Pre3・序章その2〜たぶん、本当に日本は大丈夫です

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 そこでこれから日本にとっての最大の問題「増え続ける国家債務をどうするべきか?」について考えてみる。

 とはいえ、本文は長くなりそうなので、最初に結論を提示すべきと思う。


・全ての国が必ず国家破綻を迎える

・しかし無駄に借金を重ねるために国債を発行しているわけではない

・過去に経済破綻した国はかなりある。そして復活のパターンも既にある


 そして、これとは別に強調しておきたいこととして、


・通貨には特別の意味があり、通貨供給量の増減による経済的な影響はより強く考慮されるべき

・エネルギー産業と金融産業は国家の根幹を成す最重要産業と位置づけられるべき


 これらに関してはマネタリストっぽい解釈論であって必ずしも「全てが正解」という訳ではないし、反論もあると思うのだが、一応の論拠があっての事なのでその都度、必要に応じて論を進めようと考えます。


 本来なら、ここですぐに国債と通貨の関係やインフレ・デフレの話しをすべきとは思うものの、やれば多分、誰も読まない。なので辞めます。それじゃ、やっても意味ないので。



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 そこでまず最初に前提条件となる、「国家が破綻する場合」を簡単に考えてみる。


 国家破綻の例は幾らでもあり、例えば技術革新や金融環境の進展についていけずに経済力自体が低下したアルゼンチンや、国内の貧富・階級・人種格差の解消に失敗して国内市場の育成が見込めず、技術資本・産業資本の蓄積も出来ずに浮揚の契機さえつかめないベネズエラのような発展途上国もある。

 また韓国のように大財閥はあるものの、有力な金融財閥が全く成長していないために市中に資金を適切に供給できず、常に金融危機に襲われるような国もある。


 ただ、これらの国はいまの日本とは環境が違う。

 いま話しをすべきことは「強い国が破綻するとは?」ということだ。

 国内に強い市場があり、産業・技術力の蓄積もあるし、金融市場が強いという場合の話しであるべきだ。

 そしてそんな国は日本以外にはEUおよび北欧数カ国、中国くらいのものであって、これらの国が内在的に抱えている共通の問題が「破産するしかない程ひどい国家債務」ということだろうと思う。


 これらの国は、時に戦争によって、時に金融・財政政策の失敗によって、そして時には不動産を中心とした極めてハイリスクな投機的な経済活動の結果によって「耐えられないほどの国家債務」を背負うことになったと考える。

 原因はいくつかあったとしても、結果は実は皆同じ。

 主に「利子のついた債券」のせいで、利払いができなくなった時点で即、デフォルトとなるリスク・・・という顛末だ。


 そこで極めてシンプルな状態=「国家債務が発生した」という状況を設定し、その時に起こりそうな事案を過去の事例を参考にしつつ、国家破綻デフォルトの可能性とリスク回避について検討して見ることにする。



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 前述のように、国家債務によって身動きが取れなくなるという状況に陥るまでには、幾つものバターンがある。そこでこれもシンプルに考えて、もっとも莫大に国家債務(つまり国債とか外債とかの債券)が増える最悪の事態に陥ったとして、その状態からの回復を考えてみる。

 そこで選んだのが「戦争」だ。


 戦争だと否応なしに莫大な債務を抱える。日本がそうであったし、他の国もみなそうだ。

 日本は日露戦争時に国家債務の数倍、第二次大戦ではGDPの八倍以上の債務を抱えたが、他の国も実は似たりよったりだ。結論っぽくなるものの、これらは強引な債務返済方法と持続的なインフレ成長によって解消できたに過ぎない。

 プロセスに関係なく、結果が各国で同じというのは、使いやすい。


 戦争の厄介なところは、生み出されるものが「兵器」であって、兵器関連業に恩恵はあるものの、土木工事などの公益公共事業のような国富の増大に繋がりにくく、ユーザーの絶対数の少なさから自動車産業ほどの裾野の広がりも作れない。


