「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§5-2-10・日銀によって砕かれたアベノミクス。必要だったのは「金利」その2〜流動性のワナから考える、たった一つの結末…
§5-2-10・日銀によって砕かれたアベノミクス。必要だったのは「金利」その2〜流動性のワナから考える、たった一つの結末…
続きです…|д゚)チラッ
経済成長した米国と、出来なかった日本。
その違いが「金利の差」…たったこれだけであることを以下に証明します。
※ ※ ※
○流動性のワナ…ワナ、ワナ、ワナに落ちそ〜う♪ ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル♪
前回、持続的かつ強力な経済成長を続けていたトランプ時代を振り返り、日米では「金利」に決定的な差があった事を調べた。米国は短期・長期金利とも年平均2-2.5%。一方その頃日本さんは実質0%。短期金利に至っては今世紀に入ってからほぼマイナス金利(爆)。こんな状況の時、カネを貸したり借りたりするものだろうか?
金利がちゃんと付いている場合、銀行などの貸し手は金利収益という儲けが見込める。しかし金利が超低い・もしくはゼロ%だったら、カネを貸す側のメリットはない。
そらそうよ…(´・ω・`)
しかし本当に厄介なのは、借りる側もメリットが無くなることの方だ。
なんで…( ・᷄д・᷅ )?
金利がほぼ無いんだったら、むしろ借りやすくなるはずじゃん…( ・᷄д・᷅ )??
確かに多額のカネを借りても金利が超低ければ負担は少ない。よって「借りやすい」のは事実だ。しかし借りたカネを運用するにあたっては「低金利」環境下で運用するしかない。これがネックになる。
例えば証券債権などでの運用を考えているとする。しかし債権ならば市場暴落等により「債権価値が下落する」というリスクが、株式ならば「最悪、紙くず」になるというリスクの方がクローズアップされてくるのだ。「運用しても大して稼ぎにならず、しかも万が一の時には大損するかも」…だったら「素直に現金もっていたほうがいい」と考えるようになるのは自然だ。特に経営危機の時には「現ナマ」こそが最後の命綱になるのは、新コロの時で実証済みだ。「最後の頼みは現金」というのは今も昔も変わらない。低金利環境の時には損するリスクが増大するのだ。なら、なぜリスクを犯す必要があるのか??
金利が無くなり、経済成長もしていないという事は「インフレが発生していない」ということだ。
→物価高にならないということだ…(´・ω・`)
物価高にならない=カネの価値が下落しない
→お金をずーっと持ち続けていても「価値が減らない(額面割れしない)」
→なら、素直にカネ、溜め込んどきゃいいじゃん( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧
…という悪循環だ。てか、そもそも金利が殆どないのなら、カネを貸し借りしてもタダ単に「現金が行って来い」してきただけに過ぎない。なのにカネを借りれば僅かでも金利の支払いすることになるのだし、根抵当とか保証金とか手間賃とか取られるのはもっと嫌だ。始めからその分、現金で持っていたほうがいい。それどころか、割高な手数料や口座維持費などを取られてまで銀行にカネを入れたりせず「タンス預金」が溜り続けることだってありえる。そもそもカネを溜め込んでおいて「イザ」という時に備えたくなるのは災害の多い日本人の人情だ。こんな状況で、どうして銀行からカネ借りる必要があるのか?
