第5話 鑑定


『……あれ?なんもなんないよ?』

『鑑定する対象を設定してないとなんにもならないでしょうね』


 アイが呆れたように言う。確かに鑑定って言っただけで出来るわけないわな。


『ていうか、対象の設定とかどうやるんだよ?』

『対象を見ながら対象の何を鑑定したいかを念じれば出来ると思います。例えば剣を鑑定したら“鉄の剣”と出たとしましょう。次に鉄の剣の剣身を鑑定したら“鉄”と出るように対象の何を鑑定するかが重要です』

『じゃあ人を鑑定する時はその人物の情報を鑑定すればいいってことか?』

『その通りです。あと、神眼なんて言わなくても鑑定と言うだけでも発動します』

 

 ……マジかよ。そんじゃ気を取り直して


鑑定はんへい!」


 ◇


 名前:リュークハルト・フォン・スターク

 年齢:0

 種族:人族

 称号:スターク帝国第3皇子


 武術

  剣術 A +

  槍術 B

  弓術 B

  体術 S


 魔法

  火 A

  水 S

  風 S

  土 S

  光 S

  闇 A

  時 S

 空間 S

  氷 S

  雷 S

  無 S

 錬金 S


 生産

  錬金 B

  鍛治 C


 資質

  統率 A +

  武勇 S

  政治 A

  知略 A


 ◇


 お、おぉ。白の半透明の板に黒い文字で出てきたな。こうやって出てくるんか。


 そして、これは高いのか?アイはSが1番高くてその下にA.Bと続くと言っていたけど、高すぎやしないか?


『な、なぁアイ。このアルファベットは何を示していて、この数値は総合的に見て凄いのか?』

『このアルファベットは才能値を示しています。前にも言ったようにSが1番高いのでこの世界では異常な高さとなっています』

『ちなみに平均はどれくらいなんだ?』

『武術の平均値はC、魔法はF~Cなのですが、魔法に関しては使えない人は全く使えません。加えて才能値一つ一つの幅が広すぎるのでBの値があるだけでも神童などと呼ばれます。例えば同じCの中でもピンキリで、特に武術ではCの中でも上位だと天才などと呼ばれることもあります』


 つまりはその値の範囲が広く上下が激しいと言うことで、武術なんかは大抵はCでDなんかだとほんとに才能がなかったりFだと振ったら剣が飛んでいったり、Bだと神童だなんて讃えられたりする。


 魔法はCの下位だと使えるけど苦手な魔法で実用的では無い、Dは一応使えるけど火や水だとちょっと火を出したり水がチョロチョロ出たりするらしい。Eだともはや使えないに等しくFだともう使えないらしい。


 逆にC上位だと才能のある人みたいな感じ。Bになると隣国まで名を轟かせることができるらしい。


 生産と資質の項目も武術と同じような感じ。


 さっきはひとつの値の範囲が広いと言ったが、どの項目もFは全く使えないという意味があり、範囲など関係ないらしい。


 アイ曰く、Aランクは国に1人居れば良い方。列強諸国は2人くらいいた方が良い。Bランクは街で1人居れば良い方。Sはその時代に1人いるだけでも安泰らしい。一時期SもAすらもいない時代なんかもあったこともあるらしい。


 逆にSが複数人いた時代もあったし2桁数いたこともほんの一時期あったとか。


 しかし、Sが居ると言っても1項目だけ、例えば、風属性がSだったり剣術がSだったりの人物が大半で多くても3項目程度。その他はCなど平凡な感じの人物が多かったらしい。


 この体の凄さが分かるね。


 加えてエルフなんかは魔法適性が高いらしくその中でも風属性がエルフの得意属性だ。そのこともあってエルフはBが平均値と異常な数値で、獣人族は格闘術が平均Bだとか。


 ドワーフは生産の鍛治が高いらしくこちらと平均値がB有名な鍛冶師はBの上位やAだったりする。


 だから俺のと言うかこの体の才能はやばいらしい。


 あと魔法と生産の2つの項目に錬金があるが、全くの別物らしく、魔法の項目の錬金は魔力を練って物質を生成するらしい。しかし、珪砂を生成することもできるし、最初から硝子を生成するなんてこともできるらしいが、より魔力を消費するらしい。


