§5-1-3・なぜ韓国は必ず破滅するのか?(後編) ←政府の運営資本を外債に頼っているから
さて、前回のおさらいを一つ…m(_ _)m
韓国のデフォルトのパターンは、韓国国内で投資バブルっぽい状況になり、その破綻などから金融不安・企業倒産などが増え始めた時に、海外に資本が逃げ出すことで起きる…の形だった。そして韓国国内の金融力が弱いために、いきおい外債に頼らざるを得なくなり、この分が特に簡単に海外に逃げ出し安く、また総額が韓国の国力に比べて大きい…ということが問題だと言えた。
つまり政府予算さえ外債に頼る韓国において最悪な事態は、『もしも外国人保有者が撤退し始めたらどうするか?』という局面にぶち当たった時だ。政府(年次)予算は、その年の国家の運営費だ。車で言えばガソリンに当たる。これがショートするということは、車がエンストするに等しい。
韓国の場合、政府を動かす予算そのものが無くなることを意味する。つまりデフォルトだ。政府機能が死滅する。これが一番悪い。明日、突然、政府機関(もしくは政府の機能・サービス)が停止するからだ。
この状況は特にアメリカで利上げされた時に起こりやすいとされているという話もした。米国金利が上昇するというのは、大抵はアメリカ国内が好景気でFRBがインフレ懸念から金利を上げにかかるためだ。つまり『強い経済力』の裏返しでもあるのだ。
この『良い』状態の時に金利が上がれば、アメリカで投資すれば利払いが大きく儲かるし、たとえ景気が利上げのせいで少々減速したとしても、なお強い経済力がGDPを押し上げる。儲けのチャンスはまだ十分に残っている。
一方、米国内民間企業には投資家などからの資本流入があり、これが米国経済の下支えとなる資金元にもなる。失速の心配が少なくなるし、FRBが更なる利上げに踏み切れば、その分だけ利払いも増えてくれる。さらに国内投資なら、ウォン=ドルの為替差損の心配もなくなる(米ドル扱いの米国金融投資家は特に)。韓国から投資を引き上げる理由は
あとはタイミングだけとなり、米国金利の上昇分による利回り期待がウォンの利回り期待より上回り、かつウォンとの為替リスクヘッジの負担増額よってウォンを保有する価値がなくなった時だ。この段階で投資家は米国債にシフトし、同時に韓国政府から運用資金が失くなり、デフォルトを起こす・・・これがアジア通貨危機の時、韓国に起きたことであり特に韓国が「米国金利が上がった時にはピンチ!」と騒ぎ出すメカニズムだ。
※ ※ ※
では日本との違いはなんだろうか? まずは『政府財源』だ。
日本の場合も政府予算を国債で
実は非常に奇妙で、しかも謎なことがある。データを精査すると、韓国にも日本と全く同じ役割の公的組織が多数あるのだが何故か赤字だらけで、実際に『お財布』として機能していないということだ。この理由は不明だ。判っていることは『致命的』ということだけだ…。
これではまるで、韓国における政府系金融機関の役割は『本来、国の赤字で計上すべき債務を、民間企業扱いのこれら政府系企業に付け回しています。政府債務の対GDP比は60%前後と言われているが、実は多くをこうした企業に付け回して、国の財政状況が良いかのように不正に偽っています!』という『簿外債務のゴミ捨て場』のような使い方をしているとしか見えない。何の意味があるかといえば、政府の債務状況を良く偽れれば、韓国国債の格付けが下がることはなく、外国人に買ってもらうときに金利負担が減るからだ。
つまり『そう疑っている』のだ…。
2010年の韓国発の記事に大変気になる内容があった。当時でさえ、韓国の実質的国家債務は政府発表の2倍以上という内容だ。当時の韓国国家債務は407兆ウォンでGDP対比36.1%とされていた。今の半分程度である。しかし政府が国際基準に合わない計算基準を適用して国家債務の比重を意図的に下げているという批判をしている仁川大学の玉東錫教授によれば、UN、EU、IMFなど国際機関が勧告した計算基準を韓国に適用すると二倍以上になるという。
この指摘をうけ、韓国経済研究所がまとめた試算によれば、政府系企業・中銀債務・BTL(賃貸型民間投資事業)・年金組合に地方債務を含めれば、当時でも既に対GDP比130%を超えるとされていたし、同時期のハンナラ党李漢九議員の試算によれば、さらに悪い対比145%にも及ぶとされたほどだ。
これに関しては気になることが三つある。『10年も前の話だ』という事と『それ以来、一切何も聞こえてこなくなった』ということ、そして2019年時、韓国は米中貿易戦争の影響をまともに受けて官民債務が急激に膨れ上がっているということの三つだ…。国家債務だけでも当時の倍、膨れ上がったということを考えれば、実数がどれだけ膨れ上がったかと考えるとゾッとするのではないだろうか?
