「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!
§5-4-1・【ここは読んでね!】宇宙開発進展直前の、2020年前後の日本の国家債務の状況を振り返ってみる 〜残念ながら失敗したアベノミクス。本来、どうあるべきだったのか?【安倍君、キミは特にね!】
§5-4【必死になって書きましたが…】2199年までの、バブルと破滅だらけのアホのテロン人の歴史を長々と検証してみる【…特に読まなくてもいいです】
§5-4-1・【ここは読んでね!】宇宙開発進展直前の、2020年前後の日本の国家債務の状況を振り返ってみる 〜残念ながら失敗したアベノミクス。本来、どうあるべきだったのか?【安倍君、キミは特にね!】
ではここから2199年に至るまでの日本の歴史を、主に国家債務と経済成長の側面から考察することにする。
宇宙戦艦ヤマト2199の世界が現実であったという大前提と同作に対するリスペクトを重視しつつ、2199年までの歴史的展開を、主に『日本の経済と債務』という視点から試みようと思う。
ヤマトの世界では2190年代には既に人類は太陽系文明にまで成長していた。正直、少し早すぎるかもしれないとは思う。
中世大航海時代からヨーロッパによる植民地開拓が一応の終わりを見せるまでに、およそ四世紀ほどかかった事を考えれば、人類が太陽系文明を構築するのにも、だいたい西暦2500年くらいまではかかると考えるのが妥当だ。とはいえ、それではガミラス襲来には間に合わない(間に合っても、あの
そこでムリを承知で2199年までに太陽系に進出したという前提で歴史を再構築し、この間に、現実世界の2020-50年ごろに迎えるかもしれない日本の債務破綻(←あるとしたら)の形を、宇宙戦艦ヤマトの世界観の中に繰り込んでみようと思う。
ここでもっとも大事な視点は、2199年にイスカンダルへと旅立ったヤマトは日本製だったという事実だ。つまり、前人未踏の星雲間航海をやってのける『漢のフネ』を製造する国力が、この当時の日本にはあったということだ。この力は言うまでもなく金融力の再生があってこそ出来る。その金融資本の再編成が完了するに50年くらいは要することを鑑みて、大体、2120-2150年(つまりいまから100年後)に、今と同じような状況に陥って『結果、破綻した』と仮定しての歴史を再構築してみる。
※ ※ ※
2020年、日本はある種の危機を迎えていた。国債の発行量が対GDP比200%を越えていたからだ。国債という国家の債務の増発が、国家経済の発展と国民の心理にも悪影響を及ぼすほどだった。いくら『国債は民間の財産』とはいいながらも、多すぎた。将来に対する漠然とした不安を抱えていたのだ。
この当時の日本の債務には、ある二つの傾向が伺えた。1990年代から爆増したということ。そして2005年から数年の間と、2013年から数年の間に限って急激に伸びたということだった。これは、現在では以下のように解釈されていた。
【その1】1990年代から飛躍的な国債の増発は、1980年代に起こった不動産バブルの崩壊に伴う国家的損失分に匹敵する。
バブル崩壊の結果、民間(特に金融関係)が多大な債務を抱えてしまい、市場に資金を投入する余力を金融機関が失った。景気の大規模失速と経済恐慌への対処として、国債の増発によって民間需要を創出するのと同時に、市場に資金を供給し経済活動を下支えする必要に迫られた結果、国債が増発したということだった。
バブルの損失が国債の形に変わって、国民の負担となったということだった。これはバブルのような国家的損失が出た場合、結局最後は国民がツケを支払わされるという厳しい現実だった。経済恐慌になれば、無傷ではいられないのだ。
ただし真の問題は、財務省を中心とした市場金融政策の失敗の方だった。
日本の財務省は伝統的にインフレ抑圧に傾き過ぎる傾向にあり、バブル崩壊時の鉄則である『速やかで勇気ある大規模な金融緩和』を実施しなかった。金融緩和の量も質もタイミングも全て遅すぎるか少なすぎたため、却って日本経済の成長が阻害されただけでなく、国債をダラダラと増発し続ける結果しか招かなかった。そのため日本は20年以上に渡って緩慢と続くデフレ時代を迎えてしまった。
インフレが『悪魔』であるのなら、コインの裏表の関係にあるデフレもまた『悪魔』であるのに、なぜか財務省のバカどもは『天使』と勘違いしたようであった。結果、増大する国債に対して債務の減少は一向に進まなかった。成長インフレが起きなかったこと、これが『国債』が減らなかった真の理由だ。
※ ※ ※
【その2】国債の急激な増発は政府主導による政策の影響が大きい。
日本の場合、国債が急激に増えた時期がある。2005年以降の小泉政権時と、2012年以降の第二次安倍政権時の二回だ。これは政策的に誘導された国債の爆発的な増加で、この時だけは政府の責任と言えた。
最初は小泉政権時だった。この時、日本は国債増発による大規模な金融緩和策を取った。景気刺激策の一貫だった。この結果、日本円は1ドル=90円前半だったものが、120円くらいにまで下落した。輸出は大幅に伸び、確かに景気は良くなった。ところが、やがて徐々に景気は先細りしていった。『金融緩和の量が少なすぎた』からだった。しかも国内市場の不完全な需要喚起のため、緩和された資本のかなりの部分が海外へと流れた。『円キャリートレード』と呼ばれた為替事案だった。これに関しては詳述する。
※ ※ ※
○円キャリートレードとは?
金融緩和によって大量の円が低金利で市場に流れた。この時、世界の国債金融市場の金利は日本の金利より相対的に高かったから、日本円を海外に投資して、金利差の利ざやをお手軽に稼ぐという手法が採られた。これが円キャリートレードだ。この動きのために円安が劇的に進んだ。実際の金額は判然としないものの、筆者の手計算によれば、大体13-17兆円が動いたはずだ。その結果、20-25円程度の円安が発生した。
当然、この一連の金融緩和策は対外的には『輸出のための円安誘導政策』と見做され、激しい批判を浴びた。しかも『借りたカネは返さねば』ならない。海外に投資した元手は円であり、日本で金融機関などから借りた『借金』だ。なので海外で利ざやを稼いだ後、もう一度、円に換金してこの借金の元本を返さねばならない。この結果、今度は一気に円高が進んだ。2010年代には1ドル80円近辺にまで上昇し、これが輸出の減少と景気縮退を招いた。小泉政権は愚かにも、国家債務を増大させた挙げ句、円高を招くだけの政策しか採らなかったと断言してよい。
この反省もあってか、2013年以後、安倍政権下では、想像を絶する程の極端に大規模な金融緩和と景気刺激策が矢継ぎ早に採用された。結果から言うと『目に見える劇的な効果はあったが、債務は爆増した』だった。
結果論ではあるが、景気刺激のために金融緩和を行うなら、国債の爆増はやむを得ない。つまり国家債務は激増する。真の問題は、これだけの出費をしたのに『一向に成長軌道に乗らない』ということの方だった。成長インフレが起きなかったので、国家債務も減らなかったのだ・・・。
※ ※ ※
○失敗したアベノミクス 〜ならどうあるべきだったのか?
