§6-7・【ここ最重要!】対GDP200%の国家債務を背負ったガミラス帝国の起死回生の一手とは?(その6) 〜デスラー戦法 ←地球防衛軍のヤマッテの国の皆さん、今日からやってみて【頼む読んで!】

○『デスラー戦法』〜宰相府と帝国中央銀行の採用した債務方法とは?


 まず、帝国中央銀行の抱え込んだ莫大な国債を『購入』するためだけの特殊会社『株式会社・帝国国債整理債務機構』が設立された。帝国預金法などの諸法に基づき、帝国政府と帝国中銀、市中銀行などが出資して設立した債務を処理するための会社だ。法人とすることで帝国中央銀行と切り離してリスクを分散するとともに、対処の柔軟度を上げるのが目的だった。主に政府と中央銀行が出資した。運用資金の元ガネだ。


 そして此処がまず、帝国中銀の国債のほぼ全てを購入した(一部残しておくのは『売りオペ』が必要になる場合に備えてだ)。その後、国債は債務機構の手によって証券化され『整理債務機構』の有価証券となった。一方、帝国中央銀行は国債売却分の現金を整理債務機構から受け取る・・・はずだったが、ほぼGDPに匹敵するほどの現金など用意できるハズもなかった。


 そこで債務機構側が『特別手形』のようなモノを発行し、これを受け取ったのである。特別手形は超超長期返済契約とした。これがキーポイントとなる。契約内容に関してだが、なにしろ中銀と整理債務機構そして政府が結託しているのだから、返済日時や利払いなんて好きに設定できるのだ。

 この『国債』と『特別手形』のやりとりで収支はあった。その結果、『国家債務』だった対GDP200%のうちの約半分が一瞬で『消滅』した。しかも手形とて有価証券の一種なのだから、この置換作業に不可思議はない。基本、これで終了だ。

 しかし逆に言えば、帝国中銀は『資産』である莫大な額の『国債』を特別手形に変えたワケで、このままでは本来、国債についていた利子収入分が入ってこなくなる。つまり『損』だ。そこでこの利払い分の『損失補填』を国民の税金で行うことにした。


 しかし帝国は現在、超低金利政策真っ最中だったはずだ( ̄ー ̄)ニヤリ。

 つまり利払い負担は超軽いのだヽ(^o^)丿♪


 どのくらい軽いかというと毎年、帝国政府が中銀に支払っていた国債の利払い費は大体1兆ガミラスマルク程度だった。要は先程の特別手形にコレを乗っければ良い。この分が『手形の負担』だ。実際にこの金額払って終了でもよかったが、それでは将来に対して無責任過ぎた。

 そこで、これを消費税8%→10%に引き上げる増税分で補うこととした。この増税分はおよそ3.5-4兆ガミラスマルクと想定され、カバーできると判断された。しかも一回こっきりの特別税ではない。『国家に生じた大損失』を、帝国政府を信任した帝国臣民が、自らの犠牲で経年で(最期まで)責任をとるという形になった。実体はタダの増税なのだが・・・。

 一方、デスラー政府はこの税金を『整理債務機構』という一企業に公的資金を投入するという形にした。


 無論、実際には一度投入したら、基本的には不足分でも出ない限りはこれで御仕舞いで、あとはこの増税分は国防費とか社会保障費とか何か別の使われ方をするのだが、理屈の上からは全負担を全帝国臣民が等しく負うことにして(なので消費税という人頭税になった)、国家と政府と臣民の責任は果たしたということにしたのだ。勿論、これも『帝国は相対的に他国に比べて税率が低い』という、充実した国力のある金満国家だから出来る増税だった。まあ、そうは言っても臣民からしたらイヤな話しではあるが・・・


  ※     ※     ※


 一方、『債務機構』は国債という債権を証券化した。これの一部を証券市場で売却し、手元資金とした。しかし金利は非常に低い。もともと超低金利の国債だったからだ。それほど沢山の買い手は見つからなかった。そこで主に帝国政府が購入した。この費用も先程の消費税分に一部含まれていた。実際は臨時予算や政府歳出の一部が当てられた。


 そして債務機構はこの資金を原資として投資信託を始めた。主にETFだった。帝国株式市場を中心に投資し、特に銀行救済の意味で活用することとした。これは債務返済後の帝国経済の成長のために必要な『市場に対するドーピング』と考えられ、過去に劇的な効果があった実績から採用された。また債務機構の人員への給与賞与や諸経費を稼ぎ出す必要もあったからだ。

