§8-2-3・負の所得税その3 〜国民皆保険と生活保護 ←福祉はカネかかるので、みんなで稼いでみんなで使おう! ナマポで風俗行ったりパチしたり、とかね( ̄∀ ̄)

○国民皆保険制度は、経済規模の大きな国ならモトがとれる優れたシステム。

 ならば国富増進のための国民健康増進政策を整備すべき。


前話数で、所得の不平等を解消するために、まずは社会資本の原資となる累進課税制度の有用性について考えてみた。次にこれを「どう分配するか?」という社会福祉政策について考えてみたい。これもまた21世紀のころのテロン人の例を参考に考えようと思う。



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ジニ係数で0.4と、先進国では最も悪いアメリカの医療事例を見てみる。かなり深刻だ。

米国の平均寿命は先進国の中では低い。日本(世界一位の長寿国)や他の先進国はおろか韓国等よりも低いだけでなく、一人あたりの医療費が平均100万円で、日本の倍以上(日本は大体40万円後半)の治療費がかかっている。これは公的医療保障が未発達で、所得の低い層が高度な医療を資金面から受けられず平均寿命を押し下げている可能性を示している。米国内地域別で見ると、貧困層が多く住む地域は10歳以上も寿命が短いことも判ってきた。高額医療にかかれなかったり犯罪に巻き込まれて死亡するなどのリスクを背負っているからだ。


これを補填するために民間の健康保険業が発達してるのだが、問題も多い。特に掛け金の上昇負担が、世帯負担の上昇を招くことは問題だ。世帯が消費や貯蓄に回せる資金が不足するからだ。あまりに掛け金が高くなると保険自体を諦めるしかなくなってしまう事も問題で、富裕層しか自分の命を買えないという事になる。

ただし、マイナスばかりでは不公平なので、良い事例も上げておく。

掛け金UPは保険業にとっては(ある程度は)プラスだ。そして保険業は金融産業を支える強力な柱の一本であることも事実だ。国富の増進に貢献している。


「人間は必ず死ぬのに、なぜ死亡保険が成立するのか?」は誰もが一度は思うこと。これは『かき集めたカネを別途、運用して利益を得るから』に他ならず、「必ず死ぬのだから誰もが備えるはず」とポジティブに捉えれば、むしろチャンスだ。おまけに保険業は製造業とは違い「客がカネをもってやってくる」カモネギ商売だ。ハズレが無いほどだ。なにより、必ず死ぬと判ってるのだから、業者的には『損しない計算を立てて、カネを集めて運用益をUP』させれば良い。だから必死になって客を集めたがるのだ。実際、契約者の負担増は保険会社の運用資金の増額になる。しかしこれが加入者に還付されることも『ない』。死ぬか病気にでもならない限りは、だ。反面、投資領域においては社会の富を増やす事には貢献している。


ならばこうも考えられる。負担する庶民にとっては一度でも病気などになったりした結果、次回からの掛け金負担が増加するために保険制度自体の有用性が薄くなる。掛け金に比べてサービスが低下するからだ。また負担増によってより高度な先進医療が受けられるわけでもないから(←別のオプションに加入すれば別だが)ますますもって意味がない、と。一方、高額負担に耐えられないことが原因で、庶民が保険から離れていくことは保険業者にとっても意味がない。投資に回せる原資が減るからだ。


だったら『基礎的な国民健康保険を国が構築し、これを税金で負担する』にする方が、結果としては誰にとっても利益になる…と。


これは保険屋からしても損はない。「税金が基本、負担する」のだし、保険業者はあくまでも「サポート役」に徹すればいい。たとえば「がん保険先進医療サポート」がそれで、加入させた客がガンになる確率と掛け金を計算して『損しないように』負担設定をしておくだけでいいのだ。これに加入するか否かは個人の判断とお財布次第。基本的なサービスはまずは『国民健康保険』が負担をするからだ。保険業者は、ただ客をかき集めて運用益のUPを狙えばいいとも言える。あとは顧客が腹上死でくたばってくれることを神にでも祈ってたらいい。丸儲けだ。やがてガンに対しても技術革新などでコストダウンが可能になり、保険会社にとってガン保険を運営する意味が亡くなったとしても、別の金融サービスを提示すればよい。出来ないのなら潰れたらいい…。

てか、民間に税金以外の負担を付け回すな、と…(# ゚Д゚)!


  ※     ※     ※


これが、先進国(除く米国)で国民健康保険制度が発達した理由だ。勿論、人道上の見地はある。しかしトータルとして『安い』事も事実なのだ。そして日本は特に『税負担が低い割には、かなり高度な医療制度』をキープ出来ている。

異論もあろう。欧州などでは日本よりも良い医療制度があるという話も聞くし、たしかに一部はそうだろう。しかし北欧を始め、全般的に税金が高い。そしてトータルコストは日本とさほど変わらない。たとえば英国は確かに診察は無料だが、薬は一回の処方で約1,500-円も取られる。つまり三つ薬を出されたらほぼ五千円という計算だ。これでは日本よりもずっと負担が大きい (# ゚Д゚)?!

