3章 都市騎士団 05
それから2日間は、ネイミリアと共に逢魔の森に入ってハンターとしての活動をした。
魔法の指導も並行して行ったが、雷魔法は習得には至らなかった。
光に比べて難易度が高いのは、イメージが難しいからなのか、魔力が足りないからなのか。
俺は例の終末フラグのせいでどうにも落ち着かず、とりあえずインチキ能力であってもレベルやスキルはできるだけ上げておこうと思い直し、とにかくモンスターを倒しまくった。
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名前:ケイイチロウ クスノキ
種族:人間 男
年齢:26歳
職業:ハンター 4級
レベル:56(3up)
スキル:
格闘Lv.14 大剣術Lv.11 長剣術Lv.11
斧術Lv.9 短剣術Lv.10 投擲Lv.6
八大属性魔法(火Lv.12 水Lv.15
氷Lv.6 風Lv.18 地Lv.16
金Lv.11雷Lv.12 光Lv.8)(new)
時空間魔法Lv.14 生命魔法Lv.9 算術Lv.6
超能力Lv.19 魔力操作Lv.13 魔力圧縮Lv.12
魔力回復Lv.6 毒耐性Lv.7 眩惑耐性Lv.6
炎耐性Lv.3 衝撃耐性Lv.8
魅了耐性Lv.3(new) 多言語理解 解析Lv.2
気配察知Lv.11 縮地Lv.6 暗視Lv.7
隠密Lv.10 俊足Lv.8 剛力Lv.7
剛体Lv.6 不動Lv.8 狙撃Lv.6 錬金Lv.5
並列作業Lv.7 瞬発力上昇Lv.9 持久力上昇Lv.10
称号:
天賦の才 異界の魂 ワイバーン殺し
ヒュドラ殺しエルフ秘術の使い手 錬金術師
オークスロウター オーガスロウター
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昔ゲームをやっていた時は、レベルを上げて物理で殴るスタイルが好きだった。
ただ、自分のこの身体はいくら魔法を使っても魔力が切れるということがないので、どうしても魔法スキルの方が上りがちである。
なお、『氷属性』がありそうだと思ってやってみたら、やはりできてしまった。
見た感じ『闇属性』もありそうな気がするのだが、そちらは今のところ取得には至っていない。
気になったのはいつの間にか取得していた『魅了耐性』である。
覚えがあるとすれば、ゴージャス美女な支部長に
彼女が吸血鬼であることを考えると、『魅了』というスキルを持っていてもおかしくはない、のかもしれない。
あの時の言動を考えれば彼女は俺を試したという感じだったが、魅了されていたらどうなっていたのだろう。
終末フラグ発覚から3日目、朝協会に行くと、俺たちはまた支部長室に案内された。
吸血鬼美女、イケメンエルフとともに再び応接セットにつく。
「クスノキ殿の処遇がとりあえず決まりましたので、お伝えいたしますわ」
テーブルの上に1枚の書類を置きながら支部長が切り出した。(ちなみのこの世界、紙は高価だが普通に存在した)
書類の内容は、要約すると次のようであった。
1 クスノキを1級ハンターに認定する
2 1級認定の理由は『オーガエンペラーの討伐』『マンティコアの複数討伐』とする
3 クスノキがワイバーン、ヒュドラを倒したことは公にはしない
4 クスノキの特異な能力に関しては、協会は守秘義務を遵守する
ぱっと見、自分にとってかなりありがたい内容である。
能力を考えれば、俺自身は『ある程度できるハンター』として扱ってもらったほうがやりやすい。
その上でワイバーンとヒュドラ討伐に目をつぶってくれるのは、俺の精神衛生上非常に助かる。
はたして領主様との間にどのような取り決めがなされたのであろうか。
「さきほど『とりあえず』とおっしゃったのは何か意味があるのですか?」
「ふふ、鋭いですわね。この扱いをするには条件がありますの。条件と言うよりお願いに近いかもしれませんけど」
「それは?」
