§5-3-19・2024年、中華人民共和国破滅への借金道(その12)〜「特色ある社会主義経済」の中間評価→失敗(メカニズム編)

○中共の「日本化」について


2022年11月カタール開催のサッカー・ワールドカップを直接の契機として、中国のゼロコロナ政策〜いわゆる「清零政策」は突然の破局を迎えます。それまでの無制限完全都市封鎖的な強行な封じ込め政策が崩壊し、し崩し的に行動の自由化に至ったのが同年12月。この時から数えておよそ一年少々経過した2024年4月現在、中国の経済状況は非常に悪いものになっています。極めて深刻な状況です。


清零政策崩壊直後には「今まで我慢し続けていた反動で狂乱好景気になる」という意見も多く、また習近平政権および各地方政府が積極果敢な景気刺激政策を採用するだろうと思われていましたので、その結果を見極める必要はありました。「インフレ(物価高)と景気動向には6-18ヶ月くらいの時差が出る」という経験則に従って、政策による投融資の推移を慎重に見ていく必要があり、そんなわけで「中国編」の内容更新も一年半近く空白のままにしていました。ですが、もうそろそろ中国の評価判定をしても大丈夫と思うわけです。


結論は我々の推測通り「日本化」です…m(_ _)m

1990年代のバブル崩壊と似たような状況です


今日現在、中国経済は猛烈なデフレに襲われています。恒大が死んだとか万科が危ないとか平安が吹っ飛ぶんじゃないかとか、若年層の失業率が2割近いとか、上海・深センの株価が下がりっぱなしだ…とか、そんな話ばかりで良い話は殆どありません。ここまで墜ちると、もはや個別に企業事例を取り上げて論じても意味はありません。むしろ「先輩」として今後、中国が国家全体としてどのような経緯を辿るのだろうか?…について一般概論を論じようと思います。日本の経済発展から振り返る「特色ある社会主義経済」のメカニズムの解剖です。


無論、「中国は今後、必ずこうなる」と断言するわけではありません。相手は独裁国家なので「中国人民に無限大の犠牲を強要できれば」何でもできる国家です。多額の債務を「徳政令」することだって可能なわけで、そうしたトリッキーな「飛び道具」を使う可能性を考えれば、正確な将来予測を立てることは不可能です。しかし我々のこれまでの考察から「経済体制はほぼすべて日本のパクリ」であると判断している以上、ごく普通に考えれば「今後も日本と同じ道をたどる」だろうと推測はできるのです。しかも我々の予想精度は低くありません。そこでこれまでの中国経済〜「特色ある社会主義」という謎経済の中間評価をしようと思うのです…m(_ _)m




 ※     ※     ※




○過去20年の中国の繁栄はタダの「債券バブル」という正しい認識


まず過去からの流れを再検討してみます。

80年代、文革からの復興を狙う中国共産党は対外改革開放路線に転換。社会主義国でありながら大胆な資本主義化を目指します。過去、散々植民地化に苦しめられてきたにも関らず、海外先進国に土下座して資本・技術・人材を受け入れ、更に中国市場を開放しました。この「今度は進んで植民地化を許す」という偉大な割り切りは中国人本来の知恵であり、冷徹な現実主義と計算高い知性はその後の中国の奇跡的飛躍を約束させる文化的なバックボーンと言えるかと思います。尊敬に値する人たちです。中国人はある意味、張飛に似ていて、やたら強いにも関らず自分が劣ると感じれば進んで頭を垂れる謙虚さと、弱い相手には「情けかけても損するだけ」というリアルな割り切りとを併せ持つ「前向きで攻撃的な努力家」の側面があるようです。よって知的で好奇心が強く、強靱かつしなやかな文明の人たちと言えるでしょう。


しかし、もともと共産主義にして原始共産化へと進んでいた(文革時の)中共にはマクロ経済に関する知識が乏しく、またこの時期は1971年7/15及び8/15のニクソンショックにより、なし崩し的に始まった管理通貨制度へとの移行期とも重なって、金融財政政策が混乱していた時期でした。現在のようにある程度、国債と金利・中銀と市場の働きでインフレ・デフレが管理できるようになる以前の混沌とした状況で、中共としても模範がなかったのではないかと思われます。このため中国は弱い中央政府・弱い中央銀行と、「豊かになれるところからまずは豊かになる」という政策が実施されて、沿海部を中心とした各省の強い自治運営という(悪い意味での)「分権化」が進みました。文革の悪影響と反省もあってか、弱い中央政府・中銀vs強い地方政府という現代に繋がる弊害の構造がここに生まれました。中共の真の問題は中央政府・中央銀行の役割が現代的な「市場への一元的かつ安定した資金供給を可能にする」政体でないことでした。この脆弱な経済構造が「特色ある社会主義経済」を決定づける要因です。


本来、経済活動の進展に伴って通貨の供給量を増加させる必要があります。カネが足りないとデフレ化し経済成長の足枷あしかせとなります。適切な資金供給が成長のカギであり、資金供給は通常、政府発行の国債と中央銀行の紙幣供給が必要です。ここで再度、おさらいみたいな話をします。

そこで重要な「(債権の)金利≒経済成長率」の話をします。長めですがご容赦ください。



 ※     ※     ※




国債の金利と経済成長率には密接な関係があります。こういう理屈です…m(_ _)m


国債に金利がついてなかったと仮定します。ここで10000元の中国国債を建て、これを中国人に販売したとします(←中国人民銀行に当座預金から購入した)。この場合、10000元の国債は中国民間が予め保有していた10000元のお金で買われただけなので、単に「民間の中で使われずにタンス預金されていたカネを引っ張り出した」に過ぎません。なので「人民元エリア」での通貨供給量の増加はありません。もともとあったお金(この場合、預金)を市場に引きずり出しただけです。よって国債の償還時、もとの10000元を中国政府が民間に返還しただけです。10000元が行って来いしただけです。


しかし実際には国債には金利がついています。

仮に10%の金利がついていたとします(この金利を表面金利クーポンと言います)。そして先程と同じように10000元の国債を民間が10000元で購入し、償還時まで持っていたとします。すると、先程の理屈から「元本の10000元は、国債を使って民間の中で眠っていた10000元のお金を引っ張り出して活用した」だけなので「人民元圏のエリアの中では、カネはプラマイゼロで増えてない」ままです。

しかし金利分は違います。国債の償還時に金利分の1000元(←10%のクーポン)を債権者(民間)に付けてやらなければ支払不能デフォルトです。なので債務者(政府)は必死に1000元を稼がねばなりません。ということは、この金利相当分の1000元は貿易黒字(の結果の税収入増)とか外貨準備高増加(の結果の利払い収益)などで「新たに獲得」しなければならないカネです。新たに獲得するということは「人民元圏のエリアの中に、1000元分のカネが増えた」ということになります。これは「経済成長」そのものです。その分、「働いて稼いだカネ」だからです。


ということは、1000元分のカネの増加が経済成長の利得分ならば、10%の表面金利クーポンは「経済成長率」です。

なので大まかに「国債の金利は経済成長率に密接に連関性がある」ということになります。


例えば日本がそうです。日本はYCCと呼ばれる金利抑圧策を採り続けてきました。これは「金利 > 成長率」が長く続くと国家破綻するというドーマーの条件・日銀版の結論で、「金利を抑圧し、トータルとして日本国債の金利をほぼ0%にする」ことで国家破綻を防止するという戦略でした。実際、現在でも日本は国家破綻してないために「正しい」と実証できたのですが、いま述べた「国債の金利≒経済成長率」の理屈から「なので日本は経済成長率が超低い(せいぜい1%くらい)」という、これまた「正しい結論」が出ているのです。日本のデフレ化はすべてこの「長期金利をゼロにしたから」です。

これを踏まえて、より重要なあと三つ…m(_ _)m




・インフレとは通貨供給量が増加すること

インフレとはカネがやたらと増えることで、この結果、価値が下落します。この世は「カネとモノ」の二択なので相対的に「物価高」になるということです。これはお金を濃厚風味の極上のスープに例えると理解しやすく、美味しくて温かいスープを水で薄めたら「こんな糞水にカネなんか払えるか(激怒)」なので、カネの価値が下落するということだったり「別の肉とかパンとか買おう」というインフレヘッジ行動が発生するということです。カネの価値がなくなるので「だったらモノを買おう」という話になるのです。このため、かえってモノが売れまくって経済成長を誘引することがあります。


