§7-11・【本章まとめ】国債と航宙戦闘母艦CCC-01ノイ・バルグレイの密接な関係 〜国債は国家間の平和と安定に寄与出来る素敵なツール【本文短め】

 このパートに関しても、長いこと読ませてしまって申し訳ありませんでした。お疲れ様でした。このパートの要説は・・・m(_ _)m


・徳川政権が崩壊したのは通貨的現象。悪貨を大量に市場に流通させたことで通貨膨張インフレが起き、庶民生活が破綻した。よって江戸幕府崩壊は国家破綻の典型例。


・大日本帝国は、日清戦争による賠償金を当時最強国家だった英国のポンドに紐づけし、自国通貨の安定を図った。これが帝国の帝国圓のバックボーンとなり、同時に『戦争で金儲けする』という政策的ベクトルを決定した。


・強力な国家の国債を保有することで、自国通貨の発行の裏打ちとするのは現代も同じ。日本や中国が100兆円以上も米ドルを保有しているのはそのため。



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・・・という、通貨と国債の問題として捉えて見ました。すると日本の近代史がかなり単純かつ正確に読み解けたと思います。要するに徳川政権→大日本帝国の成立は通貨的事案に過ぎなかったということです。同時に他国国債の保有は実に意味のあることだということなのです。


 ガミラス帝国という超巨大帝国に地球連邦を紐づけし、ガミラスの威を借るズル賢いキツネになった新生地球連邦政府の『ずる賢さ』とは、ガミラス帝国長期国債の大量保有という『知恵』だったということです。


 以前、拙文第44-45話で「ガミラスと戦争すんな! したから火だるまになった!」という話しをしました。もはや戦争で金儲けする時代ではなくなりました。戦争で儲けるとは『略奪・暴行・奴隷・資源の強奪』以外無く、これが昔の戦争の主目的だったが、いまは同じことが多国籍貿易で長期に渡って安定的に出来るからです。また金融力が強大化した現代では、金融環境の安定化が最優先なので平和な方が持続的に成長が出来ます。


 そして国力が『国債増発→通貨膨張→国富増大』の流れの中で爆発的に増強されれば、たとえ戦争になっても国力で十分賄えるので、悪性の物資不足インフレや資本不足インフレを回避することも出来る・・・これを別の言い方で『国力の範囲内で戦争するならOKで、現代では戦争費用は相対的に小さくなっている』として、結論としました。

 ということは『どうすればガミラス戦役を避けられたか?』の回答がここにあります。



『ガミラス帝国長期国債の大量保有者になればよかった』



 つまり、そういうことです。

 最初からガミラス帝国国債の保有者となり、地球人の各国通貨をこれに紐付けして『担保』とする。そして・・・


 全人類共通通貨に切り替え→通貨発行量増加→人類の国富増強

→ガミラス帝国の先進技術導入資金→対外輸出→黒字でさらなるガミラス帝国国債購入・・・


・・・という、戦後日本が繰り返したサイクルをここでもやればよかったわけで、この『全人類共通通貨導入』時に、各国がこれまで抱えていた債務(←公債)を一度引き抜いて債務整理機構のような会社に売渡し、そこで債権→証券化して寝かせた後、各国通貨を新共通通貨切り替え時にデノミすれば債務は激減。あとは公的資金投入で銀行を助ければ、なお結構という訳です。


 もちろん、ガミラス帝国国債購入の原資は無かったかもしれませんから、もしかしたら地球人がガミラス帝国からガイデロール級航宙戦艦などを購入し、他の惑星に侵略的戦闘を行って賠償金をせしめて・・・という、スターシアが聞いたら激怒しそうな展開も十分あり得たかもしれませんが。。。( Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙


 ただし、この考え方がなかったために地球は火だるまになるしかなく、結果、そうなりました。

 外交上の失敗で『国家とはカネ(→通貨=国債)の物理的存在』という真実を理解出来なかったために起こった悲劇です。



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 より重要な事は、『国債は多国籍間でやり取りされ、しかも友好関係を結ぶための重要なツール』・・・つまり『国家間の平和に寄与する』ということです。まさに日英同盟がそうでした。


 これは2202年時においても有効で地球がガミラス帝国長期国債を大量保有した現在どうなったか? というと、『航宙戦闘母艦CCC-01ノイ・バルグレイ』級という、地球連邦軍最新鋭戦艦アンドロメダ級のライセンス生産艦が続々就航するという両国関係の極めて緊密かつ有力な協調関係が構築されるに至ったということです。


