§8-3【ここは読んで!】負の所得税のメカニズムについて 〜偉大なる先人、ミルトン・フリードマンが体系化した、誰もが得する素晴らしい税制【読んで読んでo(^ω^)o】

§8-3-1・負の所得税のメカニズム1 ←『税金をマイナス分支払う』=『国からカネをもらう』というやり方をヤマトの諸君総出演で説明する!

○負の所得税 ←『税金をマイナス分支払う』=『国からカネをもらう』というやり方



白色彗星帝国の真の統治者・ゼムリア人は『アメリカの負の側面』を強調したような超個人主義的資本主義リバタリアン国家だった。その結果、酷い貧富の格差に苦しみ、国家自体が革命と騒乱で自壊しかけてしまった。大混乱のおかげで税収入も絶望的に減ってしまった…(T_T)


この危機を乗り切るため、ゼムリア人は貧富の格差を是正し、貧者を救済するいくつかの政策を実施し始めた。その中で最も重要な『可処分所得の再分配』…不平等を是正するための累進課税制度を実行する。それこそが『負の所得税』だった。この『負の所得税』は法人税や関税などとは違い、個人(=国民)に対して実施される国内税制だ。


  ※     ※     ※



『負の所得税』とは、一言で言えば『最低限必要な生活費は国が支給する』累進課税制度だ。それも「皆のやる気を極力失わせること無く」だ。


累進課税制度は『金持ちにより多くの負担をお願いする』税制だった。そこで、これを所得の低い人にも当てはめるのだ。つまり、生活保護を受けねばならないほど貧乏な人たちは『税金をマイナス分、支払ってもらう』ことにしたのだ。要はこういうこと…。


+10円を支払うということは、他人に10円くれてやることだ。

-10円を支払うということは、他人から10円をもらうことだ。


「もし+10万円の納税」とすれば、これは『税金をその分支払った』だ。

「もし-10万円の納税」なら、これは『税金をマイナス分支払った』だ。


→すなわち『マイナスの税金分相当のカネを、国が逆に支払う』ということになるのだヽ(^o^)丿


なら、生活保護相当の金額を『マイナス分、税金で収めた』ならば、それは国からもらったことになる。しかもこれは『税金』なのだ。なので、国からもらったカネでは『ない』。マイナス分の税負担をしただけだ。だから『乞食』では断じて無いのだ。正当な権利を主張でき、しかも国からもらったカネは『何に使ってもOK』なカネだ!


事実上、国からもらう助成金なのだが、税金を支払った結果、手元に残ったカネなのだから堂々と好き勝手に使っていいカネ…ということになる。これはサイコーだヽ(^o^)丿


生活保護にありがちな「国が面倒見てやってる」だの「カネを風俗やパチに使えない」といった類いの不平不満を制度上、駆逐できる。しかも「旅行しちゃダメ」だの「寿司やステーキ喰うな」みたいな、国や他人からの余計なタワゴトを一切合切無視出来る。彼らは乞食ではない。堂々として良いのだ! 自由な市民そのものだ!


なぜなら「ちゃんと(負の)税金を支払った」結果だからだ。納税者なのだ。もらうだけが違うだけだ…ヽ(^o^)丿


これがミルトン・フリードマンが著書『資本主義と自由』の中で体系化した『負の所得税』の概念の一つだ。そこでここからは、最もシンプルな例でより具体的に説明していこうと思う。



  ※     ※     ※



負の所得税の場合、まず『租税免除金額』を設定する。

ここではわかりやすい例として「月の納税額が10万円以下の収入しかないならば税金を収める必要はない」と設定してみよう。つまり月の所得低く、納税額が10万円以下ならば所得税そのものが免除されるということだ。これは、ある一定額以下の所得しか無い人たちを救済するために必要な「政府からの補助金」に相当する。

勿論、別に10万円で無くても良いのだが、計算しやすいので10万にしてみただけで、この実際の金額は各国の議会が審議の上で決定する。逆にこの収入以上の場合、課税対象になる。なので租税免除金額とは、一般的にいう基礎控除額のことだ。