(´・ω・`)「面倒クサ…。始めから現金大量にもってりゃ、いいんじゃね?」
…になる。よって借りる側から見ても、ある一定以下に金利が下がると、投資よりも現金という傾向が強くなるのだ。では証券債権などではなく、現物購入や投資に関してはどうだろう? モノを買う…という行動も考えてみる。
勿論、不動産などの現物資産購入の動きも出てきそうだし、実際に出てくるのだろうが、此処でも金利収益が低ければ不動産価値の上昇や物品上昇が見込みにくい。「金利負担から企業の負担増=物価上昇→労働賃金上昇→消費拡大→景気回復→消費拡大とさらなる物価上昇圧力」…の流れが生じにくい低成長環境になってしまうということだ。反面、資産は経年劣化する。減価償却するということだ。よって多額の投資に見合うリターンが此処でも薄くなるのだ。そして稼ぎの少ない冷え込んだ市場では、企業の設備投資も鈍化する。
普通、企業などがカネを借りるのは「投資が必要だから」であって、その投資環境が冷え込んでいるのならば「そもそもカネ、借りなくてもいいんじゃね?」になる。そしてアベノミクスのように企業業績が上向くようになっても、多額の現金を自社で保有しておけば良いだけのこと。特段、銀行などからカネを借りる必要はない…と考える。それも多額の現金を保有できているのであれば、それだけ安心というものだ…ε-(´∀`*)ホッ
もう一つ言えば「消費者」の行動がある。
超低金利下では「現金の価値が減りにくい」。インフレ(=物価高)が起こりにくいので、長年、現金を持っていても「物価との相対的な価値の下落が小さい」のだ。韓国のように年率2%を超えるインフレ率の場合、20年経ったら銀行の預金は約65%程度の価値しかなくなる。その分、物価高になるということだ。これだと低所得者や年金生活者は苦しい(:_;)
逆にインフレが進まない日本のような国の場合、現金の価値は2000年の頃と比較しても韓国や米国などのインフレ率の高い国ほどの価値の低下はない。なので「現金を長期保有していても損しない=必要以上のモノを買う必要はない」…という事になり、これが国内消費を冷やす。国内消費の鈍化は国内でのインフレ成長を阻害し、これが理由で労働賃金も上がらずに増々デフレスパイラル…なのであって、根本的には「まともな金利が必要」=市場金利が国内成長(=インフレ)を作るというのが真実だ。低金利環境では企業も収益が上がらす労働者にくばるカネが無くなる。持っているカネはもっとまともな金利のついた他国へと向かい、他国市場の開拓の方に投資が向かった…というのが過去20年の日本の流れだ。
このため、低金利環境下でリターンが低いことが物価上昇(この場合、主に労働賃金の上昇)を抑圧し、結果、カネを貸す側は貸し手が見つからなくなり、見つかったとしても利益が殆どでなくなる。逆に借りる側の企業などもリスク回避行動として、自分のところで多額の現金をリザーブしておく方を優先するようになる。この結果、カネが社会全体で死蔵されるようになるのだ。
この負のスパイラルは「流動性のワナ」の中で語られることが多い。「流動性のワナ」というのは、金利が異常に低い環境下では現金と債券が(金利がつかないために)ほぼ「等価交換」状態となってしまうため、証券債権などよりも現金の方が好まれる。この結果、あらゆる投資にカネが回らなくなり、金融緩和政策を行っても景気刺激策が失敗する…程度の内容だ。いまの内容とほぼ同じだ。
ただし現実には「流動性のワナ」に関しては反論もあり、超低金利下であっても長短金利の操作を組織的継続的に行うことである程度は金融政策は機能するとか(←日本が実例)、マイナス金利下でも国際間金融取引は成立していた(←マイナス金利と、より低い金利との利ざや間での収益構造)現実があるなどの話もあるし、企業が超低金利環境下ではカネを借りなくなるとは言ったが、実際には金融機関から定期的にカネを借りるのが普通で、「もし万が一の時に融資してくれる『顔なじみの銀行』にお布施代わりにカネ借りてる」…という場合だってある。大塚家具の「かぐや姫」のように、メインバンクを当てにしないで自己資本で運営してきた大塚家具が経営危機に陥った時に資金繰りに困って「姫様、身売り」になったように、もし事業規模にふさわしい銀行団をあらかじめ組織しておけば、この突然の危機に際して銀行団から支援が得られた〜少なくとも一回くらいは得られたはずだったのだ。全てを黒字で自己資本で…が正解ではない。困った時に助けてくれるホワイトナイトな銀行を作っておくのが正しい経営だからだ。
しかし「流動性のワナ」〜低金利によって「貨幣乗数」の基本である「信用創造」のための「カネの貸出し」が行われず、経済成長が著しく失速した…という事は一般論としては成立すると考えられ、事実、安倍政権下の日本で発生していたと考えられる出来事だ。貨幣乗数の劇的な低下の主因が「日銀の低金利政策」が原因だったという意味である。
アベノミクスは日銀の金融政策によって封じられた…そう考えるしか無い(:_;)
勿論、反論はありそうだ。特に「金利の問題だけでカネが回らなくなるのか?」〜経済が成長しなかったのか?…とは言われそうだ。そこで強い反証を上げたい。前話数の「
日本においては21世紀になってからというもの、大抵の場合、預金の方が貸出金よりも遥かに多かったことを述べた。銀行内でムダに積み増しされていたと言った。これは日銀の低金利政策のために貸出先が思うように見つからなかったからだ…という論だったが、同時期、経済成長しまくっていた米国の「預貸ギャップ〜預貸率」を調べてみると驚くべきことが分かる。
リーマン・ショック時、米国の預貸率は100%を超えるほどだった。しかしその後、ジリジリと下がり続け、直近の2020年では「日本と同じ」程度の60%後半まで劇的に下がっているのである。
なっ、日本と同じや…(゚д゚)!?
日本と同じ右下がりや…(゚д゚)!?
この資料は第一次出典をFRBとし、今回引用したのは岡三証券のレポートの引用なのだが、更にワイ的に詳述すると、この劇的な低下は2020年の新コロに伴う大規模金融緩和の影響が強い。トランプさんが皆に現金給付したために米国内銀行の預金が爆増した反面、新コロへの不安から投資に思うように回らなかった(てか、それまでの民間債務の額が1500兆円もあるので借金漬けでクビが回らなかったというべきか?)…と考えれば預貸率の劇的な低下は一時的なものと考えることができる。
しかし米国の預貸率を経年で調べてみると、
米国内銀総計 約105%(リーマン)→約75%(2014年)→約75%(新コロ直前)
米国大手銀行 同上 →約75−数% →約70%
米国中小銀行 同上 →約80+α% →約88±数%
…と、やはりジリ下がりしていたのである。
この下げの理由は「結局、よくわからない」が、普通に言われている事は「国債バブルの影響」ということだ。21世紀になり、各国で国債増発→通貨膨張を繰り返している事からカネが余るようになっていて、それが銀行の預貸率を下げているという理屈だ。また米国では(日本と違い)地方に根ざした中小銀行が多く、経済状況も非常に良く民間の資金需要も旺盛なために、主に中小企業個人事業主向けの貸出額が増加しているために預貸率が回復しているのが理由かも知れない。
しかしそれでも米国国内銀行のトータルでの数値は、わずか10数年で3/4と「減っている」のだ。
日本と同じやんけ…(゚д゚)!?
米国は日本に遅れること25年、日本と同じように預貸率を低下させるような状況に陥っていたのである。しかし、それにも関わらず米国では経済成長を続けた。金融緩和政策も同じ、預貸率も同じ。しかし日米の決定的な違いがただ一つ「金利」の差…そういうことだったのである(゚д゚)!?
ではなぜ米国の預貸率は低下したのだろうか?
そこで米国家計資産を見てみる。すると米国の民間家計が保有する資金は実に1京円(=10,000兆円)にも及んでいた。これは日本の五倍であり、貧富の格差こそあるにせよ米国は世界最大の金満国なのだ。確かに経常収支赤字とか、対外資産状況では大赤字なのは事実だ。
しかし最も重要な「米国民が総体としてどれだけの現金を持っているか?」に関しては他国を圧倒していた。ということは米国はあまりに大量にカネを稼ぎまくり(もしくは前述の「国債バブル」の結果、大量にカネが余って銀行に流れていったために)、銀行にカネが溜りまくり過ぎたためジリジリと預貸率は下がっていったと考えられる。あまりにも大量のカネが溜りすぎ、貸し出しまくったとしてもなお銀行に預金が余っちゃった…「分母の上昇率が大きかったから」ということだ。なので預貸率の割合が低下したとしても、貸出実額は増えていったと考えられる。
本当なのだろうか…( ・᷄д・᷅ )??
本当ならば米国における「貨幣乗数」〜カネがカネを生み出す効率の数値が「上がっている」はずだ。FRBがバラ撒いたカネによって民間のカネがどのくらい増えたか?…という事であり、民間で貸出しのための
そして米国の貨幣乗数を調べてみると予想通り、日本でアベノミクスが始まった2014年くらいには三倍だったものが2019年には四倍に「増えていた」のである!
