「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§4-1-4・絶望と貧困に喘いだ2199年を生き延びた世界の辿った運命(その4)・地球連邦政府という、不愉快なリベラリスト独裁帝国の成立
§4-1-4・絶望と貧困に喘いだ2199年を生き延びた世界の辿った運命(その4)・地球連邦政府という、不愉快なリベラリスト独裁帝国の成立
【 そして地球連邦政府という民主独裁国家へ 】
しかし、これらの一連の金融破綻からの復興政策は、既に弱りきっていた各国政府を崩壊へと導いた。1945年時の日本とは違った。当時の日本人は強い愛国心と連帯感を共有していた。戦勝国による奴隷化という危機を乗り切るために速やかな国力の復活が必要という認識を誰もが持っていた(ようである)。当時の日本には『戦勝国』という目に見える『敵』がいた。結果として、全部取り越し苦労だったのは幸いだったが・・・。
しかし2200年のいまは違う。ガミラスはいないのだ。もはや敵は同じ地球人であり、隣人であり、自国政府だ。目に見える敵がすぐそこにいた。いままで長いこと戦禍に耐えてきた。地下都市で窒息寸前の生活を送ってきた。エネルギー不足で絶滅の危機さえあった。貧困と困窮、死と絶望の地下都市で貧者も富貴も耐えていた。
そして全てが終わったはずなのに、さらに過酷な増税とインフレ、深刻な物不足が地球人を襲った。いまや潤沢なのは酸素と水くらいなものだ。一年前までは夢にまで見たモノだったが、手に入るようになると、あっという間にありがたみを忘れていた・・・。
我慢の限界を越えた。各国で激しい暴動が起きた。始めは庶民の自発的な反増税・反インフレデモだった。すぐにプロ市民による反政府活動や共産主義者の先導による革命騒ぎにまで発展した。昔ながらの人種・宗教間の対立も再燃し、地下都市の中でも・美しく蘇った地上でも互いに相手を殺し合うという光景が普通に見られるようになった。異星人戦争で弱りきっていた各国政府は対処能力を失い、瓦解する国家さえ現れた。人類の新たな危機だった。
この時、弱体化した各国政府を超越した、より強力な組織が必要と痛感されたことだろう。地球人を統合する強力な政府だ。求められたのは、かつての国連のように各国利益を追求するだけの『ワガママどもの寄り合い所帯』ではない。各国政府を超越した強力な指導力を発揮することが求められた人類史上初の統一政府の誕生だ。
またこれまでの
強力な中央政府と強力な中央銀行。まさに近代国家に必須の二つのツールが渇望され、実現することになる。
弱った各国政府に変わって、地球連邦政府が統治・運営に当たることになった。預金税の収奪は絶対だった。このための暴動鎮圧には当初は警察力で、やがて連邦軍が投入された。時に虐殺やレイプなどが連邦軍によって引き起こされた。しかし、それらも黙認された。混乱を沈静化する方がよいと考えられたからかもしれないし、単に連邦政府の軍事力に怯えただけかもしれない。
金融面では各国政府の負債の肩代わり役を担った。前述のように『通貨切り下げ』時の『地球統一通貨』に責任を持つことが求められたからだ。同時に『債券の株式化』の仕事も担った。つまり各国政府の負債の一切合切を取り仕切る仕事を引き受けたのだ。カネを牛耳るものは世界を牛耳る。地球連邦財務局はすぐに地球連邦最強の組織になった。債務整理の全てを引き受けたことで、各国政府の弱みを握り、連邦政府の強大化を助け、また地球人統合政府の効率化と資金需要を企画・立案することも出来た最強エリート集団となった。
それはつまり「強力な中央政府」と「強力な金融政策実行機関」という、経済学者スティグリッツの言う『統合政府』の誕生でもあった。
当然、民主的に選ばれた大統領と、各国政府代表からなる上院・各国の人口別を勘案した選挙区制に基づく下院とが構成された。この結果、地球連邦政府はそれまで民主政体を持っていなかった発展途上国に優越することになった。逆に日本や欧米などの強力な国家も、この地球連邦によってナショナリズムが押しつぶされることになる。
なにより、民主的な制度を整えさえすれば民主主義が具現化出来たと信じる愚民だけが生き残った地球において、大統領制の最大の問題点である衆愚政治の台頭や、議会と一部有力者(これには右派・左派は関係ない)との癒着・結託による議会主義の形骸化などの、古くて新しい問題には殆ど手をつけることもなかった。そのような知恵など、そもそも地球人には無かったのである。そして、制度が整ってさえいれば、ガミラスのような軍事独裁星間国家よりも道徳的・道義的に潔癖であるかのような
