§7-2・なぜテロン人はガミラス人と手を組んだのか(その1) 〜ガミラス帝国国債の使い方と日本が米ドルを100兆円も溜め込んでいる理由について

 拝啓、テロンの皆様。

 どうやらガミラス帝国と仲良くなったようですね。しかも和平条約まで結んだとかで・・・?

 微笑ましいですね。平和って、ホント、素敵ですね(すっとぼけ)。



「ざけんな! なぜ、あれほどまでに戦いまくってボコボコにしやがったガミラスなんかと和平条約なんか結ぶんだよ(# ゚Д゚)!」



・・・そんな声が聞こえてくる2202年の今日この頃。お腹立ちはごもっとも。しかし、地球とガミラス帝国とが同盟を結んだのには『当然』の理由があったのだ。いやむしろガミラスにハデにボコられた地球にこそ、ガミラス帝国が必要だったからだ。軍事や科学技術の援助が必要だったというのも多分正しい。皆、そう思うことだろう。あれば確かにありがたい。技術移転費、高そうだけど・・・。


 しかし真の理由は違うのだ。ガミラスの軍事技術や科学技術の確保は二の次で、本当に喉から手が出るほど欲しかったのは、ガミラス帝国の経済力を背景に、地球経済を立て直しを図ること・・・これだった。なにしろ2200-01年の地球は戦後大恐慌の真っ最中だった。どう転んでもガミラス戦役時の膨大な負債のために全人類規模での経済破綻を起こしていただろう。この経済不況から脱し、出来るだけ早く戦後復興して人類文明を再興しなくてはならない。国民生活再建なくしては、政治・軍事など何一つ立ち行かない。そして、そのための方法は一つしか無い。



 ガミラス帝国発行の長期国債を大量購入する ←これ一択!



「なんでそうなるの・・・(-_-;)?」

 そう言われそうだが、理由がある。


 国家経営の要訣ようけつは『エネルギーと健全な金融』だ。エネルギーに関しては幸いにも次元波動超弦跳躍機関が存在する。これは使える。しかも極端に安い。また太陽系内外には原材料資源はふんだんにあるし、復興需要も沢山ある。ただし金融機関がおしなべて債務超過で機能不全に陥り、各国及び国連でさえも戦時債務で破産していただけだ。『カネがどうにもならない』ということだけなのだ。

 ということは逆に言えば、地球の問題は究極、『借金整理と増資』ということに尽きる。この『足りないカネ』を作り出すためにガミラス帝国国債が必要なのだ・・・


  ※     ※     ※


○日本や中国が米ドルを100兆円も溜め込んでいる理由


 よくアメリカなどから「日本(や中国)は対米輸出をするために為替操作をしている。自国通貨を下げるために米ドルを購入しまくっている」みたいな話しがされることがある。実際に米国債の購入は日本円(や人民元)の下落と米ドルの上昇をもたらすのだが、本来の目的は為替操作などではない。「自国通貨の供給量の担保金」として溜め込んでいるのだ。

 

 我々は『国債は国力増強のドーピング剤』だということを知っている。そのために『公開市場操作』という金融政策を採る。


§2-1・インフレとデフレについて100人のガミラス人の村で考えてみる(c.v.神谷浩史)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884987864/episodes/1177354054885009975

および§2-2〜§2-5の各内容…m(_ _)m


…ということは、国力を増強させるために円や人民元を市場にバラ撒くということは『自分の国の現在と未来』を担保にした『信用取引』のようなものだと考えることが出来る。しかし・・・


(;一ω一) 「その国が破綻したら結局、終わりやんけ・・・」


・・・という、当然の不安が出てくる。

 そこで『絶対にコケない国』の国力を担保にしようという考え方が出てくる。それがアメリカだ。つまりドルだ。


 アメリカは世界最強の軍と経済力を持ち、民主主義という『政治に問題があった時、内戦などで自滅すること無く速やかに政治体制を立て直せる制度』という、これまた国家がかなり長持ちしそうな将来性のある政治政体を採用していた。これだとアメリカがコケる心配は極めて少ない。たとえば第三次世界大戦になったとしても、最後まで持ちこたえるのはアメリカだろうと想定できる。この国のカネは、最後まで燃え尽きないだろう。一番安全だ。そのために『アメリカ』という国の現在と未来を担保に、日本や中国が自分の国の信頼を強化する・・・という方法を採用する。日本が100兆円以上の米ドルを保有しているのはこのためだ。


 この『最強国を担保にする』行為こそが、最強国の長期国債を購入するということに他ならないということだ。


 このカネを持っていれば、万が一に日本が借金などでカネが無くなったという場合でも「米ドル100兆円分もあるから、まずは大丈夫」という話しになってくる。実際には取り崩すことさえなく、ずっと保持しておくことで『安心感』を市場に与えるのが目的だ。こうすれば極端な話、日本円は『日本国の現在と未来+アメリカの100兆円分の現在価値と未来の価値』を担保に、限界イッパイまで増やすことが出来る。日本一国の信頼よりも、遥かに巨大な信頼が手に出来るのだ。ある意味、最強国アメリカに連帯保証人になってもらうようなものなのだから。