二つ目。日本の場合、日本政府が主体的に財政均衡策や金融緩和策などを採れるが、韓国の場合、米国FRBや海外での景気動向に左右され、自国の影響力に乏しい。前章で述べた『国家の金融体力』がない事と、みんなが貧乏で内需が弱いためだ。また負担を担う官民金融機関が無いことを意味する。これは実に恐ろしい話しで、自国政府の運営が外乱によって決定されるということだからだ。政策能力の欠如に等しい。外国任せ・運任せになっているからだ。
無論、韓国が外国人投資家を抱え込むためには韓国国債の金利を上げるのがてっとり早いが、それは利払い負担の上昇を意味する。この利払いが政府予算を更に圧迫し、しかも一度でも支払えなくなれば即デフォルトになる。
ここでやはり重要な事として、国債の保有者割合の問題が出てくる。日本の赤字(国債)は、国内需要の喚起のために使われる(国富のための)投資以外にも韓国同様の『赤字国債(=予算不足を直接補う国債)』も多額にのぼる。その意味では構造的に違いはない。しかし韓国の場合は国債のおよそ半分が外国人に握られている事は致命的だ。日本は逆で世界的にも国内消費率が極めて高い国だ。ほぼ90%以上が日本人(日本の官民)だ。特に日本のように長期国債の半額以上を中銀が持っている…というような国債の保有者が(良くも悪くも)日本人なので、安定した保有者といえる。万が一のときにも、国内金融機関相手なので政治的にコントロールすることも可能だろう。ただし日銀がこれほど多額の国債を保有する以前から、日本は民間銀行が多額の日本国債を保有していた事も事実だ。
だが韓国は違う。外債もしくは外国人保有の場合、もしも韓国経済が失速するor韓国国内に多額の債務があり、韓国の経済に不安があるとか、FRBが金利を上げたのでそちらに資金を振り向けたい…という思惑から韓国国債を売却し始めた時、金利は上がるし資本は抜かれる…という致命的な状態に陥るということだ。この抜かれた分は日本で言うところの『赤字国債』なのだから資金不足で即、政府がショートするという構造になっている。大抵は外債の利払い償還費用が捻出できなくなるというパターンだ。これが韓国必滅の致命傷だった。この形は発展途上国においてよく見られる。逆に言えば、発展途上国型製造業国家から先進国のような金融国家型へと脱皮できていない証拠でもある。
この時、「韓国は経常収支で黒字だから大丈夫」という話しをしたがる馬鹿者が多いが、前述のように経常収支の黒字はなんの保障にもならない。事実、1997年時には韓国は黒字でありながらデフォルト起こしたではないか! …と。
よって黒字は特に保証にはならないことが分かる。特に韓国国内市場が縮小した(←ということは国税収入も小さい)ために、海外輸出が相対的に『黒字』になったのであれば危ない。
要は『必要な時に税収入が確保できるか?』だけが問題で、外国人投資家による政策財源の引き抜き分を埋めることが出来るのか? だ。なにより税収のアップは翌年の政策予算の話しであって、今日、引き抜かれた政府予算の穴埋めには間に合わない。この理屈が肝心でサムソンやら現代やらが「売上が過去最高」はどうでもいいのだ。
「緊急時の政府の臨時予算を組むための財源を政府が確保してるのか?」
「無いのなら、国民に大増税を強要できる政治的な強さを政権が持っているのか?」…だ。
政府予算が突然消滅するという事態は、どうしても避けたい最悪の事例だ。政策予算不足に陥ってしまうと、貿易黒字やら経常収支の黒字など全く意味がなくなるだけでなく、逆にサービス収支の赤字などが全て『悪材料』としてクローズアップされてしまうという悪循環に陥る。そしてこれを阻止するための制度…たとえば前述の『政府の隠し財産』みたいな政府系投信などが機能しておらず、民間金融機関が弱いでは、あまりに厳しい。
ここで3つ目の不安がよぎる。政治の不安定さだ。