 確かにETF自体はいろいろと問題点も多い。特に株式市場への過度なドーピングと見做され、連年で行うべきではないとも考えられていた。株式は国債のように、最悪、今回のような『国民合意の上での抹消』という手段が取れないし、運用にあたっては出口戦略も立てづらい。しかし、今回はそれらを踏まえても大規模な国債消滅によるショックを市場でも面で支えるべきと判断された。要するに株式市場活性化と強化策として活用することにしたのだ。


 ただし過半の証券はそのままに残しておいた。これには別の意味があった。この証券化した『債務』を成長インフレで消しにかかったのだ。こういうことだった。


  ※     ※     ※


 例えば帝国高卒労働者の初任給で考えてみる。彼らを『1労働初任給』という『価値を固定』したと看做みなすと、50年前は『1労働初任給=7,500ガミラスマルク』だったものが、それから50年後は『1労働初任給=150,000ガミラスマルク』ほどになっていた。もし同じ紙幣を使っていたとするのなら、この50年で紙幣の価値は1/20に価値が下落したことになる。成長インフレだ。もしこのレートが使えるのなら『500兆ガミラスマルクの国債だった債務』は、50年後『25兆ガミラスマルク』に相当するほど『価値が減損』したことになる。実際には『みんなの家計簿に0が一個増える』という方向だ。つまり全ての会計の数字が20倍になっているということになる。


 別の数字を出すと、たとえば今年の帝国の歳入と歳出は、アバウトの数字で、だいたい歳入・歳出とも97-98兆ガミラスマルク程度だった。おおよそ100兆だ。そこで、爆発的な経済成長があった時期を含めた過去50-60年間の帝国歳入・歳出を確認してみた。すると、およそ60年くらい前はだいたい歳入が1.2兆、歳出は1兆ガミラスマルク程度のものだった。条件がいろいろと違うが、およそ50-60年の間に『0の数が二個増えた』〜つまり、その分だけ経済成長したということだった。単純には言えないが、もし『全てがこうなる』と仮定したら、おそらく今日から50-60年後は帝国歳入・歳出は『0の数がもう二個増えてる』になるはずだ。


実際、経済成長がある普通の国はみな右上がりだが、伸び方は『/ライン』よりも『Jカーブ』により近くなる。成長インフレは各種金融財政政策と成長の累積効果が出て、より長期の方が激しいインフレが起きやすい。経年劣化によって通貨の価値が下落するのだから、同じ額面を使い続ければ、劣化分が徐々に蓄積していってるのだから、ある意味、納得の結果だ。特に様々な要因(←経済バブルなど)で爆発的な成長があったりするとインフレは昂進こうしんする。それでも実質インフレも進んでいるので(カネの0の数が増えても、増えなかった昔のように)生活できるのだ。しかし額面は違う。そのままだ。


 ならいまから50年後とか100年後の帝国歳入・歳出は約10,000-兆(=1京)を越えてる計算になる。この時、『債務機構』が後生大事にかかえていた旧帝国国債・いまは債務機構の株券の残りが、たとえ500兆ガミラスマルク分残っていたとしても、政府が1京の歳入の中から500兆分支払って抹殺したら良いだけのことだ。現代の価値でいえば5兆ガミラスマルクくらいのものだ。百年かけて借金を1/100に(勝手に)減らしたということだ( ̄∀ ̄)♪


『時間の経過に伴って、成長インフレのため通貨の価値は減損する』・・・まさにそういうことで、時間によって債務を圧殺したのだ。そしていまでさえこの倍くらいの金額を、ごく普通に臨時補正予算で突っ込んでいるくらいだから、返済も容易なはずだ。

 ここまで来たらあとは政府がもう一度、債務機構に対して公的資金を投入してやれば良い。そして最期シメに、債務機構はこのカネを帝国中央銀行に持っていって、100年くらい前の(もう誰もが忘れていたであろう)『特別手形』の額面通りの支払いをすればOK。実際の価値の1/100以下に下がった手形を、だ。これで完済だ。あとは債務機構を会社法に従って事業精算する。終了m(_ _)m


「むりだろ? 債務返済までの期間が長すぎやしないか? そんなの現実にありえねーだろ?」・・・みたいな意見に対しては、


クラウス「アンタらヤマッテの国だって、日露戦争の時の外債で返済計画80年って無体なのあったろ? アンタら1980年代まで返してたやんけ」(c.v.神谷浩史)