 ということは世界の通貨の構造は『第二次大戦時に世界中から米国に集積したきん=米ドルの担保 →米ドル大量発行=日本などの主要国通貨の担保 →各国通貨大量発行』という『寄っかかり』な構造になっているのだ。


 元々は1944年のブレトン・ウッズ協定にまでさかのぼり、このときに金1トロイオンス=35ドルで兌換できるとされていた。連合国の戦時国債を一手に引き受けていたアメリカが事実上、この宣言で「ポンドに変わってドルが世界の基軸通貨になります」と宣言したようなものだ。実際、第二次大戦の結果、全世界の1/2から3/4の地金のきんがアメリカに集まったとされている。この時の大量の金を担保として、米ドルは通貨の供給量を増やしていった。これが1971年のニクソンショックまで続いた。


 このニクソン・ショックとは要するに「もうきんとドルとを交換しません」と突然言い出した事を意味する。一応、米ドル発行の裏打ちとなるきんをある程度、保全しておくため・・・と言われているが、実際はとっくのとうに使い切っちゃっていて、もう全然残っていないからと良く言われている。筆者もそう思うが・・・


「まあ、あることにしときましょうよ(^m^;)」


 ・・・ということで不問に付したまま、すっとぼけているようだ。事実確認はともかく、この後、世界は本格的な管理通貨制度に移行していく。実際に運用がこなれてきたのは1980年代になってからで、ベースとなる担保を確保した後で、何倍もの通貨供給を行うというやり方で成長インフレを起こし、世界経済は急拡大していったのだった。事実、過去40年の経済規模の拡大はそれまでの規模拡大を上回るほど大きい。これが成し得たのも通貨供給量が増えたからに他ならない。カネの総量が増えれば、ある意味、当然こうなる。


 よって、大切な担保金なのだから、そう簡単に日本が米ドルを取り崩せるワケはなかった。根抵当を取り崩す時には、事実上「オワットル」になってるからだ。しかも『万が一の時でも大丈夫』という安心感を市場に与えることは、常に重要だ。通貨は『国家の信頼』を裏打ちとしている。「日本国は永続します。そのために政府として責任ある行動をとります」というメッセージを市場参加者が信頼しているから、円の価値はいまでも高い。つまり『信頼』とは安心感なのだ。よってますます一層、取り崩すべきではない性質のものといえる。事実、2011年の東日本大震災の時の日本がそうだった。


 東日本大震災の時、日本は輸出力の全てを喪失した。産業国家だった日本にとってこれは致命的だった。しかも莫大な損害から資金不足が予想され、将来性への不安から日本円・日本株・日本国債が暴落する可能性があった。これらが原因で、大規模な金融恐慌さえ引き起こしかねない程の危機的な状況だった。実際、市場では「困窮した日本が最後の手段として米ドルを大量に放出するのではないか?」と誠しやかに言われた。だが実際は逆だった。


 日本政府・日銀は、未曾有の損害が発生したこの土断場でさえ、米ドルの大量放出はしていない。もし大量放出していれば(←米ドルを売って、手元資金を増やす)米国債と米ドルはかなり下落しただろう。だが、そうなれば全世界の米ドル資産保有者の資産が目減りする。それは日本が売り残した米ドル資産の下落と世界経済の混乱を意味した。日本においては円の裏打ちが目減りするということだった。なにより「日本はそれ程までに困窮しているのか?」という不安から、本当に円大暴落→国債暴落→国家の債務危機顕在化と災害被害の将来的不安→日本経済恐慌という破局を招き兼ねなかった。

 よって日本政府と日銀は、世界に迷惑をかけず(←そのことが日本の未来への信頼を担保する)、同時に日本自身を救うためにも米国債の大量放出という安易な手段を採ること無く、ある意味、国民の犠牲と忍耐を強いても時間をかけて復興するという決断を下した。


 この正しい判断の結果として、日本は円高のまま推移出来た。これは奇跡的なことだ。普通、国家が大損害を受ければその国の通貨は信用不安を起こして下落する。しかし日本では一向に下がらなかった。むしろ80円→78円にまで上昇したほどだ。これは世界が、「日本は最後まで踏みとどまる」という日本の決断に信任を与えた結果と言っていい。そのため『輸出 <<<< 輸入』という圧倒的貿易赤字の時でさえ、赤字幅が莫大なレベルにはならなかった。海外からの物品購入が安く済んだからだ。特にエネルギー資源や生活必需品などが、より安く手に入った。悪性の物価高インフレが発生しなかった理由だ。輸出力を失った時は特に、円高の方が良いのだ。