米国では市場金利 (長期国債の金利)が、例えば10年モノ国債の金利は2.5-3%近くあった。この「高い」金利によって流動性の罠から逃れていたのであり、とんでもない量の米国連邦債の発行 (=米ドルの大量増発)があったために預貸率では日本と同じでも、貨幣乗数では「増加していた」のである。この増加分が信用創造の効果を増強し、米国経済を増強していたのだった…
日米の違いは金利だけ!…( ゚∀゚)o彡゜
( ゚∀゚)o彡゜金利だけ!金利だけ!
( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!
米国( ´・ω・)⊃【長期金利2%】
これも米国では金利が十分についているので「貸付け→信用創造→カネがカネを生んでいる」という好循環に乗っかっていることを示しており、貨幣乗数が3→4倍と三割以上も増加した理由にもなっている。つまりこの分、カネがカネを生み、米国景気を更に上へと引っ張り上げる原動力となっていったのであり、同時に金融緩和の効率性が良好であることも示している。日本のように無駄に国債を刷りまくったという事ではないor刷った米国債は効率よく民間で運用された…ということだ。その唯一の理由が、米国にはまともな金利がついていた…これだったのである。
き、金利や…(゚д゚)!
金利が経済力上昇の決定要因だったんや…(゚д゚)!?
まさに「低金利のせいでアベノミクスは金融的に失速した」ということだった。安倍政権時、日本と米国はほとんど同じ事をやっていた。大規模金融緩和と財政出動による景気刺激。その結果、多額のカネがばらまかれ(←マネタリーベースの増加)、結果として市場にカネが溢れた(←マネーストックの増加)。この結果、預貸率は日米ともに低下していった。銀行に突っ込まれるカネの量の方が、銀行の貸し付けるカネに比べて相対的に多額にのぼったからだ。
日米の金融政策における唯一の違いは「金利のある・なし」だけだった。
FRBは日銀のような超低金利政策は採用しなかった。そのため短期金利・長期金利ともに2%後半程度の状態が長く続いた。米国ではちゃんと金利があるために貸付け総額は増え続けて信用創造がパワーを発揮し、カネがカネを生み出して国富が増大しまくったことは米国の貨幣乗数が3倍→4倍へと増加した事が証明し、年平均200兆円規模での持続的な経済成長が実にオバマ・トランプ期の約130ヶ月にも及んだということだった。
逆に日本では金利がゼロ%・短期金利に至ってはマイナスの状態だったので、まさに余りにも低金利の状態ではいかなる金融政策も効力を失うという「流動性のワナ」が、そのまんま現れたのである。アベノミクスでは多額の通貨供給という金融政策を行ったが、貨幣乗数は逆に6倍から2倍に減った。この理由の全てが「超低金利」…この悪弊が出た結果だった。
貸出し側は貸し手と金利収入を失い、借り手は低金利環境下が生み出す非効率的な市場を遠ざけ、投資や市場をより金利の高い海外に求めた。不動産や企業買収もまた金利の高い海外へと流れていった。金利がもたらす経済成長が資産価値を上昇させ、また金利が生み出す好景気が市場拡大を期待させるからだった。国内では市場が窒息し、投資も景気回復も失敗したのみならず、金利収入を主な仕事としている銀行にとって超低金利・マイナス金利は死刑宣告そのものとなった。既に地方銀行は再編成を余儀なくされるほど追い詰められてしまった。正に「流動性のワナ」の教科書の内容そのまんまだ…(:_;)
金利が超低い…(:_;)
たったこれだけの事でアベノミクスは金融面から失敗を運命づけられていたのである…(:_;)
【 次回、アベノミクス失速の総括をします…m(_ _)m 】
※ ※ ※
【資料補足】
本文中で紹介したのはこちらの資料です。何気ない資料かもしれませんが、実はとても重要だったという内容です。
米銀の日本化、米銀も預貸率は低下に -預貸率低下が示す資金調達の安定度【高田レポート】
https://www.okasan-online.co.jp/news/spot/takata20200817/
日銀審議委員就任、おめでとうございます…m(_ _)m ←高田創氏
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