「一つは、クスノキ殿にはここロンネスクを活動拠点にしていただきたいということ。対価として、クスノキ殿の家を用意いたしますわ」
「それは……かなりの対価ですね」
城塞都市内の土地が限られていることを考えれば、家を与えるというのはかなり大きな話である。
「もう一つは、先日のようにモンスターの氾濫などが起きた時に、優先して協力していただきたいということです」
「それは協会に所属している以上義務なのではないのですか?」
「クスノキ殿ほどのお力があれば、協会を離れても生きていくのは容易ではなくて?」
「つまり協会を離脱しないでほしい、ということですか」
「ええ、本音ではそういうことになります。対価としては……担当の美人受付嬢、もしくは協会支部長の夫の立場……なんていかがかしら?」
「んん……っ!?」
こういう心臓に悪い冗談を言うのは美女の特権かもしれないが……目の前でやられると一般人としては反応に困る。
いきなり話題に出されたサ―シリア嬢もさすがに目を丸くしてるし……。
ちなみにネイミリアは「えっえっ?」とか言ってフリーズしていて、イケメンエルフ副支部長は渋い顔をしている。
「……それは大変魅力的な対価ですが、私としては協会に所属していることに十分なメリットを感じていますので、それ以上の対価は必要ございません」
「あら、断られてしまいましたわ。もしかしてどちらもお気に召さないかしら?」
「いえいえ。どちらも身に余るほどのお話でございます。しかしいまだ根なしの身の上でありますので……」
「クスクス……真面目でいらっしゃいますのね」
「アシネー、
副支部長が助け舟を出してくれたおかげで、俺の心拍数が限界突破するのは避けられた。
こういうキラキラジョークはキラキラ間だけでやっていただきたい。
落ち着いたところで、俺は気になることを聞き返した。
「ところで、それら二つの条件は、他の勢力に
支部長の目がすうっと細まる。
「うふふ……っ、そのような意味も汲み取っていただけると大変助かりますわ」
あ、これは聞いてはいけない話だったかもしれない。いわゆる『腹芸』って奴だ。
「わかりました。
「構いませんわ。曖昧なままでは要らぬ間違いも起ころうというものです」
異世界怖い。日本でも行くところに行けば腹の探り合いなんて日常茶飯事だったのだろうけど、 俺は未経験だったんだよなあ。
協会から出ると、ネイミリアが首をかしげながら口を開いた。
「師匠、先程のやり取りが正直よく分からなかったのですが……」
「簡単に言うと、ワイバーンとヒュドラの件は秘密にしてくれる。ただし、代わりにこのロンネスクを中心に活動して、モンスター退治を手伝わなくちゃいけない、ってことかな」
「今まで通りってことですよね?」
「まあそうだね。おまけに家もくれるそうだ」
「ええっ、それって結構すごいことなんじゃありませんか?」
「だと思うよ。だから後が怖いって言うのもあるけど」
「それと……支部長が言っていた『夫の立場』っていうのは?」
「ああ、あれは支部長の冗談だよ。協会に協力するならサーシリア嬢か支部長が結婚してくれるんだって」
「えっ、師匠結婚するんですか!?」
目をまん丸にして驚くエルフ少女。
ああ、この年頃の娘さんは『結婚』って言葉には敏感に反応するよね。
この世界女性の方が男性より数が多いらしく、結婚への憧れも強いようだし。(歴史の本から得た知識)
「いやだから冗談なんだって。ああいうデキる人はそういう冗談で人をおどかしたりするんだよ。相手の反応を見て楽しんでるだけさ」
「はあ、そういうものなんですか」
「ま、家が用意されるまでは今まで通りだな。俺も1級になれたから、どこか上位モンスターが出るところに行ってスキルを上げておきたいんだけど……」
「もちろんお供します!」
まあ、そうなるよね。
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