「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§5-4-7・2100年代初頭から2020年頃まで 〜第一次内惑星戦争勃発。地球&宇宙わくわく南北問題(バカゲー)
§5-4-7・2100年代初頭から2020年頃まで 〜第一次内惑星戦争勃発。地球&宇宙わくわく南北問題(バカゲー)
○2100年代初頭、第一次内惑星戦争勃発
2100年、いよいよ人類は激動の世紀を迎える。二つの大規模戦争と、よもやの異星人襲来である。まずはその端緒となった人類初の宇宙戦争について語る。この頃の世界の様子を見てみる。
※ ※ ※
欧米各国および中国といった先進諸国は回復途上で停滞し、合わせてロシア・インドなども失速していた。アメリカはいまだに超大国ではあったが、相対的には影響力を落していたし、日本は前話で述べたように『たなぼた』で生き残っただけだった。
と同時に月や火星にも人類が移住して国連の信託統治下で高度な自治を始めていたし、太陽系には主に軌道力学上の問題から、太陽系内の各地に世界各国の小領土が点在していた。ここには領有権を主張するために地球の各国民が居住していたし、場所によっては移民が(勝手に)流れ込んでもいた。こういう地域は国内問題から逃れてきた人達が住み着く植民地である場合も多く、民族宗教人種問題の最前線の緊迫した雰囲気が漂っている場合もあった。
特に地球上の発展途上国は環境破壊の被害を一身に受けて
爆発しそうな世界をコントロールすることの出来る国家はもはや無く、世界は多極化による不安定さを増していた。しかも太陽系内惑星規模にまで膨れ上がっていた。
この矛盾は2100年代始めからの、欧米やロシア・新生民主中華連邦共和国などの地球上の先進諸国が、一応の債務問題を解消させ、旧来の超大国が再び世界と太陽系内に影響力を行使し始めた時、爆発した。第一次内惑星戦争の勃発である。
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人類初の宇宙戦争となった第一次内惑星戦争の契機と戦争の詳細な展開は他の書籍に譲るにしても、大事なことが二つあった。
一つは『全ての問題が解消したわけではない』ということ、もう一つが『火星を中心とした領域に次々と宇宙新興国が独立、もしくは主権を獲得するに至った』だった。
大まかな流れとしては、太陽系内での領域・資源争いが地球の国々に波及して、地球ではいくつかの軍事同盟が離合集散しながらも陸海空において(幾分抑制されてはいたが激烈な)戦闘が起こり、太陽系内惑星領域ではかなり全面的で大規模な戦争になった・・・だった。
少なくとも宇宙艦隊戦においては、結構普通に核兵器が使われていた。とはいえ、太陽からの放射線防御構造を持ち、近接宙空防御火器を装備した宇宙艦艇には、あまり効果は無かったようだったが・・・。
もっと言えば、この戦争は太陽系内惑星領域においても債務増加の問題が主因だ。開発と居住に関する投資で債務が膨らみ、90年代の経済恐慌で資本流入が行き詰まった。これが契機で宇宙植民地などでもインフレや失業が起き、散発的に市民暴動や民族対立が発生するようになる。これに地球各国が介入するという、いつもの火種のパターンから、徐々にコントロール不能の状態に陥って火だるまになった。
戦争直前期は、各国が経済力を回復しきれていない時期だったために、市民に十分な仕事・福祉を供給出来ないで社会不安を招いた時期だと言ってもいい。所詮、社会不安や戦争は間違えた経済政策を採用した政府のせいなのだ。そして大抵は、この間違えた政府を市民が支持した。
第一次内惑星戦争もまた、地球主要諸国による太陽系分割・自国権益の強引な拡大確保という政策的・国民的愛国心や民族主義が、グローバル化していた(太陽系規模の)世界市場・金融市場をダメにした愚行と言えた。愚行なので、結果も悪い。
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この戦争の終結した2110年代末、中東全域とアフリカのかなりの部分・南米の一部の国境線が書き換わることになった。他方、太陽系内では、火星までの内惑星領域における初の本格的な宇宙戦争まで発展し、当時まだ一億人といなかった非地球領域居住民のなかで25万人もの人々が戦禍で死に、複雑に入り組んでいた領域がかなり整理されることになった。
特に太陽系内惑星に散らばっていたこれらの領域は、資本や産業は先進国由来・住民は発展途上国からの出身者という、まるで1960年代まで続いたアジア・アフリカ・中東の植民地の様相を呈していたから、この戦い自体は『主要先進諸国vs発展途上国+宇宙移民諸領域』であり、特に宇宙移民は地球本国からの独立を目論むものも多かった。この戦争の後、国連の加盟国は一気に増えた。しかしただそれだけだった。
内惑星戦争によって疲弊した各国は、かりそめの平和と引き換えに矛盾を残したまま、時代だけがさらに下っていく・・・。
