倒見て貰わないといけないから」

 首を傾げるミコちゃん。女子はこれで手打ちだが野郎共はまだ終わっちゃいないって事だな。

「じゃあ俺「お前は引っ込んでろ。俺がやる」ええええええ~……」

 お仕置きをしてやろうと名乗りを上げたが、河内によって阻まれた。

「あの野郎と顔見知りだからいいじゃねえかよ」

「じゃあせめて羽交締め解除しろよ木村」

「俺に言うな。生駒に言え」

 確かに、俺を拘束しているのは生駒だ。なので生駒に……

「おい生駒「生駒、絶対に離すなよ」なんでだよヒロ!?」

 ヒロによって拘束解除が阻まれた!!別に何もしねーよ!!自信は全く無いけども。

 俺の不満なんか関係ねーって感じで河内が勝手に進め出す。

「おい釜屋、連合から狙われて田舎に逃げたのはいい判断だがな、そこでイキっちゃ駄目だろ」

 正座の姿勢で背筋が伸びた。こいつ調子こいていなかったっけ?河内にもタナボタで頭になったとか言っていた筈だが?

「おう糞。なんで河内を怖がる?お前河内を低く見ていなかったか?」

 俯いたままダンマリであった。ムカついたのでぶっ飛ばそうかと思ったが、生駒によってそれは叶わず。

 代わりにトーゴーが横っ面を叩いた。

「ぐあ!?」

「ぐあ、じゃねえだろ。緒方と河内の質問に答えろよ、それとも此の儘くたばるか?」

「い、いや……」

 叩かれた頬を押さえながら正座をし直す。

「……河内を低く見ていたのは本当だ。的場さんの後輩、下手打った佐更木の代わりに適当に収まったと思っていたから」

「じゃあなんで河内にビビってんだ?」

「こっちにも聞こえてくんだよ。連合、もっと言えば……」

 チラッと俺の顔を見た。って、俺!?

「俺はなんもしてねーだろ!河内の事だろ今は!」

「い、いや、的場さんをぶっ倒したのも驚愕もんだが、大洋の猪原を引退に追い込んだとか、もっと言えば南海全部ぶっ倒そうと思ったとか、あの時は本気にしていなかったけど、連合全部相手取る気だったとか、同じ県出身者なら驚く事ばっかりだろ……」

「ふん。そのツレの河内も当然ビビられてるって事か?言っておくが、隆はそんなんでツレ作んねえぞ」

 ヒロの有り難い援護だった。つうか俺は単純にお前等みたいなのが嫌いなのであって、河内は寧ろ愛すべき馬鹿キャラの位置づけなのだが。

「い、いや、そうなると、低く見ていた河内も相当なモンだったんだと……よく考えたら佐更木をタイマンで完封したんだもんな……黒潮NO2で夜舎王の頭を簡単に倒したんだよなって……」

 ふーん。まあ、お前が勝手に怖がるのはどうでもいや。

「まあいい。俺を低く見ようが何だろうが。女子達に乱暴目的でこの馬鹿女に助っ人に来た事はきっちり後悔して貰うからよ」

 そう言って蹴り。糞が豪快にふっ飛んだ。

「へえ?お前もいい蹴り持ってんな?」

「まあな。俺のは的場さん直伝だからよ」

 そう言いつつも他の糞にも蹴り。当たり前の様に吹っ飛ぶ糞。

 そんな感じで蹴り捲る。暫くすると、動いている糞はいなくなった。

「俺らは遊びに此処に来た。だからこれで終わらせてやるが、リベンジ企んでんなら今度は緒方を止める気はねえぞ」

 高速で何度も頷く元銀翼。こいつ、あの時代表できたはずだから、そこそこ強かったと思うんだが、この豹変はどう言う事だ?

 ああ、的場にやられたから逃げたんだっけ。そりゃ卑屈にもなるか。別の土地で小物相手に調子に乗るのもいいが、相手が悪かったな。

「つうか止めるんじゃねーよ。今からでもやらせろ」

「あはは~。もうミコちゃん真っ青でガクブルだからさ、これ以上残虐物語は見せない方がいいよ」

 遥香の言う通り、ミコちゃんは愚か、お連れのギャル全員ガクブルだった。

 まあいいや。生駒にもう暴れねーからと言って拘束を解かせて言う。

「地元主催のミスコンの出来レースなんかぶっちゃけ俺には興味はないけど、他の土地のミスコンに出場して現実見てみれば?」

 まあまあ可愛い程度じゃ白浜のミスコンでは勝てないぞ。こっちはこの面々の他に春日さんもいるんだし。

「そ、そんな馬鹿にされて…」

「馬鹿にしたつもりはないけど。ミコちゃんもそこそこ可愛い方だとは思うしな。だけど、俺は親の力で調子に乗っている女子は本心で嫌いだし、殺したい程憎い。だから遥香の煽りに乗っかったんだ。まあ、君は小物過ぎるからそんなに怒りは沸かなかったけどな」