 この逆の話もある。つまり米ドルを大量に持ちすぎてもあまり良くないという話しだ。

 米ドル、つまり米国債を継続的に購入し続ければ、本当にアメリカに「為替操作のためだろ(# ゚Д゚)!」と言われてしまうし、実際そうなる。また米ドルだらけになった時、もしFRBの利上げや米ドルの一時的な暴落などの短期的な変動要因があった時、その影響を受けやすくなってしまう。リスクヘッジのために、やはり分散投資が必要だ。


 よって『長期的な安定担保資産』として米ドルが必要になってくるということなのだ。それも適度な量が、である。このカネはむやみに放出すべきでもない。担保金に手をつけることは、通貨と国家にとって最も重要な『信頼』を傷つけることになるからだ。それが引き金になって、自国通貨の下落を招きかねない。特に災害や経済的破綻などによって国家が困窮しているときはなおさらだ。


  ※     ※     ※


 2200年の地球はある意味、そうだった。非常に困窮していた。

 膨大な戦時国債の負担のせいで金融資本を何時まで経っても解消出来なかった。強力な国家が存在していないために、その国の通貨に依存することが出来ず、さりとて地球連邦政府も莫大な債務保証と脆弱な経済基盤・政治統治能力のために、強力な地球統一通貨を設定することが出来なかった。つまり悪性のインフレを駆逐することができかったのだ。

 この脆弱で危機的な状態は慢性化する危険があった。過去100年の間に六回もデフォルト起こしたアルゼンチンのようになりかねなかった。


 一番良いのは地金のきんを大量に採掘することだったが、太陽系全土から掘り出すのには時間が掛かりそうだったし、そもそも精製した金は地球連邦政府のものなのか、それとも何処かの国が保有するものなのかでガタガタと揉め始める有り様だった。テロン人はカネに汚い。しかも貧乏な時は、ますます汚い。精製に手間暇かかるのも問題だったし、莫大な債務保証に当てられるほど金が採れるかどうかも怪しかった。そもそも採掘用の資材が隕石爆弾のせいで残っていなかった。石塊いしころきんを駆逐したようなものだ。こりゃ、本当に困った・・・(T_T)


 そこで、第二次大戦時の米ドルと同じ役割をガミラスに担ってもらおうという発想が出てくるワケだ。

 ガミラス国債ならば、事実上、売買取引データのやり取りだけで済むから手間暇かからないし、地金のきんよりも大量に担保金を集められそうだった。特に大量に裏打ちを確保できそうなことは、実に魅力的に映ったことだろう。おまけに利子も付く。大量に保有していれば、利払いの還付だけでもウハウハものだ(^m^)


 ガミラスはBBY-01に土足で踏み荒らされたとは言え、いまだに大マゼラン星雲でブイブイ言わせる超大国だ。しかもBBY-01ヤマトにのみヤラれただけだし、その『漢のフネ』はテロンのフネだ。もっと正確にいえば『イスカンダルの技術のフネ』であって、女神をタラしこんで無敵チート能力を手に入れたラノベの主人公のようなBBY-01は、もはやSFでさえない。無限に広がる大宇宙の例外中の例外だ。だから、負けても気にする必要もない。

 なので、理屈から言ったらテロン以外は今なお無敵で最強だ。しかも連中から「今度は味方になって〜(^o^)/」と媚びてきたなら、ガミラス帝国にすきはない。むしろガミラスは『強い』とさえ言えた。


 ならテロン以外には無敵なこの大帝国の強大な軍事力・政治力・経済力を担保にし、米ドルを購入した日本のようにガミラス帝国国債を購入して『担保』として使うことで地球連邦発行の通貨供給を行えばよいのだ。要するに、地球がガミラスの威を借りて相乗あいのりするようなものだ。理屈からいったらガミラス帝国が潰れない限り、この地球連邦発行通貨の価値は値崩れしないし、そんな事出来るヤツはBBY-01ヤマトくらいなものだろう。アイツらにガミラス目掛けて波動砲を打たせないよう命令するだけで良いのだから、カネも掛らない。


「なら始めから戦争すんな」と言われそうだが、この『対等の関係』もまたガミラス戦役によってもたらされたものでもあるのだ。普通に考えれば、劣等人種のテロン人は奴隷か二級市民だろうから、莫大な犠牲を出した価値はあったのかもしれない。殺し合った末の対等の関係と言えた。この意味においては『戦争も正しい』とさえ言えた。この冷厳さが宇宙の真相でもあった。よって『戦争はコスト管理が肝要』と言えるのだ。平和が全てではない。避けられないのなら、方法を考えることだ。戦争で負けたりコスト管理に失敗すれば、2200年の地球のように破滅するのだから・・・。


 しかし貧乏な国家が、外国債をゲットしただけで国力を増強出来たりするものなのだろうか?

 そんな例があるのだろうか?


 ある。

 大日本帝国がまさにそうだ。そこで次回は、大日本帝国と英国との金融の歴史を日清戦争の結果から解説しようと思う。大日本帝国の『円』制度の確立の物語だm(_ _)m

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