24章 悪神暗躍(後編)  01

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名前:ケイイチロウ クスノキ

種族:人間 男

年齢:26歳

職業:ハンター 4段

レベル:329(15up)


スキル:

格闘Lv.82 大剣術Lv.85 長剣術Lv.73

斧術Lv.62 短剣術Lv.54 弓術Lv.40

投擲Lv.39

九大属性魔法(火Lv.74 水Lv.71

氷Lv.57 風Lv.77 地Lv.82 金Lv.91

雷Lv.65 光Lv.68 闇Lv.38)

時空間魔法Lv.82 生命魔法Lv.74 

神聖魔法Lv.70 付与魔法Lv.68 

転移魔法Lv.23

九属性同時発動Lv.47 算術Lv.6

超能力Lv.113 魔力操作Lv.93 魔力圧縮Lv.83

魔力回復Lv.84 魔力譲渡Lv.74

体力注入Lv.32

毒耐性Lv.30 眩惑耐性Lv.37 炎耐性Lv.44

風耐性Lv.24 地耐性Lv.26

水耐性Lv.24 闇耐性Lv.26

衝撃耐性Lv.68 魅了耐性Lv.18

幻覚看破Lv.14 朧霞Lv.20

多言語理解 解析Lv.2 気配察知Lv.60

縮地Lv.68 暗視Lv.48 隠密Lv.51 

俊足Lv.69 剛力Lv.85 剛体Lv.78 

魔力視Lv.62 最適ルート感知Lv.48

不動Lv.78 狙撃Lv.86 

錬金Lv.80 並列処理Lv.90

瞬発力上昇Lv.72 持久力上昇Lv.75

反射神経上昇Lv.56

〇〇〇〇生成Lv.31  人間向け〇〇〇〇生成Lv.16  


称号:

天賦の才 異界の魂 ワイバーン殺し

ヒュドラ殺し ガルム殺し 

ドラゴンゾンビ殺し 悪神の眷属殺し 

闇の騎士殺し 邪龍の子殺し 邪龍殺し

四天王殺し 魔王の影殺し 魔王殺し

奈落の獣堕とし 穢れの君殺し

聖弓の守護者殺し

レジェンダリーオーガ殺し

キマイラ殺し サイクロプス殺し 

オリハルコンゴーレム殺し 

ガーディアンゴーレム殺し

ソードゴーレム殺し

ロイヤルガードゴーレム殺し

エルフ秘術の使い手 

エルフの護り手 錬金術師

王家の護人

オークスロウター オーガスロウター

ゴーレムクラッシャー 

エクソシスト ジェノサイド 

ドラゴンスレイヤー

アビスの飼い主  トリガーハッピー 

エレメンタルマスター シャープシューター

人間重機 光を導く者 喜びを与える者

解放者 再来の預言者 武闘王

聖杯を掲げし者 女王の騎士(new)


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 1人目の『三龍将』(マイラさんと言うらしい)は速やかに投降し、部隊による攻撃もすぐに止めてくれた。


 自分が操られていたことや国王などが操られていることも理解しているようで、即時停戦にも賛同してくれた。


 ただやはりこの軍を止めるには、他の『三龍将』とこの軍の総大将を『憑依』から解放しないとならないようだ。


 俺はクリステラ嬢とアンリセ青年と共に、次の『三龍将』のところへと転移した。


 2人目の『三龍将』は体格のいい青年だった。


 恐ろしく太い槍を振り回し、さらには神速の突きで俺に向かってくる。


 俺はその苛烈な攻撃をすべていなし、隙をついて槍を半分に斬り落とした。


 それでも暴れようとしたので蹴り飛ばし、倒れたところを『タルミズ』の聖水責めにする。


 苦しみもがいて分離する『悪神の眷属』を刺し貫いて、2人目の解放も終了である。


「……いつつ、むう、それがしが難なく倒されるとは、貴殿はいったい?」


 青年は部隊に待機の指示を出すと、立ち上がりながら俺に聞いてきた。


「私はクスノキと申します。サヴォイア女王国の名誉男爵にして4段位のハンターです」


「クスノキ名誉男爵……うむ、噂は聞いた事がある。数多の『厄災』を退けた勇士とか。いや失礼、それがしは『三龍将』のガオロと申す。しかしよもやこれほどの強者がいようとは。世界は広いものだ」