そして前述の中で日本の一人あたりの医療費(約40万円後半)は先進諸国の中では平均値だ。それでいて平均寿命は一番長い。日本が劣っているというわけではないのだ(非効率かもしれないが…)。

なお一番かかるのは糖尿病とされ、大体、1.2-1.5兆円程の負担金となっている(一般社団法人日本生活習慣病予防協会)。また全世界では150兆円程とされている。遺伝的素因も大きい病気なので、罹患すると個人負担も大きい厄介な病気だ…ಠ_ಠ;


しかし糖尿病に関しても、別の明るい試算を提示したい。贅沢に飲んだり食ったりした挙げ句、デブって1.5兆円ものカネを食ってる『ゴクツブシ』ども…と言いたい人たちには、「日本の糖尿病有病者は1000万人超だそうですよ」とは申し上げたい。1/11-1/12人の割合だ。こんなにいて、なお1.5兆円の負担で収まっているのだから、むしろ安くはないか? と??

なにより日本国の純資産は3,300-兆円にもなる。米国の半分だが、日米で世界の七割を押えている。足りない分など医療国債でも増発してまかなったらいい。実は「全く大したことない」負担だ。

ちなみに日本のスイーツ市場は3-4兆円の規模を誇る巨大市場だ。国債増発による微々たる負担で糖尿病患者が人工透析した後で、のんびりアイスでも食ったらいい。どちらの業界も潤うのだから。なにより糖尿病患者は毎日を『必死になって働け!』だ。必死に生きて、バンバン稼いでジャンジャン使え! それが君たち糖尿病患者を面倒みてやってる祖国日本に対する報国であり、GDP増加と国富の増進、そして企業活動の活性化に繋がるからだ。生きて働け!


これも日本の経済規模が相対的に欧州諸国に比べて巨大だから可能なことだ。その意味で国民健康保険制度が『元手のかかる政策』なのは間違いない。やっぱ、貧乏な国では出来ない制度だ…←国民皆保険制度


このことからも、国民健康保険制度は「国民の健康の増進によって個々人の活動の場を広げ、それが税収入のUPということで国庫に還元される」という好サイクルを生み出すようにしなければならない。

そして、なにより中長期的な成長戦略で国力を絶えず増進させていかなければならないということだ。


国民健保は、旺盛な国民の健康維持が国力の増加に寄与するという意味で、まさに理にかなった素晴らしい政策だったのだ。社会民主主義は、この点では正しい。健康な連中にバンバン働いてもらって、税収入の自然増を狙うべきだ。不健康なヤツも健康になるか、不健康のままでも楽しく働けるようになってもらって、税収入の自然増を狙うべきなのだ。

あわせて保険業界も投資で稼いで、シッカリ納税して下さい…m(_ _)m



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○生活保護は辞めるべき制度

 国の税金無駄に使って、もらう方も肩身が狭い…では意味ない



もう一つ先進国で採用されている公的扶助に生活保護がある。こちらは主に日本の事例で考えてみる。

生活保護は本来「最低水準以下の生活しか出来ない国民を国が支援し、社会復帰させる」のが目的だ。しかし重大な問題が二つある。『国民の税金を使って助けている』と『受給者が自由にカネを使えない』という二点だ。


まず税金による負担に関してだ。大抵の国民は生活保護受益者に対して悪感情を抱いている。『ナマポ』と呼ばれる、いわゆる「税金でタダ飯食ってる合法乞食」という認識が殆どだ。また受給者自身も後ろめたさや社会の落伍者という罪悪感を持ってしまう。本来、そんな必要はないのに、だ。これは勤勉な日本人の特性かもしれない。さらに不正受給の問題がある。本来、有資格者でない(所得が一定以上ある)にも関らず、不正に受給されている人物がいるという事案だ。そしてここまでくると、もはや犯罪だ。


他方、ナマポ受給者の側にも不満がある。

受給金額は『ヒモ付き』ということだ。全ての支払いに関して領収書が必要であり、また使い道に関しても規定がある。自由に使えるカネではないのだ。しかしこれもある意味『おかしい』。本来、『もらったカネ』は受給者本人のカネのはずだ。何に使おうが、本来勝手なはずなのだ。パチンコに使おうと風俗に使おうと「これ以上は支給しない」だったら、別にOKのはずだからだ。


唯一マズいのはナマポ受給者が通ったパチンコ屋や風俗店が脱税していた場合であって、これは全く別の事案だ。挙げ句、不正受給でいくら損失を被っているのかの総額さえ分からないというのでは、中南米のマフィア国家の麻薬商売となんら変わらない。