 軍事技術からスピンオフされて民間に技術革新がもたらされるものもあるにはある(ダクトテープがその一例)が、通常は逆で、民間企業の技術が軍事技術に転用されることの方が多い。

 その意味で「幅の狭い業種」であり、しかも兵器は消耗される一方で、人々に恩恵が少ない。破壊が目的の製造物で、民間に成果物をもたらす耐久財ではないからだ。寿命も比較的短く、単価も高く、しかも数が必要で、維持管理費もかなりかかる。


 一方、兵士に関しても同様で、育成と維持には多額の費用がかかり、特に徴兵制度下では予算が(主に陸軍によって)食いつぶされる。

 人件費が高い国ではこの傾向が強く、いまやより安価な無人ロボットへの移行が進んでいるが、経済的にみればこれもやむを得ない。


 一つの例だが、アメリカは2003年より数年の間、アフガニスタンに1万人の兵士を投入していた。このときの兵士一人あたりの一年間の費用がおよそ1億円(当時の日本円レートで)ほどかかる計算だった。

 これは経費10兆円を頭数で割っただけなので、単純な兵士への費用負担ではない。

 各種兵器の損耗や負傷兵の救護、兵員の兵站費用などを均した単純な計算だが、全天展開能力のあるアメリカでさえ、一人あたり大体このくらいかかるということだ。

 戦闘機パイロットのヘルメットが1,500万円かかる時代、戦費はうなぎのぼりで際限がない。他方、戦闘ロボは壊れても遺族年金を支払う必要もない。


 戦争という行為自体は、消耗を強いるだけの経済活動であって、国富の増大が可能かどうかは戦争後の政治決着の如何によるという冷厳な事実の反映なのだ。勝った者の一人勝ち、という結果になりやすいということでもある。正義などないということだ。


 勿論、イギリスやアメリカのように覇権国になるチャンスも有るので「極めてハイリスク&ハイリターンなバクチ」と言えなくもない。ただし自国民の生命と国家財産をベットする勇気は、なかなか持てるものでも無い。

 挙げ句、この賭けに賭けてみるという「勇者」に半ば強引に付き合わされて、結果、国家破滅という隣国も沢山出てくる。

 そして勝っても負けても戦時国債という債務を抱える・・・という展開だ。


 これは、物事を非常にシンプルに考えやすい好例だ。なので使う。「国家債務が劇的に増える、最悪の状況」の理由に「戦争」を置いて、まず債務が爆増することを考えてみたい。

 そしてその中で国債や通貨、経済政策や国家破綻などの事例を取り上げて考察してみる。

 その後で、国家が破綻した場合、復活できるかどうかについて論じてみる・・・という流れがよいと思う。


 ただし、いきなり第二次大戦時の日本ガー・・・という話しになると、いろいろと政治的に角が立つので、これも辞める。

 我らの主眼は「カネの話し」だからだ。そこで「無関係な」戦争をベースに話しを進めてみようと思う。


 ガミラス戦役という戦争で、だ。


 この戦争は、人類は突如襲われ、膨大な犠牲を払い、そして辛うじて生き延びた・・・と言える。

 別の言い方をすれば、星間戦争で経済的に疲弊し、戦費調達ために天文学的な戦時国債を発行し、債務不履行の危機にさらされている、ということになる。

 国家破産の代表的な例だ。よくあることだ。

 この時に、どうしてそんなに莫大な債務を抱えてしまったのか?という状況をスンナリと説明できればよい。

 そして、GDPの数倍〜数十倍もの債務を抱えたという状況が再現できれば、それは現在の国家経済の状態の近似値と考えられるはずだ。

 2199年の戦時と、2018年の平和な現在とが同じ状態になったということだ。


 なので、次からはまず「ガミラス戦役」で人類がどういう流れを辿ったかについて考察してみる。

 ただ単に債務爆増・・・というだけの話しだ。

 現在の日本が、国債発行額だけで900兆円、他の債券を含めると1,200兆円もの有利子債務を抱えているという状況にピッタリだ。


 だからといって嬉しくはないが・・・

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