第19話 休日は突然に
はい、俺です。寝坊しました。どれくらいかというと、かなりです。日がだいぶ高くなっていたので、10時過ぎくらいでしょう。
いや、仕方ないんだって。昨日の交渉のせいで、ただでさえ疲れていた俺の身体が限界を迎えたんだって。爽やか君があまりにもねちっこくて、強そうな武器とかコーヒーとかの嗜好品もぶんどられた。結局、俺の集めた資材は大きく目減りし、半分くらい無くなったのだ。
しかも、その後は魔物との戦闘についての話をねだられて、仕方なく話したら終わらなくなった。俺のスキルについても話さざる負えなくなり、魔法陣については教える羽目になった。それに、スクロールを作ることも約束させられた。代わりに俺は色んな人のスキルを教えてもらい、戦闘技術を学ぶことを約束させた。槍だけでなく、剣も斧も色々だ。
そんなこんなで疲れ果てた俺は、身体を魔法で綺麗にして、装備を外して、マイジャージに着替えて……記憶がない。多分、気絶するように寝たのだろう。不眠症が嘘のようだ。
で、今起きた。もう明るい。着替えた。筋肉痛はない。歳だろうか。
「うわぁ……。起きるのが遅いと、今日は寝れんなぁ。嫌になる」
ゆっくり寝れるのは嬉しいが、その反動がしんどい。憂鬱だ。予定が狂いまくった。
本来の計画では、反省会で戦術のブラッシュアップをして、使ったスクロールを補充して、筋トレと槍の使い方を考えて、錬金術で色々作る予定だった。そして、その成果を確認に探索に出かけるハズだったのだ。
「今日は休日とするッ!」
ここまで予定が狂ったのなら、開き直って休む。しょっちゅう無断欠勤していたクソ上司の得意技だ。あいつはそもそも予定なんて無かったし、遅刻の理由が不倫と風俗とパパ活なのは部署全員知っていたからな。そんなんだから離婚すんだよ。クソが。
「まずはスクロールの補充だな。注文も来てるし」
その後は反省会だ。で、それが終わったら……その時になったら考えよう。
そう思いながら、俺はマジックバッグから机と椅子を取り出す。
どこから持ってきた、だと? そりゃあ、昨日の会議室からパクげふんげふん、貰ってきたに決まってんだろ。人聞きの悪いことを言うな。
「やっぱ椅子に座って書くと、書きやすさが段違いだわ」
床で胡坐をかいていた時と比べ、格段にスクロールを書きやすくなった。これは作業が捗る。
そこからは黙って作業だ。錬金術も使ってないし、レベルアップしたおかげか、昨日よりも多くのスクロールを書くことができた。
魔力が少なくなり、頭痛を微かに感じたあたりで、俺は作業を止める。積み重なり厚みが出たスクロールの束をマジックバッグに入れる。
「そういや、ステータスを確認してなかったな」
完全に失念していた。反省会の前に見ておくか。
俺は軽い気持ちでステータスを開いて、固まった。
―
レベル:4/30
種族:ヒューマ
基礎魔力:D+
基礎物理攻撃:F
基礎物理防御:F+
基礎魔法攻撃:E+
基礎魔法防御:E
基礎俊敏:E+
スキル:槍術Lv.2 体術Lv.1 呪い耐性Lv.2 魔法陣Lv.3 錬金術Lv.2 魔力操作Lv.1 気配探知Lv.4 隠密Lv.4 言語理解 生活魔法
―
なんか増えてるーっ! 魔力高ぇ。呪い耐性って、あいつか。てか、スキルとるの簡単すぎるだろ。たった一日の成果としては十二分だ。
と、思うじゃん? でもさ、おかしくね? 最大レベルが30なのにこのステータス。上限がいくつかは知らないが、ステータスの上昇が早すぎる。
もっと詳しく? そうだな。俺も考えを整理したい。
まずステータスだが、一つのアルファベットに+、無印、-が存在する。仮にSが上限とすると、F~Sまで7段階。±考えても21段階。このままでは基礎魔力が上限突破してしまう。レベルが上がってもステータスが上がらないこともあるから一概に言えないが、そんな簡単な話はないだろう。
となると、考えられるのは各段階の幅が違うという可能性だ。数字に例えるなら、Fが1~50とすると、Eが51~200といった具合だ。こう考えると、一段階ステータスを上げるのに、より多くのレベルが必要になる。現時点で3レベルかけて-が無くなっただけの基礎物理攻撃は絶望的ではないか。
そもそもレベル上限が30って中途半端でないかい? 最大になったら進化とかするんですかね。でなきゃ、俺は絶望的に弱いのですが。
「嫌な予感がする。俺に不利な予感はよく当たるし」
そうならない事を切に願う。そして、その時のために対処法を考えておこう。後で。
考えても埒が空かないので、俺はステータスに関して放置を決め込む。レベルとスキル上げが先決だ。未来の事は未来の俺に任せよう。頑張れよ、俺。
俺はコピー用紙を取り出す。昨日の反省会だ。あのゴブリンとの戦闘は、特に反省すべき点が多い。それ以外にもイモムシとの戦闘を思い出し、課題を書き連ねていく。それらを見ながら、俺は頭を捻って改善策を書きだしていった。
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