第160話 中等部騎士科の天才達
昨日は、中等部騎士科一年から八人も確保出来たので、今日は同じく二年生を視ていく。
今回も昨日と同じく
二年生の制服はショルダーラインの色が黄色なので俺達もその制服を着ていることに偽装する。
「二年生の教室は二階だな」
「それじゃあここもちゃちゃっと行こー!」
シャルに手を引かれ階段を上がっていくと、空気感が変わった。一階はThe木造建築って感じで床とか壁は木の板で、出来てたのだが、二階は石……大理石っぽい感じだ。
この歳から年功序列を理解させてるのか? 年上の方が偉い的な。
なるほどな。実力主義な帝国と、年功序列な魔導帝国。ちなみに王国は貴族第一優先主義だ。
「ちなみに、次はどういう入り方をするの?」
「一番面倒くさくない入り方だな」
「……力技かぁ。見た目が面白い魔法はやっぱり繊細な技術が必要なの?」
「基本的にはな。昨日やった壁のすり抜けとかは結構神経使うぞ」
「へぇ、じゃあより強力なのは力技と繊細な技どっち?」
「そりゃ、とある域までは繊細な技。その域を達すれば力技の方が強いかもしれんな」
つまり、使う魔法とか、術者によって全然違うし、細かな技術を圧倒できるくらいの力強さがあればそっちの方が強いってわけだ。
まぁ今はそんなんどうでも良くてだな。階段上がって目の前の教室は2-D。
――ガラガラガラ
普通に引き戸を開けると一瞬俺の方に注目が集まるが、催眠魔法を掛け、俺がいることに疑問を持たせない。
「うーん、凡だな」
2-Dの教室出て思ったことがある。やっぱりクラスは実力順で上から並んでるっぽいな。Sクラスの連中の方がDクラスより全体的に強い。才能値Cでもやはり上振れと下振れがあるらしい。
まぁたしかに成績表とかも五段階評価だと、三って一番幅広いって言うか。そんな感じで才能値Cでもまあまあな違いが出るらしい。
それで下振れた者はDクラスとかになり上振れた者はAクラスやSクラスになる。と言ったところか。まぁ才能値Cなら、努力でひっくり返せそうではあるが。
「でもここは騎士科だし、魔法の才能は関係ないよね?」
「全くもって関係ないな。なんならDクラスとかの方が俺は期待してたし」
天は二物を与えずって言うし、騎士科の上位クラスの人に魔法の才能はないと思っていたのだが――
「まぁ、何物も与えられた人が言っても説得力ないよ」
「それもそうか。まぁ昨日と同じくチャチャッと済ませようぜ」
◇
まぁ、結果から言えば昨日が豊作過ぎた。
あの後2-Cから2-Sまで周ったが、どのクラスにも一人ずつしかおらず、さらに2-Sの天才は「帝国には行かない」などと抜かしやがって、二年生からは三人だけしか引き抜くことは叶わなかった。
「まぁ、昨日が多すぎたんだよらリュートくん。まだ魔法科もあるじゃない」
「そ、そうかもな」
「それにほら、三人だけでも普通に考えたら十分多いんじゃないかな? だってリュートくんの探してる天才達は数十人に一人とかそんなヤワな存在じゃないでしょ?」
「確かに……」
「魔導帝国だからって期待しすぎてたんだよ、きっと」
確かに数十人に一人とかいうヤワな存在では無い。でも才能値Bってのは数千数万に一人居ればいいとは言っても魔導帝国の学院に通っている生徒なんだぞ? 数万、あるいは数十万の同世代のライバルを蹴落として入ってきた上澄みだと思ってたのに。
「それにほら、まだ騎士科だし。魔法科の方がすごい人たくさんいるって」
「そ、そうかもな」
てなわけで騎士科からは十一人引き抜くことが出来た。なんと、全員が来年度から
他にも、この国は長男が家を次ぐ決まりになっているらしいのだが、なんと貴族子息の者がいたのだ。しかし、長男の者は居らず、親に説明すれば帝国へ行けるそうだ。
令嬢の方はまだ別に婚約者とかも決まって居らず、家を継ぐ予定もないらしいので、了承を貰えた。
◇
アセレア学院からの帰り
「なんだか可哀想な事をしたね」
「ん? 何がだ?」
「だって、帝国に編入希望の子以外は退学届け出させてたし。最終学歴が初等部になっちゃうよ」
「まぁいいんじゃないか? 軍人には最低限の知識は必要だから教育はするし、何より帝国は学歴社会じゃない。実力社会だ。頭が悪くても実力で黙らせればいい」
「うーん、そんなものかなぁ?」
「まぁいいだろ。それよりも俺は騎士科連中の上達具合が気になるけどな」
「まぁそれは私もだよ」
そう、一応帝国に来てくれる十一人には魔法の箒を渡している。
帝国に行くタイミングは任せてるし、路銀だって持たせた。あとは俺が帝国に戻った時、どれほど強くなっていてくれるかだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます