第129話 世界の裏側をちょっと知ったよ




レベル:258/500


種族:ナレハテ


基礎魔力:S+


基礎物理攻撃:A+


基礎物理防御:A+


基礎魔法攻撃:S


基礎魔法防御:S-


基礎俊敏:S


スキル:剣術Lv.4 槍術Lv.4 斧術Lv.4 棒術Lv.4 鎌術Lv.4 槌術Lv.4 体術Lv.4 身体強化・異Lv.2 全耐性・異Lv.2 魔法陣・異Lv.3 錬金術・異Lv.4 魔力操作・異Lv.3 気配探知・異Lv.3 隠密・異Lv.3 料理Lv.4 言語理解 生活魔法 嫉妬の魔王


称号:魔王 神の玩具







 ば、バグってやがる……。どうなってんの? レベル上限が上がった。嬉しい! じゃないんだわ。いや嬉しいけど。その前に困惑が前面に出てくるよ。




「あー? こりゃーすげーな」


「ああ、何処から突っ込めばいいかわからん」




 お前もステータス見えてんのな。でもそんなことは後でいい。一つずつ整理していこう。ますレベル。レベル上限は実験成功の証だとして、なんでそんなに跳ね上がってやがる? オーバーフローした経験値があったとしても、そんなに跳ね上がるようなほど経験値を貯めこんだ覚えはねぇぞ。




「それはオメーが超高品質の素材の持つ経験値が加味されたんだろーな」


「素材に経験値なんてあるのか?」


「ある。だから素材は変化するのさ。同じ素材でも経験値が多い方の魔物から得た素材は高品質だったり、特殊な力を備えている場合がある」




 そうなのか。戦い抜いて長く生きた魔物の素材が高品質なのも頷けるな。てか、コイツなんでそんなこと知ってんだよ。コイツも錬金術使えるのか?




「使えねーな」


「じゃあ何で知ってんだよ」


「オレサマは神に作られたんだぜ? この世界の基礎知識はなんでも知っている」


「神とかいるのか」


「いるぜ。快楽主義者の愉快犯がな」


「最低だわ」


「最高に最低なヤツさ」




 うわぁ、そんな神様とか信じたくねぇ。信じたくねぇけど実在するらしいし、なんか俺目をつけられてない? 称号に嫌らしいのがあるんだけど。




「神に気に入られたな。自分を素材にして錬成する馬鹿なんて観察対象としてこの上なく楽しいんだろ」


「俺はモルモットか何かか」


「モルモットが何か知らねーが、この世界はオレサマも含めて神の観察対象さ。オメーはその中でもお気に入りのオモチャに加わったわけだ。ギャハハハ」


「笑いごとじゃねぇよ」




 ファンタジー世界なのに地球よりも監視社会とか嫌すぎる。でも、どうしようもなさそうだから諦めるしかないのか。いや、錬金術でプライベート空間が作れるような魔道具でも作ろう。他人に注目されるとか虫唾が走る。




「次は種族だが、ナレハテって何?」


「さあ? 知らねーな」


「この世界の基礎知識はあるんだろ?」


「神が気分で作ったものなんてわかるわけないだろ」




 コイツがこう言うなら、俺はこの世界で初めて生まれた種族になるのか。ある意味すごいな。2人目は二度と出てこなさそうだけど。俺と同種族は遥か地底の村にしかいないのか。まああ。




「ステータスはレベルが上がっているから当然、なのか?」


「素材が底上げしている。オメーの才能じゃここまで上がらねーよ」


「なるほど。新しい素材を足していけば強くなれるわけだな」


「何で前向きなんだよ」




 え? 俺の才能がクソみたいなのは納得してるから。寧ろ、まだまだ強くなる余地が残っているなら大歓迎だ。あのクソ痛ぇのは遠慮したいが、確実に強くなれるのなら我慢しよう。気絶してしまえば痛くねぇからな。




「ギャハハハ、やっぱりオメー狂ってやがるぜ。最高だ」


「そりゃどうも」




 で、次はスキルか。耐性系がまとまって、一部のスキルに“異”が追加されてレベルが下がっている。何故だ。




「ちっとばかし違うが、オレサマが人間を支配すると似たような状態になる」


「どんな状態だ?」


「オメーの“異”の部分が“魔”になる」


「するとどうなる?」


「そのスキルは超絶強化される」




 ほーん、そういうことなら“異”が付いているスキルは強化されてるのか。レベルは下がっているが、強化されて伸びしろがあると考えればいいのかもしれない。上がるかは知らない。




「最後に称号か……」


「隠しステータスだ。称号を持っている人間はごく稀しかいない。しかも2つ持ってるなんて更に稀だ」


「超激レアじゃん」




 そう考えると俺ってすごくない? 称号の内容が不穏なこと以外は完璧だと思う。受付のおっさんの話じゃ魔王って人間と敵対してそうだし、神の玩具とかマジ笑えない。もうちょっとマシな名前はなかったんですかね?




「神の笑い者とかじゃなくてよかったじゃねーか」


「……それよりはマシだな」




 笑い者になるならモルモットの方がマシだ。笑い者されるのはもう十分体験したことがあるので絶対にお断りである。あの感覚は思い出したくもない。






「ステータスはこんなもんか。スキルが寂しいなぁ。増えてないし」


「スキルがそう簡単に増えてたまるか。神が作った技術体系なんだぞ」




 なんと、スキルは俺でもかなり多い部類らしい。普通は数個のスキルを極めるもので、こんなに覚えられないそうだ。




「何で才能のない俺がこんなに覚えてんだよ」


「知らねーよ。と言いたいところだが、オメー異世界から来たんだろ?」


「あ? そうだけど?」


「ならそれが原因だな」




 この世界に変化をもたらすために、神が定期的に他の世界から人を攫ってこの世界に放り込むらしい。その際、この世界に順応させるためにいろいろ弄った結果、スキルを得やすくなるとか何とか。




「人を攫って身体を弄った挙句、適当にこんな世界に放り込むとか、本当に神様かよ。やってることだけ見たらガチの下衆だぜ?」


「神と人間を同列に語るからそう感じるだけだ。神の理不尽さを知った今なら、神が人間をどう見てるかなんてわかりきってんだろーが」




 あー、そういうこと。人間が動物をペットと称して飼ったり、餌用に繁殖させてるのと同じ感覚か。そう考えると、この世界に順応させてくれた上に自由を与えてくれたのか。狭いケージの中よりはマシなのかもしれない。俺は大学時代に学校とバイト以外は買い物でしか外に出なかった引きこもりだからネット環境のあるケージがいいです。


 これにて俺のステータス確認は終わった。

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