そもそもアベノミクスは、大規模金融緩和によって成長インフレを創りだす政策だった。
成長インフレによって国債の減損=国家債務の消滅を可能にし、財政の健全化(←債務がなくなるから)と国力の増進(←経済成長インフレのため)を計れるはずだった。国民にインフレという犠牲を伴う(=生活苦)代わりに国家債務の減衰が可能になるのだ。
本来、想定されるべき展開は以下のようなはずだった。
-----
→大規模金融緩和 →政策的投資(公共投資および公的年金・国民年金などの投資運用など) →円安 →輸出増&国内需要喚起
→国内景気回復 →労働賃金上昇 →インフレ →生産拡大による好景気 →産業力の底上げと国内市場の拡大強化
→インフレ懸念による金利上昇策 →長期国債の金利上昇 →円の下落基調の固定化と国家債務の減少
→海外投資分のリターン配当の増加&輸出力の強化 →税収UPと債務減少による基礎的財政収支の改善(含む増税)
→国債に頼らない持続的な経済成長への移行 →国家債務の激減 →財政の健全化と金融投資の再活性化 →国家再生
-----
・・・大体、こんな感じを想定していたはずだった。
たしかに当初は成功した。永遠に続くかと思われたデフレからの脱却が初めて可能になった。
特に政府が財務省などの人事権を握ったこともあり、より政府主導でリフレ政策を実施できた事が大きかった。政府主導で経済力の回復、特に内需の増進があったことは特筆に値する。
この時期、新卒採用が超売り手市場になったり(これ以前は1980年代のバブル期にまで遡る)、税収入の爆増もあった。輸出が増えただけでなく、円安が進んだことで海外資産からのリターンが増えた。また厚生・国民年金の運用益、積立金も過去最高を記録するなどの良い面も多々あった。GDPが実質で増加した。ドル円で30円以上も円安になったにも関らず、だ。それも長期に渡ってだった。これだけでも偉業といえた。後に世界各国が、このアベノミクスを判例として景気刺激策を取り続けたことが、そのなによりの証拠といえた。
反面、財政再建も念頭に置いていたために、景気上昇期なのにそれに水を刺すようなバッドタイミングでの消費税増税や、財務省の現場レベルでの市場からの資金回収(事実上のテーパリング。反安倍政策とも言えた)など、政策の不徹底さも目立ち、肝心の国内市場の伸びが止まった。これが致命的だった。
ここでも財務省が基礎的財政収支(PB)の黒字化を焦って2014年度に早々に消費税を8%に上げたことが最悪であり、結果、国内需要が沈んでしまったのだ。またしても財務省がケチったために、上昇景気という『気の景』を
特に消費増税の悪影響は過小評価すべきではない。GDPの60%を占める個人消費を冷え込ませたからだ。
個人消費力の低下は国内市場の停滞と、企業の利益の鈍化を招き、人手不足でありながら労働者の賃金上昇が抑え込まれ、また安倍政権後の経済不況を見据えた設備投資控えなどの不信感を招いた。
安倍政権は常に労働者よりの政権だった。「賃金の2%以上のUPをするべき」・「企業の内部留保金を吐き出させられないか?」・「携帯キャリアは儲けすぎ。四割は料金を安くさせる」の様々な発言からも明らかなように、民業への介入意思を持つ、リベラルを越えた『
問題はもはや政府単独にあるだけではなかった。インフレを絶対悪と考える国民がいる間は、自民党であれ民主党であれ誰であれ、何も動かすことは出来ないだろう。
このため、延々と金融緩和と時にマイナス金利という荒業を使って市場需要を喚起し続けねばならないという悪循環に陥ってしまった。上記の図で言えば、二段目の『インフレ懸念による金利上昇』の段階に進めなかったのだ。
2016年以降の同じ時期、アメリカ・トランプ政権下では強い国内需要に支えられた労働賃金の上昇とインフレ懸念から、FRBが利上げせざるを得なくなる程の劇的な経済復興を遂げた事とは正反対な、極めて悲惨な状況だった(←つまり米国は『正しいアベノミクス』を実践していたということ)。このため、安倍政権退陣後には国債の爆増と円高、なにより不景気を招いてしまった。
成長インフレを軌道に乗せられなかった事 ・・・これがアベノミクスの失敗の全てだった。
安倍首相は彼なりに頑張ったのだろうが、目的半ばで力尽きた。アベノミクスの経済成長の恩恵は、たしかに庶民のかなりが受けていたことを意味していた。支持率は相次ぐスキャンダルをものともせず、かなり高いままだった。
