第14話 3年後に向けて
「まずい。とてもまずいぞ」
ディアナ達を買って数日後の朝、俺は訓練場に着く直前に急に気付いてしまった。もしも、6歳になって学園の初等部に入学してしまっては、修行が出来ないということに!
「どうされたのですか?」
クリアーダが心配してくれるが、ディアナのメイド教育は大丈夫なのか?
「ああ、少々先の事について考えていただけだ」
「はあ、大丈夫なのであればそれでいいですけど」
実際、学園には飛び級制度がある。これを利用すれば初等部を、飛ぶことができるんだが、問題はレントだ。あいつが学園の、寮に拘束されてしまっては、あいつの訓練ができない。俺にはディアナがいるから大丈夫だが、初等部の6年間で差がついてしまっては楽しくない。これは今からでもレントに勉強を教えるべきか?
確か、初等部の入学試験の内容はペーパー試験と実技試験があったはずだ。実技試験については問題ないが、ペーパー試験は問題ありすぎだ。まずは歴史の問題がある。これはこの国の成り立ちから今に至るまでの歴史の問題だ。例えばこの国の初代国王についてとかだ。こんなのは基礎中の基礎なんだが、問題なのが、この国で出題される様な出来事は特にないのだ。世界史などは中等部で習うらしく、初等部の試験にはほんとに出題される様な出来事はない。あっても、
それじゃあ戦争は?と思う者もいるだろう。しかし、世界が認めるこの国に喧嘩を売る国なんて、タイシェン王国程度だろう。その王国とは時々小競り合いを、するだけだし大抵の戦は勝ってしまう。よって、あまり問題がないのだ。難しい問題が出たとしても、ずるだが俺の場合、アイに聞けばすぐわかってしまう。加えて初等部卒業まで飛び級したいのならば初等部で習う3年分(歴史を習い始めるのは4年生から)なので、普通にめんどくさい。
次に算術だが、初等部で習うのはかけ算までだ。割り算まで行かない理由は時間がないからである。学園の授業内容は前世の学校とは全然違う。例えば1週間の半分の授業を野外の訓練にしたり、実技にしたり、午前は座学だけど、午後は実技だけ、みたいな時間割が多いらしい。
ちなみに、この世界は1週間7日の
話がそれたが、レントには今のうちから勉強してもらわなきゃ困る。ライトとジークは勉強してれば勝手に寄ってきて一緒にやり始めるだろう。つまり俺が今からやるべきことは、
「おーい!レントー!話がある!」
「なんだよアニキ」
「勉強をしよう」
「あ?やだよそんなの。まだ俺たち3歳だし。初等部に入るまで時間はたっぷりあるだろ?」
「いや、初等部には入らない」
「……は?」
俺はさっき気づいたことをレントに説明した。初等部に、入学すると拘束時間が長すぎてまともに訓練できないこと、俺は絶対に飛び級して卒業するから、レントだけ行ったところで、レントの成長が遅くなることを。
「なら、ディアナを使用人枠で入学させればいいじゃねぇか?」
「ダメだ。お前の使用人はアンナかシルフィードだけだ。ディアナは貸し出さん」
「ケッ、ワーッたよ。勉強すればいいんだろ?俺だけ入学したらアニキに勝てなくなるからな。でも、するのは明日からだ。そのために今日は明日の分まで身体を動かす」
「それでいい」
この日は朝ごはんの前まではひたすら走り、お昼前までは筋トレをし、その後はディアナとレントと3人でローテーションしながら模擬戦をした。
ディアナ強すぎ。もう俺と張り合うくらい強いやん。なにおまえ。
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