韓国は10年に一度、主に韓国国内経済の失速時に世界経済が減速した時期が重なった時、通貨スワップを騒ぎ出すということだ。こういう場合、まずは外国にスワップを発動させてくれ…という事自体が『異常』なことなのだ。というのも、外国にスワップの形で泣きついた場合、事実上の「一回目の不渡り」とみなされる。たとえ乗り切ったとしても、要するに「要注意」とみなされる。当然、外債の金利は上昇するしスプレッドも高騰する。なにより国の信頼が損なわれる。これを乗り切るには自国でカネをかき集めるしか無い。臨時債権を発行し、これを官民の金融機関に買い取らせ、そのカネを充当する…などの方策だ。しかし今言ったとおり、政府系信託も民間金融機関も弱くて拠出できないというほどの場合、もはや大規模臨時増税…『預金税』くらいしかなくなる。そしてキプロスなどは実際にそうした。よって韓国もまずはスワップよりも、国民への増税を行うべきなのだ。
しかし韓国は国内の左右の対立が激しく、また所得・地域・学歴・年齢・性別などでかなり強い対立構造がある。これは文化的な側面だが、もともと軍事独裁国家くずれの民主国家のためか、発展途上国ではよくみられる国家の政治的分断が韓国でも見られる。特に政治の左右の分断は治世に大きな影響を与えている。右派・左派のどちらが大統領府の椅子に座っていても、全国民になけなしのカネを出してくれ…と言いにくい状況にあるのだとしたら? だ。政治的な弱さのために、国家デフォルトを回避できない結果としてのスワップ騒ぎだとしたら、これはもはや韓国政治による自滅以外の何者でもない。ある意味、手の打ち用がないのだ。
四つ目が、最も大切な民間債務との兼ね合いだ。
日本のデフォルト不安は、巨額の国債利払いがショートした時に発生するという不安で、一方の韓国のデフォルトは、政策予算がショートした時に発生するという不安だといった。これが政府および民間が多額の資産を保有し、いざという時に使えるカネ(もしくは増税余力がある)国家と、無い国家の違いだ。
日本のショートの理由となる負担は、日本国の資産に対して少額で、現在の政府保有資産の取崩や国民への臨時増税などで補える。また利払い不足を補う時だけなら臨時予算を組むことが出来るし、そのための潤沢な資産を日本は保有していることも述べた。一方韓国はショート時の金額が、対韓国GDPに対して巨額すぎるだけでなく、潤沢な資産を政府がリザーブしていない。貿易黒字が韓国国内需要の小ささによって生じているのならば、国家の経済余力もますます小さいということだ。赤字国債を多額の外債に頼れば、早晩こうなる。この余力不足、ショート対策のための時間的なマージンも消える。韓国は総じて余裕がない。
しかし管理通貨制度+独自の金融政策+独自通貨発行権(自国建て国債)を持つ国が変動相場制に移行した場合、事実上破綻しないとされている。なぜなら国家破綻の時には自国通貨が暴落し、国民に激しいインフレと同時に債務償還のための大増税が行われるという『国民の犠牲』によって債務が消滅すると考えられているからだ。この国民の犠牲があるために、国債単体では国家は破綻しないとされている。
だが、民間債務はこれとは全く別なのだ。民間が多額の債務を抱えた場合、税収の減少だけでなく、企業倒産や将来不安が生じる。これがKospiのような株式市場の大暴落や外国資本を中心とした資本の海外流出、ひいてはウォンの暴落へと繋る。すると景気悪化や企業倒産が激増し、急激かつ激烈な景気縮小をもたらすだけでなく、エネルギーなどの国家必須の資源高と、なにより外債の利払い・償還費用の爆増をもたらすのみならず、資本の引き抜きにさえあってしまう。そして国債とは違い、カネが足りないから国民から広く徴税させてくれ…と言える性質のものではない。これが典型的な破滅のパターンだ。
