§5-2-3・謎の組織「国債整理基金特別会計」←日本が国家破綻しない理由、その1…(  ̄ー ̄)y-~~

○国債の管理・発行方法論は本当に正しかったのか?


 日本の問題は「国債の発行総量が多すぎ」とされていることだった。とはいえ実額からいえばアメリカの半分にも満たないし、債務規模からいえば2018年度で中国は既にGDPの300%を超える程の債務を抱えている。米中ともに金利は日本の数倍〜十数倍もあり、冷静に考えても「危険」でいうなら日本の比にならないほどのはずだ。両国との違いはインフレ率(=経済成長率)くらいのもので日本の方が決定的かつ致命的に低いために「日本は危ない」と言われていた。

 

 しかし普通に考えれば債務の量と質(=特に金利負担の大きさ)の方が遥かに重要で、こちらに関しては目下の所、日本には不安はあまりない。しかも純資産が債務の三倍近くもあり、現ナマでさえ債務の1.5倍もある国で、なんでこんなに


ヤバス…(((( ;゚д゚))))アワワワワ


…などと騒いでいるのだろうか?

 まるで誰かが意図的に騒いでいるかのようだ。


 財務省界隈の連中が人材を送り込んでいるIMFや、日本が破綻したら喜びそうなパヨ朝日新聞なんかを使って「一つの方向性」を意図的に作り出そうとしているかのようだ…(謎)?? てか、そもそもこんなに日本国の財務状況が悪いというのなら、租税(収入)と国債(借金)を管理している財務省に責任は無いのだろうか?


「…財務省が悪いんじゃね?( ・᷄д・᷅ )??」

「っていうか、オマエらどういう管理の仕方してんだ(# ゚Д゚)!?」


…とは普通に思うこと。そこで、国債の管理方法を見てみよう。



 ※     ※     ※

 



○財務省管轄・国債整理基金特別会計…


 日本国の財務に関しては財務省が行っている。一般会計と呼ばれる政府の予算組みと配分に関してだ。

 しかしカネ勘定に関しては、実は財務省に一元化されているわけでもなく、各省庁が独自にカネの運営をしていることも多い。自分の所轄官内業務から派生して金融取扱業務を始めることもよくあるからだ。たとえば年金運用のGPIFは厚生労働省の所管だし、農林中金は農林水産省の所管だ。


そこでまず、この二例について少し突っ込んで話をしてみる。

「日本は政府がカネを稼いでいる」の実例の検証だ…m(_ _)m


  ※     ※     ※


 GPIFは厚生・国民年金を元手に国内外の證券・債券投資を行っている。

元ガネは世界第三位の金満国の年金で、しかも一億人以上もいる国民から強制徴収したカネなので元本が大きく、運用資金もとてつもなくデカい。またリスクヘッジのためのアセット・アロケーションの一貫で投資対象も多く、対外投資の割合も1/3ほどある。つまりかなりの額を成長著しい米国株式等に突っ込んでいるという事だ。

 またこの期間に個別銘柄はパフォーマンスの低下等によってダウのリストから外れる事があるが、GPIFは主にETF投資とされている。ETFは複数の銘柄(企業)のまとめ買いみたいな物で、個別銘柄のリスク(上場廃止を含む)を軽減できる「20世紀最大の発明の一つ」とさえ言われている。伸びる市場においてはテッパンと言える手法で、仮に下がって損したとしても買い増しておけば、やがて上昇に転じた時に含み損も消えてなくなる。

 

 一般論として「株式投資は10年でトントン、単年では赤字の事も多い。しかし30年の単位でみると数倍に膨れ上がっている」のが普通だ(ただし東証は除く…涙)。特にダウS&Pは100年で100倍もの規模に拡大している。ここは大体、沈滞の20年の後、10年程の急激な成長期の繰り返しという大まかな動きがある。なので米国證券に多額の資産を突っ込んでいるGPIFは30年後には爆益間違いない。

 このGPIFは世界最大の政府系投資ファンドと言われたノルウェー政府年金基金(総資産125兆円)が過去50年に渡ってやってきたことのパクリみたいなもので、既に成功例があった。コケる心配はないし、サウジアラビアなども石油の売上の一部を原資として巨大政府系ファンドを立ち上げている。特に珍しい存在でもなくなった。


