「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§8-3-5・新自由主義的社会民主国家の誕生…貧乏人を生み出す強力な力を、貧富の格差を是正する力に変えた国家(前編)
§8-3-5・新自由主義的社会民主国家の誕生…貧乏人を生み出す強力な力を、貧富の格差を是正する力に変えた国家(前編)
○税制改革は『中間層の増強』←目的を絞りこみ、効果の極大化を狙う
通貨の本質的な意味を考えれば、それが正解…⊂(^ω^)⊃
2202年、焼け野原のようになった白色彗星帝国の都市要塞の中から彼らの文明の痕跡を収集していたテロンの作業チームは、彼らの偉大な文明の
長く複雑で込み入った歴史が断片的に回収できただけで、膨大な詳細が明らかになるのは今後数世代を経た後かもしれない。しかし現在において判っていることもある。彼らにはゼムリア人という高度な先代先進文明があり、彼らは長いこと繁栄していた。その
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彼らが再編成した税制だが、個人は主に『負の所得税』とし、現金および不動産など全てに一定割合で課金し現金徴収を基本とした。この他に企業課税の『法人税』、国家が提供する各種サービスに対する徴税(たとえば関税収入に伴う関税収入や、国籍離脱・金融取引の外国流出分に対する課税、登録免許税など雑多)の三本立てとした。また徴税は可能な限りシンプルを旨とし、現金および換金によって収奪を試みたが、不可能な場合は最悪、物納とした。これについては後述するにしても、しかしより重要なのは税のテーゼだった。
彼らは知っていた。資本主義はおろか、あらゆる政治経済体制において『共産主義のような完全平等は有り得ない』と。と同時に国家と国民にとって経済成長が最も大事であると言うことも知っていた。また経済成長とはインフレであり、通貨的現象であることも判っていた。彼らは高度な数学的知識と統計的データを蓄えていたからだ。そこで、誰がどのように国富を生み出すかの根拠とメカニズムを再検証した。
その結果、国富は国内総生産力に依存し、これは実物資産+金融サービス資産の合算であり、これを国内で拡大再生産させるべきこと。この補完のために国債を中心とした金融財政政策を実施することとした。税はこの一環とみなされた。
よって国債と(公開市場操作や金利操作などによって)『同質』の存在である通貨=現金徴収が強く望まれた。
コメだの
よって、成長の主因でありながら、同時に庶民の生活を破壊する『インフレ』をより効率よくコントロール出来る『通貨』による収奪の方を好んだのだ。言うまでもなく、通貨はインフレの『可視化』に過ぎない事をよく知っていたからだった…。
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『国債』とは公開市場操作などを通じて行う『利子のついた政府紙幣』つまり『通貨』だ。よってインフレ・デフレの理屈そのものだ。そして国債が債務だとしてもインフレが発生すれば、お金の価値が下落するように『債務もまたインフレによって価値を減ずる』のだヽ(^o^)丿
これが『国家と個人の債務は別物』ということの本意だ。当然、地方債とも違う。
国債は唯一、消せるのだ!!(≧∀≦)
管理通貨制度を持ち、変動相場制を実施する国家が強大な権限と(国富をバックボーンに持つ)中央銀行があれば『債務は勝手に減らすことも可能』ということだった。国債という政府の債務を富に変換する錬金術のカラクリであり、政府債務は強力な中銀の存在をバックに『金融操作によって人為的に消滅させることの出来る唯一の債務』なのだ。これが中銀の役割だ。政府紙幣では全く出来ないことだ。
国債発行 →通貨インフレ発生 →経済成長発生 →可処分所得の増加
→通貨インフレ発生 →国債の価値及び利子の減損 →国家債務の消滅
勝手に作っては泡と消える。しかし国富創造という仕事は出来る『魔法』のようでさえある。だがこれが成長インフレの理屈そのものだった。
そして多くの国がこの魔法を使って先進国に成り上がった。
なら単純に『債務を返せないほど派手にやらかすな』…気にすべき事はそれだけで、利子率とインフレ成長率との関係が重要だったのである。
これが、例えば21世紀前半のテロン人のヤマッテの国のように総債務対GDP200%もある国の通貨『円』が、市場の信認によって常に円高にブレる要因の一つ(←全てではないけど…)なのだ。上述した強力な金融組織および金融制度を確立し、頑強な国民生産力が現在と未来を担保し、同時に過去からの蓄積である『債務の数倍の資産』を潤沢に持つ日本の必然の結果でもあった。よって長期国債の利子率も低いのである。冷静に考えれば「もうダメぽ(T_T) 死ぬほど不安」…というポートフォリオではないからだ。特に「日本人なら日本を愛そう!」という愛国心とも無関係だ。単純で正確な事実の羅列から導き出された単純な結果に過ぎない事だった。
