第16話 3年後 幕間
午前中はフェメニーナ義姉さんに絡まれ、その後ディアナと模擬戦をして終了。現在は昼ごはんを食べている。メニューはなんとハンバーグにポテトサラダ、その他諸々だ。この国……というか、この世界は食の文化が無さすぎる。どれだけないかと言うと、肉は焼いて塩をまぶすだけ。
これにはれっきとした理由がある。そもそもこの世界には魔力というものが存在する。この魔力は動物でも植物でも少量は持っているものだ。植物に至っては微々たるものだが。しかしこの魔力が食文化の発展を阻んでいる原因だ。例えば、この世界で肉と言えば魔物の肉。もちろん魔力を豊富に含んでいる。何故か魔力を豊富に含む食べ物は美味しい。よってそのまま焼いて塩をまぶすだけでも充分に美味しいのだ。故に金持ちはランクの高い魔物を狩らせ、それを食う。これが至高とされていたが、そこに現れたのが俺だ。ただハンバーグを作っただけなのに、前世で作った物よりもはるかに美味しい。そして、ただ焼いて塩をまぶすだけの肉よりもはるかに美味い。なので、
「なんですかこの料理は!?」
「リュート!何よこれ!こんなに美味しいの初めて食べたわ!」
「あははー、お褒めに預かり光栄です」
「まぁ、最初はそんな反応するだろうな」
アウスナット様とフェメニーナ義姉さんが絶賛してくれる中、お父様の言葉に兄弟達が頷く。
「アウスナット王太子よ。余の息子達はどうであったか?」
「はい、アルベール殿の仰っていた通り、リュート様はとてもお強い方ですね。まだ6歳児と言うのが信じられません。そして、後ろのディアナちゃんもすごく強いです」
ディアナたちは一応使用人という立場なので一緒にご飯を食べることは出来ない。先程から使用人達が入れ替わりで入ってくるのでその間にご飯を早食いしているのだろう。それに、アウスナット様は先程までアルベール様なんて言ってたくせに今はアルベール殿なんて言ってすっかり、外交モードに入っている。俺に対して様なんてつけてさ。
「午後の予定はどうなっている?」
「午後は、シンシアに構ってから、ジオルグの方に顔を出して、アウスナット様から魔法の実力が見てみたいと言われたので少しばかり訓練場に行き、今日は休みます」
「そうか。本当は今日は訓練は本格的にやる日ではないんだったな」
「はい。まあ、休みがあると体が
シンシアとは3個下の義妹だ。つまりジークとレント、フェメニーナの実妹ということだ。とても可愛い3歳児である。この子も金髪で翠色の目をしている。とても可愛い。俺はシスコンなのかもしれない。
ジオルグは4個下で今は2歳。唯一実兄弟がいない子だ。オレンジ髪の青目。オレンジ髪なのは母親譲りだが青目は父親譲りだ。因みに、俺の母親である、マドーレ母さんとレントたちの母親である、スエグラン
話がそれたが、俺が1番シンシアに構ってあげているということだ。あれ?また話がそれてる?まあいい、そんなシンシアは毎度の如く「大きくなったらリュー
話が逸れたが、昼食後は魔法の実力を見てもらわなきゃいけない。どーやって実力を示そうか。なんて考えているとアウスナット様から質問が飛んできた。
「そういえばリュートくん達は、学校ではどんな生活をしているんだい?確かベルンくんは夏季休暇に入っても寮に居るままなんだろう?」
「ああ、俺たち学園には行ってないんです」
「えっ!?そうなのかい?……その実力で試験に落とされるほど、頭は悪くないと、伺えるよ?君と話してると大人と話してると勘違いすることあるし」
「逆ですよ逆。俺たち4人、飛び級で卒業しちゃったんで」
「えぇ!?飛び級って、普通1学年か2学年分程度を、目安にするもんじゃないの?一気に6個も飛び級しちゃったの?どうしてだい?」
「いや、普通に拘束時間長いですし、レントとかと訓練してた方が合理的だし、頭はちゃんと追いつけてるんで」
「なるほどねぇ。武に対するすごい執念が伝わるよ」
そんな話をしていれば昼食はあっという間にすぎるわけで。
「ご馳走様です。では俺はシンシアの部屋に行くんでアウスナット様たちは訓練場で待っていて貰えると助かります。すぐに行くんで」
「了解だよ」
そのまま俺はディアナを伴い、食堂を出てシンシアの部屋へ向かう。今回はアウスナット様がいるんでまだマナーを知らないシンシアを同席させる訳にもいかず、シンシアには現在クリアーダとシンシアの専属メイドのジュリアが着いている。部屋の前まで来たのでノックをする。
「シンシアいるか?入るぞ」
「大丈夫なの!入っていいの!」
許可が降りたとこでドアノブをひねり、ドアを開け、中に入る。
◇
※あとがき
短いですごめんなさい。
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