夏休み~004

 その後は軽食を堪能して遥香の家に戻った。

 お父さんが俺のバイクを見てテンション上がりまくりで、若干引いた。居酒屋に連れていかれて過剰接待を喰らった事も引いたけど。

 そして泊まって行けと3回ほど言われたが、丁重にお断りして帰路に着いた訳だが…

「なんでお前が居るんだよ?」

 家に帰ったらヒロが部屋で寛いで居たので訊ねた。

「お前等が俺を仲間外れにしようと、画策しているのを知ったからだ」

 お袋が用意したであろう、アイスコーヒーを置いておっかない目で睨まれる。

「仲間外れって、何だよ?」

 意味が解らん。俺がお前にそんな真似をすると思うのか?

 良く解らんが、怒っている事は事実なので、その対面に座る。ちゃんと話ししようって事だ。

「お前、国枝と木村と三人で海に行くっつう話しただろ?」

「え?よく解ったな?まだ誰にも言っていない筈なんだが…」

 木村が国枝君を誘ったか?その時に話したか?

「俺も行く」

 物凄い物調面で言いやがった。いや、別にいいんだけどだ。

「どうやって行くつもりだ?言っておくが、俺は二人乗りは無理だぞ?おっかねーんだから」

「あん?現地集合でいいだろが」

 いや、お前がいいのならいいんだが。つか、そうだな。その前に話しておいた方がいいか。

「ちょっと待って」

 スマホを取り出して国枝君にコール。了承したので、今度は木村にコール。こっちも了承した。

「おいヒロ、出るぞ」

 起き上がった俺に訝しげな瞳をぶつける。

「行くって、何処にだよ?」

「あのファミレスだ」

「そりゃ…間違いなく行くな」

 当然のように立ったヒロ。その前に聞いておこうか。

「波崎さんはシフトに入ってねーのか?」

「波崎はもう終わって帰ったよ。今何時だと思ってんだ?」

 10時を過ぎたか。晩御飯を御馳走になったんだから、そうなるか。

「あ、言っておくが、歩きかチャリだぞ。二人乗りはおっかないから」

「ホントヘタレだなお前」

 お前に怪我させねー様に気を遣ってんだろうが!!今日遥香を後ろに乗せて免疫が付いたとは言え、こえーもんはこえーんだよ!!

 ともあれ、急ごう。国枝君と木村はバイクで出る筈だから、俺よりも先に着くだろうし。

 到着して入店すると、案の定木村と国枝君が先に来てジューズを飲んでいた。

「あ、緒方君、遅かったね。バイクで来なかったんだ?」

「二人乗りはまだおっかないからな」

 言って国枝君の正面に座る。

「大沢か。こいつなら事故っても、別に問題ねえだろ」

「ふざけんなよ。俺が事故ったら、波崎がどれだけ悲しむと思ってんだ」

 言いながら木村の正面に座るヒロ。そしてドリンクバーとポテトを頼んだ。

「お前、ポテト頼んだのか?飯食ってねえのか?」

「食ったに決まってんだろ。だけどなんか寂しいじゃんよ」

 口寂しいってヤツだな。何となく解るが、お前、練習生とはいえボクサーだろ。ウェイト管理はいいのかよ?