と同時に『生活保護費』にあたるものだ。つまり「このくらいあれば、なんとか死なずに済むという額」だということになる。勿論、負の所得税においてはホームレスもガイジンでも貰えるから安心して欲しい。ただし『生活保護費』という科目は『設定しない』。ここがミソだ。もう一つ言えば、支払われるカネは「自国通貨建て」だ。日本にいるのなら「日本円」、米国だったら「ドル」で支給される。


次に『負の所得税』率を設定する。要するに税率のことだ。

累進課税制度であれば富裕層に対してはより高額な税率が適用されたりするが、負の所得税では基本的には「全員が同じ」つまり「固定税率」とするのが常だ。つまり税率は金持ちも貧乏人もみんな一緒ということだ。この負の所得税率もまた国家や議会で決めればよく、ここでは計算をしやすくするために、みんな一緒で50%ということで考えてみる。確かに高すぎるかもしれないが、フリードマンが推奨しているのが50%であるため、この高税率で考えてみる。実際、所得税率50%というのは所得の半分相当を持っていかれるということであり、現在でも極めて高税率国家と言える。北欧でもこんな国は殆ど無い。しかし高税率になればなるほど「貧乏人が得する」という驚きの税制なのだから、事実上の累進課税制度に匹敵し、しかも現在の米国のような抜け道もない優れた制度であることを実数で説明する。


負の所得税は以下のような極めてシンプルな数式を使う。


『 所得 × 負の所得税率 - 租税免除金額 』


このことから所得が低くて納税義務額10万円に満たない人は税金を払う必要はなく、逆に毎月『ある一定額』を国から給付金として受け取る事が出来る…という事にするのだ。また給付金の額は所得のあるなし・所得額の大小によって変わってくる。これは無職の人と働いてる人とが同額に補助金を受け取るわけではないということで、租税免除対象者には国が生活の補助をする…という福祉政策を兼ねている。そこで税負担は以下のようになる



税金支払うパターン

所得×負の所得税率 > 租税免除金額


税金もらうパターン

所得×負の所得税率 < 租税免除金額




…では上記のパターンで具体例を上げていくことにする。地球連邦政府下の、とある場所での確定申告の状況だ。



--【ニートの場合】--

1.大企業の御曹司・南部くんはいまニートしている。実は以前、戦闘艦に乗っていた時があり、個人の事情は詮索出来ないものの、何かがあったらしく今、引きこもっている。「働けない」と言っていたようなので心の病のようなものかもしれない。そういう気の毒な人も、社会にはいるのだ。さて、では彼の場合…


所得ゼロ →可処分所得は10万円

→ 所得0万×負の所得税率0.5 - 10万(租税免除額) = -10万(国からもらう)


…なので、負の所得税10万を収めた=国から月10万円をもらえる。この金額は事実上、昔の税制および公的扶助で言う所の『生活保護支給』と同義だ。しかしこれは「(負の)税金を収めた」のだから、生活保護のように国から『もらったわけではない』。国の慈悲や、他人の情けにすがったわけではない。恵んでもらったのでは断じてないのだ!! よってこの10万円は『南部君の所得』なのだ。だから風俗に行こうがパチを打とうがステーキ食ったり寿司食ったりしようが何をしようと「彼の自由」であり、誰一人として文句を言ってはならないのだ。税金をマイナス分収めた後なのだから正当な納税者であり、自分のカネと自由に使って良いのは当たり前のことだ。他人からとやかく言われる筋合いなどない。


ただし逆に言えば「いまのままだったら月に10万円しか使えない」ということでもある。「もっと良い生活がしたい」とか、何かほしいものがあるのだが月10万円では買えない…という場合、「働いて稼ぐ」か「諦める」かの選択肢しかないのだ。



--【租税免除額以下の所得の場合】--

2.山本さんは実はアニオタで、イラストレーターになりたい元パイロットだ。なので絵の勉強をしたいから、時間を仕事に割きたくない。そのため最低限のバイトだけで生活し、貧乏ながらも夢実現のために頑張っていた。彼女はコンビニのバイトで月に6万円程の収入があった。彼女の場合、


所得6万 →可処分所得は13万円

→ 所得6万 × 負の所得税率0.5 - 10万(租税免除額) = -7万(国からもらう)