 事実、GPIFの運用実績は2020年末時において実に177兆7030億円(←これだけの資産を保有し、運用しているということ)。自主運用がはじまった2001年からの累積黒字は既に85兆円を超える(ブルームバーグ2021年2月5日記事)。既に世界のトップクラスのメジャー金融機関となんら遜色のない「巨大金融投資グループ」だ。官製ファンドだから、CEOに天文学的な給与支払をする必要もないしね(爆

 

 少し前に、将来世代は老後に2000万円ほど足りないという話が出て騒ぎになったが、「そんなの全然心配いらない」。今の20-30代前半は、老後はほとんど蓄えがなくても十分に生活できるほど年金はタップリあるはずだ。よって若者はちゃんと年金を300ヶ月満期まで納金し続けるのが良い。ちゃんと支払っておけば満額払ってもらえる。キミら老後の心配はない(ただし40代以後の老人世代は間に合わずに野垂れ死ぬ可能性が高いので、溜め込んでおく必要があるのだが…)。

 

  ※     ※     ※


 他方、農林中金に関して言えば、元は農林業組合の金融機関から始まったものでJAバンクの約80兆円を元手にしている。この経過もあってか純粋な金融機関であるにもかかわらず金融庁ではなく農林水産庁の管轄にある。農林中金は農民や漁民の救済を目的とし、ほそぼそと貸し付けて…のイメージを誰もが抱く。

 しかし現実はこれとは程遠い、いまや日本最強の投資ファンドだ。優秀な人材をかき集めて強力な投資部門を設置し、国内外に広く投資を行っている。実力は折り紙付きで、日の丸系としては驚くほど「野心的」で冒険をいとわない(爆死)。詐欺まがいの投資にも頭から突っ込んでいく勇者だ。


 たとえばCLOがそうだ。CLOはリーマンショックを引き起こしたサブプライムローンの銀行版みたいなリスク性の高い資産だが、農林中金は実に7-8兆円規模も突っ込んでいる。現在、日本などではマイナス金利の影響で金融機関は利益を出すことが極めて難しく、また世界的にも低成長・低金利が続くために、CLOのような「リスク性が高いもののリターンも高い」という資産への傾倒が進んでいる。


 しかしながら農林中金の投資規模は世界最大で、全世界でのCLOの総額約70-80兆円の10%にも及ぶほどだ(ちな、日本の金融機関のCLO購入額は20兆円前後と言われる)。リターンが大きいので大きな収益源になる反面、金融危機などが発生した場合には爆損が出かねない商品で、金融庁などが査察に入った事もあったくらいだ(ただし公平を期すために付け加えておくが、主にAAA+の高品位格付けのものばかりらしいので、必ずしも危ないと断言は出来ないが…)。


 とはいえ農林中金はこれまでにも何度か火だるまになっていて、80年代バブルの時には住専に貸し込んでいて破綻寸前まで大損失を出したり、サブプライムローンの時には米国の米連邦住宅抵当公庫ファニー・メイ米連邦住宅金融抵当公庫フレディ・マックに日系金融機関では最大の6兆円前後の社債を抱えて特損を出したりなど、驚くような芸当を事もなげにやってのけている。「石橋を叩き割るまで叩いてみる」程、慎重かつ動きの鈍い事で有名な日本人らしくない大胆さのためか、世界的にも攻撃的な投資ファンドとして知られている。ヘタな博奕打ちかもしれないが、素人の集まりでは決して無いのだ。

 


 ※     ※     ※



 これらを見ても分かるように、本来、国のカネ関係を扱うべき財務省以外でも多額の資金を各省庁が運用してる。自分の所轄官庁の派生事業なのに、収益を上げ始めたら財務省にもっていかれる…というのも不愉快なモノがある。おまけに官僚組織特有の派閥権力争いがある、としても全く不思議ではない。大人の世界ではよくある事だ。


 それ以上に、これら金融機関が日本円(日本国債)の引き受け手であることも重要な問題だった。

 確かに国債は政府が無限大に保証する借金なので、大抵は信頼性が高い。国民に重税を課してでも額面通りの金額を利子をつけて返してくれる「無限大の担保保証」のある債券だからだ。万が一に、派手なインフレで額面割れを起こしそうな場合には、とっとと市場で売り払ってリスク回避もできる。株券(証券)のように「飛んだら終わり」というリスクはない。

 

