第2話 こんなことって
side
目を開けると真っ白な天井がある。うーん。やっぱり病院かな?
とりあえず起き上がるけど身体に問題はないみたい。周りを見渡すと、私の右側と真正面、右斜め前にベッドがある。やっぱり病院で間違いないみたいだね。左は窓だね。見た感じ2階か3階っぽい。晴れてるし昼間ってことだよね。
「よっと」
ベッドから降りてみるけどしっかり立てる。このまま病室出ちゃおっか。
うーん、扉の横の名前書いてあるところに瑠人の名前がないなー。私の名前しかない。瑠人は入院する程ではなかったのかな?
とりあえず状況知りたいしナースコールでも鳴らしちゃう?
「えいっ!」
――♩♩♩
なんか音楽流れ始めてちょっとしたら看護師さん?が走ってきた。
「あ、起きたんで鳴らしただけですよー」
私がそう言うと踵を返して走ってった。怒らせちゃったのかな?
――数分後。
さっきの人がお医者さん連れてきたけど、あんま嬉しそうな顔してないね。何かあったのかな?
「如月さん。起きたんですね。良かったです」
「はい、起きたのはいいんですけど瑠人は?一緒にいたはずなんですけど」
確か。いや確実に一緒にいた。一緒に夏祭りに行って、それで一緒に帰ってる時に青信号を渡ろうとしたら、トラックが突っ込んできて、瑠人が私を庇って――
「……まさか?」
「はい。如月さんと一緒に居た男性は如月さんに覆いかぶさったまま救急隊員が着いた時にはもう…」
うん。少し思い出してきた。トラックにひかれる時に私とトラックの間に入って抱きついてきたんだった。いきなりのことでびっくりしたけどそう言うことだったのね。
「……如月さん?」
「はい?なんですか?」
「その、これどうぞ」
看護師さんがハンカチを渡してくれた。一瞬何してるのか分からなかったけど、目元を触ると確かに濡れてるし視界も歪んで来た気がする。
「あれ?違うんです。なんか、なんか、止まんなくて」
立ってるのも辛いしベッドに腰掛けるけど、やっぱり信じたくないよ。なんで?なんで瑠人だけ?
◇
――1週間後。私には大した怪我はなかったらしくて、退院できた。でも心にぽっかり穴が空いてる感覚。
――1ヶ月後。ちゃんと学校には行ってるけど、瑠人がいないことに未だに慣れない。幼なじみで親友の
――半年後。3月になり、3年生が卒業してそろそろ春休みになるけど、何をして過ごせばいいんだろう?冬休みは杏ちゃんが誘ってくれたから退屈はしなかったけれど、最近は1人になりたい時間が多かったから、春休みも1人で過ごす予定だけれど、やっぱり瑠人がいないと退屈だよね。
――8ヶ月後。先月無事に高校3年生になれた。杏ちゃんとも同じクラスで、杏ちゃんの彼氏でもう1人の幼なじみの
3年生になって3ヶ月ほど。夏休みも目の前に迫り、みんなが夏休みの予定をたてている頃。朝の教室は見た感じ半分埋まってるか埋まってないかくらい。私のクラスは40人いるから、だいたい20人前後ってとこ。HRまであと15分くらいあるしね。
私が1番前の机に座って本を読んでると、1組の男女が入ってきた。杏ちゃんと湊だね。杏ちゃんは栗色に髪の毛を染めてるけど、セーラー服をちゃんと着こなしてる女子。出るとこは出てて引っ込むところも引っ込んでる。正統派美人だね。成績は上位20人くらい。
TOP3は私と瑠人と湊で独占している。順位は毎回違うけどね。話がズレちゃったけど、偏差値65前後の進学校のこの高校でTOP20はすごいと思うけど、私たちの成績が良すぎて自分は満足できてないらしい。
その隣を歩いてるのは彼氏の湊だ。湊は身長175センチくらいって瑠人が言ってた。瑠人より、小さいらしいけど私からしたら2人とも高身長だよね。そんな湊は進学校にしては多分珍しい学ランを着崩してチャラチャラしてるけど昔から杏ちゃん一筋の男の子だ。高校1年生の頃のクリスマスに湊から告白して付き合うことになったらしいけど、2人が付き合うのは時間の問題だと中学の頃からみんなに思われていたよね。
「おはよー」
「はよー」
「うん、おはよう」
挨拶されたから返すと2人は自分の席に歩いて行った。最近は私の要望でなるべく1人にさせてもらってるんだ。
早く瑠人に会いたいなぁ。どうやったら会えるの?こんなことなら私も――
――え?
瞬間。約20人が居る教室に光が満ちた。
◇
※あとがき
如月七瀬についての容姿は全然触れてないんですけど、今後明かす予定です。容姿を語らなかった理由は特にありません。
前回より短かったんですけど、今後はこれくらいの文字数より少し少ない感じで行く予定です。
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