 青年はしきりにうんうん頷いている。将軍と聞くと怖そうだが、中身は完全に武道家気質のようだ。


「貴方がたは『悪神の眷属』に操られていたのです。私はその大元である『悪神』を討つためにここにいます。ご協力を願えますか?」


「なんと、これはすべて『悪神』の仕業だというのか。あいわかった、貴殿は恐らく我らの恩人たる人物。喜んで協力をさせていただこう」


 というわけで、『三龍将』2人目の協力も無事取り付けた。






『三龍将』3人目は、細身で隻眼の、いかにも剣豪といった雰囲気漂う壮年の男性だった。


 その剣技はクリステラ嬢やニールセン子爵に勝るとも劣らない。


『縮地』を駆使しての剣撃を放ちあったが、二十合ほど刃を交えたところで『タルミズ』の刃が勝り、名剣と思しき相手の剣を斬り落とした。


「か~っ! 負けた負けたあ! 強いな貴公、とんでもない強さだ!」


『悪神の眷属』から解放すると、彼は地面にあぐらをかいて呵々かかと笑った。


 え、渋い見た目なのにそんなキャラなの?


「しかしどうやら拙者は先程の化け物に操られていたようだな! 貴公がそれから救ってくれた、という感じか?」


「え、ええ、そうなります。私はクスノキと申しまして……」


「おうおう、噂は聞いたことあるぜ! 女も落とすが『厄災』も斬り捨てる、凄腕のハンターらしいじゃねえか。なるほどこりゃ大したタマだ。拙者はソジンと申す。お見知りおき願おう」


 背後でクリステラ嬢とアンリセ青年がぷっと吹き出している。


「で、とりあえずはこっちは軍を引かせればいいか? マイラとガオロはどうなってる?」


「おふたりもすでに解放済みです。すでに軍を引かせることに協力していただいています」


「おうそうかい。分かった、ならば拙者もすぐに動こう。ただ総大将も解放してもらわんとならんが、それも頼んでよいのか?」


「はい、すぐに解放いたしましょう」


「カカカッ、操られていたとはいえとんでもない国に手を出したようだな。済まんが国王のことも頼みたい」


「もとよりそのつもりです」


 と言うわけで、これで前線の兵は引いてくれるだろう。


 あとは総大将が率いる部隊が本格的に動き出す前に、総大将を何とかしよう。


 俺は『千里眼』でリースベン軍の本陣の位置を確認すると、転移魔法を発動した。






 リースベンの本陣はいくつかの天幕が張られており、多くの将兵がその間を行き交っていた。


 俺たちが転移して現れても反応が非常に薄く、本陣の将兵のほとんどが『洗脳』状態にあることがそれだけで知れた。


「敵がいきなり現れたというのに反応がないのは不気味だね。リースベンの軍の中枢は完全に『悪神』の支配下にあるということかな」


 クリステラ嬢が少し不満そうな顔をして言った。彼女は本陣でならさらに派手に暴れられると期待していたようだ。


「本陣にいきなり敵が現れるということそのものがあまりに想定外なんだろう。転移魔法というのはそれだけ非常識すぎる魔法だってことさ。下手するとこれだけで国を落とせるものだし」


