第133話 帰国

 side:Reinhardtラインハルト Vonフォン Starkスターク


「ライト様、どうするの? リュークハルト様たち出ていっちゃったわよ」


 レント義兄にいさんにジーク義兄にいさん、リュート兄さんまで退室してしまい、この場に残る皇子は僕だけになってしまった。


「まぁ、仕方ないよ。このパーティーの目的は全て果たしたみたいだしね」


 元々ここにはジーク義兄さんとレント義兄さんの婚約者探しと、兄さんが自分の手柄を僕に明け渡して皇太子レースから外れ、僕を優位に立たせること。それが今回の大きな目的だったけど、全部達成しちゃったらそりゃ、兄さんなら出ていくよね。


『えぇー、それでは余興など色々終わりましたので、皆さんこの後はパーティーを楽しんでください』


 玉の輿を狙い、みんなに群がっていた令嬢たちは散ったし、今回のパーティーでやるべきことを全て終わらせたみんなは退室しちゃったから僕だけでもこの場にとどまらなきゃいけないよね。


 てことで、玉の輿を狙ってた人達は残念だけど、ここからはパーティーを楽しんで欲しいね。


「それじゃあエレン、行こうか」


「はい!」


 僕達はその場で食事を楽しんだ。自分の娘を側室にでも、と、推してくる人が数名いたけど、冷たい態度を取れば、僅かな希望も潰え、去っていく。


 こうしてパーティーの後半戦は平和に終わった。



 ◇

 side:Ryukhardtリュークハルト vonフォン Arlandoオーランド


 あの後俺らが帰ったあとはなんとも平和なパーティーになったとライトから聞いている。


 まぁ、そりゃそうだろうよ。何企んでるのか分からない俺らがいなくなって、ピリピリした空間から一気に柔らかい空間になったんだから。


「それじゃあ、また。お世話になりました」


 この数日間世話になったセドリックさんにそれだけ言って俺たちは馬車に乗り込む。


 俺らは本日帰国する。行きのメンバーに加えてイーファル嬢、ハーゾッグ嬢を加えて。


 イーファル嬢は普通に貴族令嬢って感じの子。ハーゾッグ嬢はいかにも貴族令嬢って感じの子。だって、金髪縦ロールて。どーやってセットしているの?と、シャルが聞いていたが、くせ毛でなってるから、セットなどしていないらしい。


 それを聞いた俺たちはひどく驚いた。だって、セットしてないのに縦ロールになるのかよ!?ってなるよ。


 そして、聖都のモンを出て少しした頃。


「殿下、そろそろよろしいかと」


 御者が馬車を止めて俺たちに教えてくれる。


「あぁ、ありがとう」


 そして俺とシャル、アルにヴォルは馬車を降りる。ちなみにディアナは護衛として置いてきた。


「そんじゃあ帰るか」


 箒を取り出し、シャルと共に乗り、上昇する。


 早馬を出して、父上に帰ることを報告しても良かったのだが、シャルが、馬車の旅に飽きたらしく、早く帰りたいと言われたので、メッセンジャーも兼ねて俺たちは先に帰ることにしたのだ。


 行きに馬車を改造したので、聖王国から帝国まで半月程度で帰ってくるが、箒で帰ればもっと早く、1週間もかからず帰ることができるはずだ。


「いやぁ、やっぱりいいねぇ、空の旅は!」


 行きと同じように俺の腕に抱かれたシャルはとてもご機嫌だ。


「シャルが喜んでくれるなら俺も嬉しいよ」


「ヴォルの前でイチャコラするでない。悪い子に育ってしまうかもしれんだろ!」


 と、とても平和な感じで5日間空の旅を続けると、帝都が見えてきた。


「よしっ、そろそろだぞ」


 こうしていつか間のお空の旅は終了した。

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