超器用富豪

ルーシー

第1部

第0章 プロローグ

第1話 プロローグ


 人生何が起こるか分からないとはよく言うが、俺は今、目の前の光景が信じられない。


 俺の最後の記憶は幼なじみの彼女と夏祭り行った帰りにトラックにはねられた事だ。しかし目を開けたら真っ白な空間。



「おお、上手くいったようじゃの」


 ――誰だ?この爺さん


 目の前には長い髭を生やして、優しい顔つきのいかにも神様ですという見た目をしている。


「君は霧島瑠人きりしまりゅうと君で合ってるかの?」


 突然聞かれたが確かに俺の名前は霧島瑠人だが、なんでこの爺さん知ってるんだ?まさかほんとに神様だったり?


「おぉ、やはり日本人はこういうの慣れておるのか?状況を理解するのが早いのぉ」


 ――まさかとは思ったけど本当に神様だったとは…。てか、心の声聞こえてるんかこの爺さん。いや、神様か?


「ほぉ、やはりすぐ分かったりするもんなのかのぉ。しかと心の声は聞こえてるおるぞ」

 

 じいさんが髭を撫でながら言ってるがその髭、触り心地良さそうだな。


「瑠人よ。心の中で喋っとらんで話すように語りかけて欲しいのじゃ。一々心を読むのはめんどくさいのでの」


 ――心読むのめんどくさいなら最初から読むなよな



「ごめんなさいね。頭で色々と考えるのはくせなもんで。そんで、どうして俺がここにいるんだ?」

「…先に謝らせて欲しいんじゃ」


 神様?はそう言うと深々と頭を下げた。普通になんで謝ってくるのかわからんな。


「…実は君のことは儂が殺したんじゃ」

「……えっ?」


 しばらく理解できなかった。この人が俺を殺す必要があるのか分からないからだ。


 


「んで?なんで俺はここにいるんだ?」

「それは、少し事情があっての、地球から1人だけ人間が欲しかったのじゃ。じゃから適当に命の灯火ともしびを消したらたまたまお主だったんじゃよ。そしてお主の魂と肉体が輪廻の輪に行く前にこちらに持ってきたからじゃな」

「いや、そういうのを聞いてるんじゃなくて、てかお前やってる事クソだな。……じゃなくて俺はその事情とやらを聞いているんだ」

「それは、儂が作った世界の文明を発展させて欲しいのじゃ!」


 急に顔を上げて迫ってくる。驚いて数歩後ずさったが、自分の顔が引きつってるのが分かる。



「そんでその世界?てのはなんなのさ」

「儂が3千年ほど前に作った世界なのじゃが、千年前にその世界で所謂、世界大戦が勃発してしまっての、文明が滅びかけたんじゃ」

「それでその衰退した世界に俺を送り込んで文明を発展させろと」

「そうじゃ。この通り!」


 そう言ってまた深々と頭を下げた。というか作られてから2千年しか経ってないのにほかの世界から人を連れて来るんか。


「てか、まず質問していい?」

「うむ、質問してくれて構わない」


 なんか急に喋り方変わったな。ついでにどこからかちゃぶ台持ってきてお茶飲んでやがる。まあ、そんなことどーでもいい。あ、俺も座ろ。


「それじゃ、遠慮なく。その、俺が行くって言う世界についてなんだが、地球とどれくらい違う?」

「何についてどれぐらい違うか質問してるのかわからんのじゃが、地球と違うところは、星の大きさくらいじゃのう。逆に同じ所はは1年間の日数じゃな。1週間が7日でそれがだいたい4週間。一月ひとつき30日か31日の12ヶ月の1年365日構成じゃ。ちなみに、1週間は火の曜日、水の曜日の様に、火水風土雷光闇の順番で呼び方が変わるんじゃ」

「詳しい説明どうも」


「次に、転生するのか、この体で転移するのか?あと魔法の有無」

「転生じゃ。それと転生する世界は所謂、剣と魔法のファンタジーというものじゃ」


 お茶を1口飲んでから神様は言う。


「それならいくつかお願いがある」

「どうせチートとかじゃろ?3つまで良いぞ?」

「話が早いな」

 異世界に行って苦労するのはやだからな。

「それじゃあ、言ってみるといい。3個までならなんでもいいんじゃよ?」



「それじゃあ1つ目は転生先の肉体だけど、指定させて欲しい。」

「もちろん構わないぞ」

「それじゃあ、魔法があるなら、魔法の素養がある転生体が欲しい。もちろん、ある程度でいいぞ」

「了解じゃ」


「それと、魔眼の類が欲しい。出来れば、なんでも出来ちゃうようなやつ」

「それじゃあ、神眼でいいかの。お主が言う魔眼の類全般使えるやつじゃ」

「それじゃあそれで。3個目は……ナビゲーション?みたいなのも欲しい」

「わかったのじゃ」


 結構あっさり通ったな。まあ元々なんでもいいとか言ってたし、良いのか。


「ああ、神眼はなんでもできるんだろ?それじゃあナビゲーション機能ってのは何が出来るんだ?」

「そうじゃな……、まず使い方としては、心の中で語りかける感じじゃ。後はまあ、知らない事はないと思って貰って構わないのじゃ。じゃから、転生したらしばらくはナビゲーションに色々聞くといいの。それじゃあ異世界を満喫して来るのじゃ!」

「わかった」


 途端、元々白かった視界が、白く光出した。まあ、異世界を満喫しますか!


 ◇

 ――その後の神界

 

『世界神様。良かったのですか?』

「そうじゃのぉ、本当のことを言って信じると思うかの?」

『いえ、思いません』

「なら、あれで良かったのじゃ」


 ――こんな話があったことを瑠人はまだ知らない。




 ◇





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