 朋美に比べりゃ小物も小物。向こうは殺人まで揉み消すんだからな。だからぶっちゃけ何も興味が持てない。この場合それはミコちゃん的に正解だと思うぞ。

「じゃあミコちゃん、この男ども持って帰ってちょうだい」

「え?」

 遥香に無茶振りさせて動揺している。持って帰れって!?って感じで。

「だってアンタが呼んだんだもん。当たり前っしょ?」

 楠木さんが乗っかった。呼べって言ったのは俺なんだが……

「だ、だってこの巨乳の男が呼べって言ったんだし!?」

 ほら、ミコちゃんもこう言っているし。

「と言う訳で俺が持って行こう。いいよな河内」

「お前にそんな真似出来るか。またいたぶってその辺に放置が関の山だろ」

「それで済めばいいけど、緒方がこれ以上いたぶったら死人が出るだろ。そっちの方が困る」

 生駒の弁に全員頷いた。女子達も。いや、いたぶろうとは思ってはいたけども、病院送りで押さえるつもりだぞ言っておくけど。

「まあ、緒方君云々は置いといて、嫌だったら救急車呼ぶとかさ。内密に済ませたいんなら忖度できるタクシー呼ぶとか。嫌なら私達が救急車呼んであげるけど、そうなったらもっと面白い噂が流れるんじゃない?」

 黒木さんも程よくディスっていた。

「え……?あ、う、うん……ど、どうにかするし……」

 ミコちゃんがどうにかすると。これで言質は取った。

「じゃあ戻るか。玉内の野郎は何処に行ったんだろうな」

「赤坂君と一緒なんだからベースの方じゃないか?」

 生駒が木村の言葉に合いの手を入れながら俺を引き摺った。また?さっき離したのに、また拘束するつもりかこいつは。

 つうかいっつも出先で修羅道なんだけど、その辺も俺の業なのか?

 戻ったら国枝君に聞いてみよう。と言うか児島さんが居るか。

「なぁ児島さん」

「なに?槙原さんがいきなり溜飲を下げた理由?」

 あ、そうだ。確かに児島さんが何かコショコショしたからそこで終わりになったんだな。

「う、うん。なんでそうなったんだ?」

「ヤバい事が起こりそうだったから。これ以上追い込めば緒方がもっと暴れて旅行はおシャカになりそうな感じの」

 そ、そうなの?やっぱり程々にして良かったんだな。

「向こうは市長がバックについているじゃんか?だから大袈裟にはならないと思うけど、警察沙汰になったら保身のためにこっちが悪者になる」

 そうなの?まあそうかも。朋美の親父もそんな事やっていた筈だし。尤もあの糞女の親父はミコちゃんの親父よりも悪党だから揉み消しも大掛かりな物だろうが。

「つうか児島さん、そこまで視えるのか?」

「先視のが多いみたいだからね。まあ、このメンバーじゃ三番目くらいには霊力はあるよ、多分」

「え?じゃあ一番、二番は?」

「国枝君と波崎さん」

 おお、やっぱりすげーんだなあの二人。国枝君は言うに及ばずだが、波崎さんもヒロにやったお守りのあの効果でかなり持っているのが解ったからな。

「うん?じゃあ麻美は?」

「麻美のは霊力云々じゃないよ。言っておくけど言わないからね。特に今は」

 ちらっと黒木さんと談笑中の遥香に目を向けた。遥香にはばれたくないみたいな事を麻美も言っていたからな。納得ではある。だが、俺のモヤモヤも理解して欲しい。

 ベースキャンプ地に到着。やっぱり玉内は赤坂君達と一緒に戻っていた。 

 それはいい、読んでいた事だ。気になる事は他にもあったのだから。

「宇佐美?なんでお前が此処にいる?」

 黒潮ナンバー3の宇佐美がパラソルの下でおさげちゃんとカードゲームに興じていたのだ。

 いやいや、海に来てまでカードゲーム?つうか赤坂君じゃなくおさげちゃんと?

 突っ込むところはいっぱいあるが、なんでいるのがが重要だろ、この場合。

「お、来たか宇佐美。頼んでたもんは?」

 俺の疑問を余所に河内が宇佐身に話し掛ける。

「ああ、これだ」

 地面に置いているクーラーボックスを指差す。

「おう宇佐美、来てくれたかよ」

「おう木村。頼まれた燻製器、コテージの方に運んで置いたぞ」

 木村も宇佐美が来る事を知っていたのか?つうか燻製器頼んでいたのか。あの燻製旨かったからまた食いたい。

「じゃねーんだよ。来るんだったら最初から一緒に来ればよかっただろ」

「おう緒方、いや、朝に墓参りしなくちゃいけなくなってよ。進学した姉貴が昨日の晩に帰ってくるから仕方なくな」

 な、成程、家族揃って墓参りするために朝から一緒に来れなくなったって事か。

 じゃあ、そのクーラーボックスはなんだ?と訊ねてみる。

「これか?家からの差し入れ。孝平の好物が入ってんだ」

 開けてみると大量のフランクフルト。

「俺ん家そう言うの作ってんだよ。ハムとかな。河内がガキの頃から家に来たらそればっか食っていたんだ」

 ほほう、そうなのか。木村の燻製器もその類なのかな?

「宇佐美君、久し振り、あの時はホントごめん」

 楠木さんが出てきて宇佐美の謝罪する。彼氏たる生駒と一緒に。

「もう詫びは済んだだろ。だから謝んなよ。生駒も頭上げろ。ウチの頭と同格の奴に頭下げられちゃ堪んねえし」

「じゃあ河内も一緒に頭下げりゃいい」

「なんでだよ!?」

「お前馬鹿で宇佐美に迷惑掛けまくってんだろ、その謝罪だ」

「う、そ、それを言われちゃよ……」

 ははは、と笑いを取った。これで生駒と楠木さんも一旦は頭を上げられただろう。

「そういやお前って上杉と付き合ったんだっけ?」

「あ、うん。まあ、その関係でな。宿も取って貰ったから来れたつうか」

 宿?そういや『とうどうさん』組は何処に泊まったんだ?

 丁度近くにトーゴーが居るから聞いてみよう。

「おいトーゴー、お前等は何処に泊まってんだ?」

「今更聞くのか?ペンションだよ」

 そこまで言って俺にひそっと。

「夜のコテージであの話するだろ?関係ねえ奴等は上杉が面倒を見る。俺等が泊まっているペンションに集めてな。宇佐美は関係ねえ奴部類だが、上杉の男つう事で、上杉の『お願い』を聞く事になる」

 要するに、上杉が他の人達の面倒を見る為のフォローになると。成程、赤坂君とおさげちゃんが上杉を苦手だと思っても大丈夫な訳だ。あの時の被害者がフォロー役なんだからな。

「宇佐美君、これどうぞ」

 横井さんが宇佐美にサイダーを渡した。河内のあの悔しそうな顔はなんだ?

「え?さっき赤坂にも貰ったけど……」

「赤坂のはイチゴオレでしょう?あまり好みじゃないような顔をしていたから」

 バレた、と小声で言って頭を掻く。

「なんだ?苦手なら苦手でいいじゃねーか?赤坂君だって無理に勧めたりしねーだろ?」

「い、いや、赤坂みたいな奴は俺を敬遠するからな……なんか言い難くて……」

 ああ、一般人の方々はお前等みたいなそっち系の奴には怖がって近寄りもしねーって事か。納得だ。

「だけど赤坂君とは仲良いんだろ?」

「俺からは多分としか……赤坂自身どう思っているかは……」

「え?遊んだ事ねーの?」

「いや?黒潮のアニメショップにしょっちゅう来るようになったから、結構遊んでいるとは思うが……」

 じゃあいいじゃねーかよ、赤坂君だって友達だと思っているよ。

 つーか、その赤坂君は何処に?

「赤坂君は?そういや大雅もいねーな?」

「ああ、先にコテージに行ったよ。松田が夜飯の準備するって言ったら、じゃあ手伝うって。女子も何人かな」

 ほう。バーベキューか、今から楽しみだ。特に燻製。アレ旨かったし。

「もう準備に向かったのかよ。じゃあ俺も戻る。色々やりたい事あっからな」

「あ、木村君、僕も行くよ」

 木村と国枝君は戻るらしい。

「安達、お前も赤坂と一緒に手伝った方がいいんじゃねえ?」

「あるくんの邪魔は良くないですから」

 今の一言で解った。料理できない子なんだな、うん。

「河内君、コテージにシャワーあるよね?」

 遥香の質問に頷く河内。

「じゃあ私も戻ってシャワー浴びよう。みんなはどうする?」

 これが発端となって一旦みんなコテージに移動になった。荷物大量だし。

 道中気になった事を東山に訊ねた。

「兵藤はどうしたんだ?」

「まだ戻ってねえからナンパ継続中だろ。多分」

「兵藤君も懲りないよね。何回失敗したと思ってんだろ」

 藤咲さんの弁で見切った。兵藤のナンパ成功率は異様に低いと言う事が。

 そもそもヘタレ過ぎて一人じゃ女子に声を掛けられないんだろ?成功以前の問題の様な気もするが。

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