「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§5-1-12・そして米中貿易〜ry(その3)…強大な国内市場を持つアメリカこそが世界最強国家であり続けるという話…(눈‸눈)
§5-1-12・そして米中貿易〜ry(その3)…強大な国内市場を持つアメリカこそが世界最強国家であり続けるという話…(눈‸눈)
◎強大な国内市場を持つアメリカが世界の王として君臨したという事例
…今度は国単位を超えた、一つの『経済集団』レベルでさえ、米国に振り回されて大迷惑している二つの地域を見てみましょう。EUとNAFTAです。紙面分量の関係上、(本当は重要で大量に字数を割かねばならないのですが)駈け足しで2019年末日までの状況を軽く整理します。まずEUの方です…m(_ _)m
EUと米国との関係は非常に緊張しています。特に米国に対して大きな黒字を出しているドイツとの関係がそうです。
ドイツは米国への輸出が約6兆円に対し、ドイツが米国から輸入してるのは僅か1.5兆円に過ぎません。実のところ日本よりも黒字額が少ないこともあるのですが、日本とトントンなのだから、それなりに巨額です。
非常に重要な「ドイツがなぜそんな巨額な黒字を出せるの?」に関しては、いずれ詳述するとしても(←信じられないほど汚いカラクリがある)、これがトランプさんを激怒させています。さらにドイツのメルケルはリベラリストで移民や環境の問題で意見が食い違う事もしばしばですから、個人的な関係でも
しかしなによりの問題は米国と欧州そのものが
実は米国はEUに対して以前から貿易に関して「米国の市場参入を阻んでいる」という根深い疑念があり、WTOに提訴するほどという事でもあったのです。既に米国がWTOに提訴していたのだからむしろ驚きですが、EU側にもかなり問題があるのは事実で、会計の不透明さや(特に大企業に対する)参入障壁、エアバスのような補助金政策だけでなくフランスによるルノー株取得と筆頭株主化など、我々から見ても「何処の社会主義国?」的な疑念が常につきまといます。
ちな、そんなフランスさんですが対米貿易では全く冴えません(^m^)
米国の物品輸出入統計にフランスは出てきません。『その他』の中の一国です。しかしフランスは「ドイツの威を借る」もう一つのEUの大国です。政治力が強い国なのです。よって仏米間でも対立は激しいものがあります。
前述のフランスによる米国情報産業系企業群に対する規制や、J.P.モルガンに対して「国債市場に相場操縦を行った」として2000万ユーロ(約24億円)の罰金を課した事(現在係争中)などに対し、米国は対仏100%の対抗関税さえ辞さないほどです。
ここでも厄介なことにフランスのマクロン(←リベラリストでありながら経済政策はマネタリストという奇妙な政治家)と米国のトランプさんとが立場が全く違うために、ここでも人間関係的に抉れているのではないかというフシがあります。
要するに米国vsユーロ(独仏)という関係は、実は双方が結構、保護主義的な指向を内在させていて、これを解決すべき政治家同士が仲悪い…という「政治の失敗」例かと思います。なので『対EU戦線』は痛み分け。これから更に激化する可能性がある…でしょう。ただしフェアに見て、米国ばかりが悪いとは言えないと思うんですが…?
※ ※ ※
さて、ではドイツ、フランスの一般市民の生活はどうでしょ( ゚ω゚ )?
