§5-2-11・アベノミクスをカネだけで超わかりやすくザッと総括してみる…m(_ _)m

アベノミクスの総括 …m(_ _)m


長いセクション、お読みいただいてありがとうございました。アベノミクスを「国債=インフレ」というカネの流れだけで考えてみました。「後出しジャンケン」のできる2021年の今日現在におけるアベノミクス七年間の結果について、超簡単にザッとまとめてみます。


【概略】

アベノミクスは「十分な景気回復前に増税をしたこと」・「日本の国家破綻を防止するための超低金利政策」により挫折した。


【良い点】

・民間企業を中心にかなり潤った(日本はまだかなりの産業力が残っていた)

・多額の債務(国債)を発行していた日本でも、国家破綻せずに大規模金融緩和政策(←国債刷りまくり)が出来た


【問題点】

・財務省日銀が国の借金を減らすことばかり考えたので中途半端に終わった

・インフレ成長が発生しなかったので債務は減らなかった

・低金利のために、富が個人にまで行き届かなかった


【結論:中途半端】

・デフレはかろうじて脱却したものの、成長軌道には乗せられなかった

・日本は国家がカネを稼いで借金を返すという社会主義的な国家に変容した


  ※     ※     ※

 

 日本は90年代のバブル崩壊の結果、債務破綻で冷え込んだ民間市場を救済するために多額の国債増発を繰り返し、GDPの二倍程度の多額の政府債務(国債)を作ってしまった。またこの過程で日銀・政府系金融機関がGDPに匹敵するほどの国債を購入する事になった。これは日銀は公開市場操作などで民間の下支えを、政府系は潤沢なカネを背景に政府債務の下支え+自己資本強化の目的で国債を買いまくった結果だった。そのため市場からは国債が相当量が消滅した。

 

 市場で国債量が減ることは金利の低下につながる。実際、金利低下を狙って国債を買い入れる「買いオペ」は国家破綻を防止すると同時に市場に資金供給するという中央銀行の主要な仕事の一つであるくらいだ。逆に金利上昇すれば国家破綻の危険性が出てくる。そのため日銀などは溜め込んだ多額の国債を市場に放出するタイミング「出口戦略」を失ってしまった。放出すれば市場に国債が溢れ、金利上昇するからだ。しかもこの「売りオペ」はデフレ要因でもあるからだ。国力を弱らせ、しかも債務破綻を招きかねない…

 

困った…(´・ω・`)

考えた…(。ŏ﹏ŏ)?


 国家債務を減らす方法は三つしかない。「インフレ」「大増税」「通貨切下デノミ」だ。そこで「インフレ発生させて経済成長する。国富が増えたら増税する…でいいんじゃね?」的になった。20年続いたデフレに国民メンタルも経済もくたびれてもいたからだ。おまけにインフレとは「カネの価値が下落する」事だ(→物価高)。そして国債=通貨だ。なのでインフレになれば「勝手に国債が消滅する」ことも判っていた。


そこで、アベノミクスを始めてみたYO-(^^)/♪

 

 大規模金融緩和でカネばら撒き、インフレ成長の起爆剤とする。カネばらまけばインフレ発生→物価高→労働賃金上昇→個人がカネ使いまくり→さらに経済成長+持続的な物価上昇→さらに労働賃金上昇→さらにカネ使いまくり…で、好景気の連鎖→バブル景気までもっていけるかもしれない(^m^)

 景気が良くなりすぎてバブルが発生すれば、この「バブル退治」の為に金利を上げる操作が可能になる(奪らぬたぬきの皮算用…)

 

日銀「らっきー( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧」 

 

 日銀が抱え込んでる国債を市場に放出して市場からカネを回収する。国債を民間に押し戻せば金利は上がるが、この市場金利がベースとなって経済が上向くのだ。長期国債の金利が上がれば、保有している民間の含み益が上がる。儲かるだけでなく、このカネを投資に回せる(^^)。短期金利の上昇は銀行などの貸出金利の上昇に繋がり金利収益が見込める。加えて借りた企業が「もっと頑張って仕事してカネ返さないと_φ(・_・」から景気全体の底上げをもたらす。

 また金利が不動産などの価格上昇や物価全体の上昇圧力となり、これが物価高→労働賃金上昇→可処分所得の増加…という「好景気」を作り出す(^^)v 長短金利の上昇がカネの流れを作り出し、流れたカネについて回る金利分が経済成長の原資となるのだ。


 というのも、もし金利がなければ「国債10000円=現金10000円」なので、タンス預金を引っ張り出してきた「カネの行って来い」でしかない。カネの総額は「増えない」のだ。他方、これに金利がついていれば「国債10000円+金利10%」→金利の1000円分、社会全体で(債権を発行した事により)「カネが増えた」。そしてカネが増えること=インフレ=経済成長なのだから、金利がちゃんとついていれば経済成長できるということだ( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧ 

 

 なによりこの過程で発生したインフレで国債の価値がドンドンと減っていく。つまり増税や財政再建などやらなくても勝手に「債務償還」ができるのだ。借金をインフレという「悪魔の力」を使って経済成長(国力増強)という栄養源に変えることができるのだ( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧


 アベノミクス、やるしか無い( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧

 そしてやってみた所、実際、当初は上手く行きかけた。2014年次、インフレ率は2.7%にもなった(IMF調べ)

 

感涙…(:_;)

やればできる子…(:_;)


 しかし翌年にはほぼゼロ%に戻ってしまった…┌(_Д_┌ )┐

 理由はたった一つ。消費税8%にアップしたことだった

 

大失敗だった…┌(_Д_┌ )┐


 景気が十分に回復していないときに増税したために民間消費〜特にGDPの六割を占める個人消費が劇的に冷え込んだ。「ちょっとでも景気回復したら、すぐに借金返したい」という財務省の頭の悪い臆病者たちのせいだった。成長軌道に乗る前に完全失速した。困ったのはこの後で、財政出動で好景気→労働賃金アップ→消費アップ…の好景気の連鎖が断たれてしまいインフレが発生しなくなったために、最も肝心な「国の借金」がインフレで消滅させられなくなったのだ。このため政府・日銀・財務省は負のスパイラルに落ちていく…(:_;)


 政府は景気刺激のために国債を大量に発行し続け、腰倒れになった景気を延々と下支えすることになった。同時に日銀は低金利政策をさらに推し進め、金融機関に強引に貸出しさせようと頑張ったが逆に「流動性のワナ」にハマってしまい、使われること無くムダにカネが溜る一方だった。国債は増え続け、金利も上昇しなかった。通貨の流通速度Vの低下は消費力が低下したことを、貨幣乗数mの低下は超低金利の弊害による信用創造の崩壊を意味していた。

 もっと言えば通貨の流通速度Vの低下もまた低金利のために生じたとさえ言える。カネを動かす動機が「金利」だからである。Vとmが相互に足を引っ張り合うようにして墜落し、景気は二度と回復しなかった。もっとおろかなことは、景気浮揚に失敗したため多額の国債発行による将来不安から財政規律維持が必要となり、2019年にもう一度、消費税率をアップしなければならなくなってしまった。それが益々景気を冷やした。

 

 バカ丸出しである…┌(_Д_┌ )┐

 

 この原因の全ては「日本はGDPの二倍の国債ガー(:_;)」「国の借金ガー」という財務省および日銀のせいだった。借金のことばかり考えていて、まともな経済成長が考えられなくなった阿呆のたまり場なのである。東大京大一橋を出ていてこの程度では先が思いやられる…( ・ั﹏・ั)

 

 同じ時期、米国財務省とFRBは鮮やかに「出口戦略」を着実に実行していた。リーマン等の大不況時、政府が国債を爆増させ、これを市場に撒いた挙句、FRBが買いオペして更に現金を撒く。これにより民間は借金地獄から逃れ、景気回復もできた。他方FRBのバランスシートは悪化した。多額の国債を抱えたからだが、しかし焦ることなくじっくりと待ち、市場が好景気を十分に回復してから売りオペなどで国債を市場に戻した。過剰なバブル景気は適正なインフレ水準にまで冷やされ、市場に押し戻された金利(大体2%後半)がこれまた持続的な経済成長を生み出した。まさに「出口戦略」の鏡であり、これをやってのけた女神こそバイデン政権で財務長官を務めるジャネット・イエレンだった。彼女は偉大だった。米国を救い、結果として世界をも救った女神だった。彼女以外で、この破滅しかかった世界を救うことのできる女性などイスカンダルのスターシアくらいなものだろう。なにより米国エリートたちはみな、東大京大一橋程度とは勇気・豪胆さ・知的水準が違った。さすがアメリカだった…。

 

 米国に完敗の日本はどうしたか?

 これまた奇妙だが、非常に強力で有効な別の手段を二つ考え出した。「国債整理基金特別会計」と「イールドカーブのコントロール(YCC)」である。これは出口戦略を封じられた日本を借金から守る盾と戟の役割を果たす。

 

「国債整理基金特別会計」は日銀などが溜め込んだ国債を「資産」として運用するというやり方だ。国債は政府の債務だが、購入した民間の資産でもある。そして民間から日銀が購入したのであれば「日銀の資産」だ。これを、こともあろうに「政府の一部」であるはずの日本銀行が民間銀行よろしく市場で資産運用の元ガネとして使い始めたのだ(コッソリ内緒で)。

 

こりゃ、びっくりよ…(゚д゚)!?

自分の撒いた借金を、今度はカネとして使い倒す…(゚д゚)!??


 もともと持ってる債務=資産の額がGDPの2倍で、しかもその半分は日銀にあるというのなら、もはや日本は数百兆円を運用する超巨大投資ファンドに過ぎない。それどころか農林中金やGPIFなど、政府が様々な「直営店」を持っているから、結果として日本国は国が多額の利益を出している。なので災害時などの時、補正予算が次々と出てくるのだ。これがいわゆる「埋蔵金」だった。しかもこの元手は国債整理基金特別会計だけではない。政府全体で730兆円以上も持っている。その殆どが証券債権や現物資産だというのだから、むしろ呆れる。カネがカネを生む金融所得で一番儲けているのは日本国だった(爆死


わーいヽ(^o^)丿

日本政府「国がカネを稼ぐ力を得たYO-(^q^)♪」


 国が勝手に借金しても、勝手にカネ稼いで穴埋できるというメカニズムだ。カネを生み出すことはできるようになった。


 なら、今度は出血の方…借金対策だ。これが俗にYCCと呼ばれる金利をコントロールする日銀の金融テクだった。理屈は簡単で「国債の金利 < 経済成長率」ならば国家破綻はしないはずだ。借金の元本たる国債はいくらでも付け替えられるからだ。あとは金利分のカネを工面すればよいだけなのだが、この金利をゼロ%に押さえ込めば、マイナス成長でない限りは「国家破綻しない」という理屈だ。この理屈を実現するための包括的な金利対策がYCCで、主に「金利の期間構造」というのを使う(←いずれ解説)。この結果、主力10年モノ国債の市場金利は事実上ゼロ%が延々と続くことになる。

 

わーいヽ(^o^)丿

日本銀行「国家破綻は永遠に防止できるYO-(^q^)♪♪」


 たしかにこれだけ見ると、日本は「凄い頭の良い国」に思えるし、実際そうだろう。しかしこれは低金利環境下での生存戦略であり、低金利は「国債がなかなか減らない」「経済成長しない」こととバーターだ。実際、アベノミクスでも経済成長しなかった。もはや日本が景気を戻すためには金利を上げる〜出口戦略を取るしか無いのだが、金利を上げれば途端に国家破綻の危機が迫ってくる。


負の堂々巡り…┌(_Д_┌ )┐

 

 ということは財務省日銀の臆病な考え方からすれば「延々と低金利政策をつづけるしかない」という結論になるのだろう。国家破綻よりはマシだし、国債をいくら刷っても破綻しないだけでなく、ぐるっと回って国が資産運用して「国が儲ける」メカニズムを既に構築しているのだから、これを使い続ければ良い。しかも結果が非常によいのも事実なのだし…(^_^;)

 

 こうして日本は国家破綻はしないが、経済成長もしない国へと変わっていった…それがアベノミクスの総括といえた。財務省日銀によってアベノミクスという経済成長化戦略が木端微塵に砕かれたのだ…(:_;)

 

 てか、政府の財政政策は金融政策の有効性の上に展開されて始めて効果を発揮する…という経験則から考えても、超低金利政策を採用し続けているのならばアベノミクスは絶対に成功するわけのない方法だった(無論、これは後出しジャンケンの典型で、「やってみなければ判らなかった事」とは思うのだが…)。


 しかしそれでも「ある程度は成功」と言えるのではないか?