 俺もドリンクバーを頼んだので、飲み物を持ってくる。

 で、一応全員のドリンクがテーブルに並んだところで、本題に入った。

「実は今日大洋に行ったんだけど………」

 春日さんのあの話が噂になっていると報告した。出所は引っ越してきたおばちゃんまで掴んだが、春日さんが白浜に住んでいるのまで漏れていると。

 流石に神妙な顔になったのは国枝君。だが、口を開いたのはヒロだった。

「お前…槙原と二ケツしたのに、俺を拒んだとか…」

「そっちかよ!!遥香とだって本気で嫌々だったんだぞ、言っておくけれど!!」

 全く別ベクトルの返答が来たので突っ込んでしまった。

 こいつは本当に平和だなぁ、と、羨ましくも思った。

「大洋か…参ったな、大洋には知り合いがいねえしな…」

 木村は早速動こうとしてくれたようだが、生憎と伝手がない。困っているようだった。

「……その話は春日さんには…」

「言った方がいいだろ。事前に知っていれば、心構えが違うから対処しやすいってもんだ」

 木村も遥香と同じ意見か。

「だけど彼女は傷付くんじゃ…」

「なんの為のお前だよ?その為の彼氏だろうが?お前が守らねえでどうするよ?大丈夫だ、緒方もいるし大沢もいる、勿論俺もいる。仲間がこんなに居るんだ。お前がキツイと思った時は素直に俺達に頼りゃいい」

 この辺は俺の意見と同じだ。やっぱこいつ、かっこいいよなあ…

「大洋に知り合いがいるから、俺がどうにかすっか」

 ヒロが椅子に背中を預けながら言った。だけどこいつ、大洋に知り合いが居たっけ?

「へえ?お前も案外顔が広いんだな?」

 木村が感心すると、ドヤ顔で答えた。

「ああ、波崎の姉ちゃんが大洋だからな」

 波崎さんに頼るつもりかよ!!しかもお姉さんって!!

「あのなヒロ、大洋は進学校だ。波崎さんのお姉さんも毎朝早起きして登校してんだ。巻き込んでしまったら迷惑を掛ける事になるだろ」

「そうか。そりゃそうだな。悪いが、俺はなんとかできない」

 気持ちいい程の手のひら返しだった。こいつ殆ど考えないで喋ってんのな。

 行き当たりばったり過ぎるだろ、色々とよー。

 だけど大洋方面に知り合いか…そんなモン、俺にも居ない………!!