よしんば遊びガネはともかくとしても、「生活保護を受けている人間は寿司食ったらいけないのか?」とか「普通の人(=非受給者)のように旅行に行ったりしてはいけないのか?」…と言われた時、「いけない」とは実は言えない。日本国憲法25条の生存権にある「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に觝触する可能性さえある。他の人と同じように生活を営む権利を保証するのが生活保護という公的扶助制度の理念でもあるからだ。

風俗やパチンコに行ったことのない人は結構いると思うが、日本に生まれて一生寿司食わなかったとか旅行しなかったという人は殆どいない。なら、この程度の贅沢さえ出来ないというのは、全くおかしいことなのだ。ステーキ食っちゃいけないとでも言うのか? なにより、『ナマポ受給者がすべきでない贅沢のライン』という線引きが差別だとも言える。線引きのライン設定の基準が曖昧なのは、この制度の致命的な問題だ。


ということは日本の生活保護制度は負担側も受益者側も双方とも不満を抱えているということなのだ。人の税金を無駄に使うなという意見は正しく、受け取った側も不自由な生活しか送れない。なおかつ受給者が犯罪者扱いの「社会のクズ」という認識が負担側・受益者側双方にあるというのでは、そもそも人としての尊厳に関わる問題だ。



ということは『現行の生活保護制度が間違えている』←これ一択!

そして『より良い制度』に変更すべきなのだ!


よりよい制度…( ☉_☉)?


そう。『より良い制度』とはすなわち『生活保護に相当する程度のカネを国が助成しつつ、そのカネで風俗行こうがパチろうが寿司喰おうがプラモ買おうが、何をしようと、金銭的にも道徳的にも全然OKな制度』への移行だヽ(^o^)丿


それ、素敵やん…( ˘͈ ᵕ ˘͈ )

遊びにカネ使おうがなにしようが、道徳的にも全然問題ないんなら…( ̄∀ ̄)


特に異常なことではない。だって誰かの『消費』は別の誰かの『雇用』なんだから。人間はある意味、偉い。誰かの遊びで誰かがメシ食えるように進化したのだ。これがライオンとは違う。そしてナゼかこの当たり前の事を忘れてしまった。この『文明の原点』を取り戻そうという税制が必要だ。


  ※     ※     ※


なお、ちなみに米国ではフートスタンプという制度があり、これは食料品に限って保護を与えるというチケットクーポン制公的扶助だ。この公的扶助を受けている人口は多く、大体4500万人と言われている。これは全米の1/7〜1/8人とされていて、無職ではなく、ちゃんと仕事を持っているデイワーカーも多い。金銭の授受でないので、税金をバクチや遊びに使うことはないとされているが問題も多い。


たとえば受益資格は州によってまちまちであることや、この制度自体を知らない者が多いということ…それは受益者に不平等をもたらすということに他ならないし、なによりフードチケットを転売するなどの問題が発生している。そして日本と同じく「怠け者が他人の税金を食いつぶしている」という意見と「真面目に働いても満足な賃金がもらえていない」という負担する側vs受益者の対立を産んでいる。結局、現金支給であろうと現物支給であろうと、現行の制度は問題だらけで間違えているというだけのことなのだ。どっちの立場からしても「やる気が失せる」悪い制度だった。

だったらとっとと変えるべきなのだ…



  ※     ※     ※



いままで三話に渡って『税』と『公的扶助』に関して述べてきた。

リヴァタリアズムな資本主義においては、所得の格差と富の偏在は避けられない。そして国富が流動性を失うことで階級格差は固定化し、なおかつ国力の増加が鈍化するリスクが生じる。消費力の減衰による成長阻害要因だ。これを是正するために累進課税制度が良いという事だった。


と同時に国民に対しては補助が必要で、全階層に渡って公的健康保険制度の充実と、貧困層に対してはより直接的な支援が求められる。どちらも「生活の不安を取り除いて、個々人の消費力のアップと生産性の向上により、国力増強に一人ひとりが寄与する」という意味があるのだから、公的補助は「税金のむだ使い」などではない。

しかし補償制度自体が「物乞い」に近いように受け止められている事や、不正受給の問題など、制度自体は崩壊していることも事実だ。


ならば、この『税』と『公的扶助』の二つの問題を同時にクリア出来る方法があればよいということになる。累進課税制度と生活保護を一緒に繰り込み、同時に全国民に基礎的な健康保険を提供できる制度があればよい。

これが『負の所得税』の基本的な考え方だ ( ̄ー ̄)bグッ!


ただし今のところ、この税制を大規模に採用したテロンの国は無い。これまでの税制とはあまりに異なるために、まだ採用されたことがないからだ。そこで既に採用されて国力増強に役立ったゼムリア人統治下の白色彗星帝国を例に『負の所得税』について考察してみる。


負の所得税は、実は驚くほどシンプルな税制だ。

説明は、たった数行で終わるほど簡単なものだ( ̄∀ ̄)

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