ならば韓国が対外デフォルトの危機を避けるためには、絶えず成長しなくてはならない事を意味する。税収余力につながるし、為替市場や株式・債権・先物市場等の安定につながる。
しかし韓国は此処でも大変な問題を抱えている。2019年の話になるが、どうやら長年の不動産バブルにより『家計債務』と呼ばれる悪質なサブプライムローンが韓国GDPの100%近くに達しているのである。投機目的のため金利も高いことが負担だが、なにより韓国は(愚かなことに)国内経済成長の一つにこの不動産バブルを利用する…という悪手を採用していたらしい。不動産価格が上がれば地価が上がり、税収入は上がるし不動産価値も上がるからだ。しかし民間負担は激増する…にも関らずだ。なにより韓国の経済規模に比べて額がデカすぎる。
さらに厄介なのが、これとは別の企業債務だ。民間企業は債務を抱えている。これは何処の国でもそうだし成長のための借入金であれば『総資産=純資産+負債』の勘定からしても、必ずしも悪いとは言えない。実際、日本などは低い方で大体GDPの50%(日本の全企業の総額)とされていて、この代わりに手元資金だけでも500兆円も溜め込んでいる。対外資産分など加えなくても十分黒字ということだ。
逆に韓国はというと、こちらも公表値で対GDP比の70%。しかし実際にはすでに100%に到達しているという試算もある。反面、どのくらいの黒字があるのかは『不明』だ。数値が出てないのである。もしかしたら黒字分を抜いての70%の赤字なのかもしれない。
ただし韓国の民間債務は出てくるデータがまちまちで、また筆者が韓国人・在日ではないために読解力等に問題があるのかもしれないが、ごく普通に考えれば『家計債務』と『民間企業債務』は別会計のはずだ。ということは最悪、単純計算で民間がGDP比200%近い債務を背負っているという事になる。ハッキリしているのは家計債務が対比100%前後ということだ。しかも高金利の負担を強いられている(特に家計債務は)ようで一家で夜逃げしたという記事は枚挙暇がない。気の毒なことだ…
この最低でも対GDP100%以上、最悪なら200%前後に及ぶ民間債務という脆弱性こそが韓国の本当の致命傷となる。国債と違って潰し様がなく、最後に金融機関の債務となるからだ。そして金融機関が潰れれば民間に貸出ができなくなる。国家が窒息死するのだ。企業の死滅と国民経済の破綻、それによる債務の顕在化。市場と通貨の暴落を呼び、資本引き抜きにあって政府資金が尽きてデフォルトする…。実はこの形こそ国家デフォルトの形でもある。これは韓国だけの教訓ではない。『民間債務こそ国家を破滅させる債務』だ。危ないのは国債ではないのだ…。
※ ※ ※
こう考えると、韓国の現状はトータルでGDPの300%くらいの官民債務を抱えていても全然おかしくないほど酷い。更に問わねばならないことが、韓国中央銀行の資産状況だ。
2019年時の話になるが、外貨準備高はおよそ40兆円相当もある。韓国GDPに対してかなり大きい。この債権を持つことで韓国国内にウォンを供給するバックボーンとしているのだが、謎なのはこのうち信頼できる米ドルが9兆円程度しかないことだ。また日本円も1兆円少々しか無い。
韓国中銀は『何故か』自分の所の資産をドル保有分以外は公表しないのだが、もしユーロやポンドといった基軸通貨保有量が日本円と同程度に過ぎないとしたら、残りの70%くらいは『訳の判らないジャンク債みたいなものなのではないか?』という強い疑念が生じるのだ。つまり何かがあった時、取り崩せる資産ではないだけでなく、逆に一瞬で紙くずになるような債権ばかりなのではないのか?…という恐ろしい疑惑だ。ちなみに日本は外貨準備高のほぼ90%以上が、世界最強資産の一つである米ドルだ。
韓国中銀はこのアヤフヤな資産状況の中で、前回述べた『通貨安定化証券』という中央銀行が抱え込んだ『借金』が実に18兆円もあるのだ。