 地球側最新テクノロジーをガミラスに提供することは、第二次ガミラス戦役時勃発の時には地球側に決定的に不利になるし、本来、有り得ない。しかし『まずは大丈夫だろう』と判断させる理由が、『ガミラス帝国長期国債の大量保有』ということだったと考えると自然なのです。


地球側→『ガミラス帝国国債を自国通貨の担保として使う』 (゚д゚)ウマー

ガミ公→『借金を肩代わりしてくれる優良債権者をゲット』 (゚д゚)ウマー


・・・このWin-Winの関係です。


 自国通貨の価値が暴落すればどうなるか? 徳川幕府のように政権が瓦解します。通貨は国家の基本であり財産の根源です。これに信用を与えるために地球側はガミラス帝国の信用を必要とし、ガミラス帝国はアベルト喪失後の弱体化した帝国の資本力増強を望んだ。この関係だったのです。


 これが現在の日本にも当てはまります。日米同盟は『カネの繋がり』ということだったのです。日本にとって『日本円の信用創造に米国の強大な国力を必要としていた』からです。

 米国も暗に『日本による二度目の真珠湾攻撃の可能性はゼロ』と判断させる理由がコレです。日本が対米開戦などしようものなら、日本購入分の米国国債を凍結すればよく、利払いも拒絶されます。米ドル担保を失い、日本は日本円だけで勝負しなくてはならなくなりますが、この時、GDPの200%の債務を抱えていることが重しになります。実際、アメリカが、


米国「日本と通商すんな!(# ゚Д゚)!」

米国「した国は米ドル・米銀行・米国市場、全部使わせん!(# ゚Д゚)!」


・・・と圧力を加えただけで、多国籍貿易に頼る日本は終わります。戦争する必要さえ無いくらいです。実際、日本円は暴落し、庶民の生活は絶望的に厳しくなります。その実例が2018年のイランです。米国トランプ政権がイランとの約束を反故にし、突然、強行な経済制裁を加えたためにイラン通貨は暴落し、庶民生活は苦しくなりました。これが世界基軸通貨の本当の強さなのです。


 また両国関係を通貨的現象と捉えると、なぜ日本が米国の奴隷国家ではないのか? という事がわかります。日本による米ドルの大量放出は米国にとってハタ迷惑なだけでなく、米国政府の債務を肩代わりしてもらっているからです。

 つまり左翼がいいたがる「日本はアメリカの属国」というのは完全に間違いで、米国としても本来、米国債を長期安定的に大量保有してくれている日本は『ありがたい』存在です。『債権者を守る』ために日米同盟を組みたがっているとさえ言えるのです。ヘタに大戦争になって米ドルを大量に売却するような事態は避けたいでしょう。


 ただし、その時でも日本は、現実的には第一次世界大戦時の英国のように大量の米ドルを保有して日本円の価値を守りつつ、これとは別に戦時国債を大量に発行して対処するということになり、戦後、日本は大量の債権と債務の両方を保有してることでしょうね。よってどの形にせよ、米ドルは常に日本国の生命線なのです。


 逆の言い方をしても構いません。なにより日米同盟など無くても『日本は米ドルを放出できない』という現実がある以上、敢えて『奴隷化』する必要がないのです。

 そして、この通貨的力学をよく理解している知性ある日本と米国という二大国家は、国債=通貨の本質を見極めた上で、通貨の関係を軍事面で保証するために日米同盟を使い始めたということなのです。最初は反共のための同盟が、両国の経済進展に併せて変質したのが現在の日米同盟です。


 これは全て『国債』が取持つ仲であり、二つの側面を持つということです。『国債の大量保有者が主に国内金融機関ならば、それは国民の富であり国富』という事と『国債保有者が外国人ならば、他国に対して影響力を持つツールとしても使える』ということです。


 国債に政治的ツールとしての意味合いがあるのは、国家の経済が『カネ』という通貨的現象であるということと、国債=通貨であるということから考えれば、至極当然のことでした。

 なので外国人が国債を購入するということは、通常、『富が国外に逃げ出す』という(一次所得における)『赤字』要因なのですが、しかし大きな影響力を持つ大国の場合、別の使い方すなわち『外国政府をコントロールするツールとしても使える』という事でもあったのです。

 

 国債は自国内で消費されるのがベスト。しかし外国政府が購入するのはワーストではない、ということが成立する場合もある、という話しでした。


 日本の場合、日本国内で日本国債を消費しきれなくなるのが2040年代という推計が出ていて、これは多くが少子化による購入力の減少と考えられていますが、もう少し日本国債の外国人保有率を上げても問題は無いのかもしれませんね・・・m(_ _)m

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