「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§6-5・対GDP200%の国家債務を背負ったガミラス帝国の起死回生の一手とは?(その4) 〜政府紙幣とか使わずに、ごく普通に『借金、踏み倒すことにしました(^^)/』
§6-5・対GDP200%の国家債務を背負ったガミラス帝国の起死回生の一手とは?(その4) 〜政府紙幣とか使わずに、ごく普通に『借金、踏み倒すことにしました(^^)/』
ガミラス大公国の末期、帝国政府は対GDP比200%の国債という『借金』に喘いでいた。この莫大な額の債務のために帝国経済が窒息死する恐れがあった。特に金利が急上昇するような事態に陥ったら、極めて厳しくなる。そして、いずれはそうなるだろうと予想されていた。
そこで帝国政府は、一つの大胆な決断を実行する。『国債を無かったことにする』ことにしたのだ。実際には、『帝国中央銀行が保有する国債の破棄』を実施することにしたのだ。
※ ※ ※
この『債務放棄』と最後まで争った手段は『政府紙幣』という『政府が発行する通貨』によって国債を政府が買い取るという手段だった。だがこれは結局、不採用になった。
というのも、政府が利子をつけて発行した『国債』を、今度は政府が利子のつかない『政府紙幣』という紙切れで、額面通りに買い取るというのでは利子がないだけ損害が出ることになるからだった。『10,000-(国債額面)』+『1(利子)』=『10,000-(政府紙幣)』という考え方は、数式として成立しない。
ただしこのアイディアが最後まで残った理由は「ならば国債の利率分だけは、現金で支払う」という意見が出たからだ。金利分はガミラスマルクで支払い、元本相当の国債額面は政府紙幣という特殊紙幣で買い取る(交換する)としたのだ。この利率分だけは増税で
ではなぜ却下されたかというと、帝国中央銀行という発券銀行が、『政府紙幣』という別の紙幣を受け取るというのはおかしいという意見が出たからだ。自らが紙幣を製造し、その価値を守るのが帝国中央銀行の役割の全てなのに、別のワケワカラン政府紙幣なる紙くずを、自分が発行している紙幣と同等とみなす・・・という二重構造を認めてしまったら、そもそも帝国銀行の存在意義が無くなるし、通貨の価値を守ってもいないとされたからだ。また、それまで大量の国債を保有し、その利払いを受けていた中央銀行に増税分を注ぎ込むのは、帝国臣民の心情から言って如何なものか? ・・・があった。そのため却下された。
同様に廃棄されたアイディアに、『政府紙幣』に国債の金利分を現金で上乗せした『政府紙幣+利率だけ現ナマ』を、市中銀行に対して使うというものもあった。
まず帝国内の民間銀行保有の国債をガミラス政府が『政府紙幣』で買い取る。インフレで減衰分の利率を算定した上で、この分は現ナマで民間銀行に支払い、この後で、帝国中央銀行の持っている国債を『売りオペ』で放出して買い取ってもらう。この作業の過程で、政府紙幣を帝国銀行が回収し、民間銀行には資本の原資となる国債が残る・・・というやり方だった。
途中で民間銀行に『利率分相当の現ナマ』が注入され、民間銀行に資本を注入でき、体力強化と健全化が計れる(この『現ナマ』分は増税する)。一旦、市中銀行が抱えることになる『政府紙幣』は、帝国国債とバーターして中央銀行が回収し、その後で証券化すれば帝国中銀の債務も帳簿上からも(現実問題としても)消える。政府に集まった国債は、政府が破って捨てる・・・という意見だった。
この際、混乱を避けるために『政府紙幣→全国の銀行の国債と交換(=購入)→中央銀行がさらに交換(=購入)→証券化』の流れを超一瞬〜たとえばプランク定数時間(5.39116(13)×10^-44)内で完了することとし、これを帝国の平日と休日の切替時に行うこととすれば、現実問題として銀行にタイムラグが発生することもなく切り替えられるので上手くいくのでは? ・・・という意見だったが、マイナス金利などで恨みを持ってる民間銀行が、政府紙幣での国債売却に応札しなかったら? という意見や、それでも帝国中央銀行が『政府紙幣』という、ワケのわからん異質のナゾ紙幣を一瞬でも抱え込むことには変わりないので、これも却下された。
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勿論、政府紙幣を「ワケのわからんナゾの紙くず」と連呼してきたが、実際にはそんなことはないのであって、政府が発行しているのだから、少なくとも国債と同じ程度の信頼度はあるはずだった。問題なのは国債は利子がついていたが、政府紙幣は利子がない。その分、価値が減っているということだった。
しかも政府紙幣というのは今まで使ったことのない手段であり、また帝国経済の中で(いままで組み込まれたことがないのだから)極めて異質で初見の存在を使うことが、どのような悪影響を及ぼすのか判らなかったのである。この不安を払拭できなかった。市場に不安が広がることは避けねばならない。もっと別のタイミングで、もう少し小さい所から時間をかけてコツコツと試してみた方がよいとされたのだ。