要は、財政問題とは『債務との鬼ごっこ』に過ぎない。時々は派手なインフレやデノミ、もしくは増税によって『損失分を埋める』=皆がある程度は損することで『仕事』分の損失を補填する必要があるだけのことだ。これはつまり『実施可能』な選択肢な普遍の真理だった。
ちなみに、この時大損するのは『現金を沢山持っている富裕層』であることは意外と知られていない…。
デフレ以外の行動全ては『通貨の価値が下落する』からだ。なら現金資産など持っていても意味がない。それは消費に向かうべきで、テクニカルな技術があるなら投資に振り向けるべきでもある。意外な結論かもしれないが、カネは溜め込んで良いものではない。『使って増える』唯一の存在、それが通貨だった…。
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この理屈に従い、成長インフレを誘引する原動力を調べまくったところ、『富裕層によるトリクルダウンは有効な数式が成立できなかった』および『貧困層は常に国家にとって負担』の二つの厳しい現実を再確認した。この結果から、国家の基本となるのは『中間層』であることを理解し『中間層を分厚く強化する』…これ一本に絞り込んだ。
彼らは国家に発生する現象のほぼ全てが(=人間の情緒や精神疾患などのごく一部を除き)『通貨的現象の結果』と考えていた。マネタリストの集団っぽい結論だった。よって『階級制度』もまた『通貨流通の固定化の結果』とみなしていた。
そこで国家の基盤の確立を(富裕層や貧困層ではなく)中間層に求め、できるだけ多くの世帯を此所に取り込む事を目指し、まずはこの中間層内での『カネの流れの流動性』を重視した。すなわち『旺盛な生産と消費活動』という経済の活性化だった。
そして、貧者と富貴はこの中間層を『自由に上下する人たち』に留めるべきとした。階級間の格差もまたカネの流動性と捉え、『人と資本の自由な移動』で流動性を可能にする事を狙ったのだ。
いかなる時代でも貧困層は絶対に無くならない。しかし『貧困層を極力減らせば、国家と貧者双方の負担が減る』&『貧困層が固定化しなければよい』という、まさに『カネの流動性の保持』にのみ傾注したのである。
また富裕層も必ず発生する。そして彼らは増税に常に反対する。そこで何かの補正を加える反面、徴税は徹底するという『国家と個人との取引』に最後まで苦心していた。特に富裕層は政治経済で国家を独占する危険性があった。民主主義国家におけるエスタブリッシュという、新たな貴族階級の発生は撲滅する必要があった。これもまた『カネの流動性の保持』で対処することにしたのだ。
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同時に『税の目的の明確化』にも力点がおかれた。
主眼はあくまでも『国家経済を成長インフレに導くこと』だった。ただし、長期の持続的インフレは逆に庶民生活に打撃を与える事も知っていたから、短期的には成長減速=デフレによって市場の沈静化を図ることもあった。インフレとデフレを上手に組み合わせ、100年のロングスパンで右肩上がりの成長を見込むこととした。金融政策上、これを国債と中央銀行の機能強化・金融市場との連携によって対処することとし、他方、税制は財政政策のベースとなるべきと定められた。
さらに重要な事は、白色彗星帝国は超先進文明であったことだ。
前述のバラッサ・サミュエルソン効果のように『発展途上国からは安い物品が輸入されやすくなる』国だった。このため製造業は価格低下競争に晒される。それは勤労所得に頼る労働者の可処分所得(=手取り)が伸び悩むor減少することを意味していた。なので逆に帝国は金融大国でもあった。
先進国は富を大量に蓄えているために、これを積極的に対外投資に当て、そのリターンによって莫大な富を上げていたのだ。これは21世紀の日本やアメリカ等と全く同じ構図だった。ただし、この恩恵に預かれるのが『富裕層』だけだったことが問題の根源であった。
そのため働いて稼ぐ『勤労所得』以外に、国民の富をできるだけ金融投資に振り向け、投資のリターンによって豊かになる『金融所得』の創造に官民挙げて改革を行うこととした。これは金融国家化への道でもあった。税制改革は、これを誘引することを目的ともしていた。
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複雑な問題は本質を見極め、最重要課題の徹底解決のみを優先し、他の項目は状況によっては諦める…という賢者の割切りは、白色彗星帝国をしてアンドロメダ星雲域内での超大国化を約束する決断だった。100満点よりも90点で満足する知足安分という知恵と、合格点は所詮60点程度で、これを遥かに飛び越えていればOK…という冷静な計算が出来る知性も同時に備わっていたのである。
よって、カネの流動性の保持が累進課税制度の基礎概念となった。そして単純さを好む攻撃的な特徴は、同志に対しても情け容赦がなかった。
そこでまずは個人課税である『負の所得税』を中心に、どのような方向性を持って課税が行われたかを確認する。
【 後編に続く 】
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