§6-10・【本編補足】なんでAppleのジョブスは年収1ドルで2兆円の遺産を残せたか? ←株式の配当金とかくらいは、せめて無税にしてくださいよ(T_T)

 これまで幾度か「株式の配当金などに関して無税を!」とか「もっと規制を緩和して取得しやすく&リターンが多くなるようにしてくれ!!」と述べたように思います。このメリットについて話そうと思います。Appleとジョブスを例にして、ですm(_ _)m


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 独自OSコープランドの開発失敗で倒産の危機にあったAppleに舞い戻り、MacOS-XとiOSそしてiPhoneで華麗に立て直したS・ジョブスの快進撃は歴史に名が残るほど劇的な復活劇だった。


 さて、ひょっこりAppleのCEOに舞い戻ったジョブス(←以前、アップルから叩き出されてた)だったが、彼の給料は年1ドルだった。とても安い。特にAppleをその後、スマートデバイスiPhoneとiOSの会社に華麗に進化させた手腕を考えれば、『年収一ドル』は極端にコスパに優れていると言える。しかし彼の死後、遺産は2兆円に達するとさえ言われている。「どーやってカネ溜めたの?」・・・だが、そこにはこんなカラクリがあった。


 まず最初にAppleがジョブ公のためにカネを用意する。そのカネをジョブに貸し、ジョブはアップルの新規株式を大量に購入する。CEOによる自社株買いだ。この際、両者とも大幅な借入金が出来たので税申告すれば無税もしくは大幅減税となる。そのくせ、Appleの業績が上がれば当然、株価は上がり株式の配当がじゃんじゃん出る。


 しかし米国では基本的には『株式の配当益は無税』なのだ。ジョブは『がんばった分だけ』丸儲け出来る。このシステムはCEOのヤル気を激しく駆り立てるし、Appleにも他の株主にも利益をもたらす。実際、Appleはジョブスの元で徐々に業績を回復し、iPhone以後は業界の主導権を再び取り戻した。

 こうなればジョブ公にとってはシメたもの。なにしろ非課税の株式配当から莫大な利益が転がり込んでくる。事実、ジョブスはそれまでの損失分を一気に取り戻した。


 これが年収1ドルでも億万長者になれる理由だ。全ては『株式配当益は無税』があって始めて出来ることだ。

 ちなみに給与が年もしくは月に1ドルというのは米国の最低賃金法に引っかかるが、CEO等の役職に関してはこの法律の適応除外項目がある。よって問題ないのだ。無論、年収一ドルでは納税金は発生しない。


 では死に際しては、この株式をどうしたか? ・・・は実はよく判っていない。まあ、公表するわけ無いだろうが。

 しかし他の米国CEOの多くの事例はこうだ。最初にCEOが株式を取得するに際して多額の借入金があった。借金なので会社に返金する必要があるが、これも所有していた自社株を放出してカネに変えて返金する。そして通例は会社がこれを買戻す。このカネがCEOの退職金になる。当然、無税だ。

 会社はこの分の自社株買いをマイナス計上(←会社の正当な支出として計上)出来るから、やはり減税が見込めるだけでなく、企業が自社株買いをするので自らの資本力増強にも貢献できる・・・という算段だ。


 もしCEOがジョブスのように頑張ってくれたなら、株価は上がっているはずだ。換金すればかなりの儲けが出るし、返金分だけ売却して手元に残すことも出来るだろう。仮に業績が下向していたとしても、会社は最悪、特損を計上することで減税or無税にすることが出来る。しかもCEOにはストックオプション(←株式を一定金額で会社から買取れる権利)がついてるのが普通なので、企業が『敵対的な買収者』や『物言う株主』に対して抵抗力も付けられる・・・と、まさにいい事だらけだ。


 これは極端な方法だが、多くのアメリカ人が老後やコドモの学資のために株式運用などをしている。主に投資ファンドに出資しているのだ。これが庶民の富=国民の富を増大させるだけでなく、巨大な投資ファンドが多数存在する原資ともなる。そしてこの投資ファンドなどの金融力が米国経済を金融的に下支えし、米国の年率2.6%のインフレ率(=経済成長)を可能にしているだけでなく、世界への投資力の源泉となり世界経済をも支えているのだ。


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 昔、アメリカでは自社株買いは違法だったが、それも今は昔。この『株の配当金は無税』という事も合わせて大改革は1990年代から段階的に行われていった。この過程で米国は実に5.5倍ものGDPの成長が可能になった。この成長の三割は金融関係の成長で、投資ファンドの急激な成長が後押ししているのだ。


 一方、同時期の日本はほぼ成長が止まっていた。デフレ期にあたるが、この低成長の原因は金融力が弱いことに由来する。米国のような巨大な投資ファンドがなく、また無いために国民の間で投資ファンドを活用して自分たちの生活をラクにしようという文化的背景にも欠けている。そして投資力が弱いために株式市場で外国人に主導権を握られてしまう愚を犯している。なので日本が強くなるためには株式利益は無税にし、皆の資本が株式に向くようにするべきだ。

 なにより日本人には、株式に投資するだけの余力がまだ十分にある。アメリカ人の平均貯金額はわずかに12万円程度だ。これは独身者だけでなく世帯持ちでも似たようなものだ。つまり残りのカネは株式運用などに振り向けているからでもあるのだ。


