3章 都市騎士団 09
その後奥にあるもう一つの部屋にはモンスターがおらず、特に変わったことも確認できなかった。
ガルム討伐によってこの遺跡の異常についてはひとまず解決したという結論になり、俺たちは来た道を戻って遺跡から出た。
ベースキャンプで一泊して翌朝ロンネスクに出発するとのことで、その夜は騎士たちと親交を温め(礼を言われたり、魔法についての質問攻めにあったりした)、夜が更ける頃自分の為に用意されたテントに戻った。
毛皮製の寝袋に入ろうとした時、俺はその寝袋に先客がいることに気付いた。
「にゃあ」
「にゃあ、だと……」
子猫である。メチャクチャ可愛い黒猫である。人に愛されるために生まれてきたような生き物がそこにいたのである。
ちなみに自分は大の猫好きである。実家で飼っていた猫をそれこそ猫かわいがりしていたのである。妻が猫アレルギーで飼えなかったのが長年のストレスだったのである。久々に猫を見てちょっとおかしくなっているのである。
「ああ~」
すり寄ってくる黒猫を
む、この子猫、腹を空かせているな。(猫好きの直感)
しかし猫のエサになるようなものは……ここにあのチューブに入った猫用嗜好品があれば……っ。
と念じて(?)いたら、何か手の中にヌチャっとした感触。
見てみると、俺の手の中にあの猫用嗜好品の中身がデロンとした状態で握られていた。
「え、何が起きた……?まさかこれも錬金術とか言うんじゃないだろうな」
いや、今はいいか。解析するとまさにそのものであるらしい。すでに子猫が俺の手をしきりにスンスンしているので、俺はそのペースト状のものを子猫に与えてみた。
「んなぁ、んなんな……」
前足を手の上にのせて食べる子猫はまさに半トランス状態である。
実家の猫にやってた時も感じていたけど、この商品絶対なにか危険物が入ってるような気がする。
ともあれ、こうして俺に同行者が増えたのであった。
いや、同行者になるかどうかはまだ分からないのだが、自分の中ではもう決定である。
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名前:ケイイチロウ クスノキ
種族:人間 男
年齢:26歳
職業:ハンター 1級
レベル:59(3up)
スキル:
格闘Lv.15 大剣術Lv.13 長剣術Lv.12
斧術Lv.10 短剣術Lv.11 投擲Lv.6
八大属性魔法(火Lv.12 水Lv.16 氷Lv.6
風Lv.19 地Lv.17 金Lv.13 雷Lv.12
光Lv.8)
時空間魔法Lv.15 生命魔法Lv.9 算術Lv.6
超能力Lv.20 魔力操作Lv.15 魔力圧縮Lv.14
魔力回復Lv.7 毒耐性Lv.7 眩惑耐性Lv.6
炎耐性Lv.5 衝撃耐性Lv.8 魅了耐性Lv.3
多言語理解 解析Lv.2 気配察知Lv.12
縮地Lv.7 暗視Lv.8 隠密Lv.10 俊足Lv.8
剛力Lv.8 剛体Lv.7 不動Lv.9 狙撃Lv.7
錬金Lv.8 並列作業Lv.8 瞬発力上昇Lv.10
持久力上昇Lv.10 〇〇〇〇生成Lv.1(new)
称号:
天賦の才 異界の魂 ワイバーン殺し
ヒュドラ殺し ガルム殺し(new)
エルフ秘術の使い手 錬金術師
オークスロウター オーガスロウター
アビスの飼い主(new)
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えっそれ専用スキルなんですか?
△
「じぃ~……」
帰りの馬車の上で俺がアビス(称号にある名前をそのまま子猫につけた)を撫でていると、ネイミリアがとがめるような目つきで
口で「じぃ~……」って、超絶美少女エルフがやると違和感ないどころか可愛いのが憎いですね。
「あの、なにか……?」
「師匠がだらしない顔をしているのが珍しいので」
口調に
「撫でてみるかい?」
「へっ!?いや、そういうわけじゃないんですけど……」
ぶつぶつ言いながらもアビスを撫で始めるネイミリア。
その顔が次第にふにゃっととろけていくのは必然であった。
「ふわぁ、可愛いですね……」
うむ、子猫の魅力に
「アビスっていい名前ですね」
そうかもしれない。俺では考え付かない名前だったな。
確か元の世界だと『深淵』とか『奈落』っていう意味で名前としては微妙な単語なんだが、この国ではそういう意味にはならないようだ。
ん?『奈落』?前にネイミリアが言っていた国を滅ぼす存在の中に、確か『奈落の獣』なんていうのがいたような……?
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名前:アビス
種族:不確定
年齢:0歳
職業:猫
レベル:1
スキル:
気配察知Lv.1 縮地Lv.1 暗視Lv.1
隠密Lv.1 俊足Lv.1 瞬発力上昇Lv.1
持久力上昇Lv.1 反射神経上昇Lv.1
称号: ケイイチロウの飼い猫
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んんっ?種族不確定とはどういうことだ?
スキルは猫っぽい感じもするが、いくら異世界猫でもこんなにスキル持ってないよな?
でも称号には猫ってあるし、やっぱり猫だよな。いや猫だ。猫に違いない。というか、これが猫以外の生き物であるはずがない。
俺の足の上でクネクネと身をよじらせ、あざと可愛すぎる動きを見せる生き物を見て、俺は確信した。
……まあ、何かあったらその時対応しよう。
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