「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§7-9・なぜテロン人はガミラス人と手を組んだのか(その8) 〜2200年代初頭の地球・ガミラス帝国間の通商政策について概観する
§7-9・なぜテロン人はガミラス人と手を組んだのか(その8) 〜2200年代初頭の地球・ガミラス帝国間の通商政策について概観する
○2200年代初頭の地球経済の概略について
ガミラス帝国との間で通商・貿易に関する一般協定の調印にこぎつけた人類。この結果として、両国は段階的な市場開放と互恵的な関係の構築が謳われた友好的なものだった。
さらにこの植民地譲渡に伴うガミラス国債購入という両国間の取り決めには、他にいくつかの付随する
たとえば譲渡植民地やその付属利権区に関する事項などた。この地域は地球の支配下に組み込まれた。これらを見事に開拓できれば、それは地球側の税収入や経済力増強に直接、役立つだろう。
また同植民地および地球本国・ガミラス帝国本星領域内における金融取引や金融業務に関する各種法整備も進められることになった。特に双方の国内法に従って金融行政・金融業務が行えるようになったことは大きい。金融の解放・自由化だ。
これにより地球側はガミラス帝国内で自由に資金移動が出来るようになった。逆に新植民地領域において、ガミラス帝国は各種産業投資・銀行・債権・生保・損害保険業務が引き続き行えることが可能になっただけでなく、地球においても金融業務が行えることとなった。これは地球復興に際し、ガミラス帝国企業による対地球投資を円滑にした。地球人にとってもメリットはあったのだ。
なるほど、貴方も時々、壁にガミラス帝国人に対する中傷のようなラクガキがされているのを見たことがあるかもしれない。まだ戦後すぐだったし、別に地球が負けたわけでないので反感や敵意を
また、これによりガミラスは地球連邦統一通貨での起債(←地球で、地球のカネ使ってガミラスの債権を買ってもらう外債のこと。テロン債)が可能になり、またガミラスによる投資や両国間での為替業務に参入することも出来るようになった。金融スワップ業務などは、経済規模が巨大になっていく地球とのやり取りにおいて利益の見込める分野でもあった。金銀銅やレアメタルのような現物などが自分のところでいくらでも手に入るガミラスは、別段地球から天然由来資源など欲しいとも思っていない。ウンと安いのなら別だが。
むしろ彼らは、中長期的な投資対象としてテロン人を見始めていた。彼らが経済成長してくれればそれで良く、無限大に経済成長するつもりなら、地球連邦債や株式投資は魅力ある安定資産に映った。
あと変わったところでは、ガミラスによる『医療関係業務の参入要件』が挙げられる。
天然資源はこの宇宙のどこからでも手に入ったが唯一、地球でないと手に入らない物もあった。それが医療・製薬事業だった。地球固有の医薬品や生物由来の生成物に関しては、ガミラスも研究・取得への強い要望があり、科学領域の発展の意味合いもあって市場開放された。
なにしろガミラスにはペストや天然痘はなかった。なので感染すれば帝国全土がパンデミックに襲われる危険があった。これらは地球と一致協力して対処すべき事柄でもあったのだ。
実際、ガミラスにネズミが出始めるのはテロン人との交流の後で、軍民の宇宙船内にまぎれて帝国全土へと広まっていった『侵略的外来危険生物』だった。ネコもまたガミラス帝国全土でペット化するのだが、当初は艦内のネズミ退治用に持ち込まれたものだ。他にも地球産の動植物のせいでアレルギーが出たりもするし、第一次産品の輸出入の検疫にも関わることだったので、ガミラスは強くこだわった。
一方、地球側は民間銀行等がガミラス国債の購入が可能になっただけでなく、ガミラス帝国国内への直接・間接投資が可能になった。帝国内本星や植民星の不動産や株式投資、M&Aや業務提携などだ。これらは地球側に利益をもたらすだけでなく、技術開発力の取得にも貢献するし、ガミラス帝国自身の経済の活性化にも役立つ。さらにガミラス帝国領域内での保険業務・宇宙空間航海損害債権業務に乗り出すことが出来たことは大きい。
この時代、まだ宇宙での航海には危険が大きかった。なので損害保険業務は実利の大きい産業だった。しかも金融業はテロン人がガミラス人とマトモに勝負できる唯一の『技術』とも言えたから、この領域での自由化はむしろ地球側にメリットが大きかった。
なにしろ帝国国債の大量保有者なのだから、これらをベースに帝国内での投資運用・M&A・株式取得などに励んだ。受け入れてくれたガミラスに感謝すべきだろうが、ガミラス国内の経済増強に寄与したのだから、ガミラスも感謝すべきなのかもしれない。
ガミラス帝国の経済力は、衰えたとは言え桁外れに莫大なものがあり、民族格差・階級格差があったとしても民間資本力は相当なものがあった。やはり大変豊かだった。『持ってるヤツは持っていた』のである( ̄∀ ̄)!