通貨安定化証券というのはIMFによる厳しい監視下にあった時、政府が自由に国債を発行できないために代わりに韓国中銀が発行した事実上の債権だ。主に韓国ウォンが高すぎず安すぎずのラインを維持するための為替介入の原資とされている。これを買ってもらった資金で為替市場に介入する原資とするのだ。『不胎化』という介入だ。例えばウォン高の時、このカネを元手に市場で米国などの短期国債を購入して市場にウォンをばらまけば、その分自国通貨安になる。ウォン安なら、この逆をやれば良い。
しかし例えば為替介入でウォン安を狙って介入したなら、ウォンが市場にドバッと溢れ出たことになる。しかしこれまで何度も繰り返したように『通貨供給量の増加=インフレ』だ。つまり市場介入のせいで不必要なインフレ…特に経済成長に貢献しない悪性の通貨膨張インフレが発生する恐れがある。
この『惡の華』たるインフレを阻止するために、もう一度、ばらまいたウォン相当のカネを『カネを支払って』買い戻してやる必要が出てくる。このインフレ阻止行動のことを『不胎化』という。つまり『二重払いの、実に馬鹿馬鹿しいムダ使い』が市場介入ということだった。
現在では不当に通貨安を導くことは汚いこととされ、またコストがうんとかかることもあり、よほどのことがない限りやらない。それは韓国も同じだが、やめるまでに大量のカネをぶっ込んでしまったということだった。本来、こういうのは市場原理に基づき放置が正解で、自国通貨高の時には海外からの物品輸入が安くなり貧乏人はラッキーだし、安くなれば輸出が伸び、海外からのリターン収入が勝手に増える…とメリットも多いのだが、韓国はサムソンなどの製品輸出のためのウォン安と、原油や日本などからの物品輸入などのコストダウンが図れるウォン高との間の『丁度よい塩梅』のラインをウロウロとしていた挙句、これだけの債務を抱え込んだということだった。
なんと愚かなことか…(TдT)
重要な事だが、韓国はウォン安を歓迎ばかりもしてられないのだ。外国人に大量に国債を買ってもらったということが此処でもネックになっており、ウォン安になれば利払い負担が爆増するからだ。サムソンの携帯が安くなるからOK…という愚か者には、「黒字が税金になる前に、韓国デフォってんぞ」と言ってやれ…。
これでは状況によっては既に韓国中銀が債務超過に陥っていても不思議ではない。事実、これほどの外貨準備高を以っているにも関らず、ウォン暴落を食い止めることが出来ない理由が他では説明つかないのだ。ウォンを守るのが韓国中央銀行の役割だが、その役目を果たすことが出来ないでは、韓国にはもう後がない。
そもそも通貨安定証券の利回りを期待して購入したものが韓国政府がショートすると判断して売りに出したら、最後の防波堤たる中銀が債務超過で真っ先に破産する。逆に中銀の政策に嫌気がさして売りに出せば、それが契機になって、今度は政府が破産する。さらにKospiのような証券市場が韓国経済不信から崩れた時、通貨安定証券が売られ始めたら政府も中銀も破滅する。中銀の債務は弱点そのものだ。中銀が債務を抱えること自体、正直、困っことだが、より重要なのは『債務超過』という状況になっている事の方だ。
中銀は『通貨発券民間銀行』なのだから、カネが足りないということは起きないと考えるのが普通だ。足りない分は『刷り倒せばいい』だけのことだからだ。無論、激しいインフレになる悪手そのものなので避けるべきだが、そもそも債務超過という『カネ足りない』という構造に転げ落ちている事自体が実に良くない。
ということは数十兆円の増税覚悟で、通貨安定証券を中銀から『特別債務整理機構』のような別金融組織に付け替える必要があるのだ。中銀とて民間銀行の一つだ。そして銀行には税金をぶったくって公的資金を投入する必要があることを、このコラムでは徹底して述べてきた。銀行の道徳性など後で考えれば良いことで、どれほどの犯罪を犯そうと銀行は救済する方向が正しい。最悪、統廃合というだけのことで銀行の債務は整理しなくては、結果、国家が死滅する特別な産業だと連呼し続けてきた。これは全ての国における鉄則だ。庶民よりも大切なものが一つだけあって、銀行の健全性もしくは抗堪性強化だ。