「……居た…大洋方面の知り合いが……」

 一斉に俺を見る。だけどあいつはまだ…

「緒方君、今は少しでも情報が欲しいんだ。その人に何とか頼めないかい?」

 国枝君のお願いは聞いてあげたいけれど…

「…頼めば話くらいは聞いてくれると思うけど…まだみそぎが終わっていないからな…今頼むのは…」

「禊?そいつって何かやったのか?」

 ヒロの質問に首を振って否定。

「そいつはやっていない。守っていただけだ」

 その言葉にピンと来たのは木村。

「生駒か?生駒志郎。東工の?」

「うん。大洋方面から越してきたってのを聞いた記憶がある」

「そうか、生駒に頼るって事は、楠木の件もまだ蹴りが付いていないから…」

 河内も面白くないだろう。的場もいい気分じゃないと思う。

「じゃあ簡単じゃねえか。楠木に侘び入れさせに黒潮に行けばいいんだよ。そしたら河内も納得すんだろ」

 頼んだフライドポテトを食いながら、やっぱりお気軽に言うヒロだった。

「薬を抜いている最中だろうからな。今は動きたくても動けないだろうな」

 それも聞かなきゃ解らないけれど。それを俺が訊ねるのもどうかと思うし。

「実際動くかどうかは別として、話くらいは聞いて貰えないかい?」

 悲痛な程のお願い。表情がそれを物語っている。

「…聞くだけ聞いてみる。ちょっと待って」

 取り敢えず電話で聞いてみるか。実はあれ以来だから緊張していたりする。

 スマホを取り出してコールする事数秒。『はい』と応答があった。

「久し振り…って訳じゃねーけど、あれ以来だな」

『ああ、そうだな。美咲もだいぶ良くなってきた。8月末には黒潮に詫びに行ける。美咲も同意してくれたしな。お前のおかげだ』

 いや、それはちょっと違うけど。遥香を拉致した佐伯と愉快な仲間達をぶち砕いただけなんだから。

「ん?ちょっとうるさいな?もしかして外か?」

『ああ、今西白浜に来ている。美咲の様子を見にこっちに来たんだ』

 西白浜?そう言えば、楠木さんの家は西白浜のマンションだった。

 生駒の家に隠れていた筈だが、自分の家に帰ったのか。じゃあ、ダメで元々だ。

「…悪いけど、駅近くのコスプレファミレスに来てくれねーか?ちょっと込み入った話があるんだよ」

『コスプレファミレス?いいけれど、美咲はまだ……』

「そっちの話しじゃない。頼みがあるんだ。勿論断っても構わない。だから話だけでも聞いてくれねーか?」

『…そうか、解った。直ぐに着くから待っててくれ』

 そう言って電話を終えた。国枝君は安堵したようだけど、まだ解らない。断られても仕方がないし、今は楠木さんの方が気がかりだろうしな。

 少しして生駒が到着。俺の姿を発見して駆け寄って来た。

「待ったか緒方…」

 俺の他に人がいたので面食らった感じだった。そういや友達を連れているって言っていなかったな。

「まあ座れよ。紹介しよう。このツンツン頭がヒロ。俺の中学からの親友だ」

 微かに辞儀をするヒロと生駒。ヒロの方はそうでもないが、生駒の方は距離感を掴みかねている感じだ。不良か否か。まあ、こんな髪型だし。

「木村の事は知っているよな?あ、顔を合わせるは初めてだったか?」

「ああ、東工の佐伯さんの仲間をみんな追いやったって」

「追いやったとは人聞きがワリィな。勝手に逃げて出て行っただけだ。俺は別に白浜から出て行けなんて言ってねえよ」

 苦笑いでそう応えた。生駒もその事には思う所が無いようで平然としているが。こいつも糞が嫌いだし。

「で、この人が国枝君。白浜の同級生で親友だ」

「宜しく生駒君。悪いね、無理を言って来て貰って…」

「……話ってのは…アンタの頼み事か?」

 ここで俺の隣に腰を下ろした生駒。国枝君は見た目が全く糞じゃないから警戒に値しないらしい。

 じゃあ、と話を切り出す。俺が呼んだんだから、俺から話して然るべきだ。

「………大洋でそんな噂が出ているから、噂の出所に協力しろか…」

「そうだ。俺達は大洋に伝手が全く無い。だけどお前って向こうから越してきたんだろ?」

 頷く。

「昔馴染みから話を聞く程度の事は出来るけど…犯人が解ったとして、どうする?」

 どうする?と俺達は国枝君を見た。俺なら問答無用でぶち砕くが、国枝君のキャラはそうじゃないし。

「……僕はやめさせたい。と言っても、広がったものを収拾する事は出来ないけど、せめてどういうつもりか聞いてみたい」

「やめさせたいって、どうやって?」

 生駒の質問だ。こいつも知っているんだろう。悪意を持って流している奴はやめる事は無いと。

「どうやってって…話し合いとか…」

「その場では頷くかもしんねえが、直ぐにまたやるぜ、その手の類の奴等は」

 その手の類の奴等の頭に言われた。説得力がパネエ。

「…じゃあ、大沢君ならどうする?」

「動きたくなくなるようにぶっ飛ばす」

 俺と全く同じ答えがヒロの口から出た。国枝君が頭を抱えた。その回答を望んで相談した訳じゃないだろうに。

「俺も…えっと、大沢だっけ?と同意見だ。えっと、木村?が言った通りだ。約束しても簡単に破る人種だ」

「そんなの話してみなきゃ解らないじゃないか?」

「解るよ。悪意でばら撒いているんなら尚更な」

 俺と全く同じ意見が生駒から出た。これには納得したようで、国枝君も反論しない。

「緒方君は……」

「死ぬ直前までぶち砕く」

「だよね。君はそう言うと思ったよ」

 俺の答えが解っているようで、呆れも見せなかった。少し寂しいじゃんか。

「そう言えばお前、大洋のどこらへんなの?」

 外れの方なら噂を流した馬鹿に辿り着けない可能性がある。生駒もそんなに友達が多い方じゃなさそうだし。

「えっと…南大洋の方だよ。言っても解らないか…」

 困ったように頭を掻く生駒。うん。土地勘が全くだから解らん。

「南大洋?海沿いか?」

 木村は知っているようで、そしてその通りのようで、生駒が頷く。

「……緒方、海に走りに行くっつたよな?南大洋にしねえか?」

「つっても生駒の昔馴染みが知っているかも怪しいから、行っても意味があるかどうかは…」

「それでもいい。生駒の知り合いが知らねえっつうなら、まだそんなに流れてねえって事だろ。山郷の連中がどうやって知ったかに集中できる」

 それの確認にわざわざ行くのか?生駒の連絡待ちでもいいだろうに?