 以前、日本でも仮想通貨がブームになったことがある。実際、世界の仮想通貨への資金投入額の半分が日本だったという時期もあったのだ。これは『所得が上がらないので一攫千金を狙って』仮想通貨に投資したことが背景にあるようだが、むしろ逆に『貧乏と言われても投資力はかなり残っている』という余力があることを示している。このカネを(特に国内の)株式に回すことが出来れば、株式市場もまた日本人優位となり外乱に対して抵抗力が持てるし、企業にとっても資本増強が望める。当然、強力で有能な投資ファンド業者が増えれば増えるほど、現在のように半官半民もしくは事実上の国策ファンドに頼らなくて済むし、国内への投資力が増えるのだ。そして、庶民にとってはFXのような「欧米ではプロの業者しかやらない」ハイリスクな博奕に無駄金をツッコミ続けるような愚を犯さなくても済むようになる。


 つまり、アベノミクスですべきことは株式などの証券・債権からのアガりを無税にして日本人のカネを国内の市場・企業への投資に振り向けることが必要だったということなのだ。株で損をした時の控除対象枠も拡大するべきだろうし、個人投資家を守るだけでなく、投資ファンドの育成に力を注ぐべきなのだ。たとえ『掻き回す』ばかりの、かつての村上ファンドのようなグチグチうるさく『物言う株主』が増えることになっても、だ。


 それでも企業にとっても良いことが沢山あるからだ。企業には投資が必要なのだし、銀行からの借入金だけでは常に根抵当を取られる。倒産して本当に身ぐるみ剥がされるという日本のやり方では、失敗したら後がなくなる。アメリカなどでは投資家が損するだけで、再起した起業家も結構いる。勿論、アメリカでも実際には競争が激烈なので、敗北者はなかなか復活できないというのも事実だ。だが、四回も破産した挙げ句、米国大統領にまでなった不動産屋だって実在するのだ。民間の投資ファンドを保護・育成し、国民の富を株式に振り向ける政策は、国民の富を増加するだけでなく、投資を通じて企業を強化し、万が一の破産の時でも起業家個人と彼らの家族を守る手段にもなり得る。


 証券・債権に対する規制緩和・・・ここが日本のこれからの強化ポイントだ。そうでないと我々個人の資産や貯蓄が増えないだけでなく、株式市場が外国人の手によって暴落するリスクから逃れられない。韓国のことを笑ってもいられなくなるのだ・・・。


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 最後に別の話しをしようと思う。これもアメリカの話だ。アメリカでは合法的に労働者も無税にすることが出来る。

 まず最低賃金で雇用する。当然、これだと生活出来ないだろうから、足りない分は『雇用企業からの借入金』とする。つまり月に25万円ないとやっていけないという人に、最低賃金を差し引いた分・・・たとえば10万円くらいを、毎月、『会社から借り続けている』という形にするのだ。これだと労働者は借金が増えたことになるので税金の支払いはしなくて済む。一度もしなくて済むのだ。

 一方、企業の方も同様にカネを貸し出しているので『利益が出ない』という事に出来るので減税or無税だ。そして労働者が退職するときにはそのままバイバイする(^_^)/~

 労働者は『借金』を返金しない代わりに、企業はその分を特別損失として計上して税金の支払いを逃れる。


「こんな上手い話し、あるわけねーだろ?」と言われそうだが、これは筆者が言い出したことではない。投資の神様と言われたW・バフェットがMS創業者のビル・ゲイツを迎えての討論会で披露した『裏技』だ。ただし、二人の討論会は『金持ちがこんなこと言うのは何だが、今のアメリカの税制は間違っている』みたいな内容での『悪い例』としてだ。

 通常、この労働者はCEOなどに準ずる人物で、大抵はあいだにダミー会社を挟む。雇用企業はこのダミー会社への『投資』の形で支払われるが、実際は労働者への給与・ボーナスだ。脱税の一例なのだ。


「だったら日本でも、株式や債権で規制緩和したらそーなるじゃねーか?」という意見に対しては、「ならない」と断言出来る。

 日本とアメリカではそもそも納税方法が違うからだ。


 日本のように徹底した源泉徴収制度を採用する国は少ない(←もとはナチスの制度)。特に収入に対する直接収奪なので『とりっぱぐれ』が無い。一方アメリカは『結構テキトー』な納税もまま、可能だ。日本人は毎年2月中旬から始まる所得税控除さえ知らないという人が多い。自分が幾等収入があって、いくら税金を支払っているかがわからないという人が大半だ。

 逆にアメリカなどでは納税は自分で行うので、自分の所得がいくらで、いくら控除が受けられるかを誰もが把握している。その代わり、欧米では納税申告書によって選挙権が与えられるということが普通なのだ。納税しているのだから選挙で政治に参加する権利を有する・・・という考え方だ。日本では憲法で納税は義務になってるので、選挙権も日本国籍有資格だけで選挙・被選挙権が得られるという違いがあるのだ。


 ということは、現行の制度の延長上での規制緩和ならば、理屈から言えば『所得への課税』分をなくせばよいだけのはずだから、決して不可能ではない。


 日本の労働者の、特に非正規雇用者の所得が増えないことは今後、更に問題になる。これを回避するためにも、余力があるうちに国民の所得増加のための手を打たなければ国内市場の縮小と国力の衰退を招くだけだ。いままでは企業寄りの政策を採ってきた。それはデフレ脱却には必要なことだった。今度は労働者寄りの施策を採るべきだ。国民からの支持がなければ憲法改正もへったくれもないはずなのだろうから、なら、ここはアメリカのようにするべきなのだ。


( ゚∀゚)o彡゚「かもん、べいべー、アメリカ!」

( ゚∀゚)o彡゚おっぱい!おっぱい!


・・・そんな感じでお願いします to 与野党政治家の皆様m(_ _)m

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