…彼女は国から月に6万円の給付を受ける計算になる。租税免除額10万以下なので税金を収める必要はない(←プラスの所得税を収める金額には到達していないから)。逆に国から6万円分もらえる。ただしこれは「もらった」カネでは「ない」。「負の所得税を6万円分支払った」のである。よって納税後の可処分所得は「所得6万円+負の所得税7万円」なので総額が13万円だ。このカネでタブレットとか好きに買ったらいいのだ( ´ー`)y-~~


そして重要な事に気づく。(嫌々でも)労働した山本さんは、ニートの南部君に比べて「四万円ほど所得が多くなる」という事実だ。つまり働けばその分、可処分所得(税金を支払った後の手取り)が+30,000-多いということなのだ。

これが負の所得税の良いところだ。働かない人よりも、働いた人の方が実際の所得が増えるという「当たり前のメカニズム」が社会保障や生活保護においても作用するということだ! これなら生活保護を受けている人の方が働いている人よりも沢山のカネが手に入る → 不正受給でもうけたろ…という悪徳を抑止することが出来るではないか!!




--【所得=租税免除額の場合】--

3.では次に、租税免除額と同じ額だけ(税前)所得のある場合はどうなるかを考えてみる。この場合、月に10万円の所得があった場合…ということだ。


加藤くんは以前、山本さんの同僚だった。彼は一時期、自衛隊に入っていた(←その間にイスカンダルに行って来いしてきた)が、そこで衣食住タダで過ごし、カネを貯めてから代々木アニメーション学院に通った後、アニメ会社に制作進行として就職した。地方出身のアニメ関係者にはよくいるパターンだった。てか、将来、山本さんがアニメーターにでもなるかもしれないと考えていたのかも知れず、そうなったら「融通の聞く作画さんの一人」とでも考えているのかも知れない…。

彼はいまアニメ会社の制作進行で正社員待遇ではあった。会社としてもいずれはデスク(←現場を仕切るリーダー)そしてプロデューサーになってもらいたいと考えていた将来有望株だった。しかし今年一年は見習い期間なのでバイト待遇である。彼は月に10万円程稼いでいた。彼の場合、


所得10万 →可処分所得は15万円

→ 所得10万 × 負の所得税率0.5 - 10万(租税免除額) = -5万(国からもらう)


…彼は月に5万円、国から給付金が入る計算になる。彼もまた所得が租税免除額10万以下なので税金を収める必要は「ない」のである。プラスの所得税を収める金額には到達していないからだ。そして逆に国からは5万円ほどが貰えるという計算だ。しかし元同僚の山本さんに比べれば稼ぎが多いので給付されるカネも少なくなった。山本さんに比べて国からの補助金は20,000円少なくなった。

そう考えると、「損した!」と思うかもしれない。しかし、彼の総額=可処分所得は労働賃金10万円+負の所得税5万円。つまり総所得が山本さんよりも一万円分多いことにお気づきだろうか?


これが『負の所得税』のインセンティブなのだ。彼は同僚の山本さんよりも少し長い時間働いた。別の言い方をすれば『頑張って労働した』ということだ。負の所得税はカネのために『頑張れば』その分、手取り(可処分所得=総額)が増えるのだ! しかも正社員とかバイトとか苦学生とかも関係がない。その意味で『同一労働同一賃金』の考え方の延長上にある。これもまた『負の所得税』のインセンティブだ。社会の立場など無関係だ。正社員だろうがバイトだろうが、手取りが少ない場合には国から救済手段を得られるということなのだ!


それどころか生活保護を受けそうな人(≒租税免除額以下の所得しかない人)に対しては、全然無職よりも働いたほうがより自分で自由に使えるカネが増えるというインセンティブがある事を意味する。そして働いた分が多ければ多いほど、自分で使えるカネの総量が増えるのだ。これは生活保護を受けた人が、働いたら生活保護そのものが受け取れなくなる(→よって安い労働するくらいなら生活保護を申請しよう)という無意味で理不尽なメカニズムを排除している。事実上の生活保護を受けつつも、なおかつ働いた分だけ余計に所得が増える。しかもこれは「マイナスの税金を支払った」のだから、恵んでもらったものでは断じてない。恥ずかしいことなど何もないのだ。自分のプライドが傷つくことがないのである!

