19章 凍土へ(前編)  01

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名前:ケイイチロウ クスノキ

種族:人間 男

年齢:26歳

職業:ハンター 3段

レベル:238(41up)


スキル:

格闘Lv.67 大剣術Lv.66 長剣術Lv.60

斧術Lv.50 短剣術Lv.42 弓術Lv.30

投擲Lv.31

九大属性魔法(火Lv.63 水Lv.62

氷Lv.48 風Lv.67 地Lv.72 金Lv.80

 雷Lv.56 光Lv.54 闇Lv.29)

時空間魔法Lv.67 生命魔法Lv.59 

神聖魔法Lv.56 付与魔法Lv.60 

九属性同時発動Lv.35 算術Lv.6

超能力Lv.89 魔力操作Lv.77 魔力圧縮Lv.68

魔力回復Lv.68 魔力譲渡Lv.62

体力注入Lv.16(new)

毒耐性Lv.23 眩惑耐性Lv.30 炎耐性Lv.38

風耐性Lv.16 地耐性Lv.20

水耐性Lv.18 闇耐性Lv.19

衝撃耐性Lv.54 魅了耐性Lv.16

幻覚看破Lv.9 朧霞Lv.13

多言語理解 解析Lv.2 気配察知Lv.51

縮地Lv.56 暗視Lv.40 隠密Lv.43 

俊足Lv.58 剛力Lv.70 剛体Lv.62 

魔力視Lv.46 罠察知Lv.30 不動Lv.66 

狙撃Lv.73 錬金Lv.66 並列処理Lv.78

瞬発力上昇Lv.62 持久力上昇Lv.63

反射神経上昇Lv.43

〇〇〇〇生成Lv.23  人間向け〇〇〇〇生成Lv.6  


称号:

天賦の才 異界の魂 ワイバーン殺し

ヒュドラ殺し ガルム殺し 

ドラゴンゾンビ殺し 悪神の眷属殺し 

闇の騎士殺し 邪龍の子殺し 邪龍殺し(new)

四天王殺し 魔王の影殺し

奈落の獣堕とし

聖弓の守護者殺し

レジェンダリーオーガ殺し

キマイラ殺し サイクロプス殺し 

オリハルコンゴーレム殺し 

ガーディアンゴーレム殺し

ソードゴーレム殺し

ロイヤルガードゴーレム殺し

エルフ秘術の使い手 

エルフの護り手 錬金術師

王家の護人

オークスロウター オーガスロウター

ゴーレムクラッシャー 

エクソシスト ジェノサイド 

ドラゴンスレイヤー

アビスの飼い主  トリガーハッピー 

エレメンタルマスター シャープシューター

人間重機 光を導く者 喜びを与える者(new)


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女王陛下いまするラングラン・サヴォイア城。


純白の大理石を稀代の名工が彫り上げたかのようなその宮殿に、俺は再び足を踏み入れていた。


「久しい、という程でもないか。息災どころか大手柄を上げたようだな。女王としてまずは感謝しよう」


俺が執務室に入るや否や女王陛下は椅子から立ち上がり、俺のもとに歩み寄ってきた。


俺が膝を折ると、連れのラトラ、ネイナルさんも慌ててそれに合わせる。


「女王陛下におかれましてはご機嫌麗し……んぅ!?」


「そのような挨拶は良い。余とクスノキ卿の仲ではないか、なあ?」


リュナシリアン女王陛下……見た目は金髪碧眼の深窓の令嬢……は、両手で俺の頬をむにゅっと挟むとそう微笑みかけてきた。


微笑んでいる割には目が笑っていないのは、女王と言う立場ゆえだろうか。


「ふぁい、わかりゅまひた」


こんな砕けた仲だった記憶はないのだが、女王陛下もまだ少女の身の上であるし、たまには自分を崩したいのかもしれないな。


まあ心を許してもらえているというのなら、警戒されるよりはるかにありがたい。


堅苦しい礼儀より実務的な話を優先せよという意味もあるのだろうが。


俺の返事に満足したのか、女王陛下はラトラの方へ顔を向けた。


「うむ、ラトラも息災そうで何よりだ。修行は進んでいるようだな?」


「はっ、はい。ご主じ……クスノキ様のおかげでかなり強くなれたと思います。まだ自信はありませんが、出番ということなら頑張ります!」


「ふふ、それはちと先走りすぎだぞ。その話はこれからのものであるゆえな」


「あっ、申し訳ありませんっ」


「よいよい、気にするな」


慌てるラトラを落ち着かせつつ、女王陛下は次にネイナルさんの前に進み出た。


「貴殿がネイナル・ニルア殿だな。余はリュナシリアン・サヴォイア。この国の女王ということになっている。この度は『邪龍』の討伐、大変な手柄であった。この国を代表して礼を言わせてもらおう」


「は……はっ、ありがとうございます。陛下より託された『聖弓』と、クスノキ様のご助力により大役を果たすことができ、大変嬉しく思っております」


さすがにおっとり系エルフのネイナルさんも、女王陛下の前だと緊張するようだ。こういうのはなんだか少しホッとするな。


「うむ。さて、まずは席につくがいい。色々と話し合わねばならぬことがあるのでな」


女王陛下のお言葉で、執務室備え付けの超豪華テーブルセットに着席する。


メンバーは女王陛下と側近のヘンドリクセン老、俺とラトラとネイナルさんの5人である。


「ヘンドリクセン卿、議題を一つづつ提示してくれ。話が早そうなものから頼む」


陛下が目配せすると、ヘンドリクセン老が「ははっ」と一礼して司会を務める。


「まずはこの度の『邪龍』討伐の報告と褒賞の検討ですな。報告はすでに公爵閣下から上がってきてはおりますが、クスノキ卿から今一度陛下にお願いいたします」


「わかりました。まず『聖弓の使い手』の捜索になりますが――」


俺はあったことを公爵にしたのと同じように報告する。


気になったのは、報告の最中、女王陛下の目が年相応に無邪気なキラキラしたものに変わっていたことだ。


もしやこの報告をおとぎ話の英雄譚のように聞いているのではないか。そう思わせる彼女の態度であった。


「――以上になります」


「陛下、いかがですかな?」


「ん?ああ、事前の報告にあった通りだな。ドロップアイテムもすでに確認していたな?」


「は。12等級の魔結晶とそれ以外のドロップアイテムも間違いないと確認済みでございます」


「うむ。では『聖弓の使い手』ネイナル・ニルアが、クスノキ卿の助力を得て『邪龍』を討伐したと、余の名のもとに正式に認めよう」


「ありがとうございます」


俺とネイナルさんが礼をする。ラトラが慌てて合わせて頭をさげるのが微笑ましい。


「その功績に対しては無論褒賞を与えることになるのだが、そこで卿らには一つ相談がある。今回の功績に対する褒賞は、表立ってはいくばくかの褒賞金を出すのみにとどめたい。理由は……分かるな?」


「私やコーネリアス公爵閣下への風当たりを抑えるため、でしょうか?」


「うむ。前回の『魔王の影』撃退と今回の『邪龍』討伐、この両方にクスノキ卿が関わっているとなると、卿を目ざわりと感じる者も出てこよう。どこぞの侯爵もそうだが、それ以外にもいない訳ではない」


「どこぞの侯爵」とはもちろんトリスタン侯爵のことだろうが、やはり他にもいるのか……。出る杭は打たれる、はどこの世界も変わらないようだ。


「当然見えぬところで正当な褒賞も出す。それでどうだろうか?」


女王陛下がそこで言葉を一旦止めた。


ネイナルさんの方を見ると「ケイイチロウさんのお考えに従いますわ」とニッコリ笑った。


そのやり取りを見て女王陛下の目つきが一瞬鋭くなった気がするのだが……交渉中の態度としてはむしろ当然か。


「陛下の御心のままに。私としても異存はございません」


「助かる。褒賞の内容は後程伝えるが、希望があればヘンドリクセン卿に伝えよ。さて次の議題は何だ?」


「次は魔王軍の動きについて、クスノキ卿から報告があるとのことで、そちらになりますな」


ヘンドリクセン卿が目配せをしてきたので、バルバネラから得た情報を報告する。


報告が終わると、女王陛下は腕を組んだ。


「なるほど、動きが鈍いとは思っていたが、モンスター召喚に必要な魔素が集まるまで動けなかったわけか。しかし凍土の民も派閥間での対立があるとはな。その『隠棲いんせい派』とやらは、人質さえ解放できれば味方とまではいかずとも中立となってはくれるかもしれんな」


「そう思われます。無駄に血を流すことは避けられるかと」


「そのためには魔王城に乗り込んで人質を解放する必要があるが、それはクスノキ卿ならば可能なのだろう?」


「魔王城までたどり着ければ可能でしょう」


「ふむ……。ところでそのバルバネラという四天王はどこまで信用できるのだ? 何を根拠に貴殿は彼女を信用するようになった?」


この質問は当然であろう。バルバネラに関しては情報以前に問題となるのはそこである。


しかし俺が彼女を信用する理由は、はっきり言えばキラキラキャラだからってだけなんだよな。


だけどそれをそのまま言ったら女王陛下に首を絞められそうだ。なにしろ今もとがめるような目で俺を見ているのである。


「こればかりは私のスキルによるもの、とお考えいただくしかありません。彼女とそこまで親しいわけではありませんし、密約を結んでいるわけでもありませんので」


「ほう? バルバネラとやらを篭絡ろうらくしたわけではないのだな?」


「は? あ、いえ、そのような事実は一切ございません」


いきなりとんでもないことを真顔で言われて無礼な返事をしてしまった。


俺が慌てたのが面白かったのか、女王陛下は幾分満足そうな顔をした。


「貴殿のことだからそのようなスキルがあってもおかしくはないか。まあよい、どちらにしろ魔王軍を迎え撃つ用意は以前より整っている。後は勇者パーティがどのタイミングで動くかというだけの話。貴殿としてはどう動くのがいいと考える?」


「可能ならば魔王軍が動く前に先行して魔王城に潜入するべきかと考えます。少人数ならば例えば山を越えて敵地に侵入することなども可能ですので」


素人が口を出すべきではない案件な気もするが、正直俺のインチキ能力をもってすれば人跡未踏の領域を強行突破することも容易である。


前世でも踏破不能な山岳地帯を抜けて奇襲という策はいくつか例があるが、俺なら脱落者を出さずに実行可能だろう。


「ヘンドリクセン卿、勇者パーティの単独魔王城突入は策としては考えていたな?」


「そうですな。ただし魔王軍との戦端が開かれた後で機を見てという予定でしたので、先行して突入となると危険度が増しますが」


「言うまでもないことだな。だが人質が解放され魔王が討たれれば魔王軍がそのまま瓦解がかいすることもあろう。他の『厄災』も控えている以上、国軍の損害はできるだけ減らしたい」


そこで女王陛下は俺を正面から見据えた。


「普通なら死にに行けと言っているような作戦だが、貴殿にはできるという確信があるのだな?」


「はい、私と勇者パーティのメンバーなら十分に勝算があります。もとより魔王城へは単独突入になるだろうと考えていましたので、作戦としては驚くものでもありません」


ゲーム的に考えれば、勇者パーティが軍勢とともに魔王城に乗り込むなんてあり得ない話だからな。どうせ突入するなら軍同士がぶつかる前にやるべきだ。


俺が多少の誇張を加えて断言すると、女王陛下はふぅと息を吐いた。


「分かった。ラトラを無視して話を進めてしまったが、ラトラはどうだ?自分にはまだ早いと思うなら言うといい」


「はいっ、わたしは大丈夫です。クスノキ様と一緒なら魔王もきっと倒せると思いますっ」


ラトラの性格を考えれば、ここで断るという選択肢はないだろう。


正直まだ実力は十分ではないが、そこはもう俺が遠慮なく力を振るうしかない。止めだけ刺してもらえば魔王は倒せるはずだ。


「分かった。では女王として勇者パーティに命を下す。魔王城に突入し、凍土の民の人質を解放しつつ、魔王を討て。そして必ず生還せよ」


「はっ」


「ヘンドリクセン卿、あれを」


「は」


命じられてヘンドリクセン老がテーブルの上に置いたのは、青黒い鍵と一振りの剣。


鍵は『魔王の影』討伐時にドロップしたアイテムで、見ての通り魔王城の鍵だろう。


剣はいわゆる長剣だが、精緻せいちな飾りのついた相当な業物わざものだ。


というかこれはどう見ても――


「これが王家に伝わる勇者の剣『聖剣ロトス』だ。ラトラよ、これをもて魔王の首を取れ。頼んだぞ」


「は、はいっ!」


ああそりゃそうか。王様はわずかな支度金だけ渡して、勇者の剣は魔王城の宝箱の中とか、さすがにそれはないよな。


どちらにしろこれで魔王討伐の『フラグ』は立ったと見るべきだろう。


あとはインチキにものを言わせて『厄災』を払うのみだ。


『星の管理者』には悪いが、犠牲は最小限にとどめさせてもらおう。

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