同時に「貧乏とは何か?」と問われたとき「カネがない事」であるのなら、「カネをバラまけば、いずれ隅々まで行き渡る」というのも真実です。よって物凄くカネをバラまけば、いずれ貧乏人にまでカネが行き渡る…という可能性があります。「トリクルダウン」効果です。よって激しいインフレの後、貧乏人にまでカネが行き渡り、その後、経済がバブル化する…というのはよくあることです。「モノの総量 < カネの総量」の状態がインフレで、パンデミックなどの後では人口減少などの「モノ(←この場合、人や生産品)」が不足して激しいインフレが発生。その後、下層階級の賃金上昇とともに人口が回復する「再生期」を迎えることは、過去にしばしば見られることです。よって…



・産業国家においてはインフレが経済成長をもたらす(こともある)…という経験則

カネの価値が下がると輸出がしやすくなり、また外国に投資してるならリターンが多くなります。1ドル=100円よりも1ドル=150円の方が、同じ一ドルを売り払ってもゲットできるカネが多くなります。外国から稼ぐ力は増強されます。合わせてインフレヘッジ行動により「カネもってても目減りするだけ」なので旺盛な消費行動が続き、これがさらなる経済成長=インフレを招いてさらなる延々とインフレが続く。このインフレで通貨の価値は下落しまくり=物価は上昇基調+輸入物品の価格上昇…から物価高が続きますが、同時に景気は良いので企業の売上(名目上の)は伸びる。この好景気のため労働者の需要は大きく、賃金上昇を招き、これがさらなる物価高(←労働賃金分が商品価格に上乗せされる)を招いてインフレが続くものの、労働者の所得も徐々に増える「トリクルダウン効果」が生まれる…という流れです。


例えば2024年現在、米国などでは高インフレが数年に渡って続き、この結果、ラーメン一杯6000円(チップ込み)という尋常ではない値段になっています。しかし同時に彼らの労働賃金もまた2倍〜3倍に上昇しています。サンフランシスコでは2024年4月から州内のファストフード店で働く従業員の最低賃金を時給20ドル(現在1ドル≒150円なので約3000円)になり、またテキサス州の平均年間所得は1500万円にもなっているそうです(ウラヤマ…


この効果を狙って意図的に通貨供給量を増加させるのが「金融緩和」策です。要はカネをバラまけばよいだけなので、中銀が市場の国債を購入したり(購入分のカネが民間に流れる)、国債を増発してその分のカネを公共事業などで民間にばらまく…などのやり方があります。普通は国債をバラまいた後で、もう一度、中央銀行が「買いオペ(国債を買い入れること)」で市場にカネばらまくのが普通です。追い焚きorアフターバーナーみたいなものです。ただし、産業力・金融力の脆弱な国の場合、単に物価高→国家破綻になることもよくあります(1985年のメキシコ通貨危機などが実例)。ということは…



・「金利が高い」ということは「お金が市場に沢山出回るor出回っている」ということ

国債の金利分は実際に増えたカネの分…ということでした。なら金利が高い場合、それだけカネが民間に溢れているということです。高金利が続く環境では絶えず資金供給があるということになります。民間が溜め込んでいたカネが吐き出されるインフレヘッジ行動…が基本となります。

ここで政府・中銀の役割が出てきます。活性化した経済に適切な量のカネを撒く必要があるということです。


インフレ・デフレの問題はモノとカネのバランスの問題です。「モノ < カネ」ならインフレ、逆ならデフレです。このため経済活動の深化に伴い、モノの総量が増加した場合、適切に通貨供給量を増やしてモノの増加に対応すべきで、そうしなければデフレになります。デフレは景気後退の時だけでなく、好景気の時の通貨供給量増加の失敗でもおきるということです。ただし、この時にカネを撒きすぎれば激烈なインフレ(物価高)を招く…という、なかなか神経質な処理が必要になります。そしてこの増加分が債権の金利分であり、金利分は働いて稼ぎ出したカネに相当します。


またこれとは逆に、猛烈な金利上昇によって景気が失速することもあります。金利上昇が物価高と貸出金利・利払い負担の爆増を招き、カネの循環を断つからです。激しいインフレの時、市場からカネを回収する≒デフレ化によって異常な景気加熱を抑圧する…という手法は2024年の世界各国の中央銀行がやってることです(とても不十分ですが…)。しかし矛盾も感じます。金利が高い=カネが出回っている=インフレなのだから、金利を上げたら余計好景気になるのでは?…です。実は「そんな感じ」です。金利を政策で上げることは通常、銀行の貸出等に影響する短期国債市場の金利に速攻で影響します。短期金利を上げるという政策です。そのため景気が窒息死するのですが、ここで2つの可能性があり、「カネがない状態で何故か短期金利を上げた」と「激しいインフレの時に短期金利を上げた」の場合です。