よって生活保護スレスレの水準の人でも、自分の心と身体の具合を見ながら自由に仕事を行い、自分の裁量で自分の収入を「フェアに取得できる」というのがこの負の所得税の利点となる。勿論、胸を張っていい事だ!頑張ったのだから褒められるべきだ!




--【納税額=租税免除額の場合】--

4.ならば今度は「納税額=租税免除額」となる場合を考えてみる。要するに10万円を納税しなければならないシチュエーションの考察だ。この給与水準の人の場合、既に準生活保護対象ではなくなっている。


斎藤君は高校を卒業してガテン系の職場に就職した。正社員だった。週休五日の出勤で所得は20万。普通の高卒程度の額より多いのはタダのガテン系なだけでなく、時には銃をぶっ放したり白兵戦やったりとハードな労働もOKだったからだ。そんな彼の場合、


所得20万 →可処分所得は20万円

→ 所得20万 × 負の所得税率0.5 - 10万(租税免除額) → 0万(納税しない)


…この場合、斎藤君は「納税しない」という結果になる。

負の所得税の場合、彼は本来、10万円相当を納税しなければならないが租税免除額もまた10万円であり、プラスマイナスで0円の納付となった。よって給付金を受けることは出来ない。その代わりに税金を支払う必要もないのだ。しかし「0円の納税をした」のである。

結果、彼の可処分所得は20万円ということになり、働いていない南部君や稼ぎの少ない山本さんや加藤くんよりも自由に使えるお金の総額が大きい事も重要だ。対山本比で+7万円、対加藤比で+5万円多い。よってこの分だけ自由に使えるカネがあるということだ。彼は山本さんや加藤君よりも長く辛い仕事をしたのだから、二人よりトータルの実入りが当然多い…ということを意味する。


より働いたのだから、その分、豊かになったのだ(^^)v


所得が基礎控除額に到達してないのなら、総所得が基礎控除額を超えたとしても「納税の必要はない」のである。これは生活保護のように一律でカネを支給されることで生じる「正直者がバカをみる」事のないようにするメカニズムということだ。

負の所得税ならば、より働いた人には必ずより多くの所得が実現される。同時に最低限の保証は国民が全員で合議の上で「救済する」。フリードマンが「貧困層を救済するためだけの税制」と喝破したのがこの負の所得税であった。


元々、世界の全ての国で納税というクソのようなシステムは、国王もしくは権力者による簒奪に他ならなかった。日本においても支配層が自分の野心を満たすために過酷な課税を続けてきたのが律令制以来の税制であり、今日に至るまで一度たりとも我々の事を考えたことなど無かった。戸籍は課税のためだけに存在し、人間権利を守るための人権啓発書などではなかった。ただの帳簿台帳だ。破って捨てる事が出来るのなら、とっととシュレッダーにかけたい落書き本であり、それが出来ないからこそ権力者どもによってフザケた課税が次々となされてきたのである。このバカバカしい「税制」というシステムそのものを粉砕し、本来の「助けるべき人を助ける。自立することを助ける。合わせて平等と公正を保証することで納税者をも助ける」というのが、この負の所得税だったのだ。これならば働く意欲と同時に人間の尊厳をも守れるのが長所だった。誰一人として「国に施しを受けたものはいない」からだ。ここまで全員が納税者だ。




--【納税すべき人たち ←ここから早希は(タダでは)通さない】--

5.藤堂早希さんは軍人エリート家の娘さんで、歌って踊れる声優さんだった。ごく稀に軍艦の艦長やったりもする。階級は3佐。旧軍の少佐であり、かなりエリートだ。公務員が副業するのは禁じているが、声優がバイトするのは許されている。2202年はガミラス戦役の後で人手不足も深刻な時代だったので、こんなトリッキーな待遇も許されたようである。同時に髪の毛の中にガンダムのプラモを突っ込んだりする「宇宙戦艦ヤマト」とは番組違いなトリッキーな人物でもあった。そんな彼女は声優やったり実験艦でガト公と戦ったりして月に30万ほどの雑多な収入があった。すると、


所得30万 →可処分所得は25万円

→所得30万 × 負の所得税率0.5 - 10万(租税免除額) → +5万(国に支払う)