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この戦争の前後の日本ではあったが、結論からいえば『戦争にはほぼ無関係』だった。第一次内惑星戦争の時、日本に直接攻撃を加える国は無かった。近隣諸国の韓国・中国・ロシアにはその余裕がなく、またアメリカや欧米は他の地域への戦争に介入しており、日本周辺は取り残された感じだった。ノンビリしていた。
日本も宇宙空間に領土を少しばかり抱えていたが、かなり辺鄙な領域で、しかも専有領域も小さかった。なにより宇宙においては他国との国境問題がなかった。内惑星領域に独立国が勃興するようにもなっていたが、特段、彼らと揉めるような政治的事案もなかった。この時代でも日本の国境問題は中国・韓国とだけだった(ロシアとは21世紀終わりまでに北方領土問題を解決した)。
国内では憲法9条が生きていたし、大規模宇宙戦争に対する派兵戦力も無かった。2090年代には(100年前の1990年代と同じように)ロシア・韓国・中国が経済破綻を起こして総崩れとなり、国防力整備の意味が薄くなったからだった。なので自衛隊〜特に宇宙軍たる空間自衛隊の装備と戦力は、国力には見合わないほど劣化し旧式化していた。しかも戦力整備には時間がかかるものとも考えられていた。
そもそもこの戦争は短期で終わると思われていた。実際には内惑星領域(含む地球)の
世界を二分した大戦争ではなく、多数の有志連合勢力による『局地戦』の連続であるという認識と、日本領周辺が平和だったために、この第一次内惑星戦争には直接は参加しなかった。自衛権の発動案件がなかったことと、様々な国家や政治勢力が入り乱れた『分かりにくい戦争』だったからである。
陸海空・宇宙空間とあらゆるところで限定的だが激烈な戦闘が緩慢に続く状態で、経費は天井知らずでかかるだけでなく、負担に耐えられなくなった国が勝手に脱落したり消えて無くなったりもした。第一次・第二次大戦のような強固な同盟や国家意思が働いていたとは言い切れず、よって参戦の意味も意義も感じられなかったのは事実だ。まるでドイツ全土を舞台とし、全人口の1/3が虐殺された三十年戦争の二の舞いのようでもあった。これでは簡単には終わらない。
特に日本にとっては、外交と国際関係の基軸となる日米同盟があれば良く、アメリカからは直接全面参戦の要求も無かったことも大きい。むしろ、参戦要請のタイミングを逸したという感じだった。あまり期待されていなかったのかもしれない・・・
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戦争の被害がなかったのは、日本には良いことだった。だからといって、戦争で莫大な利益を出したわけでもない。過去の二つの世界大戦のような国家総力戦とはならなかったし、主要先進国は自国が灰になるような全面核戦争も避けた。国運をかけた世界終末戦争とも言い難く、戦時体制への移行は(特に経済力のある先進国では)なかった。世論に対する配慮があったためだ。
このため、事実上『中立国』だった日本でも、第一次世界大戦の時のような戦争特需の恩恵は少なかった。大戦争にはなったが、世界秩序の完全崩壊と新秩序の構築という状況ではなかったためだ。
特に日本の物資生産力は、宇宙文明まで発展していた人類文明の規模に比較すれば小さく、輸出による黒字も大幅に増えたものの、生産力の限界値まで到達すると頭打ちになった。人手不足・労働力不足や、戦争に対する漠然とした不安からくる生産拡大の萎縮がダラダラと続いたからだ。
その一方で、日本と取引のあった国々は戦争の悪影響で物資不足のインフレと経済力の低下、時に国家崩壊という状況になったから、この悪影響は出た。輸出減と現地資産の目減り・消滅である。
しかし金融面では大きな恩恵があった。同盟各国の外債を購入することで戦争を支えたからだ。これは日本の同盟国が強く期待していたことでもあった。日米同盟を基本とし、西側各国および長い同盟関係にある国や地域に偏って資金供給したから、結果として莫大なリターンがあった。
所詮、先進諸国と発展途上国では国力の差が大きすぎ、世界秩序の大変革も起きなかった。よって21世紀までの『宇宙開発先進諸国による国際秩序体制』は維持された。そして日本は先進諸国側のプレーヤーだった。よって日本は『勝者』の側に立てた。
何もしなかった割には、かなり潤った。1914年から始まった第一次世界大戦の時のような『成金』こそいなかったか、金融資本を中心に潤いが出た。そしてこのカネが日本国内に還流してきたために、大幅な円高と経常黒字でますます国富が増大した。当然、このカネの流れが国内市場を活性化させたのは言うまでもない。なので、少なくとも悪い結果ではなかった。
※ ※ ※
第一次内惑星戦争自体は『
問題はこの後、戦後に発生した日本国内での不動産バブルの方だった・・・。
【 この項目、続く 】
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