「カネの無い時に金利上げるの…ಠ_ಠ;?」に関してですが、この例は2021年時の韓国がそれに相当し、米国金利が上昇し始めた時に先手を打って韓国中銀が短期金利を上げています。しかし当時の韓国はカネがなく、実際に2020年末まで米国と緊急時限通貨スワップを結んで債務破綻を逃れていたほどです。そんな金欠なのに金利を上げたのは、米国金利が上昇して「あれっ?米国の方が金利の利得分が(韓国よりも)高いじゃん!」という流れから、韓国市場に投資した外国人のカネが一気に引き抜かれる「レパトリ」を恐れてのことです。当然、カネのないときの金利上昇は庶民に皺寄せが行きます。貧乏人の住宅ローン上昇や海外輸入品を始めとする物価高です(←金利が上がったのだから、そうなる)。カネがない国でも、カネが逃げ出さないように金利を上げることもあるのです。


他方、もともと激しいインフレの時に金利を上げる…というのは普通です。現在の欧米諸国がそうです。短期金利を上げ、長期金利含めた全体的な金利の上昇によって過熱しすぎた景気を冷やす効果を期待するのですが「もともとカネは大量にある」という状態は本質的には変わりません。なので、利上げによって一旦は窒息死しするものの、その後で既存の民間に溜まっていたカネが再び動き出す…という事で、典型的な例が1986年以後の日本のバブルです。過剰なインフレを抑圧して再整理し、余力は沢山あるので不動産とかがドッと売れるようになった…くらいの感じです。


以上のことから、金利はインフレの管理に非常に重要で、しかも経済活動に直結するということがわかります…m(_ _)m




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金利は「市場金利」が本当の金利


そこで金利についてですが、これには表面金利クーポンと市場金利の2つがあります。前述の例を使って考えてみます。10000元に10%の金利がついていたとしたら、この10%は表面金利クーポンです。ここで一つの謎が生まれます。国債を購入した金額は10000元。しかし満額償還を受けたときには11000元に増えているということです。「借金なのだから当たり前」と考えがちですが、カネ計算からしたら「10000(買った額面)=11000(借金完済時)」で「イコールになるはずない」のです(爆)。


では、これはどういうことか?…というと「購入したときにはまだ10000元の価値しかなかった」と考えるべきということです。「割引現在価値」と言います。つまり「本来の価格」は「始めから」元本+表面金利分クーポンの11000元だったということです。そこで例えばこの債権が10年物だった場合、「10年後の満期になってようやく11000元の、本来の価格になる」という計算になります。なので購入時は「まだ(償還の10年前なので)10000元分の価値しか発揮できない」ということになるのです。満期になって初めて「全額=本来の価値が出た」ということです。


ここで市場金利の話が出てきます。

国債などの公債は発行枚数が多いことや額面がデカいことなどからリスクヘッジなどの意味合いもあって債券市場が整備されています。ワイらの借金とは違うメカニズムです。そこで、例えば10年物表面金利クーポン10%(←毎年100元づつ利払いをもらえる)で額面10000元の国債を2年保有した後、カネがなくなったので売り飛ばしたくなったとします。この場合、既に2年分の利払いを受けているので、この国債の「真の価値」は利払い分の200元を差し引いた「10800元」になります。


このとき、もしも金融恐慌などが発生して「皆がカネ足りなくなった→そうだ!国債売り飛ばそう」になったとします。皆がこの国債を一斉にドバッと市場に放出します。すると、「欲しい人 <<<< 売りたい人」の状態となり、買ってもらいたければその分、購入意欲インセンティブが必要になっちゃいます。なので「ワイの国債、値引きするから買って」という「値引き」合戦になります。


しかし国債の本来の価値は、前述のように「元本+金利分」でした。この場合は既に二年分の利息を払ってしまっているので「元本10000元+金利(1000-200元)=10800元」が売り飛ばしたい国債の現在の価値(値段)です。この分は保全されていなければいけません。というのも国債は「債権」であり、最後まで「満期まで持ち続ければ元本+金利分の償還を受けることができる」事を保証もしているからです(なので負債会計となる)。