 しかし「国債は日本人が買っているから安心」なのでは「ない」ことは韓国の話を通じて証明した。「経済成長 < 政府債務の金利」の状態が長く続くと国家破綻の遠因になる。そして外国人専用に売り飛ばす「外債」は通常、金利がかなり高い(そうしないと買ってくれないから)ので「経済成長 < 外債の金利」になりやすく国家破綻の遠因となりやすい。他にも関税収入を根抵当にくれだとか、国家の資産を万が一の時には引き渡せとか、金利変動型で後年、物凄い天文学的な負担額に膨れ上がるとかの厄介な付帯契約がついてることもよくあるために「危ない」のであって、事実、ギリシアはこれで吹っ飛んだ。「普通の国債なら安心」というわけでは「ない」のだ。


誤)「日本人が国債を買ってるから安心」←×

正)「外債を建てないor少ないから安心」←○


…なだけである。重要点は「金利が低く抑え込めるか?」否かだけだ。


 国家債務の問題は「唯一絶対の法則」がある。「多額の国債を発行すれば、結果、通貨膨張によるインフレを招き、国民資産(現金資産)が摩滅する」という事、ただそれだけだ。これ以外の法則などない。ならば「正しく管理する」必要がある…とまあ、こんな感じの事を考えたのかもしれない。失敗すれば、「国のカネ」が根こそぎ消えてなくなる危険性さえあるからだ。そこで各省庁間を縦貫し、日本国債を一元的に管理運営・償還するための仕組みが作られた。『国債整理基金特別会計』である。

 

てか、そもそも特別会計ってなによ…Σ(゚Д゚)?!


 なので、まず特別会計の話をする。分かりやすく言えば、政府予算=一般会計を管理するのが財務省。これに対し、それ以外の各地方や各省庁などの政府系の金融機関等が、独自の裁量で運営する会計のことだ。農業やエネルギー、原発災害等に対するカネの工面という感じで、主に目的別に設置される。そのため各省庁・各機関をまたいで横断的にカネの効率的な管理を可能にする。ちな、米国にはこの制度はない。


 雑で不正確な例えだが、イメージで言うなら、各省庁向けの金融管理機関(≒ファンド)みたいなもので、各省庁のカネやら債券やらを集めて、これを運用・管理するのだ(雑過ぎて済まない…)。一般会計(政府の予算組)ではない「特別な会計」なので、政府や国会の査察を基本的には受けなくて済むだけでなく、各省庁間で(各省庁のメンツを潰すことなく)カネのやり取りを円滑化し、統合運用することが出来る。たとえば災害などで特に支出が必要になった時、特別会計を利用すれば各省庁横断で柔軟に予算組みが出来、何処かの省庁の欠損を特会で穴埋することも出来る。実に便利なものだ。そして何より「有能」だった。


 例えば「東日本大震災特別会計」がそうで、2011年3月の未曾有の損害からの復興を目的とし、国会・内閣府から総務・法務・文科、果ては防衛省までを縦断的に組み込み、一般会計から切り離して柔軟かつ効率的なカネの管理を行った。時に臨時財源として復興特別所得税や各種復興債を発行・管理し、復興事業や各種保証の財源と運営管理をやってのけ、あれだけの大損失を2035年度までには精算できるスキームを構築した。つまり「将来に借金を付け回すことなく、我々の世代だけ」で完済し、債務を残すこと無く復興事業を終えることができるようになったのである。これはとてつもない成果で、1923年の関東大震災の時、カネがなくて外債に頼り、この外国人相手の債務返済になんのかんのと1985年くらいまでダラダラとかかったことを考えると雲泥の差があった。そしてこの特会の成功は、今後予想される東海〜東南海大震災などの超巨大災害に対する「銃後の備え」・「カネの守り」の雛形になり得る。

 

 特別会計は、日本を守る切り札なのだ…(  ̄ー ̄)y-~~

 

 2020年現在、特会は13にまとめられている。この特別会計のなかでダントツに巨大で、ズバ抜けて重要なのか財務省管内におかれた「国債整理基金特別会計」だ。

 この「国債整理基金特別会計」については初めて聞くという人も多いはずだ。実際には昔からあったものを21世紀になって、より機能的に洗練させたものだ。まさに目的はタダ一つ。長短あわせて1000兆円の日本国債を実際に管理運営し、償還作業をするのが「国債特会」だ。つまり日本国債の全責任を負っているのだ。


