第2章 成長編
第6話 魔法の使い方
『アイー、魔法ってどーやって使うの?』
『魔法とは体内にある魔力を放出する際に具現化したものです』
『いや、うん。魔法の説明じゃなくて使い方を聞いてるんだけど』
『……これは失礼しました。では魔法の発動方法から教えます』
『おう、たのむ』
『まず、魔法を発動させるにはイメージ力が大切です。それを踏まえてまず、詠唱魔法というものをお教え致します。詠唱魔法とは、その名の通り、詠唱をすることによって魔法を発動させる技術です』
『なるほど。その詠唱魔法は詠唱に定型呪文みたいなのはあるのか?』
『一応、存在するにはするのですが、その通りに詠唱する必要もありません。例えば、魔法書に載っている詠唱はどれも《我求む》から始まります。しかし戦闘中に長ったらしい詠唱を口にしていては直ぐに殺されます。なので熟練者などは《水よ》や《炎よ》など、短縮詠唱でも大丈夫な程にイメージを直ぐに固められます』
『んじゃ、凄い魔法使い程詠唱が短いってことか?』
『そういうことです。そしてさらに上達すると無詠唱で発動することもできます。これはSランク冒険者や上位のAランク冒険者、宮廷魔法師団のトップなどが使える技術です』
『俺も頑張れば無詠唱で魔法発動できたりする?』
『まあ、魔法の才能のほとんどがSの
『魔法の才能がFの人とかでも頑張れば無詠唱とかできたりすんの?』
『いえ、才能がFの人はいくら頑張っても魔法を発動させることができません。要するに素養がゼロということです。しかし、Eの人であればひとつの魔法に絞り、生涯の時間を死ぬ気で費やせば成功できるかもしれませんね。しかし並大抵の努力では成功できませんし、才能がC上位やBの者でもひとつの属性に絞ればあるいは成功するかもしれません。Aであればすこしがんばれば無詠唱は可能でしょう。Sは……言うまでもありませんね。他になにか質問はありますか?』
『さっき、魔法で大切なのはイメージって言ってたけど、具体的にどんなイメージが必要なのか、って言うのと、イメージ以外で重要なことはあるか、ということを教えて欲しい』
『わかりました。ではまずイメージで必要なことは、どのような結果を齎すかと、そのためには何をする必要があるのかをイメージすることが必要です』
『結果と言うと、何万度の炎をだす!みたいな?』
『その過程では何が必要か、を鮮明にした方が、より少ない魔力量で魔法を使えることが可能です。例えば、火魔法を発現させる時に、《酸素多め!》みたいな感じですね』
『そんな根性みたいな感じでいいのかよ……』
『重要なのはイメージです』
『なるほどなぁ。そんじゃイメージ以外に大切なことはないの?』
『あります。それは魔力操作という技術です。魔力操作とは体内の魔力をいかに滑らか且つ早く動かせるか、が重要です』
『じゃあ最初は魔力操作の練習からやった方がいいのか?』
『そうですね。魔力操作が出来ないと短縮詠唱も無詠唱も何もできませんからね』
つまり、魔法を行使するには体内の魔力を具現化し、放出したもの。これは最初にアイが言っていたがけど、その動作に必要なものが魔力操作とイメージ力。そして才能。
さらに詳しく聞いたことだが、魔法の威力、効果範囲などによって使う魔力量などが変わるらしい。
そして、その体内にある魔力についてアイにより詳しく聞くと
『魔力量とは、体力と同じで使えば増えますし、使わなければ体力ほどではありませんが減少します。しかし、老化による減少は無いため、生涯魔法を使っていれば毎日が全盛期ということですね。加えて、体力は消耗すると気持ち悪くなったりしますが、魔力も枯渇するとそれ以上に苦しい思いをすることになります。そのため、魔力を枯渇したことがある魔法使いの中でもその事がトラウマとなり、魔法が行使出来なくなると言うこともあります。ですが、魔力は極限まで使った方が魔力量の増加量は増えます』
との事だ。
『それじゃあ早速魔法を使いたんだけど……』
『魔力を感知出来ない子供、ましてや赤ん坊が魔法を行使しようとすると稀に魔力が暴走して、死にますよ』
『……えっ?じゃあ成長するまで魔法はお預けって事かよ?!』
『いえ、ですから魔力を感知する練習をしましょうねってことです』
『そうならそうと言ってくれよ。本当に焦るところだったわ』
『もう焦っていましたがね。やっぱり体で覚えるのが1番良さそうなので、体の主導権を渡してください』
『え?何言ってんだよ。体の主導権の渡し方なんて知らねぇよ』
『そうでしたか。では許可を貰えればこちらでやりますので許可をください』
正直めちゃくちゃ怖いんだけど、ここはアイを信じることにするか。
『……許可する』
瞬間、体の感覚が無くなった。いや、正確には目の前のものは見えるし、手足があるのも分かる。でも、それらを自分の意思で動かすことが出来ない。すると、急に鳩尾辺りに異変を感じた。
『おい、アイ!何してるんだ!』
『魔力操作です。鳩尾辺りに、なにか感じませんか?』
『感じるが、これが魔力ってことか?』
『はい。では動かしますね』
言われた直後、鳩尾辺りにあった違和感が胸の方までやっ来て、手に広がったかと思えばまた胸に戻ってきて、足の方へと体内を循環させていた。
『この感覚を覚えましたか?』
『いや、そんな簡単に分かるもんではないだろう』
『しかし、魔力を感知することは出来たんですよね?』
『ああ』
『上々では無いですか。普通は1回では感知することすらできないんですよ』
なるほど。魔法の才能がここでも発揮される訳か。
『では体の主導権を返すのでご自身でやってみて下さい』
そう言われると、体に感覚が戻った。
◇
※あとがき
今回はアイとの会話がメイン、と言うかそれしかなかったですね笑
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