ならばこれを「値引きで売り飛ばす」場合、未償還分の800元分は丸々残す必要があります。減りません。これは支払わねばならないカネなのです。よって「元本10000元」の部分を値引くことになります。例えば9000元にまで割引かねばならなくなった…(T_T)、という感じです。すると、この債権の市場での取引価格は「元本9000元(←割引分が1000元)+残りの金利残金分800元=10800元」となり、この「割引分▲1000元」分を「金利」の形で「補填」してやって10800元に帳尻合わせしてやる必要があるのです。その補填分の金利が市場金利になります。表面金利は元本の中にくりこまれ、割引して売り飛ばさねばならないのなら、その差分は金利の上昇で埋め合わせる…という考え方です(基本は…)。


より正しく言うのなら「元本+表面金利−利払い終了分」が本当の「通貨(←国債は通貨)の価値」であり、この「価値」が全体として「割引分▲1000元」分減っているのですが、しかしそれでも「表面金利分は必ず支払わねばならない」わけで、仮に減損しても割引くにしても表面金利分は将来、必ず支払う=必ず残る資産…ということになります。「元本+表面金利−利払い完了分」全体の価値が下落しても、「元本+表面金利−利払い」そのものの価値を維持し続けなければならず、表面金利の額面分は(価値が下がっても)必ずその額面分の価値は残る。ならば「元+表−支払い済み」分の価値の不足分は市場金利によって補うということです。


よって「市場に国債がたくさんあると金利は上昇。少なくなれば金利は下がる」ということになります。ウンと割り引いてやらないと売れない。しかし償還時の残金は満額償還されねばならない。なら、その差額分は金利上昇で…ということだからです。この理屈から表面金利クーポンは「本来の国債の価値」…ここでいうなら11000元の価値の中にくりこまれていることが分かります。ワイがよく使う「借金の金利」は実は「本来の借金の値段」だからです。よって表面金利は(乱暴にいえば)元本なのです。これに対して市場金利はまさに損失分補填であって、市場動向で上下します。これこそが「本当の金利」ということです。元のカネにくりこまれていない分のカネだからです。


表面金利クーポンはワイら庶民がよく知ってる借金のパターン。市場金利は大規模な国際取引市場で、国債という「その国の通貨」をやり取りするので、ここでの価格動向はある国の通貨の価格そのものを決めるほど重要…という事になるかと思われます。



 ※     ※     ※


 



長い話、すみませんでした…m(_ _)m

んで、ここまで述べた上でもう一度、中国経済と債権と金利の話に戻します。


前に述べたように「長期国債の金利≒経済成長率」です。市場における実際の金利分が実際の成長率(この場合は明目GDPが実数)に非常に密接な関係にあると言うことです。この場合、中国国債の金利分は人民元圏における実質の通貨供給量増加分(率)に相当する…ということなのですが、しかし「借金の金利」によって「人民元圏」つまり人民元が通用する経済領域の中で人民元の通貨供給量が増える事=経済成長ということならば、別に国債に限る必要はない、ということにも気づきます。要するに「金利ついてる借金なら何でも良い」ということです。人民元圏の中であれば、です。


これが中華人民共和国の「特色ある社会主義経済」の本質です…m(_ _)m


ある程度の産業力と国内市場を構築し、そこに債権建てればインフレ成長できる。人民元の通用するエリア(通貨圏)にカネをバラまけば経済成長できるしトリクルダウン効果で人民も豊かになる。しかし中国人民銀行および北京中央政府は頼りなく「豊かになれるところからなる」的なケッコー雑な運営アプローチ。なら、地方政府は(自分で人民元を発行できないので)同じ効果のある「地方債」および民間ノンバンク経由で市場に資金供給し、「カネを撒いて景気を増強する」という「債権バブル方式」を採用するに至った…ということです。


無敵の強さを誇った中華人民共和国のカラクリは「借金建てまくって景気刺激」…これだけでした。わかってしまえば何のことはありません。この視点を踏まえた上で、次から中華人民共和国の2024年の現状と未来を検証しようと思います。



この話数、あと数話続く予定です…m(_ _)m

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