 続いて生産の項目の錬金は想像通りの錬金だ。金属の分離・結合などができるらしい。


 そんじゃ隣で寝てるお義兄様でも鑑定しますか。


鑑定はんへい!」


 ◇


 名前:ジークハルト・フォン・スターク

 年齢:0

 種族:人族

 称号:スターク帝国第2皇子


 武術

  剣術 C

  槍術 D

  弓術 D

  体術 E


 魔法

  火 B

  水 A

  風 B

  土 C

  光 C

  闇 B

  時 F

 空間 F

  氷 F

  雷 F

  無 C

 錬金 F


 生産

  錬金 C

  鍛治 B


 資質

  統率 B

  武勇 C

  政治 A

  知略 A


 ◇


 ……お義兄様つぇぇ。え、何魔法の才能たかっ!AとBあるやん!政治と知略がAという事は時期皇帝候補か?


 あ、あと俺とお義兄様、それぞれに双子の弟がいた。つまり同じ日に4人生まれたわけだよね。転生して数時間、アイと話してたら2人の赤ちゃんが同じ部屋に来たから何事かと思ってアイに聞いたら実弟と義弟だった。しかもみんなよく寝るから目の色とかは分かっていない。髪色は義兄弟は多分金髪。実弟は白か銀だな。彼らも鑑定しちゃいますか。


鑑定はんへい!」


 ◇


 名前:レオンハルト・フォン・スターク

 年齢:0

 種族:人族

 称号:スターク帝国第4皇子


 武術

  剣術 S

  槍術 A

  弓術 B

  体術 A


 魔法

  火 A

  水 D

  風 D

  土 C

  光 C

  闇 C

  時 F

 空間 F

  氷 F

  雷 F

  無 A+

 錬金 F


 生産

  錬金 D

  鍛治 D


 資質

  統率 A

  武勇 A+

  政治 C

  知略 C-


 ◇


 これが義弟つまりお義兄様の双子の弟だね!そしてうん、強すぎるね。剣術がSで槍、格闘がAで、弓までBときた。


 加えて魔法は火属性がA、無属性がA+他はC以下。少し安心したよ。ていうか俺の時はスルーしちゃったけど、+と-って何?


『+.-とは、才能値の幅が広すぎるので上位は+、下位は-というように分かりやすくしました』


 なーるほどね。理解理解。


 そんじゃ俺の双子の弟の才能を見てみようか。


鑑定はんへい!」


 ◇


 名前:ラインハルト・フォン・スターク

 年齢:0

 種族:人族

 称号:スターク帝国第5皇子


 武術

  剣術 B

  槍術 B

  弓術 B

  体術 B


 魔法

  火 C

  水 C

  風 B

  土 C

  光 C

  闇 C

  時 F

 空間 F

  氷 F

雷 F

  無 C

 錬金 F


 生産

  錬金 B

  鍛治 C


 資質

  統率 B

  武勇 B

  政治 S

  知略 A


 ◇


 おぉ。これは、なんというか文武両道?武術はオールBとオールラウンダーな感じ。政治と知略がS,Aときた。こりゃ俺の弟が最有力皇帝候補か?お義兄様はその補佐とかやりそうだな。


 ざっとみんなのを見た感じ、時、空間属性、氷属性、雷属性、魔法の錬金がみんなFだな。


『アイ、なんでだ?』

『はい。氷はともかく時空、雷、錬金は使い手が限られてきます。氷属性は水属性の才能が高ければ使えることがあります。しかし時空、雷、錬金は強力すぎて使い手を限定していると世界神様か仰っておりました。現在、この世界で時、空間属性は数人が才能を持っていますが半数はEとDとなっており他1名がAとなっております。雷はこの時代に主人マスター以外の使い手はいません。錬金は主人マスター以外のこの世界の全員がFと言う結果となっております』


 後にアイから聞いた話だが錬金は地上の人間達は使えない所を俺のために神様が使えるようにしてくれたらしい。


 次会ったら殴るとか言ったのは許して欲しい。


 ……そして俺、最強かもしれない。

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