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 帝国政府に関しては、この100年くらいの間に数回ほど公的資金投入することになるが、これは政府の特損で計上する。結局、大規模な債務返済をするのにタダだったり損しなかったりは有り得ないのだから、やむを得ない。しかし金額は帝国財政にとってはもはや微々たる規模だ。同じことは帝国臣民にもいえる。彼らは消費税を延々と払い続けてきたのだ。別に得したわけでもないし、ズルをした訳でもない。過去100年で一体どれだけの消費税(8%→10%分)を払ったかを考えればいい。ちゃんと精算事業を行ったということだ。なおかつ帳簿上の収支だってあっている。

 逆に、特別手形もこうなるように設定すればよく、仮に100年後でもまだ金額が大きいと思ったら、一部支払って、もう一度手形を切り直したらいい。交渉は政府・帝国中銀・債務機構が相談したらいい。所詮、こやつらはグルなのだ。仲良く談合してタダ同然にしたら良い。それでも特に問題はないのだ。外国人の資産ではないし、臣民が良いといえば、それでいいのだ。


 なにしろ実行主体の政府はちゃんと増税し、債務に対して責任を果たした。帝国臣民は消費増税という経年課税の負担を強いられた。100年後の未来の世代は、最期に公的資金投入という責任を負わされた。全員が道義的な負担を負った。しかもこの間、外国人国債保有者に対する資産接収は一切行わない。対外的にもスジを通した。分かりやすく言えば、国家破綻を100年かけてやったor整理した・・・に過ぎない。肝心なことは「返済計画は100年かけてやったら良い」というだけの事だヽ(^o^)丿♪


 逆に言えば、国家破綻した方がよいというのか? ←逆ギレ(# ゚Д゚)!

 そうなれば帝国臣民は塗炭の苦しみを味わい、外国人とて債権一部放棄や保有資産の減損などの損害が出るのだぞ!!

 誰にとっても幸せになる方法を実行すべきではないのか!?(・x・)コロヌ


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 ちなみにもしもこの途中のプロセスで、債務機構がもし投信などで利益を出しているというのなら、そっちを分社化・独立法人化して存続させればよく、大穴開けていたらその分も補填すればいい(←これが最大の損害になるかもしれないくらいだ)。誰かが『株式化したのに会社がリザーブしてるのはおかしい』みたいなクレーム垂れたら、持株会社を別途設立し、ここが債務機構の証券を全部引き受け、ETF事業などの会社を子会社として再編成すれば良いだけの話。それまでの本社を一子会社に下げて株式関係を綺麗に整理したkadokawaホールディングスのように、だ。川上元CEOもいまはフリーの身なのだろうから、彼にでもやらせたらいいだろう。


 勿論、この間に急激なインフレ成長があったりしたら、負担はさらに減る。もしくは短期間に圧縮される。もしも全部株式に転換したみたいな状況にするのだったら償還期限とかもない。手形のような有価証券には返済期日はあるが、全員がグルなのだから、あってないようなものだ。永久劣後債(償還期限のない債務)とも違う。金利が付いて回ることはない。この理由もあって債務を一度、証券化したのだ( -`ω-)✧


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 しかし、これら全てには絶対条件があった。『絶対に経済成長しなくてはならない!』だ。要するに成長インフレ(←帳簿の0の数を増やすこと)によって、いまの金額で寝かしておいた債務を後で『圧縮して、一気に整理する』のだから、そもそも成長しなくては成立しない。なにより『国家債務』を無くして身軽にするだけでは『やせ衰えた』ことにしか過ぎない。なぜなら『国債』という『国民資産』を消滅させてしまった『大損』でもあるからだ。だから、この分以上に取り返すべきなのだ。


 ということは今回の債務整理の本質は借金を無くすためではなく、『新たに借金するため』の債務整理だったのだ。

 また借金して、その借入金で再びデカくなるために借金をブッ潰したのだ。


 よって帝国政府は、事態が沈静化したら再び国債を増発し、市中銀行はコレを購入して国富を増大し、中央銀行は売りオペ・買いオペを駆使してインフレを恣意的に発生し続けねばならない。これで帝国は否が応でも成長する(否、するしかない)のだ。なんならもう一度、GDPの200%くらいまでは国債を刷りまくったら良い。いままでやっていたのだから、出来るはずだ。その際、本当に大切なことは「無駄に増やすな!」だけだ。「国債の増発分の全てを国富に化かしてやる!」くらいに頑張るべきなのだ。


  ※     ※     ※

 

 本当のことを言えば、中央銀行保有分ではなく市中銀行などが持っている分の国債を(たとえば政府紙幣などで)政府が買い取る方が手間はいらないし、より目に見える形で債務返済が出来たことだろう(そんな手続きが正当かどうかはともかくとして・・・)。