 日本の国力・経済力はいまだに極めて強靱で、金融緩和によって企業が莫大な儲けを出せる体質であることは変わりなかった。問題なのは低金利すぎる社会なのでインフレが発生せず、労働賃金が上がらないという「企業が稼いだ富を個人に行き渡らせることが出来ない」ことだった。国と企業は丸儲け。しかし大抵の個人はみんな総貧乏…ある意味、死ななくて済む程度の豊かさのある、実に平等な社会に進化しつつあるのかもしれない…( ・᷄д・᷅ )

 

まるで「社会主義的資本主義国家」とでも言うべきニューノーマルと言えた…

それが幸せなのかはワイには分からないのですが…m(_ _)m

 

  ※     ※     ※

  

  

 アベノミクスをカネだけでみるとこんな感じになりました。これ以上の評価は避け、皆さんにお任せいたします…m(_ _)m


 もう一つ重要なことは、「全世界がいずれ日本化する」ということです。

 

 世界は常に日本の後、20年遅れで同じような事を、遥かに大規模にやることが多くなっています。今回のこの「低成長時代」はまさにその典型で日本は先行事例になりやすかったということですが、これは1990年代以後、世界で大規模な金融緩和を続けたことによる「国債バブル」の弊害と思われます。国債を刷りまくったために通貨の量が爆増し、これが貸出に回ることで信用創造が機能して多額のカネを生み出すのですが同時に「常にカネを借りまくっている」状況に陥りました。「バブル投資」という事です。まるで全世界が80年代の日本のようです…

 

 この結果、民間は常に多額の債務を抱え込むようになり(例えば中国は2京円程度とされている)各国政府もまた民間バブル崩壊に伴って多額の国債増発で救済し、この結果として政府債務をますますふくらませる…の悪循環。民間が常に多額の債務を背負って「年がら年中、カネ足りない」の状況から逆に、安全資産である国債をいくら発行しても民間に消費されていき(=民間の資本となるから)、このために市場での金利が低下し続けているのではないか?という疑念です。国債は市場で量が増えれば上がります。しかし民間の借金が底なし沼なので、いくらカネを沼に撒いても沈んで消えていく…という感じです。大変困ったものですが…(:_;)

 

 なら早晩、ほとんどの国(←この場合、EUを念頭においてます)が現在の日本のようになります。その時、国家破綻を防ぐ手段として、「特別会計」と「YCC」という日本が作り出したテクは評価されることになるのかもしれません。しかし低金利は同時に経済成長を阻害する可能性が高いのです。この状態に陥ると、特に「カネとモノ」とのバランスが高度に保たれている先進国では抜けられなくなるリスクが出てきます。

 

 国債を大量に刷りまくり、債務を官民が大量に抱え込んだ挙句、全世界がやがて低成長に陥る「日本化」する危険が出てきました。しかし日本は民間債務は他国に比べて少ないのであり、それはある意味、過去20年以上に渡ってバブル債務をデフレ覚悟で処理し続けてきた当然の結果です。それに比べて世界は6京円(=60000兆円)もの債務を抱えているとさえ言われています。その多くが民間債務だとしたら、日本のように淡々と破綻処理を続ける前に全世界規模での財政破綻が発生する…と考えるほうが普通ではないでしょうか?

 

 もはや終わりや…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 現在の日本はバブル債務約1200兆円をほぼ同額の長短国債に付け替えただけのような国家であり、国債であれば日銀の金融政策と政府官僚組織の「特別会計」などで「やっつける」ことができることを日本が証明しました。国債ならば「対処可能」という事です。いずれEUはじめ多くの国がこの事に注目し、日本の先進的な試みを疑念と不安と不可解さを持ちつつも研究しはじめる日が来るかも知れません。いまから20年後のことかもしれませんし、その時まで人類が債務破綻を逃れて生きのこれていればよいとは思いますが…(^_^;) 

 

 バブル崩壊の時には、世界は日本に冷淡で「死ぬなら勝手に死んで」みたいな態度でしたっけね…( ´ー`)y-~~

 はてさて、これから世界はどうなることやら…┐(´д`)┌ヤレヤレ


 しかし逆に言えば、400兆円バラ撒いたアベノミクスでさえ2%成長インフレを起こすことができない低成長の国になったのです。これは将来「世界もこうなる」という「日本化」の姿です。低金利で債務を抑圧すれば国家破綻は防止できますが、結果として経済成長ができなくなるというリスクがあるということです。しかも債務圧縮の時間は延々とかかり、その間、延々と経済成長しなくなるというジレンマです。

 

 世界は20年も我慢できないんじゃないでしょうかね…(≖ᴗ≖ )?

 

 ならばこの「低金利による政府債務の抹消」を別の方法で一気に解決する方法はないのか?…という話になります。実は「あります」。

 しかしこちらは最も凄まじい解決法で、かつて米国で実際に採用された方法です。それが「金融抑圧」という「悪魔インフレ」の力を使った恐るべき手段です。次回は、その話をいたします…m(_ _)m

 

 

 き、金融抑圧…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 じっ、地獄や…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 民間の地獄や…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

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