こうなればテロンの商売人にとって、ガミラス帝国とその
この結果を受けての、アベルト・デスラー
総じてガミラスの方が科学技術力が優れていたから彼らが欲しがる地球製品はあまりなかったため地球側の赤字が続いた。とはいえ、ガミラス本星領域ではなく二級市民の運営する各植民地相手ならば、繊維織物などの軽工業および一部重工業製品などの機械化学産業製品の輸出も可能だった。安くて壊れにくい手頃な高度機械製品の輸出がガミラス植民地相手には可能だったのだ。廉価製品の大量販売だったが、帝国の広大な領域からすれば、それなり以上の利益が見込めた。事実、帝国は長く続いた対外戦争によって、国力が少々落ちていたことは事実だった。一部生活必需品や民需産業製品などの物資不足とインフレもあり、ここに入り込む余地が出来た。典型的なニッチ戦略と言っていい。
なにしろ地球でさえ民需を埋めるための大増産は必要で、次第にこの生産力余剰分をガミラス帝国内各地に輸出することが出来るようになっていった。ガミラスとしてもこの地球側の生産企業からの設備投資需要があったし、資金需要もあったから、地球への輸出および資本投下が帝国企業を潤した。
特に帝国植民地および帝国との通商同盟関係にあった国に対しての輸出は地球側にとってもメリットがあった。決済には最強通貨ガミラスマルクが使えたし、ガミラスの金融機関と連携すればCDS(クレジット・デフォルト・スワップ=取引損失に対する保証金みたいなもの)契約も簡単だ。なにしろ取り立てはガミラスがやればよいのだから。カネは潤沢にあり、ガミラス国内での金融移動に過ぎないから為替の問題も生じない。そして地球と各植民地・同盟諸国との通貨の力関係は地球の方が(経済力が弱いので)安かったから輸出はより容易だっただけでなく、対外M&Aにはガミラスマルクを使うことも出来たから、こちらもリスクがより少なく安く済んだ。
これらの結果、初期の両国の貿易では最初の数年は一次産品・二次産品ともにガミラスの大幅黒字であったが、ガトランティス戦以後は一次産品に関しては輸出も出来るようになり、また二次産品に関しても軽工業などの庶民用の低価格商品などは販路があった。例外は医薬品などで、これらは地球の稼ぎ頭であった。つまり重機械工業製品は地球側の大幅赤字だったのだ。
これを穴埋していたのが第三次産業のサービス収支で、いきなり黒字が続いた。これは地球とガミラスとの間の為替の問題で、ガミラスマルクの方が遥かに高く、それでいて地球の官民ファンドがガミラス帝国内で主にガミラスマルクでの資産運用に励んだため、これを換金した時の利ざやがデカかったからである。当然、ガミラス国内における地球人による資産保有率は国債を含めて高いものがあった。
よって貿易収支では地球の赤字。一次所得(←金融収支)では地球の黒字となっていた。トータルではかなり長いこと地球側の赤字が続いたが、赤字幅は徐々に縮小していったし、地球もまた長く経済繁栄を謳歌していたから赤字が減らなくても心配もなかった。この場合の地球連邦収支の赤字は、国の富が減少したのではなく『経済成長していた時の、足りない分をガミラスから輸入していた』という生産力不足を意味しているに過ぎないからだ。地球経済はガトランティス戦時を含めても、急速に拡大する一方だった。
ただし、これらは『産業』に関してのみだ。より重要なことがある。
ガミラス帝国国債を大量保有したことにより、ガミラス帝国にとっても『配慮すべき友人』にのし上がったことが大きかった。
大日本帝国と大英帝国に似たような関係が出来上がっていったのである・・・
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