前回、ユーロ圏の経済成長率が鈍化(前年比のだいたい半分の1.2%前後にまで落ち込み)し、特にドイツにおいてはマイナス成長になった時期もあったという程のダメージがあったわけですが、これだけの指数の悪化があれば、当然、市民生活に影響が出ないわけがありません。
たとえばドイツですが、ドイツは自動車産業が強く、また裾野の広い業種であることから輸出製品およびドイツ国内産業の代表とされています。と同時にEV化などの先進技術に関しては日中なとに遅れ、電池開発などでもアジア勢の後塵を拝しています(←これはEU全体として言えること)。また2015年のVWの排ガス不正問題などの深刻な経営体質を抱えてもいて、いまはともかく「将来にやや不安」が残る内容になっています。
データで見ます…φ(..)メモメモ
Jetro発表では、ドイツの2017年の自動車輸出は1,389億ユーロで、ユーロ圏の輸出全体の11%を占めており、また約82万人が自動車産業に従事しているとされていますが、ダイムラーだけでも今回の経済戦争の悪化をうけて2022年までにドイツだけで一万人の人員削減と14億ユーロ(約1,500億円)のリストラを断行せざるを得ないほどに追い詰められています。VWなど他の各社も今後、同様のリストラに迫られる可能性があります。
経済指標も冴えません。前回記した通り、2019年第二四半期はマイナス成長、しかも当初発表の▲0.1%から更に悪化しての▲0.2%へ下方修正|(四半期マイナス成長が二期=半年続いたらリセッション突入)だと記しましたが、第三四半期の状況はというと、確かに辛うじてセーフの+0.5%(前年同期比)。しかし、
「景気後退には陥っていないが、経済成長率はまだ低すぎる(アルトマイヤー経済相)」
「第3四半期の国内経済は依然として低迷しており、回復の兆しは見られない(ドイツ経済省)」
「ドイツ企業は今後数四半期、輸出の回復を予想していない(ドイツ経済省)」
…という極めて厳しい認識です(ロイター 14/11/2019付)。
これを裏付けるように、10月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比0.9%の上昇にとどまり、インフレ率はこれを5カ月連続で目標値を下回り、また11月の製造業とサービス業を合わせた『総合購買担当者景気指数(PMI)』改定値はは49.4と、景気後退の指数とされる50を割り続けています。
これに先立ち、ドイツ連邦統計庁が発表した9月の小売売上高指数は、季節変動修正分で前月比+0.1%と、予想の半分程度の超低成長ぶり。これは個人消費(つまりドイツ国内のGDPに関わる重要な要素)が勢いを失っている可能性が示唆されています。
つまり「どうにもこうにも悪い」のです。
米中貿易問題の煽りをまともにくらい、米国へも中国にも輸出力が衰えてしまったドイツの苦境がうかがえます。
それと『おまけ』程度にフランスのことも述べておきますが、長期に渡るインフレによる物価高と景気後退を受けて大混乱しています(爆)。
2018年11月より始まった大規模な『黄色いベスト運動』は一年以上も続いた2019年12月現在も続いている戦後最長のデモ運動であり、死者も最低でも10人は出ているほど激しいものです。
契機は環境保護などを明目としたディーゼル油への課税に対する反対から始まりました。
運送業者などを中心とした個人事業主の負担爆増に対する反発だったのですが、燃料価格の上昇だけでなく「生活費の高騰」の他に、フランス・マクロン政権下で続いた一連の政府支出削減政策・税制改革の結果、「税金は上がるものの社会福祉や公共サービスがどんどん劣化する」ことへの反発…とくにパリ以外の地方の市民の反発があったとされています。
思うに、ユーロ圏の長年の成長インフレによる物価高騰が続き、この状況の時に不景気がやって来れば庶民・労働者の手取りの伸び(可処分所得の増加率)に比べて物価高の方がキツくなります。生活が苦しくなるということです。米中貿易問題のパンチを顔面に食らったと言ってもいいでしょう。
不景気の時に歳出削減やら税率アップやら公共福祉サービスの削減をやり始めれば、庶民の怒りが爆発するのも当然です。
てか、なんでそんなのが読めないのか不思議なほどです(´-ω-`)?