こういうのは通例、戦時にニッケルや銅・アルミなどの戦略物資を取り出すために貨幣を回収する際に使うもので、たしかに貨幣は政府が発行しているから政府紙幣で兌換するのも納得がいくが、そもそもガミラスは大マゼラン星雲内の相当の領域を専有しており、資源可採惑星など、それこそ星の数ほどあった。いまさら別に小銭を溶かす必要はない。先物取引市場だって整備したのだし・・・。意味ない。
また、政府の債務(の一部)を消しに掛かるほど『困窮している』と考えられる政府の発行する紙幣に、ガミラスマルクほどの価値があるとは思えない・・・という理由も大きい。つまり政府紙幣はガミラスマルクと同額面であっても、信用不足による『額面割れ』を起こしていると考えられた。
たしかに政府発行の紙幣は、その政府が打倒されてしまったら本当に紙くずになる・・・というシロモノなのだ(←大抵は後任政権が引き継ぐけど)。他方、ガミラスマルクは帝国が消滅したとき、始めて紙切れになる(しかしガミラスはこの1,000-年間、生き残っている)。耐久力が違いすぎた。紙幣の価値が信頼度であるのなら、残念ながらガミラスマルクの方が信頼度は上だった。ただし、これを認めたエーリクは偉大だった。自分たちが、祖国ガミラス程の信頼度がないという現実を受け入れる度量があったということだったがらだ・・・
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そこで選ばれたのは、ごく単純な『債務帳消』という、古くからあるやり方だった。国債という『借金』の一部を計画的に踏み倒そうというのである。
だが冷静に振り返れば、歴史のなかで「借金踏み倒したった(^^)v」は、良くあることだった。
まだ中世の頃、多くの貴族諸侯にカネを貸していた銀行家が、当主の死に際して債務不履行を食らって泣きながら帰っていったという話しは枚挙暇がなかった。贅沢三昧のために借金を重ねた貴族の死に際し、子孫らが相続人の権利を放棄するということも、昔はよくあったのだ。また民間においても債務不履行で夜逃げしたとか、借金の減額に応じたとかいうこともよくあることだ。
それどころか大マゼラン星雲を見渡せば、ガミラス以外の実に多くの国が債務不履行を起こして国家経済が破綻していたり、債務繰り延べ交渉で揉めまくっていた。年がら年中「デフォルトの危機だー(ToT)」と大騒ぎしている国家も多数あった。さらに簿外操作で国家債務を偽っていたり、惑星開発の不動産バブルなどで他惑星の金融機関から莫大な高金利債務を借り込んで死にかけている異星文明国家のなんと多いことか? こういう国家はいずれ、経済破綻などで国債や通貨・株式などが大暴落し、庶民や投資家に大損をさせる形で『借金』を消滅させる・・・という顛末になる。これはこれで、なんと『無責任』なことか?? でも、良くあることなのだ・・・
要するに『借金と利子』・『国家破産と債務整理』という問題は古くて新しい事柄だった。悪い意味で『慣れている』のである。もっと言えば、ある意味、不安がない。手慣れているからだ。極言すれば「立て直せればいいんでしょ!」になる。特に金融業者や投資家・外国人からすれば、その時の犠牲が帝国臣民だけであってくれれば、それでいいだけのことだ。
「こっちくんな ( ゚д゚ )クワッ!!」が彼らの本音だ。それだけだ・・・
それにもしガミラスが国債金利の暴騰で利払いが出来無くなるなどして完全デフォルトを起こしたならば、結果、国債だろうがなんだろうが『踏み倒された』と同じ結末になるのだ。債務不履行や自己保有の資産暴落も、
「謹んでお断りします ((⊂ (゚ω゚) つ))」
誰もがそう思う。特に国債持っていない帝国臣民からしたら、国債のせいで破滅したなんて言われても『(´・ω・`)知らんがな・・・』だ。
それによく考えたら、資本主義社会(←ガミラス経済も、そう!)は、借金も債務不履行も自己破産も、そして無一文からの経営再建も全て当初から法律や制度の中に織り込んであるではないか? ゼロから復活する方法はいくらでもあるのだし、実際、そういう事例も過去にあった。
それどころか、よくよく歴史の教科書を読んでみれば、国家の歴史など破産した国家の復活劇か、誰かが取って代わったかのどちらかだ。なら、債務整理が済めば不安が無くなる。債務と一緒に不安感もなくなるはずなのだ。この手慣れた処理を淡々を行えば良い。あえて不信感のタネである政府紙幣なんてのを、横から突っ込む必要もないのだ。
そこでデスラー家統治下のガミラス政府もまた、この古くて使い慣れた手段を選択した。多額の国債の一部を消滅させることにしたのだ。ただしシッカリした準備が必要だった。「債務の減額をお願いする」という形なのだから・・・
「今日から国債、なくしましたYO-(^o^) ←素敵な笑顔」
・・・では済まされるはずがない。
そこで注意深く、ドコの何を『踏み倒すか』を確認する作業に入った・・・。
【 この項目、続く 】
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