 動かしている金額も大変多額で、公表値だけで実に200兆円規模になる。13ある特別会計のなかでズバ抜けて規模が大きく、ここだけで政府の一般会計の倍のカネ(大体毎年200兆円)をやり取りしているほどだ。また毎年の政府支出(一般会計)の中の国債費支出(大体23兆円前後)は全額、この国債整理基金特別会計に受け渡される。この国税や他省庁のカネ(他の各省も特会を持っている)などを集め、国債の適正な維持管理を行うとされている。ちなみに前述の東日本大震災特別会計も、この国債整理基金特別会計に組み込まれている。

 

 ただし実際の国債の管理・償還と利払い業務は主に日銀に任せ、財務省は管理業務に集中しているようだが、なにしろ特会は国会の承認も業務内容の開示も必要ないので、正直、詳細な作業業務は判らない。国債特会は毎年の歳入と歳出、あと「上がり」についてのみ報告するだけでほぼ「ブラックボックス」化しているからだ。これはメリットでもあり、デメリットだ。


 国債特会は多額の政府債務に対する最後の防波堤であり、そのための運営は彼らに一任されていて、時々の政治による過干渉を阻止し、ツイッターなんかで「貧乏なんだから、国債を発行しまくれ!(# ゚Д゚)!!」みたいな#を建てまくっては、みんなから大ヒンシュクを買っている大衆動員型ポピュリズム的圧力にも屈しないで、国家100年の財政を守る役割を果たすつもりだからだ。多分、これはメリットなのだろう。国家破綻を防止し、災害などの大損害に対し国家をカネの面から支える極めて有能なスキームであることは実証済みだ。つまり「日本を国家破綻から守る最後の防波堤」なのだ。このスキームは圧倒的に有効で、有能な構造だった。


 国債や税金を元手とし、これを国内外の証券債権先物などの市場に投資して莫大な運用益をゲットする。つまり「国がカネを稼ぐ」という、まるで理想的な社会主義国のようなことをやっているのである。それも200兆円を超える規模で、だ(爆死)。GPIFや農林中金がやってきたことを、いまや日銀財務省がやっている。結果、日本国という全資産を全世界にぶつけて莫大な利益を出しているのである。日本という国はすでに「ただの世界最強投資ファンド」に過ぎなかったのである…┌(_Д_┌ )┐



政府が国民の富(税金)を担保に国債を発行し、この「政府の借金」を今度は「政府の資産」として日銀財務省が運用して莫大な利益を出す…(゚д゚)!?


まるで民間金融機関が国債を「資産」として購入し(≒政府の借金を肩代わり)、この国債を安全資産として証券債券先物保険不動産などへの投資にあて、莫大な利益を出しているように、だ…(゚д゚)!?


日銀(と財務省)がまるで民間金融機関のように自分でカネを稼ぐ。てか、政府財務省日銀がタッグを組んで「政府の借金を、政府が投資で取り返す」という、まさに大規模な国家投資ファンド化していたのである(仰天


  ※     ※     ※


 そしてこれが「なぜ日本が絶対破綻しないのか?」の理由の一つだ。

 なにしろ自分で作った借金で足りないカネを補填したあと、今度は借金だった国債を「資産カネ」として資産運用してまたまた儲ける。メシたらふく喰ってパワーつけた後、垂れたクソを畑にまいたら、肥料になってコメとか大根とか農産物がいっぱい収穫できたヽ(^o^)丿…みたいなものである(爆死


借金→カネ→資産→利益丸出し(国民のカネで…怒)

つまり日本国は「プロの借金転がし」屋だったのである…┌(_Д_┌ )┐


さすがヤクザの国や…(゚д゚)!?

ヤクザは不滅や…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

国家がヤクザなら、こりゃ強いよね(一安心)…(^o^;)


  ※     ※     ※


 ただしデメリットもあった。彼らの「守り方」に対する根本的な発想であり、ここの問題点を他者(国会など)が追求できないという事だった。いわゆる「60年ルール」なる、あまりに日本オリジナル・日本独自のやり方に固執していることだった…(๑꒪ㅁ꒪๑)???



          【 この項目、次話に続く 】



  ※     ※     ※


【補足】

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-11-17/R2NUKODWLU6901?srnd=cojp-v2-domestic

この記事によると農林中金、CLO資産をかなり減らしています。満期償還のようです。

さすがにやりくり上手なことで…(^m^)


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