しかしバブル崩壊に伴う国家的経済損失(=デフレ)はあまりに強大過ぎ、彼の仲間はどいつもこいつも成長インフレの意味を理解できないバカばかりだった。これでは何やっても所詮、ムダだった・・・。しかし、敢えていえば「もっとマネタリズム的政策を徹底させるべきだった!」 ←これに尽きる。
企業減税だけでなく消費税廃止もしくは3-5%に減税。所得税減税、固定資産減税、相続税減税・・・つまり、徹底した『市場を拡大する方策』と採るべきだった。いくらまで減税できるかは、拡大した市場からの税収入の自然増をまず算定し、これに許容できるギリギリまで減税しまくるべきだった。
個人や小規模事業主に対する減税は劇的な効果がある。たとえば個人事業主が事業を継承するにおいて相続税減税が必要だったし、これがないために会社を畳むということがかなりあった。他の要因も多数(とくにデフレ)あるが、1990年台から個人事業主が半減していることは『モノづくり』を標榜する日本の足元を削る愚行だった。此処への梃入は必須だったにも関らず、だ・・・。
あわせて金融関係の規制を出来るだけ撤廃することも重要だ。特に外為に関する複雑すぎる規制は排除すべきだ。日本国債が0.01%程度をうろつき、逆に米国債が2%を越えているのに、各種課税を終えたら殆ど残らない・・・では外国債購入さえ難しい。そもそもリスクヘッジの金融商品を別途で準備せねばならず、これらにも課税されるのであるから、為替で利ざやなど得られる訳もない。そのために、日本円が80円から115円近辺にまで爆下がりしたのに外資の呼び込みに失敗し、日本からは円安の負担増があるにもかかわらず、他国企業(特にアメリカへ)のM&Aや外国株式に資金が流れてしまった。日本国内市場の増加のチャンスをみすみす逸しているのだ。
無論、株式においても
日銀のETFは、沈みかけていた時なら株式市場の下支えに意味はあったが、長く続ければ悪影響しか出ない。実際、この時期には『出口戦略をどうするつもりなのか?』という疑問が特に外国人投資家から提起されていた。対GDP比200%の国債の出口戦略よりも、実は遥かに危険だからだ。国債は国家の富だが、ETFは単なる市場操作に過ぎないという強い疑念もあり、インフレ率が低下すれば莫大な含み損を抱えるのではないか?とされていたからだ。
こんなことを長く続けるくらいなら、株式保有者への恩恵を熱くするべきだった。株式や国債の利払いに対しては無税にするべきなのだ。日本人が株の恩恵を受けやすくすべきだし、企業にとっても勢いの付く結果になるだろう。日本人のFXや仮想通貨への資金投入量から考えれば(世界最大だった時期もある)、株式の恩恵がある環境ならば、日本人が企業の株を購入する意思と資金は潤沢にあることが判る。それが国益に叶うことはいうまでもない。
なにより国債に関しては無税は絶対のはずだった。半分近くを日銀と政府系金融機関が保有する状況であったとしても、国内金融企業は大助かりのはずだったからだ。
規制緩和と減税で民力を回復させる ・・・言葉で言うのは簡単だったし、安倍政権下ではいろいろと試してみた。しかし『あまりにも少なくて遅すぎた』。減税とインフレ増進の効果について日本国民がその中身を検討してこなかったことのツケが、この形で表出したのである。『デフレバカ』に成り下がっていたと言ってもいい。そしてツケは国民自身が払うことになる。
※ ※ ※
安倍退陣後、日本はやや苦しい立場になった。多すぎる債務が残ったからだ。この債務をどうするか? が後の政府の重要案件となった。
財政規律の確立と、そのための増税。このため失業率が悪化し、なおかつ経済力それ自体が衰退し始めた。安倍政権時の逆のこと、すなわちデフレが再び始まったのだ。
しっかりした持続的な成長インフレがあれば日本人は豊かになれるし、債務も無くなる。全ての問題はサックリ簡単に解決できる。そんなことが起きるといいな〜と夢みたいなことを考えていた2020年頃のことだった。
妙な奇跡が起き始めたのである。成長インフレをもたらすような、劇的な世界情勢の変化がそれだった・・・
【 この項目、続く 】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます