§3-2-7・最悪の債務事例を検証した総論〜第三章長いので、まずココを読んでください。日本の復活は、『金融面的事象に過ぎなかった』・・・ということでしたm(_ _)m

 長いこと読ませてしまいまして申し訳なかったです。。。m(_ _)m


 では総論としてまとめます。戦後の日本の基礎となった戦後復興のための最初の5年間の行動は以下の通り。


・敗戦直後、対GDP8.5倍、国家予算の72倍の天文学的な債務を抱えた。

・借金返すために国民の税金を突っ込んだ。300%の超インフレ期だったことや新円切り替え、1$=360円というベラボーに安くなった円の価値などの相乗効果で債務は劇的に減っていった。

・公的資金を法人に投入したこととも相まって金融関係の負債が無くなっていった。

・日本は元々技術力のある産業国家で、しかもエネルギーは国内産石炭が大量にあった。

・金融とエネルギーを整理・確保できたので、戦後の長い高度成長期を迎えた。

・そして、ここまで酷い国家債務を抱えることは『絶対に』ない。現在でさえ、せいぜいGDPの二倍程度


・・・ということだった。。。m(_ _)m

 これは現象面であって、実際に意図したor結果として現れた『本質』はというと、以下の通り。



・国民から全財産をふんだくって、金融関係や、銀行にカネ借りてる企業などに莫大な量の公的資金を投入した。

・金融機関が債務から抜け出せたので、その後の経済成長を支える資本力がついた。

・債務は激烈なインフレの中で驚異的に小さくなった。っていうか、超インフレが主な理由で債務が無くなった。通貨=国債なので。

 なので愛国心で国債買った国民は家一軒分くらい大損した。バカ見た(;_;)



 実は『たったこれだけ』だった。しかも、これは人類史上最悪の事例で(2017年時点で。今後、中国やEUなど他の国や地域がこの記録を超える可能性はなくもない)、今後、日本では『起こりそうもない』事例でしょう。


 要するに、日本経済の復興の理由を金融面で捉え直した時、銀行の抱えていた莫大な債務を償還したことが最大の成功要因ということに過ぎなかった・・・ただそれだけだった。

 ただし、国民にはとんでもない犠牲を伴った。なぜならGDPの8倍以上の債務は厳しすぎる数字だったからだ。逆に言えば、日本はこの債務を責任もって返済したのだから、8倍までは国債を増額しても大丈夫・・・くらいに思う輩が出てきても全然おかしくない。

 無論、そうなったら今度は外国に資産を逃しに掛かる日本人、続出だが・・・。


 なので、現在の日本の債務状況は『悪い』のだが、悪いにしてはまだ随分マシだということが言える。

 ただし国家債務が生じている場合、その国の国民は『大損する』は確かに本当だ。だから『債務は少ない方がいいに決まってる』と『税金が高くなるのはやむを得ない』というのが真相だろう。

 とはいえ、現在の日本は戦後とは全く状況が違う。莫大な債務負担を生じさせるような戦争もしてなければ、植民地経営もしていない。いまだに貿易では黒字が出せるし、海外に多額の資産がある。国債によって国内の産業は成長し、また国有資産も多い。第二章を使って延々と述べてきたように・・・。


 たとえばアイスクリームやスイーツ系の市場に関して言えば、日本は常に3兆円の規模がある。お菓子系の市場は景気動向に左右されない優良市場の一つで、ここに3兆円もの規模があるということだ。大抵の市場を拾っても規模がデカい。チカラが残っているのだ。アメリカを除く他の先進国では、あまりこういうのも見られない。余力が結構あるという証左だ。無論、日本人は意外と「金遣いが荒い」のかもしれないが・・・。

 また国有資産は動産・不動産だけでなく、高速道路や港湾施設などの経営権も含まれる。もし日本がギリシアのように(プチ)デフォルトしても、高速道路の売上の一部を借金のカタにすれば良い。きっとそうする。 

 何より日本は焼け野原ではないし、金融含めて技術と運用実績が豊富だ。国民の意識も高い。そして『人類史上最悪の債務を完済しきった』という『信頼』がある。キッチリとデータで残っている。



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 この第三章で『世界最悪の事例』を検証してきた。戦争直後より酷くなければ、なんとかなるということだ。まだ大丈夫ということで、現在の日本には問題解決のツールが沢山ある。

 そう考えると、最悪の状況からでも脱することが出来たのだから、今の状況はそんなに心配する必要はない・・・ということも言えそうだ。良くはなくても、だ。これが結論だ。最悪の地獄を見たのだから、まだ余裕だし、もう二度と起きることはないだろう。