 なにしろ帝国中銀由来の負担は小さい。現状、帝国国債の政府負担は歳出の三割もあるが、その中で中央銀行由来の負債は1/20以下だった。微々たるものだ。正直、中銀の国債を消したところで財政にはあまり意味がないとさえ言えるだろう。


 しかし低金利かつ、景気刺激策の結果として市場から国債が消失している今、銀行から国債をこれ以上抜き去ることは『利子の付く現ナマ』を引き抜かれることになる。今の段階で既に銀行は国債が無いために資金不足なのだ。これでは無理だ。また「だったら中銀の国債を放出して銀行に買わせ、その後で引き抜いたらいい」に対しては、「そんなことしたら激烈自国通貨高&激烈緊縮策となり経済成長が死ぬ」だ。そもそも経済成長のために国債を狂ったように増発したのだ。全てが無になる。なら現状、これも打てる手ではなかった。

 それに今までのような超低金利政策を永続させることなど、そもそも出来ない。これをやめれば国債による負担が爆増する。結局、臣民にとっては良いことなどなく、増税・インフレ・失業、そして失策が重なれば国家破綻などの形でツケが彼らに回る。


 なので次善の策であっても「いまのうちに債務の総額それ自体を減らし、将来の負担を減らす」という、より中長期的な観点から今回の手段を採用したのだ。そしてこの手段は、超低金利・(政府に類する存在の)中銀が莫大な国債を抱えている・国債保有者のほぼ全てが自国民などの、いましかないようなタイミングに今、速やかにやってのけたのだ。大規模債務整理など、そう簡単に出来るものでもないのだから、丁度よいタイミングだったとも言える。

 要するに、国債を『債務』と考えて、債務の総量が多くて将来に禍根が残ると考えたのだったら、


『国債→引き抜いて債券を証券化(⇔手形化)→帳簿から外す→時間経過→額面価値が下落する→税金投入で一気に終了〜♪』


・・・ただ、それだけのことだった。なんのことはない。似たような国がもし無限に広がる大宇宙の何処かであったとしたら、さっさとやってみたらよい。ただし『再成長のための債務整理』というのが、他の国のように債務でデフォルト起こしボロボロになってしまった国家とガミラスとの決定的な違いでもあった。ボロボロになってから立ち直るのではなく、ボロる前に立て直すべきなのだ。よって少しでも余りカネが出たら、市場増強や政策投資に振り向けるべきなのだ。もう一度『豊かに太る』ために。デブは素敵だヽ(^o^)丿! カナダのデブでもだ。


 よって今回の劇的な政策の力点が財政の健全化や債務削減ではなく、将来の国力増幅のための成長インフレに力点を置いているということに著しい特徴があった。つまり余力の全てを再度、国債増発と国力増強に注ぎ込む通貨膨張リフレと積極的な経済財政政策の再起動へ! ・・・というプロジェクトでもあったのだ。

 民力増強のための成長インフレを目的にやったこと・・・これが最大の眼目だった。どうせいずれ全ての国が債務で火だるまになる。必ずだ。ならタイミングとチャンスと逸するべきではないし、蹶然けつぜんたる意思と強固な行動力をもった政府が自己責任で貫徹すべきことなのだ。避けては通れない。デスラー政府には決意があったのだ。ガミラスにとって幸いなことに・・・。


  ※     ※     ※


 要するに『成長インフレが国力増進・民力滋養・生存能力の向上・債務の削減に繋がるのなら、成長インフレ出来るように資産整理したら良い』・・・それだけの、実に単純なことだった。

 そのために選ばれた今回の手法は、後に宰相府の名を採って『デスラー(・インフレーション)戦法』と呼ばれるようになった。国家の総力を挙げた債務との戦いという意味で、いかにも武勇を誇るガミラスらしいネーミングだが、意外な事に、有名になったのは実際の戦闘でであった。

 帝国の名将エルク・ドメルがタランチュラ星雲会戦でワープ能力を持たない艦載機を、瞬間物質移送器によって敵前に瞬時に多数投入するという攻撃方法がそれで、突然、艦載機が沸いて出る様が、今回の『債務を一瞬で消した&一気に拡張経済インフレに移行した』という、利子と通貨の消滅と膨張インフレーションに似ている・・・というところから付いた名前だった。なのでこの戦術を採り始めたドメルの名ではなく、『デスラー』戦法と呼ばれるようになったのだ。そして『デスラー』とは、この政策を指揮決定したエーリク大公その人のことだった。


 では、この結果、ガミラスはどうなったか? それは歴史が記す通り・・・大勝利である。

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