「……行くんなら、三日後にしてくれないか?昔馴染みに連絡して会って貰うようにするから。俺もその日はバイト休みだから付き合える。俺もいた方がスムーズに話が進むだろ」

 これには木村も驚いた様子だ。俺もそうだ。

 まさか生駒がそこまで付き合ってくれるとは思っても見なかった。

「そうか、そりゃ心強い。だけどな、『走りに行く』んだぜ?お前バイク持ってんのか?」

 免許もバイクも持っていないヒロが訊ねた。いや、その通りなんだけど、お前が言いうのは見当違いなんじゃ…

「免許はつい最近取った。誕生日は6月だけどな。バイクも中古だけど買ったよ」

 項垂れたヒロ。こいつ、仲間を探していたのかよ……

「え?でも東工って、免許取っちゃ駄目なんじゃ?」

 対馬がそう言っていた筈だが…こいつも隠れて免許取ったクチか?

「東工は確かに免許は取っちゃいけないけど、俺は特例だから。親元を離れて一人暮らしで、バイトしなきゃならないから免許が必要だって頼んでさ」

 訳ありだから許可したって事だな。納得だ。

「そんなに沢山アルバイトしているのかい?免許が必要なくらい?」

「ああ。ラーメン屋がメインで、引っ越しにヘルプで呼ばれたり、交通誘導員もやっているよ。何処の現場に配属されるかで帰宅時間が変わるから、交通手段が必要だったんだ」

「へえ?お前単車も持ってんのか?何に乗っているんだ?」

「ホンダのシャドウ400だ。20万以内のバイクを探していたんだけど、これしか無かったから買った」

「ホンダ!!僕もホンダだよ!!いいよねホンダ!!」

「え?う、うん…20万以内だったら、なんでも良かったんだが…うん…」

 国枝君と生駒の温度差が激しかった。俺もそんな感じだったから、生駒の気持ちが解る。

 それから少し話をして解散した。

 三日後に南大洋に行く約束はした。生駒の昔馴染みが情報を持っているのかどうかは解らないが、アポイントは取ってくれる、同行もしてくれる。心強い事この上ない。

「多分だが、碌な情報は無いだろうな」

 ヒロが独り言のように呟く。

「なんでそう思う?」

 俺も実の所、そうじゃないかとは思う。多分だが、どこぞのネットで広がったのを見た程度の情報しか入らない。

「勘」

 たった一言で片付けられた。こいつ清々しい程考えてねーよな。

「だけど、木村の狙いは、多分大洋に知り合いを作る事だ。そこから広げて情報を拾うつもりだろ」

 南大洋に行くって意味、それが含まれていたのか。しかし、ヒロはよく見切ったな?

「生駒ってのが信用できるかどうかなんて、ぶっちゃけ現時点では解んねえが、木村の事は信用しているからな。あいつが無駄な事をする為にわざわざ出向かねえって」

「…そうか。言われてみれば、確かにな…」

 木村はああ見えてキレ者だからな。ヒロの考えの通りかも。

「で、噂を流したバカが見つかったとして、お前どうする?」

 ヒロが含みのある笑顔を浮かべて聞いて来た。

「…荒事は国枝君には向かないだろ」

「つう事はやっちまうって事だよな?木村もそこを考えていると思うぜ」

 …情報収集は向こうの戦力も調べるって事か…組織でやっているかもしれないし。それこそ的場なら大洋にも伝手があって、戦力もあるんだろうな。ちょっと羨ましいかもしれない。