よって今回もまた本来最優先とすべきことは中銀から債務を引き抜き、増税で穴埋する。例えば消費増税で、複数年に渡って返すしか無い。債務整理の必要が急務だ。放置すれば次の国家破綻時に打つ手がなくなる。
そうなると前述のように、またぞろ通貨スワップの話しが出てくるが、韓国は2009年に米国とのスワップ協定に基づき、すでに実施している。これは民間企業であれば『一回目のデフォルト』に相当する。つまり二度目など、あるはず無いのだ。次は韓国がデフォルトして消えて失くなるのが順当だ。
更にいえば、日本が結んでいる通貨スワップは日本国の防衛のためではなく、世界経済を安定化させるためのバックボーンであって、もし国際主要通貨のどれかが激しく
※ ※ ※
これら韓国の恐るべき脆弱性は、全て韓国国内の金融業の脆弱さからくるもので、構造的な致命的欠陥だ。
我々が一緒に検討してきた『国家にとってエネルギーと金融は特別』という実例でもある。韓国は金融が弱いので、危機に弱く、常に国家破綻の不安から逃れられない。この韓国国内の金融力が弱いという凡例がまさにサムスンで、サムスンのメインバンクはなんと日本のみずほ銀行なのだ。貸し込んでいるカネは1兆円にも及ぶ。
日本の企業が途上国に進出する時、一緒に日本の銀行がくっついていくのが通例だ。途上国は銀行力が弱いために日系企業の資本需要を満たせない事が多いからで、韓国進出のときもそうだった。しかし日系企業との取引量が圧倒的に多いサムスンでさえ旧態依然とした財閥形態であり、三井や三菱のように独自の金融機関を組織し得たわけでもなく、また韓国市中銀行は同社の資金需要を満たすことも出来ず、一部は政府からの産業補助金等に頼るという極めて脆弱な体質であることに愕然とし、取引日系企業を守る意味合いもあって、みずほが主導して日本型の銀行団のスキームを叩き込んで再編成した…というのは結構有名な話だ。
逆に言えば、「こりゃアカン… (;一ω一) ジィー」だ。
韓国政府がサムソンに10兆円を超える補助金を出し続け、これを出し続けることができなくなった場合には、まるで台湾銀行からの融資を打ち切られた鈴木商店のようになっちまうぞ、と…。
筆者は韓国とは付き合いが長いのだが、韓国は、韓国だけでしかやっていないという謎行動が多すぎて理解に苦しむことも多い。
韓国政府機関がサムソンのような民間財閥に補助金を出すというのも(国民の税金の無駄使いという意味で)無意味で良くないし、サムソンという世界的な規模をもつ多国籍業がある一方で、日本の四大銀行(ゆうちょ等)のような多国籍金融会社があるわけでもない。金融力が国の規模に比べて非常に弱いのである。
それどころか韓国国内銀行が小規模かつ脆弱で、多国籍展開能力に欠ける反面、韓国国民がインフレ圧力により金融預金を持つことが難しいことから、銀行資本の蓄積もままならないというジレンマに陥ったままだ。重要な『韓国国債の引き受け手』がいなくなる事態を、自ら招いているのだ。よって外債に頼らざるを得なくなる。
民間財閥に補助金出すくらいなら、強靱で強力な金融機関の元本にすべきだ。強力な銀行群は寡占によって弊害をもたらす反面、金融制度の安定と保険債券業務の拡大をもたらしてもくれる。余力が出た後で、金融業の不平等の是正のタイミングに合わせて金融行政を行えばよいのだ。特に金融恐慌時に、だ。
おまけにロッテの裁判事例に見られるように、グループ会社間での資本のやり取りがあまりに複雑で理解できないことも重大な