ただし良いこともあった。民族・宗教問題も時に力づくで黙らせることが出来るようになったことだ。もう一つは過酷過ぎる『預金税』は貧富の格差を激減させたことだ。誰もが平等に貧乏になったのだ。それはまた強者がいなくなったという世界でもあった。抵抗するものは殺害されるか、弱体化させられた。既存の国家もそうだった。アメリカのように「個人が武器を持つ権利」は踏み潰され、合衆国自体が崩壊したか、一つの地球連邦の中の『一州』程度の扱いとされた。他の国は言うまでもなかった。
人類共通の価値観〜それは自由で、平等で、社会福祉政策を取り、人種・宗教の違いを越えて誰もが豊かな人間らしい生活を送るための『理想』を具現化すること・・・これを基本憲法とした『地球連邦政府』という名の、事実上の単一独裁国家の誕生だった。大きな政府ということでもある。もっといえば『リベラリスティック』な狂気を帯びた『理想国家』なるガラクタの誕生だった。
2199年の混乱期に生まれた人類史上初の統一政体は、『自由・平等・博愛』を人類だけでなく他の異星生命体にさえ押し付ける傲慢な左派的色彩と、実行にあたっては他者の言論の自由や思想の多様性を平然と抹殺する独善的な進歩主義に彩られた『悪の左翼』帝国の様相を呈していく。そして、宇宙の平和の担い手を勝手に自負し、自由と平等を守る力の象徴として前衛武装宇宙艦Aクラスの建造を推し進めると同時に、安っぽい自由や平和を拡散波動砲の一撃とともに図々しくも宇宙へと広げていくことになるのだ・・・
※ ※ ※
そうは言っても地球連邦政府は必要な責任は果たした。莫大な税金投入と強引な債務解消により、地球の経済力は急激に回復した。
否、これだけの犠牲を払えば、復興して当然だった。物不足は経済活動の進展と太陽系資源開発により徐々に回復し、インフレも急速に沈静化していった。強力な地球連邦政府と強力な地球連邦金融政策決定機関のおかげだった。人類は復興特需に沸き始めた。同時に福祉政策も充実していった。ガミラス戦役で傷ついた人達はたくさんいた。彼等に対し、いまでは福祉予算を割り当てることが出来るほど税収入は増えた。これも当たり前だった。気違い沙汰な税金の収奪を行ったのだから。
国力はみるみる回復していった。各種産業の新興だけでなく、地球人に徐々に恩恵が行き渡りはじめた。インフレと債務整理によって労働者の賃金は最低水準にまで落ち込んだ。しかし下がる所まで下がれば、あとは経済復興に伴う可処分所得の増大が見られた。お財布が豊かになるにつれ、人類は自信を取り戻していった。国難を乗り切ったという自信と、星間国家としての新時代の幕開け、そして全人類の悲願であった『一つになれた』という希望だった。
所得の面で比較的平等だったことも忘れてはならない。預金税という、徹底した
自分たちのやったことが、結局、勘違いだったかもしれない・・・と気づくのには、まだ暫く時間がかかりそうだった。
さしあたり2202年、インフレが収束した地球は、しばしの平和な時を過ごしていた。復興半ばではあったものの、既に物質文明の極致に至り、誰もが平和と虚飾の繁栄に酔いしれていた。金ピカの時代だった。
なるほど、アンドロメダ星雲の方からは、なんかよく判らないピカピカした金ピカの白い星がこっちに近づいてきているような気配もあった。新たな敵なのだろうか? とはいえ、多分大丈夫だろう。いまでは拡散波動砲を積んだ軍艦が多数ある。戦艦36、巡洋艦81、駆逐艦多数・・・これだけあれば安心だ。数年前とは戦力が違う。誰もがそう考えていた。自信があったのだ。『Love&Peace』が敗けるはずはないとでも考えていたのかもしれない。彼等曰く、自分たちは『正義』だからだ。正義だと信じれば、負けることはないらしい。まあ、所詮、左翼は偏差値35の理想主義者という名の白痴の群れだ。群れること・偽善を垂れ流し、国会の前でバカ丸出しで騒ぎ散らしては、他者を恫喝することでのみ自らの主張を正当化しようとする新興宗教まがいの知恵のないペテン師の集団に、宇宙の真理が微笑みかけることなど絶対にない。地球は『幸せな星』に成り下がってしまった。知恵のある人間、真面目な人間は戦争で最初に死んでいく。生き残った搾りカスのような2202年の人類に、深い思慮と知恵を期待することの方がムリなのかもしれない。無論、人類が左翼バカなのはガミラスのせいでは断じて、ない・・・。
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