2章 城塞都市ロンネスク 05
5級に更新されたハンターカードを受け取り、サーシリア嬢のニッコリに見送られて協会を出た。
カードといえば、森で拾った故人のカードは協会に返却した。
それを見て、近くを通りかかった受付嬢の一人が泣き崩れたのには驚いた。
どうやら恋人であったらしい。
ゲーム的な感覚が強くなっていた自分にとっては、冷水を浴びせられるような出来事だった。
幸い人が死ぬ場面にはまだ遭遇していないが、間違いなくこの世界では、死はずっと身近にある。
午後がまるまる空いたので、買い物をすることにした。
服やら武器屋やら防具やらポーションやら、そういうのを買うことが頭からすっぽり抜け落ちていたのはどういうわけか。
森での生活で少し優先順位がおかしくなったのかもしれない。
買い物で面白かったのは『魔道具』という奴だ。
光を灯す道具やら、火がなくてもお湯がわく道具やら、自動で展開するテントやら、トランシーバーのように通信する道具やら、かなり高度なものが揃っていた。
それらが魔結晶を動力としていると聞き、魔結晶の価値の一端を理解できたのも大きかった。
ただその魔道具群は値段がかなり高く、買うのにはかなりの熟慮が必要そうで、今回は見送った。
防具は武器については完全に素人なので、とりあえずプロである店員に話を聞き、軽めの防具を言われるがままに購入した。
防具一式で魔結晶300個の稼ぎである24万デロンが飛んだが、職人の手作りによる武器や防具が高いのは仕方ないだろう。
残念ながら武器は金が足りなかったが、剣爪猿の鎌は下手な長剣よりよほど上等だというので使用継続である。
インベントリには30本くらいあるし、若者に安く譲るのもアリかもしれない。
宿で2日目の朝。
今日はオーク狩りの予定だ。
休めよ、という声もどこからか聞こえてくるが、今は色々な経験や知識が必要だ。
実はこのロンネスクには図書館があるらしいのだが、それなりの信用がないと入れないとのこと。
「ハンターなら4級以上で許可が出ます。クスノキ様は勉強熱心なんですね(ニッコリ)」らしいので、4級までは上り最速で行くことにした。
オークの谷(俺命名)は馬車で3時間だそうだが、全力で走ったら1時間程で着いた。
今元の世界に戻ったらフルマラソン世界一は間違いなく確実だな。酷い話だ。
現地はテントがいくつも張られており、泊りがけでオークを狩るパーティが多いようだ。
というか距離的に日帰りは普通には無理だろう。
俺は話の分かりそうな男に銀貨を何枚か握らせてこの狩場の地元ルール的なものを聞いてから、谷に入っていった。
オークの谷は、赤い岩肌がむき出しになっている広大な窪地であった。
決められたルートを辿って谷に降りていくと、そこは天然の岩の迷宮のようになっていた。
慣れているらしいパーティがそれぞれ別のルートに分かれて歩いていく。
俺はやはり誰もいないルートに入っていった。
オークは豚の頭を持った、身長2メートルほどの人型のモンスターだ。
見た目通り力が強く、集団で現れると慣れたパーティでもかなりの苦戦を強いられるという。
まあ、ストーンバレットで瞬殺なんだが。
ドロップは2等級の魔結晶とオークの肉だ。肉はすでに宿屋で実食済みだが、ちょっと臭みのある豚肉である。
ロンネスクでは多く出回っていて一般的に食べられるが、それは結構贅沢なことらしい。
俺は3時間ほどかけて、やはりGのごとく湧いてくるオークを駆逐して回った。
と、気配察知にオークより大きい反応。
見るとオークより頭2つ大きいモンスター。鬼の顔を持つオーガだ。
手には人間では持てないような両刃の斧。
オークに比べて格段に強力で、自信がなければ即座に逃げることが推奨されている。
まあストーンバレットで瞬殺なんだが。
ダメだ、これではダメ人間になる。俺はドロップアイテムの斧を振り回しながら心の中で叫んだ。
ピロリロリ~ン。
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名前:ケイイチロウ クスノキ
種族:人間 男
年齢:26歳
職業:ハンター 5級
レベル:43(1up)
スキル:
格闘Lv.8 長剣術Lv.9 斧術Lv.1(new)
短剣術Lv.7 投擲Lv.5
六大属性魔法(火Lv.6 水Lv.10
風Lv.10 地Lv.10 雷Lv.4 光Lv.6)
時空間魔法Lv.8 生命魔法Lv.6 算術Lv.6
超能力Lv.10 魔力操作Lv.5 魔力圧縮Lv.5
毒耐性Lv.5 眩惑耐性Lv.5 炎耐性Lv.1
衝撃耐性Lv.1(new) 多言語理解
解析Lv.2 気配察知Lv.8 暗視Lv.6
隠密Lv.6 俊足Lv.4 剛力Lv.1(new)
不動Lv.1(new) 瞬発力上昇Lv.4
持久力上昇Lv.4
称号:
天賦の才 異界の魂 ワイバーン殺し
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お前が俺をダメにするんだよなあ!
続けて現れた5匹のオーガを八つ当たりで全員斧で一刀両断にしたのは仕方がなかったと言えよう。
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