普通、株式会社は大株主と個人などから成り立つ。グループ化を図るなら、kadokawaがまさにそうであるようにホールディング会社を作り、その下に各グループ企業が『櫛の歯』のように『ぶら下がって』いるのが普通だ。
しかし韓国だけは違う。一つの会社が別の会社の筆頭株主になっていて、その会社が別の会社に株式を握られている。グループ企業全体が他の企業の筆頭株主になりあっているという奇妙で複雑な状態で、図版で描くと、まるで蜘蛛の糸のような株式持ち合い図が出来上がる。これになんの利益があるのか全く理解不能だ。
唯一考えられるのは『決算会社が債務を出した時、他の会社につけ回せる』という『簿外債務用のゴミ箱』に使う事くらいのものだ。あとは政府役人や官僚などに賄賂などを送る時に『裏会社』から裏金を作れるという『マネーロンダリング』に使える・・・程度しか思いつかない。勿論、間違えているかもしれないが、なにしろこんなのは世界で初めて見る構造なので、解釈のしようがないのだ。
ただし、株式会社は『一株一票』の民主主義政体だ。韓国企業のやり方は株式民主主義では断じてないし、債務を帳簿から外したとしても債務が消えて無くなるわけでもない。
なにより民間企業は国家を前進させるエンジンだ。カネの流れがガソリンであるなら金融機関は燃料直噴機構のようなもので、そもそもエンジンを動かすために金融機関とカネが必要なのだ。株主構造が歪んでいるということは、このエンジンが歪んでいるということに等しい。健全性のない会社の株式に価値はない。
そもそも韓国はインフレターゲットを長年続けてきた。『カビの生えた出来損ないのスイスチーズ』と評される、古臭く穴だらけで使い物にならないとされる政策を、だ。結果、インフレを起こしやすい悪い体質を持っているとも言えるのだ。
インフレは『悪魔の子』とされ、特に長期的なインフレターゲット政策は国民の資本蓄積を阻害し、中小企業の負担増に繋がる。それが国内市場の衰退をもたらすだろうし、サービスの低下を招く。結果、政府の政策運営財源の不安定化を招く。なら政策金利をあげてのインフレターゲット政策よりは、金融緩和による成長インフレ創造の方が理屈に合う。とはいえ、そのためには自国の国内金融市場が強力で、発行した国債を国内で消費できる基礎体力がまずもって必要だが、韓国にはこれも無い・・・
ざっと挙げただけでも、これだけの異常な問題を抱えている。解決はかなりの困難を伴うはずだ。だがこれらを是正し、同時に金融資本の醸成と蓄積を図らねば韓国人が幸せになることは絶対ない。
※ ※ ※
国債を国富に活用するための金融システムが極端に脆弱であること・・・これが世界経済に変動があった時に、常に韓国だけが「カネがなくなる」と騒ぎ立てる理由だ。発展途上国に普遍的に見られる共通の課題でもある。そして我々が韓国から学ぶべき教訓は一つしか無い。『政府の運営資本を外債に頼るな』ということだ。韓国やギリシアのように打つ手がなくなる。これを回避することに注力せねばならない。
国内の金融力の強化は必須。あとは財政再建のために必要な税収入を確保するために成長インフレ政策を採用することだ。デフレを排し、国力増強のための金融財政政策を断行すること。と同時に過度のインフレを避ける金融政策を打つことも重要だ。このときに発生した債務(国債)は成長インフレによって勝手に消滅していくが、不況やデフレなどでもしも債務が思うように減らなかったら、この債務返済について対策を考えればよい。少なくとも貿易黒字や債務の対GDP比など、全然意味がないということだ。
幸いなのは、日本は韓国ではないということだった。我らには猶予がある。
これを踏まえて、さらに2010-20年代の日本と債務との関係を考えてみることにする・・・m(_ _)m
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