§7-8・なぜテロン人はガミラス人と手を組んだのか(その7) 〜僅か2年で強力な波動砲艦隊を整備できた、地球の経済力の源泉を探る

○譲渡されたガミラス帝国植民地を元にした債務整理と急速な経済復興のやり方について


 ガミラスが譲渡した幾つかの植民地を担保に、テロン人が大量のガミラス長期国債を購入するということで話しがまとまった。

 やり方はこうだ。指定の植民地星々を地球連邦政府に譲渡する。ここの統治は地球側に一任しガミラスは手を引く。統治方法は地球側で策定することとし、現地住民および現地政府をどうするかは地球連邦政府が単独で決定する。広大な付属宙域の権益に関しても地球側に譲渡する。

 ただし、当該地域に投下されたガミラス系資本はそのまま保全され、地球連邦政府が責任をもって権利と安全を保証する。


 そして、この統治委任領および此処から上がってくる税収入・資源・経済的利得をガミラスの統治データを元に算定し、これに地球連邦政府の資産を合算した数字を『国力』と想定。これを担保にガミラス国債を大量に購入する、というやり方だった。


 各植民地の税収や資源収益はこれまで通りガミラスに入金され、まずはこれが地球側のガミラス帝国債購入の原資に当てられた。また当地におけるガミラスの経済権益は(あれば)そのまま保全されることも協約に盛り込まれたが、この税収入の一部の地球側に引き渡されることになった。代わりに彼らの権益は100%地球連邦が保証することとした。

 また植民地からの税収入は毎年一定額あったから、地球によるガミラス国債購入量は増える一方だった。地球からすれば、枯渇の心配は(反乱や独立騒ぎさえなければ)全くない『優良資産』が出来たことになった。これがすべて、新生地球連邦政府の担保となった。


 そのため、まずは10年分を『前倒し』してガミラス国債を購入し、これを一気に活用することにした。これらの金額はガミラスからしても・・・


クラウス「まあ、少ないってほどじゃないよね(c.v.神谷浩史)」

・・・の額だったので、地球人からしたら『国力の十数倍』にも匹敵した大金だった Σ(゚∀゚ノ)ノキャー


 もともとガミラスと地球では経済規模が全く違った。当然、地球のほうが全然小さい。向こうは一つの星雲単位での国家であり、こちらは芥子粒けしつぶほどの小さな一つの恒星系文明だ。ケタが違った。なのでガミラスが言う所の『このクソ植民地ども』からの担保金(主に税収入)によるガミラス国債だけでも、地球を復興するのには十分過ぎるほどまかなえた。

 あとは日清戦争後に日本が行った行動そのままの状況になった。


 ガミラス国債の相当量をガミラス帝国内にリザーブして対外貿易業務などで活用し、同時に一部を地球連邦政府が新通貨発行のための『担保』として地球本国に溜め込んだ。これを元手に全地球規模の統一通貨を発行した。さらにガミラス帝国国債を換金して地球に流し込んで、金融資本を整理して産業復興に役立てた。こうして地球は急激に産業復興が可能になったのだヽ(^o^)丿

 時間断層での大量の次元波動爆縮放射機搭載艦整備のような急激な軍拡や、地球本国の急速な復興・第十一番惑星などの可住惑星開発事業のような、途方もない国力整備が可能になったのも、すべてこの急激な資本増強があったからだ。



  ※     ※     ※



○地球連邦政府の成立 〜国家破綻の解決策は『金融封鎖』『預金税』そして価値を激減させた『新通貨切り替え』という常套手段


 テロン人にとっては『莫大で、有り余るほど』潤沢な委任統治領からの税収入を元にして、まさに『濡れ手に泡』のような経済復興を遂げた人類。まさにガミラス様サマだ。しかも植民地からの税収入は今後も続き、さらに植民地開拓権まで手に入れた。委任統治領ぶらぼーだヽ(^o^)丿


 そこで図々しいテロン人は、これら『新国力』を使って、いままで溜まっていた対ガミラス戦役時の莫大な戦時債務を一気に償還することにしたのだ。ガミラス戦役時の累積債務を整理したところ、植民地からのアガリ数年分と算定された。しかしよく考えてみれば、この金額でさえ相当でかいものだったことが判る。


 もともとBBY-01ヤマトがなかった頃の2199年以前の地球は、要するにガミラス言うところの『クソ植民地ども』と大差ないレベルの科学技術水準しかなかったはずだ。経済技術・金融商品などで優れていたとしても、所詮は同じ程度。要するに『一恒星系内を活動領域とする』程度の小さいレベルの経済規模しかなかったことに違いなどないのだ。そんな程度のGDPしか無かった地球が、同程度の植民地複数個の数年分の累積債務を抱えていたというのだから、こりゃ、破綻しないワケがなかったのだ。。。(_ _;)