 まずはそういうことだった。。。m(_ _)m


  ※     ※     ※


 一応のまとめとして、戦後復興の道のりは、ざっと言えば以下のようになる。

 ここから先は重複する内容なのですが、筆者的な戦後復興の理由と債務激減させた理由を詳述しておきます。三章の総まとめになります。別に読まなくていいです。長く書いて申し訳ありませんでした。。。m(_ _)m

 なにしろ第三章UPしたのですが、全くPV増えませんでしたので・・・(焦



●戦後、債務が約1,900-2,000億円が残った。半分は私人、のこり半分は法人と融資をした金融機関。

●国債の99%は国内で消費されていた。つまり国内債務だった。

●戦争に敗けて焼け野原になっていた。戦死210-400万人(データはまちまち)。家屋の1/4、産業機械の1/3以上、船舶は8割が消滅していた。産業基盤はズタズタで急激な税収入増は見込めなかった。


●産業の基盤は『エネルギー』と『金融』だ。しかしエネルギーに関しては石炭という国内で賄える資源が大量に存在していた。為替差損の問題を解消できた。

●産業・金融の立て直しが必須になった。債務を引き抜いて健全化する必要があった。


●そこで債務返済に預金税という、国民の貯蓄に勝手に税金かけてぶったくって、私人・法人問わずコレを当てることにした。

●『財産税法』がそれ。税率は最低25-90%の累進課税制。

 14段階に区分けされ、富裕層・中産階級が大打撃を受けた。貧乏人はもともと大打撃を受けていた。

 全国民の資産の10%にも相当する途轍もない税金となった。

●預金税をかけるために、あらかじめ『預金封鎖』と『新円切替』を行った。

 これは現金を引き下ろさせないための方法で、下ろしたカネでさえ価値が数万分の一にまで下がった新円が配られた(額面は一圓=一円だが、実質的価値が全然違う)。


●この間、物不足と産業基盤の喪失による激しいインフレに襲われた。

 戦後五年の間は300%を超えるインフレ率で、これは元の価値が数万分の一以下に下がったことに相当した(つまり新円切り替えの下落率に近いということ)。

●このため国家の債務も激減した。通貨の価値=国債の価値=国家債務なため。


●私人にも債務の返済はあった。額面通りだったため、数万分の一程度に減額された金額で返済された。国債買った庶民は途轍もなく大損した。

●法人も似たようなものだったが、債務が消滅もしくは数万分の一にまで激減したので、資本力の整理は叶った。

●とはいえ銀行等は相変わらず資金不足だったので公的資金が注入された。

 このため金融関係の状態が改善し、戦後の復興需要のための投下資本にメドが立つようになった。


●同時に一圓=1$だったものが、360円=1$に一気に引き下げられた。

 これは偶然ではなく、上記のインフレ率予想や債務額からみて1/300-1/330%前後と想定されたことに基づく数字だった。これにより輸入は厳しくなったが、輸出は超ラクになった。

●輸出力の増強は資本の蓄積に役に立った。当初は主にアジア向けだった。

●やがて対米輸出が本格的になり、米ドルを大量に手に入れることが出来るようになった。この米ドル(米国債)を円の裏打ちとして、通貨の供給量を増やすことが出来るようになった(←特にブレトン・ウッズ体制終了後に顕著になる)。


●産業と技術の進展により戦後日本のGDPが増大した。この増大に合わせて通貨の供給量も増やせた。増やしたことで国富が増え、国家経済は上向きスパイラルになったヽ(^o^)丿

●金融関係の債務が失くなり、投資が技術を生み出した。なので特に80年代までの日本は半導体や各種電子デバイスを中心とした世界的に最先端を行く技術開発力を誇っていた。まるで1700年代中期以降の英国の産業革命期のように、だ。


  ※     ※     ※


 これは教科書にはない解釈法で、カネの流れを中心に再編成した歴史観だった。しかし、この流れでいけば戦後復興が各種データとキッチリ合うはずだ。高校の教科書ではカネ計算は倫理上、しないことになっているが、それが実は間違いだったのだ。


 つまり日本の復活は、『金融面的事象に過ぎなかった』・・・ということだ。

 金融・企業を中心とした多額の債務を国民から吸い上げた税金で穴埋した、というたったコレだけのことだったのだ。


 逆にいえば、日本以外の全ての国で役に立つ事例だ。日本をパクればいいだけのことだから。無論、日本人のように忍耐力や産業力・情報収集分析能力や運用能力があれば、の話だが。



 そこで次章第四章から、この事例を宇宙戦艦ヤマトの世界観で当てはめてみる。

 なぜ地球が数年で経済復興できたのかの理由が判るはずだからだ。

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