…ある一定以上の所得を超えると、今度は(ある意味当然だが)税金を支払う側になる。

彼女は月に30万円の所得があった。結果、地球連邦政府に五万円程の納税の義務が生じた。そのため、税引き後の所得(可処分所得)は25万円となった。確かに税金は払わねばならないが、税引き後でも25万ほどある。これは「より稼いだのだから、より多くのカネが手元に残るべき」という仕事への意欲につながる。あわせて、どんな仕事をどうやろうと無関係で、『トータルでいくらの収入があったか?』だけで計算される事も重要だ。総所得だけが重要なのだ。手間が少なく大変シンプルだ。なにより個人がカネ、時間、自分の労働力をどう使うかを自分で決定する余地が存在しているということでもある。これならば課税されたとしても公平さは担保される。分けのわからない督促状が6月ごろに舞い込んでくる不愉快さが無くて済むのだから…




--【納税者その2 〜子育て支援税制】--

6.では古代さん家を見てみる。進さんと奥様のユキ様の世帯で娘さんは美雪ちゃん。新居のマンションを買い、しかも子供が出来たので将来のカネを事をいろいろと考えねばならない新婚夫婦だった。ローンの支払いや美雪ちゃんの学資保険など、頭の痛い問題も多い。特に子供はカネがかかるのだ。よって夫婦共働きだった。


夫婦共働きなため、今の所、夫婦合算で税抜き前収入70万円ほどだった。内訳は戦艦の艦長を歴任していた旦那さんは月40万。新米艦長の奥さんは30万だった。ここからが興味深い話〜「子供は、いればいるほどシアワセ」という話だ。


まず夫婦共働きの古代さん家で「古代家」として納税した場合を計算してみる。


世帯所得70万 × 負の所得税0.5 - 10万(租税免除額) → +25万(国に払う)


…となる。ところがもし世帯ではなく夫婦別々に納税したとする。するとこうなる。


古代進 40万 × 負の所得税0.5 - 10万(租税免除額) → +10万(国に払う)

古代雪 30万 × 負の所得税0.5 - 10万(租税免除額) → +5万(国に払う)


…となる。すると夫婦の所得合算時の場合には25万円の課税、夫婦別々の場合はトータルで15万円となり「夫婦にならないほうが税金が安い」ということになる。これは大問題だ。ただでさえ子供ができれば何かとカネがかかるというのに所帯を持ったら税金が上がる…では誰も子供なんか作らなくなってしまう。いやむしろ現行の税制の方がマシだ。現行制度ならば扶養控除がある。子育て世帯は税金で優遇されているほどなのに…


…と思われただろう。しかし実際には「世帯合算の方が安い」のである。「子供が生まれれば」である。そこで古代さん家を見てみると、娘さんの美雪ちゃんがいた。そして子供は生まれたときから既に一人の人間であり「納税者」だ。なので負の所得税の対象者となる。そこで美幸ちゃんを扶養対象として世帯所得に繰り込み、家族三人をカネの支払い対象として考え直してみる。すると「夫婦」という納税者(二人の合算=1つの課税対象)と「子供」という「控除対象」が加わるということで再計算してみると…


世帯所得 70万 × 負の所得税0.5 - 10万(租税免除額) → +25万(国に払う)

古代美雪 0万 × 負の所得税0.5 - 10万(租税免除額) → -10万(国からもらう)


…となり、子供が一人出来た場合の古代さん家の税額はトータルで15万円に減額され、可処分所得は55万円となる。これが事実上の扶養控除となるのだ。


子供は国民なので生まれたときから「負の所得税」の納税者であり、稼ぎがないのだから無職と同じ。よって国から相当額の補助金をもらう事が出来る。ということは子供の数が増えれば増えるほど「夫婦にとって税制面で優遇される」ということになる。この場合、古代さん家に二人目ができれば月の税金の支払いは(扶養対象が二人になるので)さらに -10万円の減額となり支払う税金は5万円で済み、三人目ができれば更に10万円の減額となるから古代さん世帯の負の所得租税額は「マイナス五万円」つまり三人目からは毎月五万円の補助金が国から出る…ということになる。子供の数が増えれば増えるほど税制上、有利になるのだ。