 ここでテロン人お得意の『内輪もめ』が始まった。戦後の主導権争いだ。主に先進諸国vs地球連邦派の対立だった。特にBBY-01ヤマトを送り出した日本は手ごわかった。連中が世界を救ったのだ。このままでは日本主導で人類が再編成されてしまう。しかし一国中心主義で、将来の異星人対策が叶うとも思えなかったし、生き残った人類すべてを責任ある組織がまとめたいという理想と『日本に主導権を渡したくない』という各国の思惑の一致もあり、以下のような着地点を見た。


 ガミラス帝国国債の大量保有者を、地球連邦中央銀行にあたる『地球連邦制度理事会』という組織が統括して保有することにした。これは各国から独立した機関とされた。そしてこれをベースに『地球統一通貨』を発行する。各国通貨はこれに吸収することとした。各国から金融の独自性を排除することにしたのだ。


 無論、地球連邦制度理事会から脱退して独自の通貨を保有する権利も認め、その際は変動相場制とすることにした。たとえば日本が「日本円で地球連邦やガミラス帝国と独自の通商がしたい」ということであれば、それは認めるということだった。経済的な自立ということで、その際、地球連邦統一通貨やガミラスマルクとの間のやり取りは、まさに変動相場制の為替取引で行うということにした。究極、これは地球・ガミラス以外に『日本』という、人類にもガミラスにも属さない一つの独立国家の存在を認めるということでもあった。ただし経済力で圧倒的な違いが出るのは目に見えているので、選択は各国政府の自己責任に委ねられた。


 ただし、肝心なことは『債務整理』の方だった。この新規に建てた『地球連邦統一通貨』に切り替える時、各国通貨を思いっきり切り下げて統一通貨と交換することにしたのだ。つまり『新円切り替え』と同じように、もともとの各国通貨の価値よりも桁外れに低い交換レートで切り替えたのである。これにより莫大な債務が消えて無くなった。たとえば元の各国通貨の価値の1/1000くらいで交換したなら(←これはやりすぎのレベルだが)、額面上の債務も1/1000となる。


 これを可能にするため、あらかじめ全地球規模で一斉に預金封鎖が行われた。ある日突然、一定の少額以上のカネが銀行から引き下ろせなくなったのである。これは特に資産家がガミラス国債を購入したり、地球以外の国や場所に資産を登記することを阻止するために行われた措置だった。この後で各国の経済力に合わせて、数十分の一から数千・数万分の一以下まで交換レートを下げ、地球統一通貨に切り替えられていった。地球市民は激怒した。自分の預金もしくは全財産がそのくらい目減りしたからだ。物価高も進んだ。


 しかし、今回は元ガネがあった。なので貧民に対してはガミラスから緊急食料援助などを含めた諸政策が速やかに実施された(当然、カネは即金でガミラスに払った)。また、増税はほとんど行われなかった。やはり元ガネがあったからだ。ガミラス帝国長期国債を僅かばかりだが、取り崩したのだ。それでもテロン人にとっては潤沢すぎるこのカネで産業復興と同時に戦災孤児・戦傷者・遺族年金・公的援助・生活保護・失業保険などの手厚い社会保障が人種、宗教、国籍を問わず実施された。これらの社会安定化政策を地球連邦政府が行ったため、すみやかな民心の収攬しゅうらんが可能になっただけでなく、地球連邦政府に対しての信任が出てきた。旧来の『何もしてくれなかった各国政府』より遥かにマシだったからである。後の人類初の強力な統一政体である地球連邦政府が、つねに強力な支持を得る理由ともなったのだ。


 この預金封鎖と新通貨切り替えにより、各銀行や企業が抱えていた戦時債務や負債などが減少し、債権償還の後に公的資金の投入がなされて金融関係が整理・強化された。地球資本だけでなくガミラスの民間銀行なども市場参入し、主に公的機関などに対しての貸付に奔走した。

 そして全ての国家・企業・金融機関から引き抜いた債務に関しては、別途、『地球連邦戦時公債債務整理機構』という国策株式会社を設立し、ここが一括して引き受けた。そして債務自体の消し方は『別途、債務整理会社を設立して引き取って証券化し、100年くらい保有しつづけて成長インフレで事実上消滅させる』という、第73話の『デスラー戦法』を採用したのだ。これはガミラス帝国からの入れ知恵だった。


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 こうして星数個分の莫大な戦時債務をアッサリと消滅させた人類は、わずか数年で次元波動爆縮放射機艦艇を十数艦も建造し、同時に既存艦艇の現代化・新規艦艇の設計と製造という大規模軍拡を行いつつ、同時に劇的な地球復興を遂げることが出来たのだ。まさに2200年末から2202年度において、かなりの程度の産業復興がかなったのは、こうした金融上のテクニックがあったからだ。これが2202年に、再び勝手にやってきたガト公との戦いを支える地球連邦の国力の源泉となった。


 また同時に、地球連邦制度理事会という人類の中央銀行を管理運営する政治政体として地球連邦政府が整備され、本格的に人類統一政体が日の目を見るようにもなった。カネを握るものが世界を握る。ただし、こんなファシズム崩れのポピュリズム的統一政体に正義なんてあるのかどうかは、ともかくとしても、だ・・・┐(´∀`)┌


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