その理由もあります…
フランスは国鉄などの公共サービスの国有化率が非常に高く、また国内企業への政府の介入率が高く、ルノーを始めとして政府が企業の株式を大量に保有していたり、プジョーなどに多額の補助金(主にディーゼルエンジン開発)を出したりという『官制介入』を繰り返しています。その結果、非効率であり財政状況が良くないのです。これをフランス国債を大量に購入して(←下支えして)いるECBや、ユーロ圏の諸経済会議などが度々問題視していて、
「いい加減、民営化しろ(# ゚Д゚)!!」
…の圧力を加えているのは事実です。そしてマクロン大統領が、いわゆる民営化と競争による国内経済の活性化を目指す政治スタンスを採っている事から、特に極左系労組の強いフランスではトラブルが激しくなったと思われます。
おまけにこの国鉄民営化を、米中貿易紛争真っ盛りの2019年の12月ごろにやり始めようとして、今度は大規模な公務員ゼネスト(一説には150万人参加。全人口6,700万人の約2%以上、1/50人の割合)を引き起こし、全土で一週間以上に渡って通勤通学・生活全般の大混乱を招いています。
経済的打撃の評価はこれからですが、少なくとも掻き入れ時のクリスマス商戦を直撃し、またフランスの代表的な産業である観光業に大打撃を与えています。
アカン過ぎシルブプレ…┌(_Д_┌ )┐
独仏でさえ、対米貿易紛争の結果、この状況ですから他のユーロ圏も良いはずはありません。ただ紙面分量の関係上、割愛します。特に財政破綻寸前のイタリアと、ブレグジットで騒ぎまくっている英国については本当は解説しなくてはならないのですが、どちらも現在進行系で終わりが見えず(←つまり政治が混乱し続けているということ)、今日の段階では『保留』とさせてください。
※ ※ ※
もう一つ重要なNAFTAのような事例も見ます。
カナダ・メキシコ共に米国に黒字を出していますが、特にメキシコが9兆円近くも黒字を出しているのが問題でした。
NAFTAは相互に関税をかけない事を基本としていましたが、安い労働賃金を武器に「メキシコに生産拠点を設ければ米国への自動車輸出には関税がかからない」という『抜け道』が出来てしまいました。
本来なら、こうして稼いだ黒字によってメキシコ人の生活水準が向上し、またペソも上昇して米国並みの生活水準を謳歌できたはずでしたが、メキシコは相変わらずの
そこで、枠組みを変えずに中身を入れ替える『米墨加協定(USMCA)』を強引に成立させ、現在、各国で批准作業中です。
結果として、米国酪農家のカナダ市場への参入を主とする農産物一次産業への米国の意向の反映・自動車産業において自国での製造割り合いを増加させる事(対米輸出を減らす)を含む二次産業の自国製造主義化の推進・メキシコの安い労働賃金問題を解決するための労働問題諸法整備の強要と、電子商取引における米国製品購入時の免税限度額の引き上げや、米国が圧倒的に優位性を保っている知的財産保護の強化を含む幅広い範囲を含み、同時にNAFTAに含まれていた「ダンピング防止税・相殺関税の正当化」を管理する紛争解決システムを維持発展させる内容で、「米国に対して手厚い取り決め」になっています。加墨両国の事実上の敗北です。
※ ※ ※
ここから言えることがいくつかあります。「なんのかんの言ってもアメリカ強い!!」です。米国は一つの国家でありながら、国はおろか国家集団ともまともにやりあえる経済力があるということなのです。
では、この経済力を支える根源的な力はなんでしょうか?
それが「強大な国内市場を持つ国が勝つ」という普遍の真実です。
よく言われているように「結局、市場が需要(=全て)を決める」という結果に過ぎなかったのです。
産業力がある・金融力があるのも、そもそもそこに『旺盛な市場があるから』で、米国にはこの市場が育成されていました。逆に言えば、他の国は『なかった』ということだったのです。よって市場を米国に求めた結果、米国の巨大市場から閉め出されないようにするために、世界各国が苦慮しているということで、まさに「需要が供給を支配する」の原則通りです。
そして巨大で魅力的な成長著しいアメリカが露骨な自国第一主義を採用すれば、それは『独裁国家による世界支配』と全く変わらないという厳しい現実になるのは当然でした。
海外に開かれた強力な国内市場の有無が決定要因だったのです。
自由貿易の要諦です。国内市場を解放することによって、相手を誘い込み、自らが最後には主導権を握ることが出来るという端的な事例だったのです。
ならば、日本以外の国家主義的な動きに対抗するには『一にも二にも自国国内市場の育成が必須』ということになります。この観点から日本を考えた時、はたして「国内市場育成のための努力を官民で意識して行っているか?」に疑問が残ります。次回、それを見てみましょう…
|д゚)チラッ…
( º дº)< 続くお
|)彡サッ
【 この項目続く 】
【補記】
ノベルアッププラス2019年12月12日初公開分
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