 と少し呆れ顔なのはアンリセ青年だ。彼の言う通り、転移魔法と高レベル者の組み合わせは、それだけで国家間の力関係を変える力がある。


 そういう意味では、俺がサヴォイア女王国という大国に所属しているのは、もっとも波風が立たない在り方なのかもしれない。


「あれが総大将のいる天幕かな?」


 クリステラ嬢が指さしたのは、入り口に軍旗がたなびくひときわ大きな天幕だった。


 俺たちはなるべく当たり前のような顔をしてその天幕に向かった。


 当然入り口には番兵がいるが、面倒なので『闇属性魔法』で洗脳の上書きをして従わせる。


「本当にクスノキ卿は何でもありだね」


 さらに呆れるアンリセ青年。俺は苦笑いをして見せてから、天幕の入り口をくぐった。


 中には高位の将と思わしき人間が8人いた。奥にいる、一際派手な鎧を着ているのが総大将だろう。


 入ってきた俺たちに、総大将以外の全員が虚ろな目を向けた。


 総大将だけが反応が違うのは、彼だけが『憑依』状態だからだろう。


「クリステラ、アンリセ、総大将以外を頼む。死なない程度に強い打撃を与えれば、それだけで『洗脳』は解けるはずだ」


「オーケー、任せてくれ」


「了解。問題ない」


 リースベンの将たちが立ち上がる。


 恐らく兵を呼ぼうとしたのだろう、口を開こうとした1人の将が、クリステラ嬢の剣の腹で殴り飛ばされた。


 俺は『縮地』で一気に総大将の前に出る。


 厳つい初老の男性だ。老練の将といった雰囲気の彼は、俺の動きに反応して腰の剣を引き抜いた。


 さすがに『三龍将』の上にいる将軍だ。個人の武勇にも優れているらしい。


 俺は礼儀として数合打ち合ったのち、彼を叩き伏せてから『悪神の眷属』を分離させ斬り捨てた。


 他の将たちはすでに全員ノックアウトされて地面に転がっていた。


 さすがにそのままというわけにもいかないので生命魔法をかけて回復をする。少しの間混乱をしていた彼らだが、どうやら事態をすぐに飲み込んでくれたようだった。


『憑依』から解放された総大将が、立ち上がって俺たちの方に歩いてくる。


「貴殿らは……サヴォイア女王国の者か。まさかすでに『三龍将』の軍まで破られたのか?」


「いえ、『三龍将』の方々はすでに『悪神』から解放され、この事態の収拾に当たっていらっしゃいます。前線の兵はすでに退いている頃かと。合わせてわが軍も退いているはずです」


「そうか……。しかしこれが『悪神』の力であったか。我らを操り戦を引き起こすとは、なんと忌々しくも恐ろしい……。いや、よく我らを解放してくれた。礼を言わせていただこう」


 総大将が頭を下げる。


 どういう状況であろうと最高責任者が頭を下げるというのは非常に大きな意味を持つのだが、あえてそれをしたということは誠意のあらわれということだろう。


「謹んでお受けします。『悪神』は国を超えて討伐しなければならない存在です。まずはそちらの解決を図りましょう」


「うむ……しかし恐らく我が国の国王陛下も『悪神』に操られておる。しかも陛下の元には親衛騎士団もいる。我らが引き返すとなると、彼らともぶつかることになろう」


「ご心配なく。それらの対応はすべて私が行います。逆に言えば、今後『悪神』の討伐に関する行動については、国王陛下のことも含めてこちらに一任いただきたく思います」


「む……むう……。いや、しばし待たれよ……」


 総司令官が渋るのは仕方がなかった。


 彼としては恐らく、俺たちの助けを借りて自分たちが解決する、そんなことを考えていたはずだ。


 なぜならサヴォイア国の人間がすべて解決したとなれば、リースベンはサヴォイアに対して決定的な「借り」を作ることになるからだ。


 司令官は他の将とも相談をすると、また俺の前へと進みで出た。


「確認をしたいのだが、貴公は『悪神』を討伐するに十分な力があるのだな?」


「はい。申し遅れましたが、私はケイイチロウ・クスノキと申します。サヴォイア女王国にて名誉男爵の位を賜っている4段位のハンターです。すでに複数の『厄災』の討伐に関わった身ですので、私より適任な者はいないと断言できます」


 背後でクリステラ嬢が「へえ、そういうことも言えるんだ」とか小声で言っている。


 こっちもこの手の場面には慣れてきましたからね。肩書が使えるなら使いますよ。


「やはり貴公があのクスノキ卿か。所詮噂とあなどっていたが、どうやら噂以上の人物のようだ。分かった、こちらとしてもどうこう言える立場ではない。貴公に一任しよう。これはリースベン軍総大将にして、公爵でもある私、マグロア・オルトロットとしての正式な依頼としてお願いしたい」


 なんと公爵閣下が総大将だったのか。公爵というからには多分王族なんだよな。


「それと貴公はリースベンの国都に向かうのだろうが、案内として私の娘を連れていってもらいたい。城内の様子にも詳しいので、きっと役に立つはずだ。いかがか」


 なるほど、まあその辺りがいい落としどころだろうな。全面的に任せきりでは、どうあっても面子が立たないというのは理解できる。


「承りました。私もリースベンの地には明るくございませんので助かります」


「うむ。伝令に命じてすぐにマイラを呼び寄せよう。済まぬがしばしお待ちいただきたい」


 マイラ? どこかで聞いた名前だな。


「しまった、そうきたか」と聞こえたので振り返ると、クリステラ嬢が呆れ顔で肩をすくめていた。


 一方でアンリセ青年が「なるほど、そういうふうに話を運ぶのか」としきりに頷いている。


「……クスノキ、分かっているよね?」


 小声でそう言うクリステラ嬢にはいつもの芝居がかった雰囲気がない。


 真面目な話ということだろう。恐らく公爵の御息女になにかあったら国際問題だぞと言いたいに違いない。


「大丈夫だ、分かっている。陛下には迷惑がかからないように気を付けるから」


 と言うと、なぜか2人は首を横に振って溜息をついたのであった。

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