子供が生まれて初めて「世帯」となるのである…(๑¯ω¯๑)


子供が事実上の控除対象になることから、子供を増やす事を国が支援する「子育て支援税制」となり、子供の数を増やそう(←夜は夫婦で頑張ろう!)的な夫婦のモチベーションを後押しする、国にとっても夫婦にとっても素晴らしい税制こそが、この負の所得税だった。夫婦が世帯を持った時の扶養控除額は子供の数によって決まる。しかも極めてわかりやすい。このため夫婦は子供が生まれるまでは夫婦別々に納税し、子供が出来たら世帯として扶養を受けるようになった。しかも増えれば税制は優遇されたから、子供の数の増加が期待できた。


また離婚した場合にも負の所得税は有効だった。もし古代さん家が離婚したとする。そして美雪ちゃんは森雪さんが親権を得たとする。この場合、森雪さんの所得が変わらないのならば国から毎月五万円の給付を受けることになる(仮に父親の古代進さんが美雪ちゃんを引き取った場合も理屈は同じで、トータル0円の納付となるだけ)。これに離婚時の慰謝料の支払いがあったから、負の所得税は母子家庭の貧困問題の一助の制度としても活用された。実際には、離婚時の慰謝料は子供の親権を引き取った側の子供が「大人になるまで」の推定諸経費を元に算定・裁定され、これが慰謝料支払い当該者の給与および銀行口座から天引きされたから「慰謝料の未払問題」はかなりの程度、減らすことが出来る。お金のかかる子育て世帯に対する税の優遇策を内包している優れた制度だった。

では、もっと高額の所得者はどうなるか?




--【高額所得者には累進課税制度となる】--

7.土方さんのお宅は高給取りだ。なにしろ地球防衛軍のえらいさんで、月に300万円程の所得があった。奥さんは働いていないし、お子さんは既に独立して夫婦二人きりの世帯だ。では、この場合を考えてみる。


所得300万 →可処分所得は160万円

→ 所得300万 × 負の所得税率0.5 - 10万(租税免除額) →140万(国に支払う)


…(/_;) かなりふんだくられる(爆)

月に140万円程が課税され、年納税総額1,680-万円程になる。これは年収3,600-万円の約47%が課税で持っていかれるという計算だ。この負の所得税は税率が一律だったしても、かなりの程度累進課税が生きていることになる。というのも、藤堂さんと比較すれば分かるのだ。藤堂さんは所得が30万円だった。この時の税負担は五万円だった。彼女に対し、10倍の所得のある土方さんの税負担は十倍ではなく実に28倍(5/140)なのだ…(゚д゚)!?


これこそが『負の所得税』の驚愕すべき公平性なのだ。

税率は一律50%なので『全員が平等』なのに、高額所得者には恐ろしいほどの累進課税制度=金持ちにだけ重税…という夢のような公平性が実現可能なのである!!


高額所得者は「累進課税でカネを稼げば稼ぐ程、税金で持っていかれる」訳で、ある意味、貧富の格差の是正に役に立つ一方、ウンと稼いでいるのだから古代さん家に比べればそれだけ「手元に残る金額が増える」。これなら富裕層のやる気を削がれることは無くなる(もしくは少なくなる)はずだ。稼げは稼ぐだけ手元資金は増えるのだから。この点はフェアなのだ。おまけに高額所得者にはより負担が大きく、中間所得層はより少なくて済む。これは国家経済の根管を支える中間層を守る税制でもあったのだヽ(^o^)丿


な、凄いだろ、この『負の所得税』…(゚д゚)!?


  ※     ※     ※



負の所得税の素晴らしいところは『恐ろしくシンプルで極めて効率的』ということだ。なにしろ『 所得 × 負の所得税率 - 租税免除金額 』しかないのだから。


パラメーターが『租税免除額(←基礎控除額に相当)』、『所得税率』、『総所得』の僅か三つしか無い。ということは『極めて柔軟で、しかも不正が少なくて済む』ということでもある。このシンプルさが副次的にいくつものメリットを生み出すのだ。


次回から、その三つのメリットについて論を進めていこうと思う…m(_ _)m


            【 次回に続く 】

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