「槙原も早速調べ捲ってんだろうな。あいつの行動力には恐れ入るぜ」

 溜息交じりの言葉。また無茶をしなければいいがって事だ。

 もっとも、ヒロ的には、遥香が無茶をやって俺がブチ切れる方を心配しているんだろうけど。洒落にならなくなるし。

「あの生駒って奴、強かったんだろ?」

 唐突に話題を変えられて戸惑うも、頷く。

「木村や河内レベルだったよ。またやるとなれば、どう転ぶか解らないな」

「つう事は俺もヤベェって事か…そんな奴がまだ白浜に居たのかよ」

 驚いた。ヒロが負けを意識しているなんて。

 繰り返しの時、木村とやりたくないみたいな事を聞いたけど、今の時点でもそう思っているのが驚きだった。

「なぁヒロ、お前、噂を流した奴ってどんな奴だと思う?」

 俺はこの状況に近い状況を知っている。だから確認って訳じゃないが、聞いてみた。

「春日ちゃんの実家のババァは学校までは知らなかった。だけど噂が流れ出したのはババァが触れ回ってから。白浜に大洋、つうか内湾に知り合いがいる奴だろうとは思うが」

 俺の見解と違ってホッとした。だけどヒロの言う通り。

 常識的に言ってそうなんだろう。

「ん?という事は白浜の生徒を調べた方が早いか?」

「それは槙原がやってんだろ。多分」

 そうか。それもそうだな。遥香ならその考えに直ぐ辿り着くか。

 翌日の夜、遥香から電話があった。

『あ、隆君?春日ちゃんから聞いたんだけど、あの事国枝君に言ったの?』

「言う事にしたじゃねーか?心構え云々って言う理由で」

 だから今更聞かれても困るんだが。

『うん、それはいいのよ。春日ちゃんも別にショックじゃないような事を言っていたしね』

 そっちの方が意外だな?少しも動揺しなかったのか?

『今は友達が、それも親友が沢山いるから、何も怖くないって』

 それは嬉しい限りだな…俺がやって来た事は無駄じゃ無かったって事だから。

『だけど、国枝君の方が気にし過ぎてねぇ………』

「ん?どう言う事?」

『なに、って言う事じゃないけど、気を遣い過ぎになっているとか?』

 あー、春日さんの方が逆に申し訳なくなったって事な。国枝君は修羅場なんかになった事が無いだろうから、どう対処していいか解んなかったんだろうな。

 俺も悩むと思うけれど。つうか確実に悩むだろうけど。

『それで春日ちゃんの方も気にしてねぇ…』

「つまり、俺に何とかして欲しいと?」

『うん。国枝君が一番信頼しているのが隆君だから』

 俺?それは嬉しい限りだが、別に何もやってねーんだが……

『そんな訳でさ、どうにかなんない?』

「どうにかつうか、国枝君が悩んでいるなら、もちろんやるよ」

 どうすりゃいいか見当もつかないけど、やるさ。

『うん。噂の出所の方は私がどうにかするからさ。今は内湾と白浜に繋がりがある生徒を洗っている最中なんだけど、ちょっと時間がかかるんだよね。夏休み中だし、学校で活動できないからさ』

 ヒロが言った通りか。それにしても、やっぱすぐに動いたんだなぁ…

「おう。俺の方もなんとかするから」

『何とかするって?』

 ……明後日、南大洋に行く事を言った方がいいのか?

 しかし、下手に誤魔化したら、発覚後に俺は死んでしまうだろう。死因は心労だ。

 なので明後日南大洋に行く事を正直に告げた。

『生駒君の昔馴染みか…多分徒労に終わるだろうけど…何もしないよりはマシかな?』

 遥香も賛成…って訳じゃあないけれど、止めもしなかった。着いてくるとも言わなかった。

 これで心置きなく南大洋に行けるな。やっぱ俺には隠事は無理だ。証拠に今の気持ちが清々しいし。

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